「ポートフォリオ」は、IT業界の就職・転職において、自分の実力をアピールするのにとても有効な手段です。
そこで、何とかしてポートフォリオを作成して、アピールしたいという未経験者の方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、アピールするのに十分な実力・経験があるわけではない場合、
「ポートフォリオってどの程度のレベルのものを作ればいいの?」
となりますよね。
ここではそんな悩みをお持ちの方に向けて、未経験者のポートフォリオについて解説していきます。
未経験者にポートフォリオは本当に必要か?
まず、ポートフォリオとはどういうものか、そもそも未経験者にも必要なものなのかを見ていきましょう。
ポートフォリオのそもそもの役割
ポートフォリオとは、自分のスキルや実績を具体的に示すための資料で、特に採用や案件獲得の場面で利用されます。
ポートフォリオの例
- ・エンジニアの場合
-
開発したアプリケーションやコードサンプル
- ・デザイナーの場合
-
制作したデザインやアートワーク
ポートフォリオの目的は、閲覧者に「何ができるのか」を直感的に伝えることにあります。
わかりやすく整理された内容や、視覚的に伝わるデザインが重要であり、自己PRの一環として役立つツールです。
未経験者のポートフォリオはむしろマイナスになる場合も
このようにポートフォリオは、採用において有利に働きそうですが、未経験者が無理に作成した場合、逆効果になることがあります。
なぜなら、中途半端な部分や実力が不十分な部分が目立つと、「成長が見えない」「準備不足」と見られてしまう可能性があるからです。
また、無理にポートフォリオを作ることで、準備の時間が学習や自己成長の妨げになることもあります。
こうしたリスクを避け、ポートフォリオに頼らず、例えば履歴書や面接などで無理なく熱意や成長可能性を伝える方法も時には有効です。
エンジニアの自己PRの書き方については、以下の記事をご参照ください。
ちなみに転職エージェント「活学キャリア」では、履歴書の添削や面接対策も行っています。
さらに、外資系含む500以上を超える独自の優良求人から、あなたのスキル・経験に合わせてご紹介可能です。ご興味のある方は、ぜひ無料カウンセリングからご相談ください。
未経験者でもポートフォリオが有益となる場合
一方で、未経験者でもポートフォリオが有益となる場合があります。
それは、「学びの証」として活用できる場合です。
例えば、自主的に進めた学習の成果や、短期間で習得した技術を具体的に示せれば、採用担当者に「成長意欲がある」と評価されることもあります。
また、具体的な事例があれば、面接時に深い会話の材料となり、採用の判断材料としてもプラスに働きます。
ポートフォリオは必須ではありませんが、適切に使えば大きな武器となりえます。
未経験者のポートフォリオに求められるレベル感
それでは未経験者があえてポートフォリオを作成する場合は、どのくらいのレベルのものを作成すればよいでしょうか?
未経験者に十分なポートフォリオのレベル
未経験者は、実務レベルの完成度のポートフォリオを作成する必要はありません。
重要なのは、自分がどの程度のスキルを持ち、何を学び、どのように成長しているかを具体的に示すことです。
例えば、基本的な技術を使った簡単なアプリケーションや、小規模なウェブサイトの制作でも十分です。
採用担当者が重視するのは完成度ではなく、「学習プロセス」と「改善の意識」です。
シンプルでも、自分のスキルをしっかり伝えられる内容を目指しましょう。
実務に必要なスキルを簡潔に示す
ポートフォリオは、採用担当者に「何ができるのか」を瞬時に理解させる役割を持っています。
そのため、長々とした説明よりも、実務で役立つスキルを簡潔に示すことが重要です。
例えば、プログラミングであれば、GitHubのリンクを貼り、自分のコードを直接見せると効果的です。
また、スキルを一覧形式で整理することで、採用担当者はより直感的にどのようなスキルを持っているのかを把握できます。
「簡潔さ」と「具体性」を両立させることがポイントです。
※GitHub…ソフトウェア開発の環境。複数の開発者と協働してコードをレビューすることができる。
採用担当者が見ている「学びの姿勢」
採用担当者が未経験者のポートフォリオで最も注目するのは、「何をどのように学び、どう成長しているか」という点です。
たとえポートフォリオに掲載する成果物が少なくても、学習の過程や取り組み方を明確に伝えられると、大きなアピールになります。
たとえば、学習中に直面した課題とその解決方法、あるいはスキル向上のために意識して行った工夫などを書き添えると、熱意が伝わりやすくなります。
学びの姿勢を積極的にアピールしましょう。
完成度よりも重視される「成長の証」
未経験者のポートフォリオでは、完璧な成果物よりも、成長過程を示すことが評価される傾向があります。
たとえば、最初に作ったシンプルなプロジェクトから、技術的に進化した最新版への変遷を記録として残すことで、「試行錯誤を重ねた努力」が伝わります。
採用担当者にとっては、現在の実力だけでなく、将来的に成長する可能性も大切な評価ポイントです。
ポートフォリオを通じて「今後に期待できる人材」と感じさせることが重要です。
未経験者に最適なポートフォリオのコンテンツ
求められるレベルは見えてきましたが、次に問題になるのが、そもそもどのような内容にすればよいか、です。
具体例をあげて解説していきます。
実績が少ない場合のサンプルや練習問題の活用
未経験者がポートフォリオを作る際に直面するのが、掲載する実績の少なさです。
この場合、自主学習で取り組んだ練習問題を活用するのが有効です。
たとえば、ウェブサイト制作であれば模倣サイトや仮想クライアントの課題を設定し、それを解決した過程を記載します。
重要なのは、単に完成物を見せるだけでなく、その練習問題で得た学びや改善したポイントを補足することです。
これにより、実績が少なくても成長意欲をアピールできます。
初心者でも取り組みやすい技術を選ぶ
ポートフォリオに過剰に高度な技術を用いると、完成までに時間がかかり、途中で挫折してしまうリスクがあります。
シンプルな技術でも、プロジェクトの意図や改善点を詳しく説明することで、十分なアピールとなりうるので、以下の様な、初心者でも取り組みやすい技術を使ったプロジェクトを掲載するのがよいでしょう。
- HTML/CSSでの簡単なウェブページ制作
- Pythonを使った基本的なデータ分析
HTML | ウェブページを表現するために用いられる言語。 |
CSS | HTMLの各要素をどのように表示するかを指定するための言語。 |
Python | プログラミング言語のひとつ。 |
HTML/CSSについてもっと知りたい方はこちら。
Pythonについての基礎知識はこちらで紹介しています。
取り組んだ意図や学んだことを簡潔に伝える
ポートフォリオには、その背景や意図を簡潔に記載しておくとよいでしょう。
「何のためにこの課題を行ったのか」「どのような技術を使い、何を学んだのか」を明確に説明することで、採用担当者に具体的なイメージを伝えられます。
例えば、「学んだばかりのReactを試すためにTodoリストアプリを作成しました」というように、プロジェクトに取り組んだ理由や、得られたスキルを簡潔に書くと効果的です。
React | JavaScriptライブラリのひとつ。 |
JavaScriptライブラリ | プログラミング言語JavaScriptによる開発作業において作られた機能を 手軽に再利用できるようにまとめたもの。 |
ポートフォリオで強調すべき「学習意欲」と「成長過程」
どのような内容にすればよいかは見えてきましたが、重要なのは、「何を」「どう」伝えるかということです。
スキルアップの過程をどのように伝えるか
未経験者のポートフォリオでは、スキルアップの過程を具体的に示すことが重要です。
たとえば、最初は基礎的な課題を行い、徐々に複雑な課題に挑戦した記録を順を追って掲載すると、努力と成長の軌跡が伝わりやすくなります。
各プロジェクトに対して、以下の項目について一言ずつ添えることで、採用担当者に成長のストーリーを明確に伝えることができます。
①取り組む前のスキルレベル
②挑戦した技術
③得られた成果や課題
自分の学習方法や挑戦したことを見せる
ポートフォリオでは、どのように学習を進め、どのような挑戦を行ったのかをアピールしましょう。
たとえば、
「独学でJavaScriptを習得し、オンライン教材で学んだ内容をもとにポートフォリオを構築しました」
のように具体的なエピソードを記載します。
これにより、採用担当者は「この人は自発的に学び、継続的に努力できる」と評価します。
小さな挑戦でも、その努力を明確に示すことで説得力が増します。
実績以上に成長の意欲をアピールする
未経験者には、完成度の高いプロジェクトよりも「学びたい」という意欲を示すことこそが大事です。
ポートフォリオの中で、技術や分野に対する興味・関心や、今後の目標を簡潔に伝えるセクションを設けるとよいでしょう。
たとえば、「次はバックエンドの知識を深めるためにNode.jsを学びたい」のようにすると効果的です。
具体的な未来への意欲を記載することで、成長ポテンシャルを印象付けることができます。
バックエンド | ユーザーからは見えない部分。サーバやデータベースなど。 |
Node.js | JavaScriptにおける開発環境のひとつ。 |
未経験者が作るポートフォリオで避けるべき落とし穴
ここまでで未経験者があえてポートフォリオを作成する場合、どのようにすればよいかをお話ししてきましたが、ここでは逆に「やってはいけないこと」について解説します。
不完全な内容を掲載しない
基本的には、未完成の内容や動作しないコードをポートフォリオに含めるのは避けましょう。
これらは採用担当者に「中途半端」「信頼性に欠ける」という印象を与えてしまいます。
もし未完成の内容を含める場合は、「現在取り組んでいる課題」「今後の改善予定」などを明確に記載し、進行中である理由を説明することが重要です。
時には、不完全な部分を隠すよりも、プロセスや学びを正直に伝える方が好印象を与えることができます。
過剰に複雑な内容にしない
高度な技術や複雑な内容を無理に取り入れると、ポートフォリオ全体のクオリティが下がる場合があります。
特に未経験者は、シンプルで明確な内容を重視する方が好印象となるでしょう。
複雑な内容を掲載する場合でも、各ステップを簡潔に説明し、閲覧者にとってわかりやすい構成を心がけましょう。
相手にとって理解しやすいポートフォリオを作れるかどうかは、重要な評価基準です。
ポートフォリオにこだわりすぎて他のスキルを疎かにしない
ポートフォリオ作成に時間をかけすぎることで、実際のスキルアップや自己学習を疎かにしてしまうケースがあります。
採用担当者は、ポートフォリオだけでなく、学んだスキルやその応用能力を重視します。
そのため、ポートフォリオは必要最小限の時間で仕上げ、他の学習やプロジェクトにバランスよく時間を割くことが大切です。
過剰に凝ったデザインや装飾は控え、内容の充実を優先しましょう。
未経験からのおすすめの学習方法について知りたい方はこちらをどうぞ。
やってはいけないポートフォリオの例
他に具体的な「やってはいけない」ポートフォリオの例としては、以下が考えられます。
- ・動作しないアプリやリンク切れのプロジェクト
-
信用を損ねる原因になります。
- ・説明が一切ないコードの羅列
-
閲覧者に意図が伝わらないため評価されにくいです。
- ・デザインやレイアウトが見づらいポートフォリオ
-
第一印象が悪くなり、内容を読んでもらえない可能性があります。
未経験者にポートフォリオは必須ではない!作るなら意欲や努力過程が見える内容に
未経験者がポートフォリオを作成することは、必須ではありません。
さらに言えば、内容によってはマイナスになることもあるので、基本的には、ポートフォリオは作成せず、別の方法でアピールするほうが有効といえるでしょう。
ただし、今回お伝えしたような注意事項を守って適切に作成すれば、自分のスキルや学びの姿勢をアピールする有効なツールにもなりえます。
あえて作成するならば、採用担当者が求めているのは、完成度の高さではなく、成長意欲や努力の過程が感じられる内容であることを忘れないでください。
大切なことは以下の点です:
- ポートフォリオに頼らず、履歴書や面接で熱意や成長可能性を伝える方法もある。
- 作成する場合は、自分のレベル感に合った内容で無理なく作成する。
ポートフォリオは手段の一つに過ぎません。
自分の強みや学びの姿勢をどう伝えるかを全体的に考え、バランスの取れたアプローチを目指しましょう。
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