スクレイピングは情報収集に役立つ便利な技術ですが、どの言語を選ぶか迷うことはありませんか?
本記事では、スクレイピングにおすすめの言語4選と非エンジニアでもスクレイピングできる方法を紹介します。
プログラミング初心者でも扱いやすいPythonや、柔軟性が高いJavaScriptなど、それぞれの特徴を解説します。
さらに、スクレイピングに使用する言語の学び方なども解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
スクレイピングとは
スクレイピングとは、Web上の情報を自動的に収集する技術のことです。
プログラミング言語を使って特定のWebサイトから様々なデータを抽出できます。
例えば、価格比較や最新ニュースの取得、競合他社の情報収集など、用途はさまざまです。
しかし、どのサイトでも自由にスクレイピングをしていいわけではありません。
各サイトの利用規約を遵守し、適切に処理を行うことが重要です。
スクレイピングの前に知っておきたい基礎知識
スクレイピングを始める前に知っておきたい基礎知識について解説します。
アクセスブロック
アクセスブロックは、Webサイトがスクレイピングを防止するための手法です。
一部のWebサイトは、アクセス頻度やリクエストのパターンを監視し、不正なアクセスと判断した場合にアクセスをブロックすることがあります。
スクレイピングを行う際には、Webサイトの利用規約やrobots.txtファイルに従い、適切なアクセス頻度やクローリング範囲の設定が必要です。
robots.txtとは、Webサイトの管理者が検索エンジンやWebクローラーに対して、どのページをクロールしても良いか、またはクロールしてはいけないかを指示するためのテキストファイルです。
サーバーダウン
サーバーダウンは、Webサイトが一時的または永続的に利用できなくなる状態を指します。
スクレイピングを行う際には、Webサイトのサーバーの状態を把握し、ダウンタイムやメンテナンスのスケジュールに注意する必要があります。
また、大量のリクエストを送信すること(短時間で何度もスクレイピングを実行すること)でサーバーに負荷をかけないようにすることも重要です。
HTTPリクエスト/HTTPレスポンス
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、インターネット上でデータをやり取りするためのプロトコル(通信規約)の一つです。
通常、Webブラウザ(クライアント)がWebサーバに対してデータを要求するときに使用されます。
HTTPリクエストとレスポンスは、クライアントとサーバの間でデータを送受信するための手段です。
HTTPリクエストにはメソッドやリクエストURL、レスポンスにはステータスコードなどの概念が存在しますが、話が難しくなってしまうのでここでは割愛します。
簡単に説明すると、サーバーにデータの取得や更新、削除などのリクエストを行い、サーバーから返ってきたレスポンスをブラウザが処理してユーザーに表示しているものだと理解いただければ問題ありません。
JSON
JSON(JavaScript Object Notation)は、データの交換や保存などに広く使われる軽量なデータ形式です。
多くのプログラミング言語でサポートされています。
JSONは人間にとっても読み書きしやすく、機械による解析や生成も容易なため、WebアプリケーションやAPIでよく用いられています。
JSONファイルの具体的な記述例としては以下のとおりです。
{
"name": "Ikigaku Tarou",
"age": 25,
"isMarried": false,
"hobbies": ["programming", "travel"]
}
HTML
HTML(HyperText Markup Language)は、Webページの構造やコンテンツを記述するためのマークアップ言語です。
ブラウザはHTMLを解釈し、Webページを表示する際にそれぞれの要素を適切な形式で表示します。
Webサイトの情報をスクレイピングする際には、HTMLの構造を理解し、目的のデータがどの要素に含まれるかを特定する必要があります。
HTMLはWeb開発の基本的な要素であり、インターネット上のコンテンツを作成する際に欠かせない言語です。
CSS
CSS(Cascading Style Sheets)は、HTML文書のスタイルやレイアウトを指定するためのスタイルシート言語です。
HTMLがWebページの構造を定義するのに対して、CSSは見た目やデザインを定義します。
たとえば、文字の太さや大きさ、色などの指定が可能です。
CSSについてもHTMLと同様に、理解しておくことで必要な情報を特定しやすくなります。
JavaScript
JavaScriptは、Webページの動的な振る舞いを制御するための言語です。
スクレイピングの際には、JavaScriptがページの内容や構造を変更する可能性があるため、動的なコンテンツに対応する必要があります。
JavaScriptを理解し、必要に応じてスクリプトの実行やDOMの操作を行うことが重要です。
DOM(Document Object Model)とは、Webページをパズルのようなブロックに分けて、それらのブロックをプログラムで操作できるようにする仕組みです。
スクレイピング言語おすすめ4選
Webスクレイピングを初めて学ぶ人におすすめの言語を4つ紹介します。
どの言語を選ぶべきかは、目的によって変わりますが、どれも比較的初心者が理解しやすい言語です。
プログラミング言語 | スクレイピングに使えるライブラリ | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
PHP | PHP Simple HTML DOM Parser | 初心者でもわかりやすい | 比較的学習しやすい | Pythonに比べるとライブラリや機能が限られている |
Python | Beautiful Soup, Scrapy | 汎用性が高い | 参考情報が豊富 | PHPに比べると学習コストが高い |
Ruby | Nokogiri | 柔軟で可読性が高い | Ruby on Railsを使うと簡単にWebサイトが作れる | Pythonに比べるとライブラリや機能が限られている |
Javascript | Puppeteer, Cheerio | ブラウザ上で動作する言語 | フロントエンドとバックエンドで同じ言語を使用できる | 環境構築が必要 |
PHP
PHPは、Webサイトを作るための言語ですが、Webスクレイピングにも使えます。
初心者にもわかりやすく、学びやすい言語です。
Webスクレイピング用の機能やライブラリがたくさんあるので、情報を取得しやすいです。
ライブラリの中でも、より簡単にスクレイピングができるものとして『PHP Simple HTML DOM Parser』というライブラリがあります。
Python
Pythonはシンプルで読みやすい言語で、とても人気があります。
Webスクレイピングには『Beautiful Soup』や『Scrapy』というライブラリが便利です。
豊富なドキュメントやコミュニティがあるので、学びやすくサポートも充実しています。
Ruby
Rubyはシンプルでエレガントな言語で、初心者にも優しいです。
Webスクレイピングには『Nokogiri』というライブラリが役立ちます。
読みやすくて書きやすいので、プログラムの書き方に慣れるのが早いです。
JavaScript
JavaScriptはブラウザ上で動作する言語で、Webスクレイピングも可能です。
Webスクレイピングができるライブラリとしては『Puppeteer』や『Cheerio』があります。
スクレイピング言語別メリットとデメリット
ここでは、主要なスクレイピング言語であるPHP、Python、Ruby、JavaScriptのそれぞれのメリットとデメリットを解説します。
PHP
PHPは、初心者にとって比較的学習しやすい点がメリットです。
また、Webサーバ上で動作するため、独自のサーバーが必要なく、共有ホスティングを利用することで手軽にスクレイピングできます。
一方で、PHPはWeb開発が主な用途であるため、スクレイピングに必要なライブラリや機能がPythonなどと比較すると限られています。
Python
Pythonはスクレイピングの分野で非常に人気があります。
多くのスクレイピング用ライブラリが存在し、開発が活発です。
また、Pythonは汎用性が高く、データ解析や機械学習との連携も容易です。
一方でプログラミング未経験の方にとってはPHPよりも学習コストが高い点はデメリットかもしれません。
しかし、スクレイピングで得たPythonのスキルは他の分野でも活用できるため、学ぶ価値があります。
Ruby
Rubyは読みやすい文法であり、初心者にとって学びやすく、スクレイピングにも向いています。
Ruby on Railsというフレームワークと相性が良いため、Webアプリケーション開発にも有効です。
デメリットはPHP同様、Pythonほど多くのスクレイピング用ライブラリが存在しないため、できることが限られる場合があります。
JavaScript
JavaScriptはほかの言語に比べて学習コストが低い点が魅力です。
コピー&ペーストで一部修正すれば使いこなしていけることも多く、難しいアルゴリズムを本格的に学ぶことなく使用できます。
デメリットとしては、環境構築が必要な点です。
スクレイピングするためにNode.jsが使える環境を整える必要がありますが、プログラミング未経験の方には少々難易度が高いかもしれません。
スクレイピング言語を学ぶための勉強方法
スクレイピングはWeb上の情報を自動で収集できる便利な技術であり、その学習方法にはいくつかの選択肢があります。
ここではスクレイピングで使える言語を学ぶための勉強方法を3つ紹介します。
自分の学習スタイルに合った方法を選び、着実に知識を積み重ねていきましょう。
オンラインコンテンツを活用する
オンラインコンテンツでは、スクレイピングの基礎から応用まで幅広い情報を提供しています。
ブログや動画を通して自分のペースで学習を進められ、安価で学習できます。
オンラインコンテンツを提供するサービスで有名なのが『Udemy』です。
たとえば以下のようなコンテンツがあります。
Udemy | Pythonによるビジネスに役立つWebスクレイピング(BeautifulSoup・Selenium・Requests)
HTMLやCSSなどのスクレイピングする前に必要な知識も学習内容に組み込まれており、初心者でも少しずつ理解を深められるようになっています。
ほかには『YouTube』の活用もおすすめです。
「Python スクレイピング」と検索すると多くの方が解説動画を出しています。
プログラミングスクールを活用する
スクレイピングについて徹底的に学びたい場合は、プログラミングスクールの利用がおすすめです。
スクレイピングはプログラミングの一部であり、基礎的なプログラミングスキルを習得することで理解が早くなります。
プログラミングスクールを活用する最大のメリットは挫折しにくいことです。
スクレイピングだけでも初心者には多くの壁が存在します。
つまずいたときにすぐに質問できるコーチがいることで「わからないことがわからない…」という一番辛い期間を短くできます。
確実に習得したい方におすすめです。
本を活用する
オンラインコンテンツやプログラミングスクールでも十分に勉強できますが、本はより深く学べます。
スクレイピングに関連する本は、入門書から実践的なものまで様々なものがあります。
以下にPythonによるスクレイピングの参考となる本をいくつか紹介しますので、興味がある方は読んでみてください。
『Python2年生 スクレイピングのしくみ 体験してわかる!会話でまなべる!』
スクレイピング言語を使用せず簡単に行う方法
ここでは、非エンジニアでもプログラミングせずにスクレイピングできる方法を紹介します。
スクレイピングはプログラミングの知識が必要なイメージがありますが、以下の方法を使えば手軽に情報を収集できます。
業務委託でスクレイピングツールを開発してもらう
まずは業務委託でスクレイピングツールを開発してもらう方法です。
スクレイピングに精通した専門家に依頼することで、スムーズにスクレイピングできるようになります。
オリジナルのスクレイピングツールで柔軟性のあるものがほしいという場合には、おすすめの方法です。
自分自身がプログラミングを学ぶ必要がないため、予算があれば最も早くできる方法といえます。
ただしツールの要件によっては高額な費用になる場合がある点にご注意ください。
既存のスクレイピングツールを利用する
非エンジニアでも使いやすいスクレイピングツールがいくつか存在します。
これらのツールは、インタフェースが直感的であり、プログラミングの知識がなくても使えるように設計されています。
多くのスクレイピングツールが存在しますが、一例として3つ紹介しますので、興味がある方はチェックしてみてください。
『ParseHub』
Chromeブラウザが内蔵されており、直感的に操作できます。
公式サイトはこちら
『Octoparse』
ビジュアルエディタを使用して、スクレイピングのフローを簡単に作成できます。
公式サイトはこちら
『import.io』
セットアップ不要かつ少ないクリック数でデータを抽出できます。
公式サイトはこちら
スプレッドシートでIMPORTXML関数を利用する
Googleが提供するスプレッドシートの機能を使用して、スクレイピングすることも可能です。
具体的には『IMPORTXML関数』を使用します。
以下は、IMPORTXML関数の例です。
=IMPORTXML(“URL”, “XPath”)
この関数を使うと、指定したURLからXPathを使用してデータを抽出できます。
スプレッドシートのセルに入力するだけの簡単な操作のため、プログラミングの知識がなくても簡単にスクレイピングが可能です。
カスタマイズしたい場合は少々知識が必要になるため、必要に応じてクラウドソーシングサイトを活用してみてください。
スクレイピングで学んだ言語はさまざまな場面で活かせる
今回はスクレイピングにおすすめの言語や特徴、非エンジニアでもスクレイピングできる方法を紹介しました。
スクレイピングで学んだ言語についての知識は、さまざまな場面で活かせる貴重なスキルです。
たとえば、競合他社の情報や市場動向を把握したり、自社サービスの改善に向けたユーザーの声を集めたりする際に活用できるでしょう。
また、スクレイピングを通じて基本的なプログラミングの考え方や文法を学ぶことも可能です。
興味がある方はぜひチャレンジしてみてください。