データサイエンスはその専門的なイメージから、専門学校や特殊な機関で学ぶものと思われがちです。
しかし実際のところは、書店に足を運べばデータサイエンスを隅から隅まで学べる参考書や教材が盛りだくさん。
すなわち初学者でも、すでに気軽に学べる環境は整っているのです。
今回の記事では、その中でもとくにおすすめの書籍を、
- 初学者向け
- 基礎理論
- 統計数学
- プログラム
の4つの分野に分けてご紹介します。
教本選びでどれにすべきか迷ったら、ぜひ本記事を参考にしてください。
初学者からデータサイエンスを学習できる本5選
はじめに、「初学者からデータサイエンスを学習できる教本」を紹介します。
まっさらな状態からデータサイエンスに着手するという方は、まずは以下で紹介するものを手にとってみてはいかがでしょうか。
データから有益な情報や知識を抽出する データサイエンス超入門!
データサイエンスの概要から歴史、役割や重要性といった初歩的な内容から、応用的な数学の知識までを完全網羅している一冊です。
全部で10章の区切りで構成されており、まったく知らない方や大学生、高校生が読んでも理解できるような内容に仕上がっています。
とくに専門的な知識を必要とせずに、スラスラと読み進めることができるので、迷ったらまずはじめに手に取りたい一冊としておすすめです。
教養としてのデータサイエンス データサイエンス入門シリーズ
こちらは「第15回日本統計学会出版賞」を受賞している、実績のある教本です。
これからのAI時代を生き抜くためのキーワード、必ず知っておきたいノウハウなどがすべて把握できます。
安宅和人さん(慶應義塾大学教授およびヤフーCSO)が推薦していることもあって、スムーズな理解を得ることができるでしょう。
カラーで見やすく、練習問題が充実している点も魅力。
「どこから手を付けたらいいかわからない」という方にも、ぜひ手にとってほしい一冊となります。
俺たちひよっこデータサイエンティストが世界を変える: データサイエンティストの仕事について知れる入門者向けのストーリー!
データサイエンス教本としては珍しい、ストーリー形式の解説メインの教本です。
「小西亮一」「三原秀人」「神村隆宏」の3人の登場人物によってストーリーが進められていきます。
小説形式なのでわかりにくそうと感じる方もいるかもしれませんが、たとえなどの比喩表現が随所にうまく使われており、内容がスムーズに頭に入ってきます。
現段階で知識ゼロ状態の方でも、「専門家や特定職業の人がやるもの」というイメージを払拭できることは間違いありません。
紙と鉛筆で身につける データサイエンティストの仮説思考
「データサイエンティストだったらどのように考えるのか?」をテーマに、タイトルどおり紙とペンで仮説思考を身につけることができます。
紙とペンで学ぶコンセプトで、小難しいプログラム言語にも極力触れず、データサイエンティストの思考課程を体験することができる点が特徴です。
本書をとおして読むことで、デジタル時代を生き抜くための確かなデータリテラシーが身につきます。
掲載されているクイズ形式の設問は、難解な数学知識や論理思考も必要ありません。
紙とペンさえあれば気軽に着手できるので、一度チャレンジしてみると良いでしょう。
ビジネスの現場で使えるAI&データサイエンスの全知識
データサイエンスが活躍する現場は、いまや多岐にわたります。
この本は、その中でも「ビジネス」の分野で使えるノウハウに特化したものです。
たとえば需要と供給予測や、レコメンデーションシステムなどといった、本物の現場でよく使われるような単語や知識が満載。
本書ではデータサイエンスを「専門職というより、ビジネスパーソンなら身につけるべきスキル」と定義しています。
そのため、誰でも理解できるよう小難しい説明が省かれているのもおすすめポイントのひとつです。
データサイエンスの基礎理論を学習できる本5選
ここではデータサイエンスの中でも、とくに「基礎理論」に長けている本を5つご紹介します。
意思決定分析と予測の活用 基礎理論からPython実装まで(KS情報科学専門書)
講談社から出版されているこちらは、決定分析や効用理論、確率予測といった、より専門性の高い分野を扱っているのが特徴の一冊。
数値例をより具体的にし、プログラム言語(Python)を用いて、手を動かしながら論理を身につけられます。
読み終えるころには、分析や予測を「作る」こと、そしてそれをしっかり「使う」ことができるようになっているでしょう。
図解まるわかり データサイエンスのしくみ
基礎となる論理構造が、イラストと解説による図解でわかりやすく表現されていることが特徴の教本です。
グラフの種類、統計やAI、その他の周辺知識も全面的にカバーしています。
見開きで1テーマというわかりやすい構成となっているため、はじめから順に読むことはもちろん、探しているキーワードをピンポイントで調べるなど、さまざまな用途に臨機応変に利用できます。
小難しい基礎理論もすんなり理解できる、初学者にもおすすめの一冊です。
事例で学ぶ! あたらしいデータサイエンスの教科書
2018年4月、首都圏ではじめて「データサイエンス学部」を設立した、横浜市立大学データサイエンス学部長の岩崎学氏による一冊です。
基礎理論はもちろんのこと、見失ってしまいがちな「何のために、なぜ分析を行うのか」という真髄にも触れながら、テンポのいい解説を掲載しています。
「統計学」の視点でプログラム言語や事例分析について触れているので、まっさらな初心者というよりは、
- プログラミングがひととおりできる人
- ざっくり統計や数学についての勉強を行った人
- 実務に向けたノウハウを身に着けたい人
が対象です。
データサイエンス応用基礎
培風館からの出版で、数理人材育成協会が著書をつとめるこちらの一冊は、タイトルのとおり「応用基礎」の部分に焦点を当てた一冊といっていいでしょう。
AI基盤をメインに取り扱いながら、データエンジニアリングや分析手法、セキュリティといった、データサイエンスに必要なノウハウが揃った構成となっています。
応用基礎というだけあり、数式および論理展開についての解説がとても丁寧なうえ、具体例や過去の事例などが盛り込まれているのがポイントです。
データサイエンティスト入門(日経文庫)
どの現場、さらにはどんなケースでも必ず必要とされる知識を、小ストーリー形式で事例を交えながら解説している書籍です。
たとえば必須とされる能力として、
- ビジネス力
- データサイエンス力
- データエンジニアリング力
の3つに分け、ロジカルに解説しています。
さらに、プロは実務においてどんな点で疲弊しているか、どんな事業に行き詰っているかといった「リアル」を学ぶことができます。
データサイエンスの統計・数学を学習できる本5選
ここからは、「統計」や「数学」についての知識をしっかり学べるおすすめ書籍を5つ見ていきます。
統計学×データ分析 基礎から体系的に学ぶデータサイエンティスト養成教室
データ活用人材になりたい方や、ビジネスマンとしてのデータリテラシーを学びたい方に向けて、基本的な統計学を解説している一冊です。
実際に着手しながら考え、可視化し、分析する、メリハリのついた演習を体験できるので、数字および数学が苦手な方でも、着々と理解が身につくことでしょう。
また本書は、データ基本性質や基礎軽量をはじめとする、実際のビジネスマンに本当に求められる知識が厳選されて盛り込まれているのも特徴。
理解を実感しつつ、どんどん読み進められる一冊です。
問題解決の最初の一歩 データ分析の教室
青春出版社から出されているこちらの本は、難解でとっつきにくい統計や数学を、会話形式と図解でとことん噛み砕いている点が特徴の一冊。
「街のパン屋さんを再生する」という設定で、対話式のストーリー形式となっています。
小難しい数学知識を、身近な「エクセル」ひとつで理解できるような解説が掲載され、深い理解を実感できることうけあいです。
実践 データ分析の教科書
大手電機メーカー「HITACHI」のデータサイエンティスト100名によるチーム「Lumada Data Science Lab.」。
このチームが実際に経験してきたプロジェクト、学び、苦悩といったノウハウが凝縮された一冊です。
統計や数学についての徹底的な説明はもちろん、ルールや心構えなども掲載されています。
これからデータサイエンティストになる方なら必読といえる、読み応えのある本となっています。
「それ、根拠あるの?」と言わせないデータ・統計分析ができる本
日本実業出版社から出版されている、強いインパクトを与えるタイトルが印象的な一冊です。
こちらもストーリー形式に沿って制作されており、はじめてデータ分析に取り掛かる新人が主人公。
分析や統計を経て、最終的にプレゼン資料を作るまでのストーリーとなっています。
本書を読むことで、
- どんなリスクが考えられるか
- どのくらいの収益が見込めるか
- 成功要因としてもっとも大きいのはどれか
などといった、根拠が説明できるようになります。
また著者は日産自動車にて、組織開発部ビジネス改革チームマネージャーとして務めてきた柏木吉基氏。
実務で必ず役立つノウハウも満載です。
データ分析に必須の知識・考え方 統計学入門 仮説検定から統計モデリングまで重要トピックを完全網羅
統計学の本は「数学的な記述が徹底的に網羅された小難しい専門書」もしくは「広範で浅はかな知識を網羅した入門書」が多い傾向。
そんな中で、より実践的な仮説検定やモデリング、因果推論といった項目に着目し、入門者向けにしっかりとした基礎を固めてもらうために作成されたのが本書です。
数学関連の解説を極力省き、図解を有効活用しているので、最後まで飽きずに読み進めることができます。
統計学の本質を素早く理解したい方におすすめです。
データサイエンスのプログラム言語を学べる本5選
続いて、データサイエンスでも、とくにプログラム言語に特化している本について紹介します。
最短コースでわかるPythonプログラミングとデータ分析
ライブラリや分析の実践例など、データ分析に必要最低限なPythonの知識がまとめられている一冊です。
本当に実務に必要とされている項目だけを厳選して掲載しているため、プログラミングに触れたことがない人でも、この本を読むだけでデータ分析に着手できます。
著者の赤石雅典氏は本書の他にも、ディープラーニングやAI関連の本を多数出している実績があるため、わかりやすさはお墨付きといっていいでしょう。
AI・データサイエンスのための 図解でわかる数学プログラミング
ソーテック社から出版されているこちらは、分析で用いられる数学知識を、
- 数式
- 図解
- チャート
などを使ってシンプルに解説しています。
不要な基礎や小難しい技術を取り除き、必要なプログラミング技術のみを体験しながら学べるので、効率のいい学習を求める方にはうってつけ。
数学関連のノウハウも丁寧な解説がされているので、数学嫌いな人も手にとってほしい一冊です。
ゼロからはじめるデータサイエンス 第2版 ―Pythonで学ぶ基本と実践
タイトルにあるように、「ゼロの状態から」プログラミングを学ぶことをコンセプトに制作された実用書です。
こちらはIT系およびプログラミング系書物として評判の高い「オライリージャパン」による出版の書籍のひとつ。
読解のしやすさと解説の優しさで、着実なノウハウが積み上がることでしょう。
また、ニューラルネットワークやリコメンドシステムといった分析手法、さらにSQLやMapReduceといった周辺知識も掲載しています。
Python,Rで学ぶデータサイエンス
「まったくの入門者から、実際の現場にて即戦力になる力を手に入れる」というコンセプトのもとで制作されたのが、こちらの一冊です。
500問を超える練習問題が掲載されており、理解度を図りつつPythonとRのスキルを手にすることが可能です。
とことん初学者に寄り添っているうえ、経験者や上級者が覚えておきたい知識も満載。
いい意味で振り幅が大きく、実用的な書籍に仕上がっています。
データサイエンスのための Rプログラミングスキル
データサイエンスのプログラミングとなると、一般的に「Python」が用いられがちですが、そんな中でこちらは「R言語」に特化した書籍です。
エディタの使い方やRスタジオ、コマンドラインやGitなど、より実務寄りなノウハウを集約していることが特徴となっています。
また後半パートでは、データ操作やレポート制作手法についても解説。
これから始める人よりも、傾向としては中〜上級者向けの書籍となっています。
データサイエンス本と合わせて利用すべき学習手段
これまで紹介した書籍は、以下で紹介する学習手段と合わせることで、より学習が効率化します。
インターネット教材を購入する
本ではどうしても理解できないコアな部分を調べる際に、インターネットは欠かせない手段となります。
自分が遭遇したミスの事例、およびエラーコードから検索できるのは、インターネットならではの強みです。
YouTube動画を鑑賞する
文章や画像と比較すると、動画は圧倒的な情報量をもつため、体系的な学習においておすすめです。
動く図解、人間の口頭による説明を同時に受けることができるので、より深い理解を得ることができるようになります。
データサイエンスコースのあるITスクールに行く
ITスクールというと開発系プログラミングのイメージがあるかもしれませんが、現代では「データサイエンス専門のコース」を設けているスクールが豊富です。
無料のヒアリングや体験をうまく利用しながら、自分に合うスクールを見つけてみるのも、データサイエンティストへの一歩として有効です。
まとめ:自分に合う本を活用してデータサイエンスを習得しよう!
まっさらな状態からデータサイエンスを習得する場合、市販の本の活用は欠かせません。
動画などで学ぶ手もありますが、文字や画像、図解から自分の頭で思考することも大切だからです。
まず先に「どんな分野を何のために学ぶのか」を決め、それに合った本を探して、ぜひ手に取ってみましょう。