データの駆使が広がる中で、なおいっそうその存在が凝視されている、データサイエンティスト。
漠然と「なりたい」と考えていても、その方法やノウハウを知らず、情報もそれほど多くないので困っている方もいるでしょう。
誰でもすぐ容易になれるほど甘い職業ではないですが、手際を意識して正しい努力を続けることで、確実にデータサイエンティストになれます。
そこで本記事では、それを現実化できるロードマップを伝授します。
手際よく目指す方法や要請されるスキルも解説するので、ぜひご一読ください。
データサイエンティストが行っている仕事
ひとことで言うなら、データを駆使してビジネス課題の解決に寄与しています。
たとえば売上データを精査し「こういった商品が売れそう」という提案を出したり、既存のビッグデータから有益な情報を集めたり、取り出すなどしてデータの良質化を図ります。
日常では手元のデータがどうやって取れたのかを精査したり、データの基礎になっている会社や業界も調査。
ニッチな例だと画像データをたくさん適用し、それが何の画像なのかを自動判別するモデルを構築することもあります。
データサイエンティストの現状および将来性
結論、データサイエンティストはその将来性には大いなる期待がかかります。
現状の日本国内では、データサイエンス分野に能動的な姿勢をもっている企業はまだほんの一部。
ITを軸にして多様なジャンルの大手企業が次から次へと参入していますが、やはり全体で見れば少数です。
そんな日本は将来的な戦略として、複数の改善方針を定めました。
中でも教育関連がより行動的で、人材の育成への対策の一部として「教育プログラム認定制度」を策定。
これは将来を担うAI人材を育てるべく、学生にデータサイエンス分野への興味をもってもらうものです。
そして情報を駆使する力や現場での実行力を育てる、文部科学省が容認している施策です。
こういう動きも兼ねて、現状よりもさらに大きな伸びしろが期待されています。
未経験からデータサイエンティストになるには?
経験がない状態でなろうとしても、採用の確率は高くないのが実状です。
実力主義の世界のため、茨の道を覚悟したほうがいいかもしれません。
とはいえ決して可能性がゼロなわけではないです。
その段階から目指すなら、次のいずれかの方策を講じましょう。
- プログラミングや統計を学んで実績を作る
- 資格を入手する
もしくはIT業界にいる方であれば、関連する職務を経験させてもらい、そのうえで資格を入手してレベルを上げるのが確実です。
データサイエンティストになるために必要となるスキル
テクニカルな職業ということもあり、要請されるスキルも広いです。
代表的なものを3つ、以下で解説します。
統計や数学における知識
正確な精査をするには、統計や数学の理解がいります。
とくに「微分積分」と「線形代数」は、ぜひ学びたい概念です。
情報の途中変化の予測や把握に対応できるためです。
また取り扱いデータや目的で精査の手段も異なるので、ざっと理解しましょう。
プログラム言語の読み書き
満足にプログラムを読み書きできると、データ精査は円滑に回ります。
AIやデータサイエンスの分野でとくに高い占有率があるのは、「Python」と「R」という言語です。
特別な理由がないときは、上記を覚えましょう。
解析ツールを操作する力
大量の情報を精査するためには、専用のツールを採用することが一般的。
データの集積、選出や限定など、根底の操作力は必須で、プログラム以上に要請されるといってもいいでしょう。
データサイエンティストになるためのロードマップ
データサイエンティストになるには、次の5つのプロセスを体得する必要があります。
- ①必須の周辺知識を勉強する
- ②ヒューマンスキルを身に付ける
- ③プログラミングとその他周辺知識を習得
- ④解析の手法を実践してみる
- ⑤成果物を作る
各フローについて、順に紹介します。
①必須の周辺知識を勉強する
必須となる周辺知識は、
- 統計数学
- データベース
- 解析ツール
といったもの。
とくにデータベースは情報の貯蔵庫として、データサイエンティストの源になるので、まんべんなく把握しておきたいです。
また統計数学は、大学で触れる程度の内容が最低ライン。
プロとして勤めるならそれ以上の内容が問われるので、やはり根気は必要です。
②ヒューマンスキルを身に付ける
具体的には、次のようなものがあります。
- 相手の話を聞いて共感する力
- 相手に噛み砕いて伝える力
- ニーズを汲み取り提案する力
まとめると、会話力とも言い換えられます。
データサイエンティストはPCに向かった地味な作業も多い一方、スタッフやクライアントとの口頭でのやりとりは避けられないのが現状。
したがって、ヒューマンスキルは軽視できません。
③プログラミングを習得
データサイエンティストなら、ぜひ次の言語を体得してほしいと思います。
- Python
- R
- SQL
PythonはAI、Rはデータ精査を得意領域としており、いずれも未経験者が体得しやすいことで知られています。
またSQLはデータベースの中身の集積・選出・限定が実現できるので、頭に入れておくことです。
④解析の手法を実践してみる
たくさんの手法をひととおり試みるのも大切です。
たとえば主に使われる手法をまとめると、次のようになります。
実現すること | 使う手法 |
---|---|
相対情報の差を比べる | カイ二乗検定 分散分析 |
複数の情報をひとまとめにする | 因子分析 主成分分析 数量化Ⅲ類 コレスポンデンス分析 MDS(多次元尺度構成法) |
複数の情報を区分けする | 潜在クラス分析 クラスター分析 |
情報を用いた未来予測をする | 判別分析 線形回帰分析 数量化Ⅰ類 数量化Ⅱ類 決定木分析ランダムフォレスト コンジョイント分析 |
傾向や共通点を見出す | ABC分析 RFM分析 デシル分析 アソシエーション分析 |
自ら実践してみることで親和性や共通の属性が見つかり、プラスに転じる情報の見極めたり、洞察力を鍛えられます。
⑤成果物を作る
成果物を制作すると、データサイエンティストへの就業の再現率が上がります。
興味に基づいた数字やデータを分析し、報告書としてまとめましょう。
ジャンルは交通やスポーツ、音楽など何でもかまいません。
なお、以下を論理的に説明できると実効性は高いです。
- どんな仮説や検証を行ったか
- どの部分を自動化しているか
- どんなツールを用いたか
手際よくデータサイエンティストになるための方法
目指すのであれば、少しでも手際よく進めたいものです。
ここでは、そのコツを3つお伝えします。
学習よりもまずは手を動かす
言い換えると、勉学時間の80%をアウトプットに費やすことです。
論理の理解も大切ですが、実行して壁に直面し、解決に向けて洞察を繰り返すプロセスが重要なのです。
最終的な目当てを「成果物の制作」としっかり定めると、おのずと手は動きます。
小さな仕事で実績をつくる
副業サイトやクラウドソーシングなどで小規模のプロジェクトを探し、無事に納品すれば、それは立派な実績。
大なり小なり訴求できる実績の存在は、データサイエンティストへのハードルを下げてくれます。
仕事や案件を凝視し、どんな実力が要請されているのかを掴むことです。
データサイエンティストが向いている人の特徴
特殊でテクニカルな技能を扱う職業のわりに、地味で泥臭い業務が多いデータサイエンティスト。
本項では、どのような人が適任なのかを解説します。
実験的な作業が好き
データサイエンティストがやることは、試行錯誤でしかありません。
「どのデータがプラスに転じるか」「このデータの発生源や原因はなにか」など常に頭を回転させ、未来を想定して施策を打ちます。
「これをやれば絶対伸びる」という確証はないので、実験を楽しめる性格は適正といえます。
花形よりも裏方を好む
頭脳と知性を活かした華やかな職務を想像する方も多いですが、実態は地味で泥臭いものです。
営業やプレゼンを担当する人とは違って、影でビジネスを支える役回りなので、華やかさを求めるなら考えを改めなければなりません。
理数系な傾向にある
統計数学やプログラミングに密に接する職業柄、理数系は向いています。
文系出身者で従事している方も多いものの、やはり理系がもつ論理思考や解決力は強いです。
ただ上記は後天的に吸収できるものなので、辛抱強く学習に励みましょう。
データサイエンティストになるために目指したい資格
本項で紹介する2つの資格は、データサイエンスとの親和性が高いため検討の余地があります。
アクチュアリー資格試験
「日本アクチュアリー会」が提供しており、主に保険にまつわる確率論や数理がメインで求められます。
1次試験は、
- 数学
- 生保数理
- 損保数理
- 年金数理
- 会計・経済・投資理論
の5科目があり、すべてに合格することで2次試験に進むことが可能。
2次試験は
- 生保
- 損保
- 年金
から、いずれかを選択する方式で、合格の末「プロフェッショナル研修」に駒を進めることができます。
「学歴」が受験条件として定められていることと、合格率が15〜20%と低いため、入手は容易ではありません。
公式の教科書や講座をもとに、施策を万全に行ってください。
MySQL Certification
MySQLは、無料のリレーショナルデータベースの中で世界トップシェアを誇ります。
そのMySQLが認定する資格の入手は、データサイエンティストに不可欠な技能の担保という意味合いで見れば、安心材料になります。
またデータベースを満足に使える証として、あらゆるセルフプロモーションの場でも使えるでしょう。
データベース系の資格はITばかりでなく、何かと活用場面が多いので、ぜひひとつは入手したいところです。
まとめ:データサイエンティストになるにはアウトプットが大事!
データサイエンティストになりたいなら、学習した理論やスキルをただ溜め込むだけでは逆効果。
吸収したことを活かし、成果物や実績作りに取り組まなければ、なかなか理解は深まらないものです。
不完全でもアウトプットを実施、そして壁に当たって悩んだ末、良質な改善策を生み出す。
このループを回し続けることで、より優れたデータサイエンティストになれます。