その名のとおり、伝えたその日に会社をやめる「即日退社」。
現代では個々のあらゆる事情から、即日でやめる人も珍しくありません。
そんな中、
- 「即日退社したいけど、企業に迷惑がかかりそう」
- 「事前の申告もなしにやめて、違法とかにならないのかな」
と不安になっている方も少なくないと思います。
今回の記事では、即日退社をしても問題ないか否かをテーマに、即日でやめるための正しい手順や注意点、およびよくあるQ&Aをご紹介します。
「円満に即日退社をしたい」と考えている方にとって大切な情報になるので、ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。
法令の規定から考えると即日退職は問題あり
「即日退社をしても問題ないかどうか」については、問題ありというのが結論になります。
法令によって「やめる2週間以内には、意思表明をしなければならない」とされているためです。
参考:e-Gov
そのため、もし企業側が訴訟などを起こした場合、やめた人は結果的に損害賠償を払わなくてはいけなくなる可能性もあるでしょう。
自分の身を守るため、そして社会人としてのマナーという意味合いでも、即日退社はできる限りやらないのが得策といえます。
しかしケースによっては即日退職しても問題にならない
法令の規定の関係上、即日で退社することは難しいと前述しました。
しかし、即日退社が問題とならないケースがあることも事実です。
たとえば何らかの都合によって自分自身がどうしても働けなくなったり、身内や会社のやむを得ない事情などといったケースが挙げられます。
即日退社が問題ないケースについて、詳しくは次章で解説しています。
即日退職が問題でなくなる「仕方がない」ケース
この章では即日退社しても問題ない、いわゆる「仕方がない状況」にはどんなものがあるか、ご紹介します。
家族の病気などの都合
自分の家族に何らかの都合があるときは、「仕方ない」と認められることがあります。
たとえば、
- 家族が病気や事故に遭ってしまい、看病・お見舞いが必要になった
- 親の認知症などが進んでしまい、介護が必要になった
のようなものです。
とはいえ企業側としても、社員に辞めてほしくはないので、「有給や欠勤で対応できないのか」という提案をされることが一般的です。
そういった引き止め対策として、「退社でなければいけない」理由を未然に考えておくことが大切になります。
自身の病気や体調などの都合
自身の体や心に何らかの病気や体調不良が出てしまい、どうしても仕事を続けることができなくなってしまったら、「仕方ない」と認められることが多くなっています。
社員の心身の健康管理までは、会社が責任をとることはできないためです。
しかしこの理由で即日退社する場合は、働けなくなったことを証明する「診断書」などを見せなければなりません。
ただやめたいからといって、ごまかしなどは通用しないので注意が必要です。
何らかのハラスメントを受けた場合
明らかなハラスメント行為を受けている場合も、即日退社が「仕方ない」と認められることが多い傾向にあります。
法令上、「社員の心身の安全管理や配慮」はルールとなっているためです。
参考:e-Gov
ハラスメントを受けている状態ということは、社員の心身の安全管理ができていないということに他なりません。
すなわちこの状況では会社都合となるので、即日退社も問題ではなくなります。
即日退社してフリーターとなってから転職をご検討されている方は、20代後半で就職した元フリーターのブログを参考にしてみてください。
【立場別】問題なく即日退職するための方法
ここでは、問題なく即日退社を実現する方法について見ていきます。
3つの立場ごとにそれぞれ紹介しますので、ご自身が該当するものをピックアップしてご覧ください。
即日退職する方法【正規雇用】
正規雇用の社員が、問題なく即日退職する方法としては、以下のとおりです。
- 有給休暇を活用する
- 欠勤扱いにしてもらう
正規雇用なら、14日前に退社を申告するのがルールとなっています。
とはいえ、必ずしも14日間の「出社」は強制されていません。
つまり14日前にやめることを伝え、残りの13日間を有給休暇や欠勤で消化するという方法です。
ただ注意点として、それを実行する正当な理由を用意し、しっかりと企業から承諾を得なければなりません。
即日退職する方法【業務委託】
業務委託の社員が問題なく即日退職する方法は、一般的に以下のようになります。
- 就業を12ヶ月以上は継続する
業務委託は正規雇用とは異なり、期間を定めて契約することが一般的です。
法令上、12ヶ月以上就業しなければ、即日退社することは難しくなります。
12ヶ月以上勤続している方は、以下のような退社理由で、企業からの承諾を得るようにしましょう。
- 自身の心身の都合
- 家族の看病・介護が必要になったから
- 「明らかに不当な労働条件」があるから
即日退職する方法【アルバイト・パート】
アルバイトやパートタイムの方が問題なく即日退社する方法は、契約内容によって異なります。
その契約内容とは、具体的には雇用の期間があるか否かです。
雇用の期間がない場合、前述した「正規雇用」の方法で即日退社が可能となります。
- 有給休暇を活用する
- 欠勤扱いにしてもらう
一方で期間がある場合、前述の「業務委託」の方法で即日退社が実現可能です。
- 就業を12ヶ月以上は継続する
- 自身の心身の都合を理由にする
- 家族の看病・介護の必要性を理由にする
- 「明らかに不当な労働条件」を理由にする
ただ企業の就業規則によって、多少内容は異なります。
スムーズに即日退社するために、あらかじめ内容をしっかり見返しておくことがおすすめです。
即日退職をよりスムーズにするための手段
この章では、即日退社をより円滑なものにするため、いくつかの方法を紹介します。
有給休暇を活用する
有給休暇を有効に活用することが、円滑な即日退社の手段のひとつといえます。
法令上やめることは14日前に申告する必要があるものの、出社が強制ではないのが現状です。
つまり、14日間有給を消化することで、即日退社と同じような形での退社が実現できます。
ただ、有給の残日数が14日以上になっていることを把握のうえ、しっかり企業からの承諾を得なければなりません。
欠勤を活用する
「欠勤」という形で対応してもらうことも、即日退社の手段のひとつです。
具体的には前述の有給休暇と同様、退職の14日前に申告し、そこからの14日間を「欠勤扱い」にしてもらう方法になります。
ただ、
- 欠勤の場合、当然給料は出ない
- 欠勤扱いにしてもらうには、企業からの承諾が必要
といったことは、注意点として頭に入れておかなければなりません。
「自身の都合」と「企業の都合」を見極める
「自身の都合」と「企業側の都合」、それぞれを見極めることも、円滑な即日退社のポイントとなります。
たとえば自身の都合とは、
- 自分の心身の問題
- 家族の看病や介護
などで即日退社すること。
一方の会社都合とは、
- 未払いをはじめ、明らかに不当な労働条件
といった理由で即日退社することです。
どちらも法令上では、即日退社が認められるケースとなります。
自身がいま置かれている状況から、どちら都合かを見極め、適切な伝え方を意識しましょう。
退職代行サービスを活用する
円滑に即日退社を実現するには、退職代行もおすすめです。
いくら自分や家族の都合とはいえ、当然ながら「即日退職」をすんなり認める企業は少ないのが現状です。
どうしても難しそうな場合は退職代行を使うことで、確実になります。
退職代行は法令を熟知したプロで、情を挟むことなくスムーズな段取りができることから、おすすめの手段です。
会社を辞めたいけれどなかなか辞められないという方は、下記を参考にしてください。
退職代行Jobs・・・株式会社アレス運営。弁護士が監修してくれているので法的な安心も有ります。
退職代行サービスEXIT・・・株式会社EXIT運営。
即日退職するときに気をつけること
この章では、即日退社するときに注意したいことを3つご紹介します。
必ず14日前には退職することを告げる
即日退社の注意点として、14日前にはやめることを伝えるようにしましょう。
「14日前にやめることを表明する」というルールは、立場を問わず法令で定められているからです。
これを守らないと円滑な即日退社ができなくなるうえ、最悪なケースだと損害賠償を払わなくてはならないこともあります。
とんずらしたり無断で会社を休んだりしない
即日退職を実現するためにとんずらしたり、無断で会社を休んでしまう方は後を絶たないのが現状です。
企業にも大きな負担と迷惑がかかり、その損失が大きくなれば、場合によっては裁判沙汰に発展してしまう恐れもあります。
「無断」は後になってから、ことが大きくなりますので絶対にやめましょう。
過剰な損害賠償や脅しをされる可能性がある
企業によってはやめることを伝えたとき、高額な損害賠償、および何らかの脅しをされる可能性もあります。
その場合は労働基準監督署や、退職代行などに相談することをおすすめします。
即日退社はなるべく避けたほうがいいのが基本ですが、14日前に申告するなど法令を守っていれば、とくに大きな問題はありません。
即日退職はなるべくしないに越したことはない理由
即日退社は法令を守っていれば、とくに不可能なことはありません。
しかし、なるべくなら即日退社はしないに越したことはないでしょう。
この章では、その理由について解説します。
損害賠償を払うことになるかもしれないから
即日退社は、企業に大きな負担と迷惑がかかることは事実です。
なおかつ、やめる社員の役割によっては大きな損失を抱えてしまうケースもゼロではありません。
そしてその損失の大きさによっては、損害賠償を請求される可能性もあります。
法令上のルールをしっかり守ったり、「仕方ない」と認められる理由を用意できないなら、即日退社はしないほうが無難でしょう。
次の転職で不利になる可能性もゼロではないから
即日退社をすると、次の転職に響く可能性もまったくないとはいえません。
「即日退社した」という噂が何らかの形で広まり、転職先の企業の上層部などの耳に届くこともあるためです。
とくに転職先も同じ職種だったり、同業種での労働となるとその可能性は上がります。
意外と世の中は狭く、誰がどこでつながっているかわかりません。
会社をやめるなら即日退社よりも、なるべく十分な余裕をもった「本来の円満退社」をするのが理想です。
即日退職する前に利用するべき転職エージェント
この章では、即日退社を検討する前に活用したい転職エージェントを見ていきます。
LastData
「活学ITスクール」は、これから伸びる「IT分野」への転職に強いことが最大の特徴です。
汎用性と需要が高いIT資格「CCNA」が無料で取得可能となっています。
「これから手に職をつけて、将来も安定的に働いていきたい」という方におすすめです。
即日退社するより、LastDataでサクッと資格をとって順調な転職活動を実現するのがいいでしょう。
ハタラクティブ
ハタラクティブは新卒や第二新卒、未経験などといった若年層から人気を集めている点が特徴です。
一人ひとりに専任するアドバイザーの人柄のよさに定評があり、利用者それぞれの希望や得意分野に合わせた求人が必ず見つかります。
会社員として働きながらでも利用しやすいことも特徴なので、即日退社の前の活用にも向いているでしょう。
doda
dodaは求人数はもちろん、検索条件の精密さに定評があることが強みです。
誰もが知る大手企業から、未経験OK、週休2日、残業なしなど、さまざまな条件から好みの企業を探し出すことができます。
また転職サイトとして自分のペースで求人を探し、気になる企業があればアドバイザーに相談、といった使い方が可能です。
忙しい社会人にもぴったりなので、即日退社の前に利用してみるのもいいでしょう。
即日退職に関するQ&A
最後に、即日退社についてよくある質問をご紹介します。
心身が優れないという理由で即日退職するのはあり?
「心身が優れないことで、これから働くことが困難」ということを証明できるなら、ありというのが結論になります。
心身の都合による即日退社の場合、医療機関からの診断書を用意しておくと、より確実でしょう。
入社間もない「見習い期間」なら即日退職してもOK?
見習い期間であっても、正規雇用と同様、即日退社の実現は困難なのが現状です。
たとえ入社して間もなくても、立派な一人の社員としてカウントされています。
即日で退社することで、企業に大きな負担と迷惑がかかることは変わりません。
どうしても即日退社を希望するなら、法令上のルールをしっかり守ったうえで、適切な手続きを行いましょう。
パートでも即日退職できますか?
パートでも即日退社は可能です。
ただ雇用期間が定められているか否かによって、以下のようにやり方や注意点は異なります。
- 雇用の期間が定められていない場合
-
- 有給休暇を活用する
- 欠勤扱いにしてもらう
- 期間が定められている場合
-
- 就業を12ヶ月以上は継続していなければならない
退職の伝え方にお困りの方は、退職代行のガイダンスのこちらの記事を参考にしてみてください。
即日退職の理由が仕方がない場合でも、転職で不利になる?
どんな理由であっても、即日退社については「不利になる可能性がゼロ」とは言い切ることはできません。
転職で不利になる要因の多くは、「人と人との噂話」です。
即日退社したあなたをどう感じてどう評価するかは、企業の担当者によります。
転職で不利になりたくないなら、本来の手順で円満退社を目指すほうがいいでしょう。
即日退職して裁判にかけられたら、損害賠償を払わなければならない?
法令上のルールを守っているかどうかによります。
「やめる14日前に言う」など、ルールをしっかり守っているなら、損害賠償を恐れることはありません。
しかしとんずらや無断欠勤など、法令上のルールを守っていないと、損害賠償を払わなくてはならないこともあります。
電話で即日退職を伝えてもマナー違反にならない?
企業や担当者による、というのが結論になります。
以下のような状況なら、電話で伝えてもマナー違反にはなりにくいです。
- 上司と会える日が限られている
- 心身が優れず出社できない
- 家族の看病や介護で、すでに遠くの地元へ帰省中
ただ、マナーとして「電話での連絡になってしまって申し訳ない」というスタンスを含めて話すことをおすすめします。
まとめ:なるべく即日退職よりも円満退職を!
法令上のルールをしっかり守り、企業を納得させられる理由があるなら、即日退社はとくに問題ありません。
しかしよほどの理由がない限り、即日退社は避けるほうが無難ということは事実です。
いくらルールやマナーに違反していないとしても、急にやめられることで、
- 仕事の調整・段取り
- やめた人がやっていた仕事の後継ぎ
など、残された社員に膨大な負担がかかることは変わりません。
どうしても譲れない事情があって即日でやめるなら、その旨をしっかり説明し、礼儀を忘れずに退社することをおすすめします。