バックエンドエンジニアという単語を把握しているとはいえ、具体的にどのような役割を担う人なのか、説明できない方は多いでしょう。
この記事では、バックエンドエンジニアの業務内容と、その業務に関連する年収について詳しく解説します。
またバックエンドエンジニアに向いている人や、働いたあとのキャリア選択についても言及しています。
バックエンドエンジニアを目指している方や、もしくは詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。
株式会社GeNEE 代表取締役社長
東京工業大学環境社会理工学院、慶応義塾大学大学院経営管理研究科、
慶応義塾大学ビジネススクール修了(MBA経営学修士取得)。
国内最大手IT企業の株式会社NTTデータでエンタープライズ領域の
事業開発・事業企画・財務企画等の業務に従事。
スタンフォード大学及び国立台湾大学の海外研修プログラムを経験した後、
システム/スマホアプリ開発会社、株式会社GeNEEを法人化し、現職。
バックエンドエンジニアとは?
バックエンドエンジニアは、アプリおよびソフトウェアの裏側で動作するサーバーサイドの開発に携わります。
具体的にはDB設計および開発、API作成など、バックエンドの機能を支える重要な業務を担当。
フロントエンドエンジニアやデザイナーと協力しながら、ユーザーが使うインターフェースの裏で、バックエンドロジックを実装しています。
高度なアーキテクチャの知識を武器に、アプリの安定性とスケーラビリティを確保するのが主な任務です。
フロントエンドエンジニアとの違い
バックエンドエンジニアは、サーバーサイド開発やデータ処理、API作成など、裏側のロジックの実装に特化しています。
一方のフロントエンドエンジニアは、ユーザーが直接見て触れるインターフェースの設計や実装に従事しているのが特徴。
バックエンドエンジニアとフロントエンドエンジニアは、異なる技術領域に精通しているため、どちらも開発には欠かせない存在です。
お互いの知見を補完し合いながら、サービスを構築しています。
バックエンドエンジニアの業務内容は?
バックエンドエンジニアの主な仕事の内容を見ていきます。
サーバーの設計や構築
バックエンドエンジニアの数ある業務の中でも、サーバーの設計や構築は重要な業務の一つです。
設計ではアプリやソフトがスムーズに動作するために、必要なスペックや構成を検討する必要があります。
また構築の段階ではサーバーのセットアップ、OSやアプリの導入、ネットワークの構成およびDB設計なども含まれます。
これらはシステムのパフォーマンスに大きく影響するので、バックエンドエンジニアならではの技術力が求められるのです。
サーバーサイドにおけるプログラミング
サーバーサイドプログラミングは、Webサービスが快適に利用できるようにするために欠かせない技術。
バックエンドエンジニアには、この技術を習得することが求められます。
ユーザーからのリクエストを処理し、WebサイトやWebアプリの画面を表示させるためのプログラムを開発。
さらに、DBへアクセスするための処理を書いたり、スケーラビリティを考慮することも重要な任務です。
総合的なサーバーサイド業務に特化し、高度な実装を担当します。
システム管理および保守業務
システムの管理、そして保守することも、バックエンドエンジニアの大切な任務です。
開発したシステムの運用環境を管理し、正常な動作を維持する役割を担当します。
例を挙げると、
- システムの監視
- トラブルシューティング
- パフォーマンスのモニタリング
- アップデートやパッチ適用
- バックアップやリカバリー
といった業務です。
システムの安定性と可用性を確保し、ユーザーに安定したサービス提供を実現するために、大きく貢献しています。
バックエンドエンジニアのおおよその年収相場
バックエンドエンジニアの中でも代表的な分類である「サーバーエンジニア」を一例にすると、以下のようになります。
年代 | 平均年収 | 平均年収(男性) | 平均年収(女性) |
---|---|---|---|
20代 | 387万円 | 369万円 | 468万円 |
30代 | 515万円 | 516万円 | 470万円 |
ちなみにIT・インターネット・通信ジャンルの20〜39歳までの全体の平均年収は、427万円です。
30代でその平均値を超過するので、バックエンドエンジニアは総合的に見て年収が高いと見ることができます。
未経験からバックエンドエンジニアになるには
これからバックエンドエンジニアへの挑戦を試みる方は、以下を参考にしてください。
バックエンド開発に関する技術を学ぶ
まずはバックエンド開発に必須の技術を学習しなければなりません。
必須の技術として、
- プログラミング(PHPやRuby、JAVAほか)
- DB(SQL言語やMySQLなどのツール)
- フレームワーク(RailsやSpringなど)
- サーバー管理(AWSやDocker)
などの、込み入った技術にも触れていく必要があります。
また、完成したシステムに問題がないかを確認・分析する「デバッグ作業」も必要です。
プロジェクトやチーム開発に参加し実績を作る
バックエンドエンジニアを目指すなら、プロジェクトやチーム開発に積極的に参加した経験、およびその実績は欠かせません。
未経験でそれらの経験を積むためには、オープンソースプロジェクトや個人プロジェクトに参加するのが一つ。
GitHubなどのコード共有プラットフォームで、自身の成果物を公開することも効果的な参加方法です。
それが難しかったら、インターンシップやアルバイト、もしくはフリーランスの仕事などを探し、実際のプロジェクトに関わることも良い経験になります。
転職サイト・エージェントで未経験可の求人を探す
転職サイトやエージェントを活用し、未経験可の求人を探すのも有益な対策です。
とくに転職エージェントでは、未経験からバックエンドエンジニアを目指すためのトレーニングプログラム、およびジョブオファーなども提供されています。
求人情報を探すときは、バックエンド開発に関連する技術を学ぶ機会、および成長のサポートがある企業を選ぶことが重要です。
また応募時には自身の学習やプロジェクトの経験、関連する個人プロジェクトなどをアピールすると効果的でしょう。
バックエンドエンジニアを目指すなら身につけたいスキル
これからバックエンドエンジニアになることを考えている場合、以下の技術はぜひ身につけたいところです。
プログラミングの技術
バックエンドエンジニアを目指すとき、まず第一に必要とされるのが、プログラミングの技術です。
この場合、一般的によく使用されるバックエンド言語を学ぶことが重要。
世間的に需要があって、広く使用されるバックエンド言語には、以下があります。
- Ruby
- JAVA
- Python
- PHP
- C#
実現できることの大部分は共通していますが、細かな特色や強みはそれぞれ違います。
自分の興味や希望に合わせて、着手してみましょう。
フレームワークの知見
フレームワークの知識は、バックエンドエンジニアを目指すなら身につけたいスキルの一つです。
フレームワークは、効率的なコード作成や一貫性のあるアプリケーション設計を支援してくれます。
近年でよく使われているバックエンド開発フレームワークは、
- Spring Framework(JAVA)
- Django(Python)
- Laravel(PHP)
- Rails(Ruby)
などです。
それぞれの基本的な機能やコンセプトを理解し、実際のプロジェクトに適用できるようになりましょう。
サーバー周りやセキュリティ関連の知識
サーバー周り、およびセキュリティ知識も身に着けたほうがいいでしょう。
サーバー周りの知識とは、サービスを動かすサーバーやDBなどの基礎知識。
セキュリティ知識とは、サービスを不正アクセスや改ざんから守る知識で、
- 認証・認可
- データ暗号化
- 脆弱性の検出・修正
- 脅威モデリング
などもその一つです。
セキュリティに関する最新のトレンドにも着目して、機器意識をもちながらタスクに取り組むことが重要です。
フロントエンドエンジニアの業務内容
バックエンドエンジニアには、フロントエンドエンジニアの業務内容についても、一定の理解が求められます。
フロントエンドエンジニアの業務内容を理解することで、バックエンドとの協力や意思伝達が円滑になり、統合的な開発を推進することが可能になるからです。
フロントエンドエンジニアは、ユーザーが直接見て触れる箇所の開発に携わるだけでなく、バックエンドエンジニアと連携してAPI設計やデータの受け渡しに関する調整も行います。
バックエンドエンジニアに適している人の共通点
以下に該当する方は、バックエンドエンジニアに適している可能性が高いといえます。
サーバー構築から保守まで幅広い業務に関心がある
バックエンドエンジニアには、構築から保守まで幅広い業務に興味をもつ点が共通しています。
全体の設計にとどまらず、効率的なサーバー構築やDB最適化に取り組むことにも積極的。
また、サーバーのパフォーマンスやセキュリティの向上に対しても関心があり、保守作業やトラブルシューティングにも自発的に取り組みます。
特定の作業のみならず構築から保守を通じたワイドな探究心は、バックエンドエンジニア向きです。
複雑なプログラムやロジックを考えるのが好き
複雑なビジネスロジックやアルゴリズムを設計・実装することにやりがいを感じるなら、バックエンドエンジニアは適職です。
バックエンドエンジニアは
- 大規模なデータ処理
- トランザクションの管理
など、高度な技術的課題にも積極的に取り組みます。
抽象的で複雑なロジックを、持ち前の深い洞察力と論理思考で解決させ、信頼性の高いソリューションを追求することに熱心な方が多いです。
一つのことに没頭する高い集中力がある
バックエンドエンジニアの仕事は、複雑で長時間にわたることが多々あるため、一つのことに集中して取り組む力は大きな武器になるでしょう。
実際にバックエンドエンジニアには、
- ものごとの細部にまでとことんこだわって、コード品質の最適化ができる
- トラブルシューティングやバグ修正にも熱心に取り組み、根本的な原因を見つけ出せる
といった人材が求められています。
さらに一つのことに集中して取り組む力は、新たな技術の吸収や学習意欲の維持にも有用です。
バックエンドエンジニアの将来性は明るい?
バックエンドエンジニアの将来性は明るいとされています。
その理由は、以下の通りです。
- Webの普及に伴い、アプリやシステムの需要は高まっている
- クラウドやビッグデータ関連の市場が伸びている
- 大規模システムの開発・運用にはバックエンド技術が不可欠
- 機械学習の発展から、データ駆動型のアプリ開発が増加中
総合すると、今後もバックエンド市場は技術革新とともに伸び、新たなチャンスも続々と生まれるでしょう。
これらの理由から、バックエンドエンジニアは将来性のある職業といえます。
バックエンドエンジニアの今後のキャリア像
バックエンドエンジニアとしてひととおり努めたあとの、キャリアの選択肢を紹介します。
プロジェクトマネージャー
バックエンドエンジニアのその後のキャリアの一つとして、プロジェクトマネージャーの役割があります。
バックエンドエンジニアは技術的な知識と経験をもっているので、プロジェクトの中核として重要な貢献ができます。
プロジェクトマネージャーはそれらを活かしながらプロジェクトの成功に貢献できるため、ステップアップとして理想的な選択でしょう。
こちらの職業には、リーダーシップの向上や、プロジェクトへの積極的な関与やチームメンバーのサポートが重要になります。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアとは、フロントエンドエンジニアリングとバックエンドエンジニアリングの双方を担当できる職業です。
バックエンドエンジニアがフルスタックエンジニアになると、
- クライアント側の要件やデザインに基づいてフロントエンドの開発を行える
- サーバーサイドの設計やDBの管理などバックエンドの業務も行える
というメリットがあります。
つまり一つのプロジェクトを総合的に管理し、開発からデプロイまでを一貫して手がけることが可能です。
セキュリティエンジニア
こちらの職業は、セキュリティに関する最新トレンドを追跡し、セキュリティ対策の監査、および脆弱性評価などを行います。
バックエンドエンジニアはサーバーサイドのセキュリティも考慮する必要があるため、その知見を活かせる職業です。
ただしセキュリティエンジニアとしてのキャリアを築くには、よりセキュリティ知識の高みを目指す必要があります。
暗号化やアクセス制御、脆弱性対策などに精通したうえで、開発やテストの実践経験が求められます。
バックエンドエンジニアを目指すなら取得したい資格
バックエンドエンジニアになるなら、ここで紹介する資格をとっておくと有利になります。
PHP技術者認定試験
PHP言語を使用してアプリを開発する能力を裏付ける資格です。
PHPは広く親しまれている言語であり、バックエンドエンジニアによるサービスやアプリ開発でよく活用されています。
資格取得だけでなく、実際のプロジェクトにおける経験との両方をもつことで、バックエンドエンジニアとしての価値を上げることができます。
Oracle認定Javaプログラマ
オラクル社による認定を受けているこちらは、Javaの基本的な知識とスキルを身につけられるものです。
Javaはバックエンドエンジニア御用達のプログラミング言語といっても過言ではなく、大規模な企業や公的な金融システムで広く用いられます。
もっておくことでいろんな場面で役立つ、とって損のない資格です。
MySQL Certification
こちらはMySQLを使用した開発や運用に関わる機会を、確実に増やしてくれる資格です。
MySQLは世界でもっとも人気のあるリレーショナルデータベース管理システムの1つであり、その知見はバックエンドエンジニアとして欠かせません。
DBに詳しい人材として、信頼を高めるために大きく役立ちます。
まとめ:バックエンドエンジニアはやりがいのある職種!
バックエンドエンジニアの担当領域は「ユーザーから直接見えない部分」です。
しかし、サービスが快適に利用できるようにするための重要な役割であることは間違いありません。
また大量のデータや複雑なロジックを扱うため、技術的な挑戦の機会も多いことから、たいへんやりがいのある職種です。
さらに需要もあり、多くの企業がそのスキルを欲しているので、挑戦してみる価値は大いにあるでしょう。