物価高騰、年金制度破綻、企業寿命の短命化、AI活用による働き口減少などなど、心配が膨らむ話題が多い昨今、仕事を選ぶ基準として将来性を気にされる方は多いでしょう。
しかし、将来性のある仕事とはどのような仕事を指すのか、よく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、将来性のある仕事の条件を解説した上で、将来性のある仕事の具体例やそうした仕事に就くためのポイントなどをご紹介していきます。
将来性のある仕事の条件
そもそも将来性のある仕事とは、どのような仕事を指すのでしょうか。主に次の5つが挙げられます。
ニーズがなくならない
一つめに、社会的なニーズがなくならない仕事が挙げられます。
衣食住に関わる仕事や、電気や水道などインフラに関わる仕事は、社会情勢や流行などに関係なく、常にニーズがあります。
業界が成長し続けている
二つめに、業界全体が成長し続けている仕事が挙げられます。
たとえば、高度情報化社会の進展により、IT業界やWeb業界などは今後も成長を続けるでしょう。また、少子高齢化社会の進展により、高齢者向けサービスを提供する業界も成長を続けるでしょう。
人手が足りていない
三つめに、ニーズがあるにも関わらず人手が足りていない仕事が挙げられます。
2017年に経済産業省が発表した資料、「いわゆる人手不足業種の背後にあるものは何か?」では、人手が足りていない分野として、医療、介護、保育、不動産、運輸、ITなどが挙げられています。
参照:いわゆる人手不足業種の背後にあるものは何か? | 経済産業省
働き方を柔軟に変えられる
四つめに、働き方を柔軟に変えられる仕事が挙げられます。
働き方を柔軟に変えられる仕事とは、たとえば次のような仕事です。
・転職先が数多くある
・フリーランスとしても働ける
・リモートワークと相性がよい
働き方を柔軟に変えられない仕事と変えられる仕事、後者の方が仕事を長く続けやすいでしょう。
AIに代替されにくい
五つめに、AIに代替されにくい仕事が挙げられます。
AIの技術は目覚ましい進歩を続けており、「人間が行なっている仕事の大半がAIに奪われる」といった話をいたるところで耳にします。
しかし、全ての仕事がAIに奪われるわけではありません。クリエイティブな仕事や、きめ細かいコミュニケーションを必要とする仕事などは、この先も人間が行っていく可能性が高いです。
将来性のある仕事12選
将来性のある仕事の条件を5つ挙げました。ではここから、具体的に将来性のある仕事をご紹介していきます。
ITエンジニア
ITは今、最も成長している分野と言っても過言ではありません。そのため、ITエンジニアのニーズも増加し続けています。IT技術の進歩が続く限り、ITエンジニアのニーズはなくならないでしょう。フリーランスとして働きやすいのも大きなポイントです。
Webデザイナー
Webデザイナーは、WebサイトやWebアプリケーションのデザインを手がける職種です。近年、ECサイト市場やアプリ市場の拡大により、Webデザイナーのニーズが増加しています。クリエイティブな要素が強いため、AIに代替されることも考えにくいです。
クリエイター(アニメやゲーム、音楽など)
アニメや映画、ゲーム、音楽など、エンターテインメントの分野は、いつの時代でも一定のニーズがあります。そのため、各種クリエイターのニーズがなくなることもないでしょう。クリエイティブな要素が特に強いため、AIに代替されることも考えにくいです。
営業
世の中に商品・サービスというものがある限り、営業という職種がなくなることはありません。信頼関係や要望をくみ取る高度なコミュニケーションが必要となるため、AIに代替されることもないでしょう。また、営業はほとんどの会社で必要とされる職種であるため、転職しやすいという特徴もあります。
医師
人間が生きていきていく上で、病気や怪我は避けられません。そのため、医師には時代によらず一定のニーズがあります。昨今では、高齢化社会の進展にともなって、そのニーズは増加傾向にあります。
看護師
医師と同様、看護師も時代によらず一定のニーズがある職種です。患者さんの痛みや不安に寄り添うコミュニケーションが必要となるため、AIに代替されることもないでしょう。
介護士
高齢化社会の進展にともなって、介護士のニーズは増加傾向にあります。給与の低さが問題視されていましたが、政府による改善が進んでいます。
保育士
日本では子供の人数が減少傾向にありますが、共働き家庭が増えた影響により、保育士のニーズは増えています。保育の現場では、子供の健全な成長をサポートすることや身の安全を守ることが求められるため、AIに代替されることもないでしょう。
心理カウンセラー
ストレス社会の現代、心のケアを必要としている方は非常に多く、心理カウンセラーのニーズは増加しています。きめ細やかなコミュニケーションを必要とするため、AIに代替されることは考えにくいです。フリーランスとしても働きやすいです。
教師
いつの時代でも子供の教育を行う人材は必要であり、教師のニーズがなくなることがありません。テキストの内容を教えるだけならAIでもできるかもしれません。しかし、教師には、子供一人ひとりの人間性を育んだり、人間関係のトラブルを解決したりする役割もあるため、完全にAIに代替されることはないでしょう。
通訳・翻訳家
グローバル化が進む現代、通訳や翻訳家などのニーズは増加しています。日常会話の通訳であればAIでも代替可能ですが、ビジネス会話の通訳や小説の翻訳などは、その国の文化や国民性などを熟知している必要があるため、AIに代替されることもないでしょう。
配送ドライバー
Amazonや楽天市場、メルカリなど、ECサイトで買い物をする人は依然として増え続けています。それに伴って、配送ドライバーのニーズも増加しています。
これからの就職・転職事情
将来性のある仕事をご紹介しました。
しかし、希望する仕事があったとしても、それだけでその仕事に就けるわけではありません。希望する仕事に就くためには、就職・転職活動を行う必要があります。
ここでは、これからの時代の就職・転職事情をご紹介します。
社会の変化が激しくなる
これからの時代は、テクノロジーの高度化やグローバル化、企業寿命の短命化、人口構造の変化などにより、社会の変化がより激しくなっていきます。それは就職・転職活動にも影響してくるでしょう。
専門スキルの重要性が高まる
AIの技術はまだまだ進歩を続けています。誰でもできるような仕事はAIが行うようになるため、採用側は専門スキルを重要視するようになるでしょう。
リモートワークが増える
新型コロナウイルスの影響により、リモートワーク化が一気に進みました。リモートワークには、通勤コストをカットできる、育児・介護と両立できるなど、様々なメリットがあるため、今後、一般的に定着するとみられています。
将来性のある仕事に就くには?これからの就活・転活ポイント
これからの時代の就職・転職事情をご紹介しました。ここでは、これを踏まえた就職・転職活動のポイントをご紹介していきます。
こまめに情報収集をする
情報収集はこまめに行いましょう。これから世の中はめまぐるしいスピードで変わっていくため、古い情報にとらわれることなく、情報をアップデートする意識を持つことが大事です。
強み・適性を把握する
自己分析を行い、自らの強み・適性を把握しておきましょう。いくら将来性のある仕事に就けたとしても、自分の強みを活かせなかったり、適性にマッチしていなければ、長く働いていくことは難しくなります。
資格を取得する
可能であれば、関連する資格を取得しておきましょう。自分の知識・スキルを客観的に証明できるようになるため、就職・転職活動を有利に進められます。
パソコン作業に慣れておく
リモートワークが一般的になると考えられるため、パソコン操作に慣れておきましょう。
オンライン面接に慣れておく
リモートワークが一般的になると考えられるため、オンライン面接に慣れておきましょう。マイクや専用ソフトの操作で手間取ったり、オンライン面接独自の雰囲気になじめなかったりすると、本来の自分をアピールできなくなります。
最も大きな脅威はAI
これから仕事を行っていく上で、最も脅威となるのはAIです。AIは我々の生活を便利にしてくれる存在でありながら、我々の働き口を減少させてしまう存在でもあります。これからもどんどんAIの技術は発展していくでしょう。
野村総合研究所が2015年12月に発表したレポートでは、「2030年には日本の労働人口の49%がAIやロボットなどで代替可能になる」と述べられています。
参照:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に | 野村総合研究所
AIでなくなりやすい仕事の共通点
AIの台頭によりなくなる可能性の高い仕事の共通点として、次の3つが挙げられます。
業務が定型的
たとえば、書類の作成、清掃、モノの移動、製品の組み立てなど、一定のルールに沿って作業を繰り返す定型業務は、AIによる自動化が行いやすいです。人間のようにミスがありませんし、不平不満も言いません。
高度なコミュニケーションを必要としない
「これはいくらですか?」「これはどう使用するのですか?」「〇〇会場はどこですか?」など、マニュアル通りの受け答えをする業務はAIによる自動化が行いやすいです。人間のようにトラブルに発展することもありません。
人員コストがかかっている
人員コストがかかっている業務ほど、AIの導入が検討されやすいです。人員削減は、給料支給にかかるコストだけでなく、採用や労務管理にかかるコストの削減にもつながるもので、企業として経営メリットが大きいです。
AIでなくなりやすい仕事6選
ここでは、AIの台頭によりなくなりやすい仕事の具体例をご紹介していきます。
コンビニ・スーパー店員
コンビニやスーパーでは無人レジが導入されつつあります。そのため、コンビニ・スーパー店員のニーズは下がっていく可能性が高いです。
ウェイター
レストランやカフェなどでは、注文用タッチパネルや配膳ロボットなどが導入されつつあります。そのため、ウェイターのニーズは下がっていく可能性が高いです。
ホテルスタッフ
ホテルでは、受付・客室案内用タッチパネルや掃除ロボットなどが導入されつつあります。そのため、ホテルスタッフのニーズは下がっていく可能性が高いです。
事務員
企業において、データ入力や帳簿作成などの事務作業は、業務システムやRPA(パソコン作業を自動化できるソフトウェアロボット)などが行うようになってきています。ペーパーレス化により郵便に関わる業務も減ってきています。そのため、事務員のニーズは下がっていく可能性が高いです。
工場作業員
家電製品や自動車などの工場では、ライン作業の自動化が進んでいます。そのため、工場作業員のニーズは下がっていく可能性が高いです。
タクシードライバー
まだ実用段階ではありませんが、自動車の自動運転技術が向上してきています。そのため、タクシードライバーのニーズは下がっていく可能性が高いです。そもそも、リモートワークが普及したことにより、人の外出自体が減ってきています。
将来性のある仕事に就くならIT業界がおすすめ
将来性を考えて仕事を選ぶ場合、最もおすすめできる業界はIT業界です。IoTやビッグデータ、5G、クラウドなどで注目を集めているIT業界は、今後もますます伸びていくと予想できます。
経済産業省が2019年に発表したレポート、「IT人材需給に関する調査」では、2018年を基準として2030年まではIT人材不足が進んでいくと予測されています。具体的には、2025年には40万人ほど、2030年には45万人ほど、人材が不足すると試算されています。
また、IT業界は、AI技術を開発・活用する業界でもあります。AI時代では多くの仕事がAIに代替されるわけですが、AI技術を開発・活用する側に回れば、社会に価値を提供し続ける存在でいることができます。
将来性のある仕事に就きたいのであれば、IT業界は最適な業界と言えます。
IT業界未経験からIT業界に就職・転職するには
ここでは、IT業界未経験からIT業界に就職・転職する場合に、押さえておきたいポイントをご紹介します。
IT知識を習得する
事前に基本的なIT知識を習得しておくのが理想です。そうすることで、入社後のミスマッチを防ぎやすくなりますし、何より面接でアピールできます。採用側としては、全く知識のない人よりも、少しでも知識のある人を採用したいと考えるでしょう。
IT系資格を取得する
IT知識を習得しておくことに加え、IT系資格を取得しておくのもよいです。一定の知識があることを客観的に証明することができます。IT業界未経験の方におすすめの資格は、情報処理推進機構が実施する「基本情報技術者」です。「IT系職種の登竜門」と呼ばれています。
未経験可の求人に応募する
IT業界では、IT業界経験者でなければ応募できない求人が多いですが、中には未経験者でも応募できる求人もあります。未経験者の方は、そのような求人に応募した方が採用される確率が高いです。
まとめ
この記事では、将来性のある仕事の条件や具体例、就職・転職活動のポイントなどをご紹介してきました。
職業について考える際、年収や勤務地、雇用形態などが重要視されるケースが多いですが、これからの時代は、将来性も意識する必要があります。将来性のある仕事とは、言い換えれば社会に求められる仕事でもあります。やりがいをもって取り組めるでしょう。
もちろん、単に将来性のある仕事に就くだけでなく、自分自身をステップアップさせていくことや、社会の変化に柔軟に対応していくことなども大切です。
この記事が、今後のキャリアプランを立てる際のご参考になれば幸いです。