その界隈では大きな知名度があるデータサイエンティスト検定ですが、くわしく知らない方も一定数存在します。
さらにその中の一部では、「とっても意味がない」という意見まであることも事実です。
今回はデータサイエンスト検定の現状をもとに、「意味がない」と言われる理由や、その必要性について探っていきます。
近年データサイエンスの需要が増える中、いろんな業界や企業がこの検定を導入しているので、本記事の内容を知っておくに越したことはありません。
そもそもデータサイエンティスト検定とは？
データサイエンスの専門知識に関する検定のことです。
データの収集・整理・分析・予測など、データサイエンス全般の領域にわたる能力を測定し、実務での活用に向けた実力を証明することを目的としています。
検定の内容は統計学やプログラム、アルゴリズムなど幅広くなっていることが特徴です。
データサイエンティストを目指す方や、既にデータ関連の職務に従事している方がキャリアアップやスキルアップを図るための手段として、注目を浴びています。
業界での評価や求人案件においても有利な点があり、データサイエンス分野の拡大が激化する中で、その重要性はなお高騰しています。
データサイエンティスト検定の出題内容
主な出題内容は、以下のとおりです。
| 情報活用法 | 事例の認識 |
| 情報リテラシー | 潜在データの可視化 パターン予測 |
| データサイエンス | 基礎概念習得と予測のプロセス 回帰・ニューラルネットワーク モデル評価制度指標 音声・画像・動画認識 ほか |
| データエンジニアリング | スクレイピング クローリング データベースの基礎 正規化サーバー間の転送 セキュリティ ほか |
| 開発および法規制 | プロジェクトフロー 各種分析手法 報告・釈明 開発手法 個人情報の保護 匿名加工 ほか |
| 統計 | 記述と推測 各種統計量 データ幅の表現法 仮説の検定 二変数間 ほか |
もっとも広い範囲として定められているのが、データサイエンスの部分となっています。
他にも統計やエンジニアリングといった専門知識はもちろん、開発手法や法規制、情報リテラシーに関する知識が必要です。
データサイエンティスト検定の試験方式
試験方式は、CBT方式を採用しています。
従来の紙とペンを用いた筆記の試験ではなく、パソコンなどのデジタル機器を用いた試験方式を指します。
回答はすべてデータで管理され、すぐに自動で計算処理がされるため、その場で得点や合否が確認できることが大きな利点です。
大量の祇も必要としないことから試験日が広く設けられており、受験のスケジュールも合わせやすくなっています。
データサイエンティスト検定の合格率
データサイエンティスト検定の合格率は、50〜60%となっています。
この合格率は例えるなら、有名なITの入門検定「IT検定パスポート」と同等の数字。
一般的には難関資格で10〜15%、中級の資格で20〜35%程度になっているため、それほど難しくないことがわかります。
これからデータサイエンスに手を付ける方や、本格的に目指す方にとっては最適といっていいでしょう。
データサイエンティスト検定は意味がないと言われるのはなぜ？
本資格は一部の方々から「意味がない」と言われることもあります。
その理由を解説します。
モダンな職業のためまだ世の中に浸透していない
意味がないと言われる理由のひとつは、データサイエンティストという職業自体が比較的新しい職業であり、まだ世の中に広く浸透していないこと。
同時に本検定の知名度もまだ低く、受験者数は2021年で約1,500人、2022年で約3,000人と、多くはありません。
ただデータサイエンス分野の進化と重要性は、この先も著しく進むことが見込まれます。
実際に受験者数は、たった1年で約2倍になっているともいえるためです。
今でこそ検定の有無より、実務経験やプロジェクト実績が評価の主軸となっていますが、これから検定の役割は発展していくでしょう。
IT事業者として優先度が高くない
いまの段階では、IT事業者の立場から見たときの優先度があまり高くないことも理由です。
従来はプログラミングやネットワーク管理のスキルがメイン需要だったので、データサイエンスが必要なケースは限られていました。
そのためデータサイエンティスト検定よりも、他のIT関連の資格や経験を求める傾向が強かったのです。
しかしながら近年のDXの進展も相まって、データサイエンスの重要性が見直されつつあり、一部の企業では検定への関心も高まっています。
将来的には役割がさらに拡大し、検定がより重要視される可能性がありますが、現時点では優先度の面で他のIT関連資格に比べると低いというのが実情です。
合格率が比較的高め
意味がないと言われる理由に、合格率が比較的高いことがあります。
一般的に合格率が高いということは、内容が容易であるか、または受験者に対して緩やかな評価が行われている可能性が考えられます。
当検定においても例外ではなく、実務経験やスキルがない人でもすぐ合格できると感じる第三者が多いようです。
ただデータサイエンスは複雑で技術的な分野であり、経験や実践が重要。
合格率が高いことは確かですが、求められる技能や評価は他の検定とはまったく異なるため、合格率はあくまで基準と考えたほうがいいかもしれません。
データサイエンティスト検定に合格するメリット
本検定を取得することで、次のような恩恵を受けることが可能になります。
実際の現場で貴重で必須の人材となれる
実際の現場で、貴重かつ必須の人材になれる利点があります。
検定にはデータサイエンス能力を裏付ける価値があるためです。
いまやデータ解析や活用のための方法は、何事においても重要視される存在となっています。
組織内で重要な役割を果たし、あらゆる根拠をデータに基づいて提供できる能力は、ひとつのビジネススキルとなるでしょう。
キャリアの選択肢を増やすことが可能になる
合格することで、キャリアの選択肢が大きく広がります。
データサイエンスはいろんな産業や業界で必要になってきているため、ビジネスのさまざまなケースで優位性をもたらす場合が多くあります。
保持者としての肩書きがあれば、金融、マーケティング、テクノロジーなど広い領域での仕事にアクセスする機会が増えるでしょう。
また認定を受けたデータサイエンティストは、ビジネスで希少な存在なのでその価値は高まる一方。
合格後はさらにたくさんの場面で優遇され、興味や適性に合う仕事を見つけることができるでしょう。
一般的なエンジニア業務にも強い
合格した後は、一般的なエンジニア業務においても強みを持つことができます。
データサイエンスはプログラミングや統計学、機械学習など多岐にわたるスキルが要求されるもので、一般的なエンジニア業務に転用できる場面が多いです。
たとえばプログラミングスキルはデータ解析だけでなく、ソフトウェア開発やシステム管理で役立ちます。
また統計学や機械学習のノウハウはビジネス予測に応用できるうえ、データベースはすべてのIT業務の共通知識です。
この知識は多様な分野で求められるため、他のエンジニア業務との連携もスムーズに行えるでしょう。
データサイエンティスト検定に受かるための勉強法
検定に合格するために、必要となる学習法を紹介します。
過去問題を繰り返し解く
受かるための勉強として、過去問題を繰り返し解くことが重要です。
過去の検定問題は、実際の試験の難易度や出題傾向を把握するのに役立ちます。
弱点や不足知識を把握し、対策を立てることができるでしょう。
また同じ問題を繰り返し解くことで、回答能力や応用力が上がり、試験での正確な応答につながります。
さらに時間配分やペース配分を掴めるので、時間内に答えるスピードを養うことも可能です。
公式の講座などに参加する
公式の講座やトレーニングに参加することもひとつの手です。
公式の講座とは、主に「データサイエンティスト協会」が管轄している講座を指します。
スクールや学校に申し込む
スクールや学校に申し込み、データサイエンスを学ぶのもおすすめです。
幅広い中身をバランスよく学ぶにふさわしい教材のもと、現役講師からの実践指導を経て、理論と実務をバランス良く身につけることができるでしょう。
またコース別に学べる内容も違ったり、豊富な模試も提供されているので、検定の準備が万全に整います。
データサイエンティスト検定対策におすすめの書物
検定の対策として、うってつけの書物を3つご紹介します。
合格対策 データサイエンティスト検定［リテラシーレベル］教科書
データサイエンティスト協会が監修しているこちらの書籍は、初めてチャレンジする方でも円滑に着手できるよう、図解を豊富に用いて理解しやすく編集されています。
節末には厳選された過去問題が盛り込まれ、もちろん全体をとおした模擬試験も掲載。
一冊を通じて学び終える頃には、基礎的な知見はしっかり頭に定着していることでしょう。
各用語のチェックリストも盛り込まれているため、単語力の強化にも最適な一冊です。
徹底攻略データサイエンティスト検定問題集[リテラシーレベル]対応
インプレスが出版しているこちらの書物は、本検定の出題範囲のうち「リテラシー」に特化していることが特徴です。
最新の検定内容に対応しており、本番さながらの内容を網羅しているので、良質な対策本として強固な地位を築いています。
また随所に見られる解説が、問題集のわりに教本なみにていねいなところも魅力。
抜け目のない学習が実現でき、着実に合格率を上げられるでしょう。
最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック 第2版
技術評論社から出版されているこちらの書物は、本検定の公式の教本として高い評価を得ています。
最新の出題範囲である185項目すべての重要ポイントや学習のコツを説明しており、確実な成果を得られることは間違いありません。
本試験に合格したい方はもちろん、未経験の学生などゼロの状態からデータサイエンスの勉強に挑戦する方にも推奨したい一冊です。
まとめ：正しい対策を講じデータサイエンティスト検定に合格しよう
「意味がない」と言われることもあるデータサイエンティスト検定ですが、重要性が増す昨今で数多くのメリットが存在することから、大いに価値のある資格といえます。
合格のためには、まず過去問題を解いて弱みを掴むこと。
そのうえで講座やスクールの利用も視野に入れながら、コツコツと知識を身に着けていくことが大切です。
合格すればIT業界全体からの信頼が上がり、できることの幅も広がります。
確実なステップを踏み、目標達成できるよう取り組んでいきましょう。
