コードがシンプルで読み書きがしやすいRuby。
近年、Rubyのフレームワーク「Ruby on Rails」が話題になりました。
Rubyを学べば自分でWebアプリケーションを作成するのも夢ではありません。
そこで今回はRubyのスキルアップに繋がる資格「Ruby技術者認定試験」について解説します。
どのようなポイントをふまえて勉強したらいいのか、試験対策に活用しやすい参考書などもあわせて紹介しますので、Rubyの資格に興味がある方は最後までご覧ください。
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Rubyの資格「Ruby技術者認定試験」とは?
Rubyとは、日本発のオブジェクト指向スクリプト言語を指します。
日本のソフトウェア技術者である、まつもとひろゆき氏が開発しました。
OSS(オープンソースソフトウェア)のため誰でも無償で使えて、Webアプリケーションやサーバー管理といった分野などで広く用いられています。
Ruby技術者認定試験は、Ruby技術者のスキルを認定する試験です。
非営利団体のRuby Associationが運営しており、Rubyの開発者であるまつもとゆきひろ氏が理事長になっています。
Rubyベースのシステムを設計、運用、開発するエンジニアやコンサルタント、Rubyを教える講師や生徒向けの試験です。
Ruby技術者認定試験の種類は「Silver」と「Gold」
Ruby技術者認定試験は「Silver」と「Gold」の2種類に分かれています。
Silver | Gold | |
---|---|---|
対象者 | 初心者向け | 中級者・上級者向け |
試験内容 | 基本的な文法、クラス、オブジェクトなど | アプリケーション設計、実務的な開発スキル |
必要な知識 | Rubyの基礎知識 | Silverの知識 + 応用的な開発スキル |
Silverの試験は、Rubyの基礎を問われる内容です。
文法・クラス・オブジェクト・標準ライブラリなど基本的な知識が問われます。
Rubyの背景も学べる初心者向けの試験といえるでしょう。
一方で、Goldの試験はプログラミング中級者・上級者向けです。
Silverの内容に加えてアプリケーション設計に必要な知識が問われます。
実務的な開発スキルを求められるため、実務経験がある方が有利です。
Ruby技術者認定試験の出題範囲
Ruby技術者認定試験Silverの出題範囲は以下の通りです。
文法
- コメント
- リテラル
- 変数/定数とスコープ
- 演算子
- 条件分岐
- ループ
- 例外処理
- メソッド呼び出し
- ブロック
- メソッド定義
- クラス定義
- モジュール定義
- キーワード引数
組み込みライブラリ
- よく使用されるクラス、モジュール
オブジェクト指向
- ポリモリフィズム
- 継承
- Mix-in
Ruby技術者認定試験Goldの出題範囲は以下の通りです。
実行環境
- 組み込み変数/関数
文法
- リテラル
- 変数と定数
- 演算子
- ブロック
- 例外処理
- 大域脱出
- キーワード引数
- ナンバードパラメータ
- ラムダ式
- パターンマッチ
- ヒアドキュメント
オブジェクト指向
- メソッドの詳細
- メソッドの可視性
- クラスの詳細
- クラスの継承
- モジュールの詳細
- Module#prepend
- Refinements
メタプログラミング
- eval、define、method、instance_variable_getなど
組み込みライブラリ
- よく使用されるクラス、モジュール
- 数値
- 正規表現
- Proc
- Enumerator
標準添付ライブラリ
- time、date、singleton、forwardableなど
参考:Ruby Association「Ruby技術者認定試験」
Ruby技術者認定試験の難易度と合格率
特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会が公開している「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ」によると、Silverはレベル1、Goldはレベル2に相当します。
Silverは4段階のなかでも一番低く、基礎がしっかりと身につくように勉強しておけば合格できるでしょう。
Goldは4段階のうち下から2番目で、一見Silverと変わりないように感じますが、実際の開発スキルを問われる問題が多く、難易度は上がります。
実務経験があったとしても対策は必要です。
合格率については記事公開時点では公開されていません。
ただし、同程度の難易度をもつ試験と比較することで、おおよその合格率を推測可能です。
たとえば、Silverと同等レベルとされる「PHP技術者認定試験初級」の合格率は約70%です。
また、Goldと同等レベルと考えられる「基本情報技術者試験」の合格率は約56%(令和5年4月実施データ)となっています。
参照:特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会「スキル標準ユーザー協会の活動目的」
参照:特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会「ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ Ver11r2」
参照:CodeZine「「PHP技術者認定試験」の国内受験者数が1000人を突破」
参照:独立行政法人情報処理推進機構「プレス発表 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験に8歳の小学3年生が合格」
Ruby技術者認定試験の合格に必要な勉強時間の目安
Ruby技術者認定試験に合格するための勉強時間は、Silverの場合、基礎的な内容を習得するために30〜60時間程度の勉強時間が目安とされています。
一方、Goldは実務的なスキルが問われるため、Silverの知識を習得した上で、さらに50時間程度の勉強が必要です。
Goldに挑戦する場合、実務経験とともに応用的な学習を行うことが合格の鍵となります。
Ruby技術者認定試験の試験概要
ここからは、Ruby技術者認定試験の概要を紹介します。
受験料
受験料はSilver・Goldともに一般16,500円(税込)です。
学生の受験者には「ガク割」が適用され、半額の8,250円となります。
一般申し込みをしたあとに学割価格への変更はできないため、注意してください。
学割は以下に在籍する学生が対象となります。
- 小学校、中学校、高等学校
- 中等教育学校
- 特別支援学校
- 大学
- 高等専門学校
- 専修学校
- 各種学校
- 職業能力開発大学校 など
なお、受験料の支払い方法は、次の4つから選択できます。
- クレジットカード決済
- コンビニエンスストア決済
- Pay-easy払い
- 受験チケット(バウチャー)
申し込み方法
プロメトリック社のWebサイトから申し込みます。
受けたい試験を選択した後に予約をするのですが、その際プロメトリックIDが必要です。
IDは試験の専用ページで作成できますので、初めて受験する方は作成してください。
IDが作成できたら、全国にある会場から行きやすい場所と時間を選んで予約しましょう。
以下にて試験の予約に関する詳しい情報が記載されていますので、参考にしてください。
参考:プロメトリック | Ruby技術者認定試験
受験スケジュール
受験における全体の流れは下記の通りです。
- ID作成
- 試験予約
- 受験料支払い
- 試験日までの準備
- 受験
- 合否判定
試験の合否は、試験後にスコアシートでわかります。
合格したら電子と紙の2種類の合格証明書が発行されます。
証明書が届くまでの期間はそれぞれ下記の通りです。
- 電子証明書:2週間前後で登録したメールアドレスに
- 紙の証明書:1ヵ月程で登録した住所に
いずれも時間がかかりますので、計画的にスケジュールを組んで学習を進めていきましょう。
試験当日の持ち物
試験当日には、本人確認書類を2点(Aから1点+Bから1点)持参する必要があります。
A | 運転免許証パスポート社員証個人番号カード(マイナンバーカード)住民基本台帳カード |
---|---|
B | クレジットカード公立図書館や公的施設の利用者カード健康保険証住民票(交付日より3ヶ月以内)健康保険カード |
Ruby技術者認定試験に合格するメリット
Ruby技術者認定試験に合格すると得られる5つのメリットについて解説します。
有効期限がないため一度取得すれば一生使える
Ruby技術者認定試験の資格は有効期限がないため、一度取得すれば更新の必要はありません。
「一般財団法人 Rubyアソシエーション」が存続している限り、永久に有効です。
他のIT資格では有効期限が設けられていることも少なくありませんが、Ruby技術者認定試験は一生使える資格として、長期的にキャリア形成に役立ちます。
就職・転職に活かせる
1つ目は、就職・転職に活かせることです。
面接時に「ITスキルはあります」と口頭で話してもどれくらいのレベルなのかが想像つきません。
一方でRuby技術者認定試験に合格していれば、自分のスキルを証明できます。
プログラミング未経験でこれから頑張っていきたい方は、資格を取得しておくことで意欲の高さを伝えることも可能です。
特に働きながら自由時間を割いて資格の勉強をして合格した場合、評価対象になる可能性があります。
昇給や昇進、収入アップにつながる
Ruby技術者認定試験に合格すると、Ruby開発者としての専門知識が証明され、キャリア構築に大きく役立ちます。
とくに、実務でRubyを活用する企業では、昇給や昇進の際の評価材料になる可能性も十分にあります。
資格を取得することで、Rubyを専門的に扱うプロジェクトに参加でき、評価が上がることも多いです。
Rubyのスキルを証明する資格をもつことで、市場価値を高め、長期的なキャリア成長が期待できます。
Rubyの理解が深まる
2つ目は、Rubyの理解が深まることです。
Silverで基礎をしっかりと覚えてから、Goldで応用や実務で役立つ知識を身に付けていくなど、資格取得に向けた勉強をし続けることで理解が深まります。
さらに学んだ知識を業務で活かすことで、よりスキルを定着させていけるでしょう。
また、多少経験があったとしても基礎から学ぶことになるため、今まで取りこぼしがあった項目について再確認ができるのもメリットです。
Rubyの案件が獲得しやすくなる
3つ目は、Rubyの案件が獲得しやすくなることです。
Rubyは、Webアプリの開発やWebサイトの構築などに用いられており、これからも需要が高まっていくプログラミング言語です。
仕事を依頼する側にとっては、資格を持っている人に依頼するほうが安心です。
特にフリーランスの方は自分に箔がつきますので、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
Ruby技術者認定試験に合格するためのポイント
ここからは、Ruby技術者認定試験に合格するためのポイントを解説します。
受験する目的を定める
まず受験する目的を定めましょう。
「なんとなく資格を取ってみようかな」と曖昧な状態だと、途中で挫折してしまうかもしれません。
なんのために受験するのかをはっきりさせておくことで、ゴールに向かって合格まで走りきれる確率がかなり高まります。
学習計画を立てる
受験目的を定め試験日を予約したら、試験日から逆算して学習計画を立てましょう。
Silverを受ける時は、少なくとも試験まで1ヶ月ほど期間を空けておくと余裕を持って勉強できます。
GoldはSilverよりも難易度が上がるため、長めに勉強期間を設けておくと安心です。
毎日忙しく過ごしている方は、1日10分でも勉強する時間を作れるようにしましょう。
継続のコツは毎日少しでも学習することです。
参考書や問題集、学習サイトを徹底活用する
たとえ経験者であっても、参考書と問題集を徹底活用するに越したことはありません。
初心者はまず基本を理解する必要があるため、わかりやすく解説されている参考書や問題集を選びましょう。
また、学習サイトも活用することで、最新の情報や実践的なスキルをオンラインで効率よく学べます。
次項で試験対策に使える参考書や問題集、学習サイトを紹介していますので、参考にしてください。
アウトプットは手を動かす
プログラミングはスポーツと一緒という方がいるくらい反復練習が必要です。
読んで理解できることはもちろん大事ですが、とにかく手を動かして実際にコードを書くことがスキル習得の近道になります。
特にプログラミング初心者の方はわからないことがあるとそこで躓いて挫折してしまいがちですが、まずは全体像を把握するためにも先に進めてしまいましょう。
勉強を重ねていくうちに少しずつ理解できるようになります。
Ruby開発環境を構築する
実際にRubyの開発環境を構築し、手を動かしてコードを実行することで、より本質的な理解が深まります。
テキストや問題集による学習だけでは、実際の挙動を把握しにくい部分があるため、実践的な開発経験が大切です。
Rubyの開発環境は無料で構築できるため、初心者でも気軽に始められます。
環境を構築し、学習内容を実際に試しながら進めることで、理解の定着を促進できます。
Ruby技術者認定試験の対策に使える参考書や問題集
Ruby技術者認定試験対策に役立つ書籍や教材を紹介します。
Rubyのしくみ
「Rubyのしくみ」は「Ruby Under a Microscope」の日本語翻訳版です。
日本語翻訳版には、開発者まつもとひろゆき氏の「Rubyの中身をあきらかにしてくれる1冊」とのコメントが寄せられています。
Rubyの基礎も載っていますが、第3章のタイトル「Rubyがどのようにコードを実行するか」のとおり、Rubyの内部に迫った本です。
基礎知識がなくてもわかるように、図を用いながら解説されています。
たのしいRuby第6版
「たのしいRuby第6版」は、Rubyの入門書です。
Rubyの開発者、まつもとひろゆき氏が監修しています。
サンプルコードが豊富に載っていて、コードを動かしたり練習問題を解いたり、実際に手を動かしながら理解できるのが特徴です。
チュートリアル、基礎、クラス、実践と段階を踏んでステップアップできます。
Ruby初心者で基礎をしっかりと固めていきたい方向けの1冊です。
Ruby公式資格教科書 Ruby技術者認定試験 Silver/Gold対応
「Ruby公式資格教科書Ruby技術者認定試験Silver/Gold対応」は、Ruby技術者認定試験の公式教科書です。
Silver、Goldのどちらの試験にも対応しています。
Rubyの文法・オブジェクト指向やライブラリ・サンプルコードのほかにも、Silver、Goldの実際の試験を想定した演習問題160問が載っています。
ゼロからわかる Ruby 超入門
「ゼロからわかる Ruby 超入門」は、プログラミング未経験者におすすめの参考書です。
プログラミングがまったくはじめての人でも理解しやすいように、基礎から丁寧に解説されています。
ただし、本書だけでは試験対策に十分でない場合もあるため、理解を深めるために問題集や、他の参考書を併用しましょう。
メタプログラミングRuby第2版
「メタプログラミングRuby第2版」は、Rubyのメタプログラミングについて丁寧に解説している本です。
2部構成からなっています。
1部はメタプログラミングの基本的な考え方から始まり、Rubyの言語機能の仕組みを解説している部分です。
Rubyを使ったメタプログラミングについて、対話形式でストーリーが進んでいきます。
2部はRailsを使ったメタプログラミングの例を基に解説しており、メタプログラミングの技術が深まるとともにRubyの原理が学べる1冊です。
Ruby技術者認定試験の対策に使える学習サイト
Ruby技術者認定試験対策に役立つ学習サイトを紹介します。
模擬問題集(Silver試験用)
「模擬問題集(Silver試験用)」は公式サイトで学べるオンライン教材です。
問題は全部で50問あり、一つひとつに解答と解説が載っています。
模擬問題集(Silver試験用)のページはこちら
模擬問題集(Gold)
「模擬問題集(Gold)」も同じく公式サイトで学習できます。
Goldの出題範囲にSilverの内容も含まれるため、模擬問題集(Silver試験用)の後に取り掛かるのをおすすめします。
模擬問題集(Gold)のページはこちら
RubyExamination(REx)
「RubyExamination」は、リバティフィッシュ株式会社が展開している模擬問題集です。
Githubアカウントを作成すれば無料で使用できます。
SilverとGoldの模擬問題が合計で300問出題されます。
模擬問題集SilverとGoldをやり終えたらぜひ挑戦してみましょう。
RubyExamination(REx)のページはこちら
ドットインストール
ドットインストールは、3分動画でプログラミングを学べる日本発のオンライン学習サービスです。
全544レッスン、8,236本の短い動画で、初心者から上級者まで幅広いレベルに対応しています。
Rubyの基礎から応用まで学べるレッスンも提供されています。短時間で学習を進められるため、時間が限られている社会人や学生の方にも便利です。
Ruby技術者認定試験に合格して転職や実務に活かそう
Ruby技術者認定試験の勉強は、いきなり問題集を解くのではなく、まずは参考書や書籍を読んで基本をしっかりと学習するところから始めるのがおすすめです。
この記事では書籍をメインにお伝えしましたが、独学が難しいと感じる方は、プログラミングスクールに通うことをおすすめします。
書籍やプログラミングスクールを活用し、Ruby技術者認定試験に合格して転職や実務に活かしていきましょう。
転職を検討している方は、キャリアサポートを活用することも転職成功への近道です。
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