証券会社のリテール営業をしている通称「証券マン」は、周りから見ると世界を舞台に仕事をしていて華々しいイメージがあります。
新卒にも人気があって第一志望で入社する人が大半ですが、仕事内容や働き方に不満を抱えて転職をする人が多いのも現状です。
他業界に転職をして活躍する人もいれば、年収が下がったり労働環境が悪化したりして、転職したことを後悔する人もいます。
そこで今回は、証券会社からの転職を成功させる方法と、転職先におすすめの業界や活かせるスキルをご紹介します。
この記事を参考にして、現在の不満を解消できる自分に合った転職先を見つけてください。
証券会社から転職したくなる理由とは？
まず、証券会社に勤めている人が転職したくなる理由を紹介します。
残業が多くて疲弊するから
証券会社の仕事は非常に忙しいため、残業が多い傾向があります。
特に、市場が開いている間は注視する必要があるうえ、顧客対応や資料作成などを行わなくてはいけません。
そのため、就業時間後に作業をすることも少なくありません。残業が多くなるとプライベートの時間を確保できず、生活のバランスが崩れることが増えます。
ストレスで体調不良になることもあるため、残業が多い証券会社の環境を不満に感じる人が多いです。
長時間労働のわりに年収が低いから
証券会社は残業が多く、長時間労働になりがちです。
しかし、その労働時間に見合うだけの年収が得られないと不満に感じることも。
証券会社では多くの場合、基本給に加えて業績に応じたインセンティブが支払われます。
ですが、市場環境や個人の業績により変動するため、安定した高収入を確保することが難しいです。
厳しいノルマがあるから
証券会社には厳しいノルマがあるため、ノルマがない仕事に転職したいと考える人もいます。
業務時間内に達成できないノルマが与えられて、長時間労働を強いられる人もいます。
そのため、ノルマが原因でストレスや疲労が蓄積して、精神的な病になることがあります。
また、厳しいノルマによって、個々のスキルや能力を最大限に活用できない一面もあります。
職場の雰囲気が合わないから
証券会社は結果を出すことが重視される環境であることが多く、非常に競争が激しい場所です。
その結果、チームよりも個々の成績が重視され、社員間の関係性にストレスを感じることがあります。
また、証券会社の労働時間は長いことが一般的で、仕事とプライベートのバランスを保つことが困難な場合もあります。
そのため、残業が当たり前になっている職場の雰囲気に違和感を感じる人も多いでしょう。
仕事内容にやりがいを感じないから
自分の能力が発揮できていないことや、毎日の業務が単調であると感じることで、やりがいを感じないこともあります。
証券会社では効率を上げるために業務がルーティーン化されていることがあるため、自分のアイディアを反映したり新しい業務に挑戦したりすることが難しいです。
もちろん、証券会社では専門的なスキルが必要になるため、やりがいを感じる人も多いです。
ですが、仕事内容に興味を持てずに仕事を続けていると、やりがいがある仕事をしたくなります。
証券会社から転職するときの転職先・業界の選び方
転職したいと感じるなら、今抱えている不満を解消できる転職をしなくてはいけません。そこで、転職先や業界の選び方を紹介します。
プライベート優先なら、残業が少ない職場にしよう
残業が多くて疲弊しているなら、残業が少ない職場に転職するのが良いでしょう。
プライベートの時間が増えることで家族と一緒に過ごす時間が増え、趣味に没頭することができます。
残業が減ってストレスが軽減してすると、職場でのパフォーマンスも向上するというメリットも。
公共部門や非営利団体など残業時間が少ない職場や、リモートワークやフレックスタイムの制度があるIT企業に入るのが良いでしょう。
給与が不満なら、高年収の会社を目指そう
証券会社の給与に不満を感じているなら、転職で年収アップを狙いましょう。
コンサルティング業界や投資銀行などは、証券会社よりも給与が高い傾向があります。
そのため、給与に不満を感じている証券会社勤務の人は、金融の知識が役立つうえに給与が高いコンサルティング業界や投資銀行などに転職をします。
しかし、高年収は長時間労働を伴うことが多く、ワークライフバランスを崩す可能性もあることに注意してください。
ノルマが嫌いなら、営業職以外の職種がおすすめ
ノルマがストレスに感じるなら、営業職以外の職種も選択肢にいれましょう。
証券会社の営業で培ってきたスキルは、営業以外の職種でも役立ちます。
たとえば、高度な金融分析スキルや顧客との対話能力などは、プロジェクトマネジメントや戦略的計画、リスク管理などの領域でも活かすことができるでしょう。
これらの領域はノルマが厳しくないため、ノルマに追われる日々から卒業できます。
職場の雰囲気が苦手なら、同業他社も検討する
職場の雰囲気が苦手なら、同業他社に転職するのも選択肢に入ります。
企業は独自の文化があるため、同じ業界でも職場の雰囲気が全く違うものです。
そのため、証券会社の仕事を続けたいなら、同業他社に転職するのが良いでしょう。
職場の雰囲気を重視するなら、転職前に職場を見学して雰囲気を確認しておきましょう。
SNSの発信で雰囲気を確認したり、転職サイトで元社員の口コミをチェックするのもおすすめです。
やりがい重視なら、専門性が高い仕事がよい
仕事にやりがいを求めているなら、専門性が高い仕事を選ぶという視点は必要です。
証券会社で培った専門スキルの中で、どの能力を伸ばしたいかという視点を持って新しい仕事を探してみましょう。
例えば、リスク管理の経験を活かして保険業界やリスクコンサルタントへ、または市場分析のスキルを活かしてデータ分析の専門家や戦略コンサルタントへの転職を考えることができます。
証券会社から転職する人が多い業界・職種
証券会社から転職を考えているなら、証券会社からどの業界に転職をしている人が多いのかを確認しておきましょう。前例を確認して注意点やノウハウを学ぶことで、転職の成功率を上げられます。
同業界の競合他社
同業界への転職は、これまでに培ってきた専門知識と経験を最大限に活かせます。
金融業界の動向や専門的な用語について新たに学ぶ必要がないため、新しい職場にもスムーズに適応できるでしょう。
給与や職場環境など具体的な転職の目的があるならば、同業他社に転職するのがおすすめです。
M&Aの仲介会社・外資系投資銀行
M&Aの仲介会社では、企業の合併や買収を成功に導くために企業評価や交渉といった、専門的なスキルが必要とされます。
証券会社で培った経験や知識を活かせるため、新たな業界で自分のスキルを発揮することでやりがいを感じることができるでしょう。
また、必要なスキルが似ているため、新しい職場でも環境に順応しやすいというメリットもあります。
投資ファンド
投資ファンドとは、株式や不動産などの資産に投資を行い、投資家にリターンを提供する組織のこと。
市場の動向を読み解き、適切な投資戦略を立てるための深い知識と高度な分析能力が求められます。
そのため、証券会社で培った金融市場の知識やリスク管理、資産運用のスキルなどは、投資ファンドで大きく役立つでしょう。
より直接的に投資成果に関与するため、その成果を通じてやりがいを感じることもできます。
コンサルティング会社
コンサルティング会社は幅広い業界知識・深い分析スキル・ビジネス問題解決に向けた戦略的なアプローチが必要になるため、証券会社での経験を活かす絶好の場所です。
証券会社で培ってきた金融市場の動向を理解する力や、複雑な金融商品を分析してクライアントに最適な解決策を提案する能力が活かせるでしょう。
コンサルティング会社は多種多様な業界やビジネス問題に対応するため、新たな知識を獲得して自己成長させたい向上心がある方には、魅力的な選択肢になります。
生命保険会社
証券会社と生命保険会社は、どちらも金融業界に位置づけられますが、その業務内容や求められるスキルは異なります。
生命保険会社では、商品開発・契約管理・営業・リスク管理など多岐にわたる業務があります。
特に営業職は直接顧客と関わる機会が多く、証券会社で培った顧客とのコミュニケーションスキルや提案力が活かせるでしょう。
地方銀行
地方銀行では顧客との長期的な関係を重視するため、証券会社で培ったクライアントとのコミュニケーション能力が活かせます。
また、地方銀行では地域密着型の業務を行うため、地元への貢献や地域社会とのつながりを感じながら仕事できるでしょう。
都市の証券会社とは異なるやりがいがあるため、仕事にやりがいを求めている人にもおすすめです。
広告代理店業界
広告代理店では、企業や製品のブランディング・マーケティング戦略の策定・広告キャンペーンの設計と実施などを手がけます。
これらの業務はクリエイティブさが求められる一方で、データ分析や戦略的思考が重要となるため、証券会社での経験が活きます。
広告代理店業界はクリエイティブな発想が求められるため、新たな視点やアイデアが必要な仕事なので、証券会社と違ったやりがいを求めている人に良いでしょう。
不動産業界
不動産業界は、不動産の取引・開発・管理といった幅広い業務を含んでいますが、それぞれの業務には専門的な知識とスキルが求められます。
例えば、不動産の開発や投資には、市場のトレンドを理解し、リスクを評価し、効果的な戦略を立てる能力が必要です。
証券会社で培った金融商品の理解力やリスク管理のスキルは、直接的に活用できます。
IT・Web業界
IT・Web業界は技術の進歩で業界の変化が早いため、新しいアイデアや取り組みに対して非常に開放的です。
そのため、自分の能力を最大限に活かし、新たなスキルを獲得したい方におすすめ。
証券会社で培った高度な分析能力や問題解決能力は、データサイエンティストやプロジェクトマネージャーといった職種で大いに活かすこともできます。
IT・Web業界は社員のバックグラウンド・働き方・思考の多様性が尊重されており、リモートワークやフレックスタイム制度など、働き方の選択肢も多いのも特徴です。
物流業界
物流業界は、製品が生産者から消費者に届くまでのプロセス全体を管理する分野です。
物流の効率化は、複雑なデータの解析と、その結果に基づく戦略的な意思決定を必要とします。
証券会社で培った市場分析やリスク管理の経験は、物流業界のビジネスモデルや運用の改善に役立つでしょう。
物流業界は急速にデジタル化とグローバル化が進んでいます。
新たな技術の導入やグローバルな供給網の管理など、証券会社での経験は、この変革に対応するのに役立ちます。
その他の業界の営業職
営業職は業界や企業の専門知識を求められる役割で、証券会社で培った販売スキルや顧客対応力は、他の業界でも高く評価されます。
営業職は顧客との関係構築や信頼構築が重要になるため、証券会社で培った顧客対応やコミュニケーション能力は、他の業界でも有用です。
顧客のニーズを理解して適切な解決策を提案することが求められるため、証券会社での経験が大いに役立つでしょう。
証券会社から転職するときに活かせるスキル6選
他業界に転職したとしても、証券会社で培ってきたスキルは役立ちます。
特に以下のようなスキルは、幅広い業界や職種で有用です。
営業スキル・新規開拓営業の経験
証券会社での経験から得られる営業スキルや新規開拓営業の経験は、転職時に大きなアドバンテージとなります。
営業とは顧客との関係構築や信頼構築が重要な役割であり、証券会社で培った顧客対応力やコミュニケーション能力は他の業界でも高く評価されるでしょう。
また、証券会社で培った成果を上げるための自己管理能力や計画立てる能力も、採用担当者にアピールすることができます。
数字への強さ
証券会社では数値やデータの解析が、日常的な業務の一部です。
株式や債券の価格分析・市場動向の予測・投資リスクの評価などで培ったデータを分析する能力は、転職先での課題解決にも活かせるでしょう。
コミュニケーション能力
証券会社では複雑な金融商品や市場の情報を理解し、顧客に的確に伝える必要があります。
これには、分かりやすく説明する能力や適切なコミュニケーションスキルが欠かせません。
証券会社で身につけた専門用語をわかりやすく説明するスキルは、他の業界での問題解決に役立つでしょう。
信頼関係を構築スキル
信頼関係を構築するために重要な要素は、コミュニケーション能力です。
証券会社では、複雑な金融商品やリスクについて顧客に理解を促すために、明確でわかりやすいコミュニケーションが求められます。
他の業界や職種でも、顧客と信頼関係を築くことや、顧客の期待に応えることは重要な要素です。
成果を出すための精神力・向上心
証券会社では厳しいノルマを達成するための精神力や、市場の変化に対応するために自己学習を続ける向上心が身につきます。
転職先でもこの精神力や向上心を活かし、新たな業界や職種でも成果を上げることができるでしょう。
ストレス耐性
証券会社では、市場の変動や高い責任を伴う取引の管理やクライアントの要望への対応など、多くのプレッシャーがあります。
証券会社で身についたストレス耐性は、どの業界・職種に転職しても役に立ちます。
転職先の企業や業界でストレスの多い環境に直面しても、冷静に対処できれば成果を上げられるでしょう。
証券会社からの転職を成功させる方法
証券会社から他業界・他職種に転職するためには、以下の事項に気をつけましょう。
求人サイトで幅広い業界・職種を検討する
証券会社から転職するときは、求人サイトを活用して幅広い業界や職種を検討することが成功の鍵となります。
証券会社での経験やスキルが活かせる仕事は無数にあるため、今まで検討していなかった業界の求人も見てみるのがおすすめ。
また、求人サイトで転職市場のトレンドや市場価値もわかるため、転職活動の戦略を立てるのに役立ちます。
志望動機を明確にして転職先を決める
証券会社での勤務経験から得た洞察や成果、自身のスキルや興味を考慮しながら、どのような仕事や業界に興味を持っているのかを明確にしましょう。
自分自身の価値観やキャリア目標に合致する転職先を見つけるために、自己分析を行って志望動機を明確にすることが重要です。
また、明確な志望動機を持つことで、転職先へのアピールポイントも明確になり、熱意や関心を伝えやすくなります。
転職エージェントと一緒に転職活動を進める
転職エージェントは業界や企業のニーズやトレンドに詳しいため、証券会社出身者に最適な転職先を提案してくれます。
また、履歴書や職務経歴書の作成・面接の準備・年収交渉のサポートなど、転職全体のアドバイスも可能です。
あなたの経験やスキルを理解して新たな選択肢を提案してくれるため、自分だけでは思いつかなかった転職先が見つかることもあります。
まとめ
この記事では、証券会社から転職する人が多い理由と転職方法について解説しました。
証券会社で培った営業スキルや分析能力は他業界でも重宝されているため、転職自体は難しくないでしょう。
現在の会社で不満な点と、転職先で実現したいことが明確になっていれば、後悔しない転職ができます。
まずは転職サイトで他業界の求人を確認し、転職エージェントと今後の流れやおすすめの求人について相談してみてください。
