データサイエンティストとして、フリーランスとして独立したいと願う方は少なくないのではないでしょうか。
結論、データサイエンティストはフリーランス独立に向いた働き方といえます。
この記事では、フリーランスとして独立するために必要なスキルや、実際の働き口、実現の手順や手段を徹底的に解説します。
独立を考える方にとって、ひとつの参考になれば幸いです。
データサイエンティストはフリーランスとして独立しやすい?
データサイエンティストは、「フリーランス独立に向いた職業」といっても過言ではありません。
主な理由は、
- これからの需要の高まり
- データサイエンティストがもつ専門性の高さ
- ワークライフバランスの保ちやすさ
にあるといえます。
この先伸びる分野でありながら、まだまだ相応の人材が足りていないうえに、PCひとつで仕事ができる点が、フリーランスとして独立する際にも最適なのです。
フリーランスデータサイエンティストの市場動向
まずはじめに、フリーランスデータサイエンティストの市場動向について解説します。
現在の市場の需要と供給のバランス
現在の市場の需要と供給のバランスは、一致しているとは言い難いでしょう。
圧倒的な需要の数に対し、供給(データサイエンティスト・技術者)の数がまったく足りていないのが現状だからです。
インターネットの一般化によって、企業が有するデータ量が膨大になったこと。
また、それを分析するためのツールも広く普及し、分析・解析なしではビジネスの成功が見込めなくなっているのが現状です。
こういった観点から、いまやデータサイエンティストは高いニーズを誇る職業となっています。
フリーランスとしての報酬の実情
フリーランスとしての案件報酬はピンキリですが、平均月収相場は「週4〜5日の稼働で、おおよそ60万〜90万円」となります。
つまり仕事が途切れず、安定した受注があると仮定すれば、年収換算で720万〜1,080万円ほど。
参考:データサイエンティストがフリーランスとして独立する方法と年収目安
フリーランス全体の平均年収はおおよそ400万〜800万円とされているので、高年収と言って差し支えありません。
業界のトレンドと将来性
データサイエンス業界のトレンドには、今もこれからも、プログラム言語「Python」が挙げられるでしょう。
ひとえにPythonといっても、
- アップデートによるライブラリ機能の追加
- 対応フレームワークの新登場
といった要因でますます普及していくことが予想され、データ専門家のみならず、その他の開発者や一般人にまで浸透していくという予測もあります。
さらにPythonは一般的なシステム開発、エクセルとの連動など汎用性も高いです。
そのため現代でいう「JAVA」のような、プログラム言語のニュースタンダードとなることも期待されています。
フリーランスのデータサイエンティストの働き口
データサイエンティストとしてフリーランス独立する場合、代表的な例として挙げられる3つの働き口を紹介します。
現場に常駐しながら働く
実際に現地に足を運び、現地に常駐して作業を行う働き口となります。
リモートでは取りにくい確認や調整などのコミュニケーションを気軽にとれるため、作業効率と生産性の観点で考えると、もっとも推奨される働き方です。
ただし「現地に足を運ぶだけの時間と手間が惜しい」という方は、常駐は向いてないといえるでしょう。
リモートワークメインで働く
リモートワークとは、主にインターネットを経由して在宅で作業を行う働き口のことをいいます。
データサイエンティストの作業内容は、一般的にネット環境とデジタルデバイスで作業が完結するケースが多いので、このような働き方が容易に実現できるでしょう。
出勤時間からも開放されるので、フリーランスらしい働き方ともいえます。
ただ、常駐に比べて単価が低い場合が多いこと、細かな連絡などのコミュニケーションが取りにくいことがネックです。
単発案件を繰り返し請ける
継続案件ではなく、単発の案件を繰り返し受注していく働き口です。
同じクライアントとのやり取りや、同じような作業が苦痛に感じる方に向いています。
しかし、収入が安定せず不安がつきまとうことがネックです。
データサイエンティストでフリーランス独立するメリット
データサイエンティストがフリーランスとして独立するメリットは、大きく次の3つとなります。
さまざまなプロジェクトを経験できる
特定の組織に縛られていない身なので、自分が気になった「やってみたい案件」に、自由に挑戦できることが大きなメリット。
そのプロジェクトをこなせば自分の経験値も積み上がり、その経験値は次の新しい案件を請ける際にも役に立つ、という最高のループを回すことも可能となります。
これが組織だった場合、人員配置などの問題もあり、「やりたいことへの挑戦」はなかなか難しいのが現状です。
リモートで行える案件が多い
分析・解析、プログラミングなどは、ネット環境とデジタルデバイスさえ揃っていれば、屋外でも作業を実行できます。
こういった背景から、今では自宅でフルリモートで行える案件が多く発注されています。
これはたとえば出勤時間を有効活用したい方や、決まった環境でしか集中できないタイプの方にとって大きな利点です。
自由な単価設定で年収アップが図れる
フリーランスは自分自身のスキルや付加価値が売り物。
そのため、作業単価を自分で自由に設定することが可能です。
逆に、組織から報酬を「お給料」という形でいただいている以上、単価アップはやはり簡単なことではありません。
ただし一般的に、単価を上げれば上げるほど受注率は下がりがちなので、自分の付加価値や信頼を高めていくことがキモになります。
データサイエンティストでフリーランス独立するデメリット
ここでは、フリーランス独立することで想定される、代表的な3つのデメリットについて見ていきます。
独立初期は収入が不安定
独立から間もないときは、収入が不安定になること、もしくはかなりの低賃金となることは否めません。
これについての原因の多くは、なんといっても信用や実績、肩書が不足していることにあります。
会社員時代以上の報酬を期待して独立するも、この現実にぶち当たり、途中で諦めてしまう方が跡を絶ちません。
独立する前に、ある程度腹をくくることと、資金を蓄えておくことが大切です。
スキルアップの時間の確保
特定の組織から案件を受注しているフリーランスの場合、スキルアップの時間を確保することが難しくなることは、ひとつのデメリットです。
フリーランスは組織から安定して報酬をもらえる立場ではなく、自分のスキルを切り売りする働き方。
そのため、自身のスキルアップに時間を費やすことは必須となります。
しかしプロジェクトが忙しかったり、またスケジュール管理を怠ってしまうなどの原因で、学習時間が確保できないフリーランスは少なくありません。
フリーランス特有のメンタルヘルスの管理
フリーランスは実力主義で、何もかも自分の裁量次第でスケジュールを回すことが必須。
どんな相談相手がいても、最終的には自分ひとりで調整していく力が必要なため、メンタルがもたないという方も多いです。
またフルリモートメインの場合、誰とも話さないことによる寂しさで精神が持たなくなってしまう傾向にあります。
自由であるがゆえに、このような苦悩にも覚悟が必要です。
未経験からフリーランスのデータサイエンティストになるための手順
まったく経験のない状態から、データサイエンティストでフリーランス独立するための具体的な手順を紹介します。
手順1.データサイエンスの基本を学ぶ
まずはデータサイエンスの基本となる部分を学びます。
概要をはじめ、「なぜその作業が必要なのか」といった根本の部分をひととおり把握しましょう。
いまやデータサイエンスは、教材や情報源を簡単に入手できる時代なので、自分に合っていそうな情報源を探すようにしてください。
なお、これから書籍を選ぶ方は、以下の記事が参考になります。
手順2.統計学の基本知識を身に付ける
大部分の基礎をひととおり把握できたら、統計や数学を学びましょう。
ここがデータサイエンスの真髄でもあり、なおかつもっとも難解な部分といっても過言ではありません。
これができるか否かで、データサイエンティストとしての技能が評価されます。
手順3.プログラム言語やIT周辺知識を習得する
次に頭に入れるべきは、プログラム言語およびIT周辺知識です。
データサイエンスを生業にするなら、やはり「Python」と「R言語」はマストといえるでしょう。
逆にこの2言語をひととおり覚えられると、受注できる案件の幅もグッと広がります。
プログラミングはすぐに習得できるものではなく、地道に時間をかけて慣れていく作業です。
難しくてなかなかできないからといって、すぐに挫折しないよう注意しましょう。
手順4.企業で実務経験を積む
データサイエンティストとして本気でフリーランスを目指すのであれば、「企業で培った実務経験」は必ず必要になります。
ある程度学習を終えて、その学習の成果をポートフォリオなどで反映させたら、なるべく早く実務経験を積むための行動にシフトしてください。
多くの企業が条件に「実務経験」を設けているため絶望してしまいがちですが、やる気とコミュニケーション能力で、粘り強く数を打ちましょう。
「経験がないと見向きもされない」のは、独立してからもおなじです。
データサイエンティストでフリーランスになるのに必要なスキル
フリーランスのデータサイエンティストとして独立するためには、主に次のようなスキルが求められるので、覚えておきましょう。
実務で得た経験と実績
前項でも述べていますが、フリーランス案件を獲得するためには、「実務経験」や「実績」は、なくてはならない要素となります。
データサイエンスは高い専門性と技術力を要する作業。
「実務経験や実績がない人にお金を払いたい」と考えるクライアントはいないためです。
独立したいなら、まずは現場に飛び込みましょう。
統計学とITの深い知見
統計学はデータサイエンスの真髄でありながら、もっとも困難を極める学問です。
この知識がないとデータサイエンティストとして務まらないので、グッとこらえて勉強に励みましょう。
またプログラムをはじめ、ITに関する深い知識も持ち合わせておく必要があります。
自発的な行動力
自発的な行動力は、フリーランスの要となるスキルといって差し支えありません。
組織に縛られていない以上、自発的に行動しなければ、仕事も実績も報酬も得ることはできないためです。
基本的に受け身で、「誰かに指示されたことを愚直にやるのが得意」というタイプの方は、残念ながらフリーランスとしての適正がない可能性があります。
フリーランスデータサイエンティストの案件の見つけ方
独立後に案件を見つける際は、以下で紹介する手段が有効です。
SNSや求人サイトで業務委託案件を探す
SNSや求人サイトを使って、「業務委託案件」を探す手段です。
X(旧Twitter)やIndeedといった媒体には、特定のスキルを求めている企業や個人がたくさんいます。
自分が貢献できそうなレベル感の案件を見つけたら、積極的にメッセージを送信してみましょう。
フリーランスエージェントを経由する
フリーランスとして独立したなら、まず最初に頭によぎる選択肢が「フリーランスエージェント」です。
登録することで、エージェントが営業と条件交渉を行ってくれるため、登録者は仕事を行うだけでOKという状況が実現します。
ただ、報酬から数パーセントの仲介手数料が引かれることがネックです。
独立したてのときはうまく活用し、徐々に直接契約を目指すのがいいでしょう。
友人や知り合いからの紹介を受ける
身の回りの知人および友人を頼ることも、案件を見つけるための手段のひとつとなります。
素性がわかっている人からの紹介となるので、お互いに安心感をもって仕事ができることがメリットです。
さらに仲介手数料も発生しないため、高単価が狙いやすくなります。
とはいえ素性のわかる人どうしの仕事だからこそ、念入りなトラブル対策を欠かさないようにしましょう。
フリーランスデータサイエンティストとして単価を上げるコツ
データサイエンティストとして独立した後に単価を上げるための方法として、大きく次の項目があります。
応募数を増やさなければ単価アップは遠い
単価を上げるなら、とにかく応募数を増やすことがミソになります。
単価が上がらない、またはそもそも案件を受注できない人は、共通して応募数が少ない傾向です。
断られることを前提とし、積極的に応募数を重ねていかなければ、単価アップは図れないということを覚えておきましょう。
多様なスキルを合わせて付加価値をつける
単価を上げる代表的な手段として、付加価値をつけることが挙げられます。
付加価値とは、「自分だけがもっている、替えの効かない価値」のこと。
一見難しいように思いますが、スキルのかけ合わせで実現できます。
たとえば
- AI×ライティング×接客スキル
- 統計学×デザイン×インフラ経験
- iOSアプリ開発×低学歴×有資格者
などのように、2~3つかけ合わせることで、他人との差別化が十分可能です。
こういったものをクライアントのニーズに合わせ、うまくアピールすることがポイントとなります。
データサイエンスに関する資格をとる
資格をとることも、単価アップに大きく貢献してくれます。
具体的におすすめの資格は、以下の記事でも紹介しているので、ぜひご覧ください。
まとめ:順序を踏んでフリーランスのデータサイエンティストになろう!
まったくのゼロの状態から、データサイエンティストとしてフリーランス独立することは、簡単なことではありません。
しかしデータサイエンティストは、大きな需要がある割に、人材の供給が足りていません。
そのため正しい順序を踏み、地道に努力を重ねることで、確実にデータサイエンティストとして独立できます。
難しい勉学などといった大きな壁に直面することもありますが、今後の需要を考えると、挑戦する価値は大いにあるでしょう。