これからE資格を取得してスキルアップしようと考えている人も多いですが、中には「本当にE資格を取得する意味があるのか」と不安に思っている人もいるかもしれません。
そこで今回は、E資格を取得する意味がないと言われてしまう理由を紹介します。
結論からいうと、E資格はAI関連の高難度資格なので、取得する意味は十分あります。
E資格とは
まず、E資格の概要について解説します。
試験内容
正式名称「JDLA Deep Learning for Engineer」のE資格は、ディープラーニングのスキルを認定する民間資格です。
難易度
E資格はJDLA認定プログラムを受講しないと受験できず、試験の合格率も約70%と高くないため、比較的難しい試験といえるでしょう。
高度IT人材に必要な応用的な知識・技能をもつことを目的として経済産業大臣が行なっている国家資格「応用情報技術者試験」は、同程度の難易度と言われています。
応用情報技術者試験は、情報処理技術者試験制度のスキルレベル3に相当する試験なので、システム監査技術者試験・情報処理安全確保支援士試験・公認情報システム監査人・ITストラテジスト試験と比べると易しいといえるでしょう。
年収
E資格が活かせる資格には、AIエンジニアやデータサイエンティストが挙げられますが、これらの職業は年々需要が高まっている専門職なので、年収は高いといえます。
G検定との違い
E検定と同じ会社が主催しているG検定は、AIを使って事業をするビジネスマン向けの資格なので、AIを使って開発をするG検定とは対象者が異なります。
E資格が意味ないといわれる理由
E資格が意味ないといわれる理由は、以下の通りです。
活用範囲が限定的だから
E資格はAIに特化した資格ということもあり、AIが普及し出してきた現在では、活用範囲が狭いといえます。
現在では、IT資格の基本情報技術者や応用情報技術者などの、有名IT資格のほうが活用範囲が広いですが、AI需要の高まりと比例してE資格の活用範囲も広がっていくでしょう。
知名度が低いから
E資格は2018年に始まった新しい資格なので、まだ知名度が高いとはいえません。
現在は、AI関連の仕事をしている人しか知らないようなニッチな資格ですが、AIの需要とともに知名度が上がっていくでしょう。
求人数が多くないから
知名度の低さもあり、現在E資格取得者向けの求人はほとんどありません。
独占業務がある国家資格とは違い、資格がなくても仕事ができるため、E資格取得者向けの求人が増えないという背景があります。
ただ、AIを積極的に導入している企業では大きなアピールになります。
資格と実務スキルは別だから
実務では資格に合格するために必須の座学知識だけではなく、円滑に仕事を回してチームワークを向上させる能力や、さまざまな顧客と対話するためのコミュニケーション能力も必要になります。
そのため、どの企業の何の部署で働いているのかという、実務経験を重視する人が多いです。
また、情報は常にアップデートされていくため、資格取得から時間が経つにつれて当時と過去の情報にギャップが生まれていくというデメリットもあります。
かなりの勉強時間が必要になるから
知名度が低いわりに難易度が高く、相当の勉強時間が必要になるため、コスパが悪いのではないかという意見もあります。
基本情報技術者やITパスポートなどの資格と比べると知名度は低いですが、AI関連企業では認知されているため、就職・転職で有利になります。
難易度が高く、有資格者が基本的な知識を有しているとIT企業で認知されているため、コスパが悪いとはいえないでしょう。
E資格を取得するメリット
E資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。
AI関連の業務に役立つ
資格取得を通して、AIやディープラーニングの基礎知識を身につけておくことで、AIシステムの導入やAIを使ったサービスの開発がスムーズに進められるようになるでしょう。
社内評価向上・キャリアアップにつながる
E資格は難易度が高いため、E資格取得者はスキルと向上心があると会社に評価してもらえるため、AI関連の業務を任されたり、AIを導入するための役割に任命されたりする可能性があります。
AIの知識を体系的に身につけられる
書籍やYouTubeなどの情報は、AIの広範な分野の一部分を切り取った断片的な内容です。
そのため、AIに関する知識を体系的に学びたいと思うなら、E資格の受験は最適といえるでしょう。
JDLAのコミュニティに所属できる
E資格に合格すると、資格を運営しているJDLAのコミュニティに所属する権利を得られます。
合格者同士で最先端のAI技術についての情報交換を行えるため、ただ資格を取得しただけでなく、資格を使ってスキルアップしていけるのもE資格の特徴です。
就職や転職で有利になる
E資格は知名度が高いとはいえませんが、AI開発をおこなっているIT企業はもちろん、積極的にAIの導入をおこなっている電機メーカーや研究機関の就職・転職では、優遇されることも大いにあるでしょう。
他のエンジニアとの差別化になる
就職・転職・昇進試験などでは、AIの知識がある人と戦っていかなくてはなりません。
短時間で能力を測るために保有資格をチェックされた際には、E資格を持っていることで、他のエンジニアよりも一歩リードできるでしょう。
助成金を利用して安価にスキル習得できる
E資格は書籍代や試験費用はもちろん、JDLA認定プログラムの受講が必須条件になっているため、取得するまでにかなりの費用がかかります。
ですが、厚生労働省の教育訓練給付制度に認定されたプログラムを受講すれば、最大70%の還元を受けられるため、資格取得に必要な費用を大きく抑えられます。
E資格の取得がおすすめの人
以下に当てはまる人は、E資格の取得がおすすめです。
AIに興味があるエンジニア
エンジニアは基本的なITの知識があるため、スムーズにAIの知識を学んでいけるでしょう。
そのため、エンジニアでAIに興味があるという人は、E資格に挑戦してみるのがおすすめです。
社内でAIシステムの導入をする管理職
エンジニアでなくても、今後仕事でAIを使っていく人はE資格でAIについて体系的に学んでおくのがよいでしょう。
特に、社内でAIシステムを導入する予定の管理職は、エンジニアやシステムを使う社員とスムーズにコミュニケーションをとるためにも、E資格でAIの知識を身につけておくのがおすすめです。
AIエンジニアと円滑に仕事をしたい関連部署の人
AI関連の企業に勤めていると、営業職や企画職でもAIエンジニアとコミュニケーションをとって仕事をしているでしょう。
AIについての知識を身につけておくことで、AIエンジニアと円滑に仕事を進められるため、直接AIに触れない職種の人もE資格があると役立つ機会があるでしょう。
AI関連の仕事に就職・転職したい人
現在AIとは関係ない大学・専門学校に通っている学生で、今後AI関連の仕事に就きたいと思っている人は、E資格で体系的にAIについて学んでおくのがおすすめです。
新卒のときには履歴書で資格欄をチェックされるので、E資格を持っていることでAIのスキルや向上心があると、面接官に良い印象を与えられるでしょう。
新しいことに挑戦したい人
AIについてよく知らないという人でも、新しいことに挑戦したいという気持ちがあるなら、E資格に挑戦してみてもいいかもしれません。
E資格の取得がおすすめできない人
反対に、以下に当てはまらない人はE資格の取得がおすすめできません。
費用をかけずにAIの勉強をしたい人
AIの知識を身につけたいけどお金はかけられないという人は、E資格取得はおすすめできません。
資格取得には、書籍代・認定プログラム参加費・受験料など、かなりの金額が必要になります。
ただ、助成金を利用できる認定プログラムを受講することで最大で70%の還元を受けられるため、費用で悩んでいる人は、資格取得にどの程度の金額が必要になるかを計算してみましょう。
勉強時間を確保できない人
AIに興味がある人でも、仕事や大学が忙しくて勉強時間を確保できない人は、E資格を取得するのは難しいです。
電車通勤なら移動中に勉強をしたり、学生なら空きコマで自主的に勉強したりして、スケジュール調整してみましょう。
すでにAIに関する高度な知識を有している人
AIの研究をおこなっていたり、昔からAIシステムの開発をおこなっていたりする人は、E資格を取得する必要はないでしょう。
すでに高度な知識を持っている人は、転職の際には資格よりも経験をアピールすべきですし、実務を通してAIを学ぶ方がスキルアップできるはずです。
ただ、体系的にAIを学び直したい人や、スキルがあることを資格で証明したい人は、資格をとってみてもいいかもしれません。
AIやディープラーニングを扱っている人であれば、問題集を解いて出題傾向を把握するだけで十分合格可能なので、興味があれば受験してみるのがよいでしょう。
E資格が転職で有利になる理由
E資格が転職で有利になる理由は、以下の通りです。
多くの業界でAIを導入し始めているから
昔は最先端技術を扱っている企業しかAIを使っていませんでしたが、今では大手企業はもちろん、中小企業までAIシステムを導入しています。
ITやメーカーだけでなく、商社やサービス業などでもAIを導入し始めているため、幅広い業界・職種の転職で有利に働くでしょう。
AI関連の技術者が少ないから
急激にAIシステムが普及していますが、AIを扱える技術者の数はそこまで多くありません。
どの企業でもIT人材は不足している状況なので、E資格でAIスキルをアピールすれば、多くの企業からスカウトされるでしょう。
未経験でも一定のスキルがあることを証明できるから
現在AIに携わっていない人でも、E資格を取得していれば一定の知識があることを証明できます。
何も持っていない状態で、未経験からAI関連の職種に進むのは難しいため、E資格でスキルをアピールするのは効果的といえるでしょう。
E資格が評価される職種
E資格は就職・転職で有利に働きますが、特に以下のような職種では評価されやすいです。
AIプログラマー
AIプログラマーは、AIを使ったシステムAI機能を搭載したアプリ、機械学習を開発するプログラマーのことです。
大規模のプロジェクトになると技術の専門性や経験が求められますが、E資格を持っていることでスキルがあることをアピールでき、プロジェクトのテクニカルリーダーやアーキテクトとしての役割を担うことも期待できるでしょう。
外部の研究機関や関連企業とコラボレーション商品を開発するときも、有資格者だとその分野に精通していると評価され、技術的な議論やパートナーシップの構築をスムーズに行えるでしょう。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、企業のあらゆるデータを分析して、企業の課題を解決したり売上を上げたりする仕事です。
例えば、AI新規事業の提案を行うときにE資格を持っていると、プロジェクトリーダーや意思決定者として選ばれる可能性が高まるでしょう。
外部のクライアントやパートナー企業と関わる際には、データサイエンティストとしての専門性や震災性が強調されて、クライアントからの信頼を得やすくなる効果も考えられます。
AIコンサルタント
AIを使って他社の事業の改善をおこなっていくAIコンサルタントは、E資格で体系的に知識を学んでおく必要があるでしょう。
また、E資格を取得していることで、顧客からの信頼を得やすいというメリットもあります。
営業職・企画職
AI関連のシステムを開発している企業では、顧客に自社製品の魅力を伝えるためにも、営業職や企画職もAIについて知っておく必要があります。
また、社内でAIエンジニアと関わる機会が多い場合は、AIの知識があるとでスムーズに仕事を進められるというメリットもあります。
まとめ
この記事では、E資格は取得する意味がないと言われている理由を紹介しました。
AIのハイレベルな能力を有していると顧客にアピールできる上に、システム監査技術者試験・情報処理安全確保支援士試験・公認情報システム監査人・ITストラテジスト試験と比べると取得しやすいので、十分に取得する意味があります。
ただ、AIをはじめて勉強する人が中途半端な気持ちで受験すると、あまりのハードさに挫折することになってしまうでしょう。
独学で進められるか不安な人は、スクールや講座を利用して能率よく専門技能を修得していきましょう。