データベースエンジニアはどんな仕事?
データベースエンジニアとは、データベースを開発し、適切に運用を行うエンジニアです。
企業や組織の膨大なデータを安全に保管し、データを使いたい時にすぐデータが取得できるようなシステムを扱います。
業務範囲は、大きく分けて「データベースの開発や設計」「データベースの管理」「データベースの運用と保守」の3つです。
これからデータベースエンジニアと目指す方は、まず実際に行う業務内容について詳しく把握しておくことが大切です。
それぞれの業務内容について詳しく解説していきます。
データベースの開発や設計
データベースの開発や設計では、お客様がどのようにデータベースでデータを管理したいのかのニーズを把握し、お客様の要望や要件に沿って適切なデータベースを設計・開発します。
データベースを開発・設計するには、様々なデータベースアプリケーションがあります。
代表的なデータベースアプリケーションは、MySQL、Oracle Database、PostgreSQL、Microsoft SQL Serverなどです。
お客様の目的やシステム環境に合わせて適切なデータベースアプリケーションを選択することも、業務範囲の一つです。
データベースの管理
データベースシステムが最適に機能させるには、適切にデータを管理する必要があります。
また、データを安全に保存するためには、データが保存されているサーバーを最適化や改良していくことも仕事内容の一つです。
最適化や改良を行うにあたっては、データベースの機能をしっかりと把握し、どのようにデータが配置されているのかを把握する必要があります。
お客様のデータベースシステムについて深く理解することも重要になってくる知識です。
データベースの運用と保守
企業や組織が利用するデータベースを適切に動作させ、データの安全性と可用性を確保し、データベースの運用と保守を行うことも大切な仕事です。
定期的なメンテナンスだけでなく、もし障害が発生した場合には、すばやく原因を特定し、適切な対応を行うことが求められます。
データベースのデータに何らかの問題が発生する場合に備えて、日頃からデータのバックアップやリカバリーを行い、今まで起こったことのない災害やシステム障害に備えることも重要な仕事です。
データベースエンジニアの魅力
データベースエンジニアの仕事には、以下のような魅力があります。
- 大きい規模の仕事に携われる
- さまざまなIT技術に関われる
- 高収入が期待できる
大きい規模の仕事に携われる
データベースエンジニアは、企業や組織の重要な資産であるデータを管理するプロフェッショナルなエンジニアです。
大規模かつ複雑なデータベースの運用も求められ、大規模なシステム開発の一員として業務に携わることができます。
大きい規模の仕事に携わることは、エンジニアにとって技術的にも大きな挑戦となり、やりがいを感じられます。
また、大規模なシステムに携わることで、多くのユーザーの利用環境や要求を想定してデータベースを設計・開発する必要があるので、自分自身のデータベースに関するスキルをより高めることができます。
さまざまなIT技術に関われる
データベースエンジニアはデータベースシステムの運用と保守を行うので、幅広いIT技術に関わることができます。
業務内容は、データベースの設計、構築、メンテナンス、チューニング、アプリケーションの開発、障害対応など、多岐にわたる仕事があります。
プログラミングやネットワーク、セキュリティなどの幅広い知識を求められます。
また、データベース分野は年々新しい技術が登場するので最新のIT技術を追いかける必要があり、新しい知識を獲得できるメリットもあります。
高収入が期待できる
データベースエンジニアは、企業や組織の重要な資産であるデータを適切に管理するために必要不可欠な存在です。
そのため、近年では需要が高い傾向にあります。
その反面、市場における人材不足も深刻なので、高い収入が期待できる職業の一つです。
また、エンジニアは経験やスキルに応じて、昇進やボーナスなどの報酬が与えられることもあります。
高い収入が得られることで、安定な生活や自分のしたいことにお金を投資できる機会を得られるので、魅力的な職業といえます。
データベースエンジニアの厳しさ
多くの魅力があるデータベースエンジニアですが、その反面、厳しさもあります。
データベースエンジニアの厳しさとして、以下の2つを紹介します。
- 責任が重大な仕事
- 縁の下の力持ちなので注目を浴びにくい
責任が重大な仕事
まず、企業や組織の大切なデータを管理する責任があり、しっかりと責任感を持って仕事をする必要があります。
そのため、システムの停止やデータの紛失、漏洩など、トラブルが発生した場合は、大きな損失を被る恐れがあります。
また、データベースに関するトラブルは企業や組織の信用や利益にも関わってきます。
このようなトラブルを未然に防止するには、常に厳密な監視やバックアップなどを行う必要があります。
縁の下の力持ちなので注目を浴びにくい
縁の下の力持ち的存在である職業のため、注目を浴びにくいという一面があります。
データベースは基盤的なシステムであり、ユーザーが直接触れることは少ないシステムなので、アプリケーションやフロントエンドの開発者などのユーザーの目に見える立場と比べると存在感が薄いといえます。
また、データベースの運用などのメンテナンス業務はシステム全体の中で一部分を担当しているため、それ以外と比べると、業務範囲が狭いと感じることもあるかもしれません。
しかし、データベースエンジニアの仕事が適切に行われていなければシステムは正常に動作できないので、責任は非常に重大です。
データベースエンジニアの需要と将来性
データベースエンジニアの需要と将来性は年々高まっています。以下2つの観点で解説します。
- 大量に蓄積したデータの活用ニーズの高まり
- セキュリティの重要性の高まり
大量に蓄積したデータの活用ニーズの高まり
現代社会では、ビッグデータやIoTなどにより、膨大な量のデータがデータベースへ蓄積されるようになりました。
蓄積した膨大なデータを活用するには、データベースエンジニアの需要が高まっています。
例えば、企業の業務改善やマーケティング、医療分野での研究など、データの解析や加工が必要とされる分野では非常に重宝される職業になっています。
また、ビッグデータを活用したAIや機械学習などの分野でも、データベースの知識を保有しているエンジニアの役割が重要なものとなっています。
セキュリティの重要性の高まり
データベースエンジニアには、データの保護とセキュリティの確保が求められます。
近年では、企業の情報漏えいやサイバー攻撃が頻発しており、どの企業でもセキュリティの対策がより重要視されるようになっています。
このような背景から、セキュリティ対策に関する知識や技術も求められるようになってきました。
高度なセキュリティの実現にむけて、データベースのアクセス権限の設定や監視、バックアップの実施などの業務を行います。
セキュリティの重要性は高まる一方なので、今後もデータベースを扱うエンジニアの需要が高まると予想されます。
データベースエンジニアの平均年収
データベースエンジニアは、データベースだけでなくIT全般に関する高度な知識が求められます。
そのため、30代のデータベースエンジニアの平均年収は600万円前後であり、一般的なシステムエンジニアよりも高い傾向にあります。 (参考:求人ボックス)
身につけたスキルによって年収に差はありますが、データベースエンジニアとしての経験を積むことで年収が大きくアップする傾向です。
また、難易度の高い資格を持っていると就職活動や転職活動で有利に働き、より高い年収が期待できます。
データベースエンジニアに向いている人
データベースを扱うエンジニアには、どのような人が向いているのでしょうか。
ここでは、データベースエンジニアに向いている人の特徴を3つ紹介します。
綿密な計画を立てて業務が遂行できる人
データベースを扱う上では、データの整合性やセキュリティを確保しながら、データの処理を行うため、緻密な計画が必要です。
そのため、細部まで注意を払って計画的な仕事ができる人が向いています。
周囲を巻き込むのが得意な人
データベースを扱う上で、データを利用する部署やチームと協力して業務を進めることも必要です。
そのため、コミュニケーション能力が高く、周囲と協力して仕事を進めることができる人も向いています。
細部に注意ができる人
データの整合性や正確性を確保するために、常に細部に注意を払うことが求められます。
細かいところにも気を配りミスを減らすことができる人も向いています。
データベースエンジニアに必要なスキル
データベースエンジニアは、データベースを構築・管理するための専門知識と技術スキルを持つことが求められます。
それでは、具体的にはどのようなスキルが必要とされるのでしょうか?
押さえておきたい3つのスキルについて解説します。
データベースに関する知識
データベースのプロフェッショナルとして仕事する上で最も重要なスキルは、データベースに関する知識です。
データベースの設計や構築、データベースのメンテナンスを行うために必要な技術を身につけることが求められます。
具体的には、リレーショナルデータベース(RDBMS)の設計や運用、データを取得するために扱うSQL言語の理解、データベースのチューニングや最適化、データベースのセキュリティ対策などの知識です。
また、最新のデータベース技術やトレンドにも常にアンテナを張って情報収集していくことも大切です。
コミュニケーションスキル
実際の業務では、チームや他の部署と協力して業務を進める必要があります。
そのため、人と接するコミュニケーションスキルも重要なスキルの1つです。
特に大規模なデータベースのシステム構築や運用を行う上では、多くの人との協力が必要不可欠です。
データベースのことをよく知らないエンジニアやお客様に理解してもらうためにわかりやすく説明する力や、データベースの問題解決に向けた提案する力などが試されます。
論理的思考スキル
データベースを扱って仕事する上では、論理的思考力も必要です。
データベースは、格納するデータの構造や処理方法を論理的に組み立てることが求められます。
そのため、複雑な問題を解決を目指し、論理的思考力を発揮する必要があります。
また、データベースに問題が発生した場合には、迅速に問題を発見して解決へ導くための分析する力や、データ構造を読み解くための理解力も必要です。
データベースエンジニアが持っておきたい資格
ここでは、持っておきたい資格を3つ紹介します。
各資格を取得することで、自身のスキルアップやキャリアアップにつなげることができます。
- 情報処理技術者
- オラクルマスター
- OSS-DB技術者認定資格
情報処理技術者
情報処理技術者試験は、独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)が実施している資格試験です。
試験内容としては、情報処理に関する知識・技能・経験を測る内容になっています。
国家資格であり、日本で最も有名なIT系の資格になります。
データベースエンジニアとして仕事を遂行するためには、IT技術全般に関する知識が必要になるので、取得しておくことが望ましいです。
情報処理技術者の中でも「基本情報技術者試験」は「IT業界で仕事をする上での登竜門」と言われるくらい有名な資格です。
より高度なITスキルを証明したい場合には、「応用情報技術者試験」や「データベーススペシャリスト試験」を取得してみましょう。
オラクルマスター
オラクルマスターは、オラクル社が主催する資格認定試験です。
世界的に高いシェアを誇っているオラクル製品であるOracle Databaseシリーズに関する知識を認定する資格で、難易度別に4つのランクがあります。
日本だけでなく世界的に有名な資格なので、今後データベースエンジニアとして世界で働くことを目指す人にもおすすめの資格です。
オラクルマスターを取得することで、Oracle Databaseシリーズに関する知識・スキルを証明できるため、オラクル製品を使用する企業での就職活動や転職活動にも役立ちます。
OSS-DB技術者認定資格
OSS-DB技術者認定試験は、特定非営利活動法人LPI-Japan事務局が実施している民間資格で、オープンソースデータベース技術者認定試験と呼ばれています。
有名なオープンソースデータベースであるMySQLやPostgreSQLなどの知識を問われるため、このようなデータベースを使用する企業や開発に携わるエンジニアにとって有用な資格です。
データベースエンジニアが活躍できる分野
エンジニアが活躍できるのは情報処理業界だけではありません。
例えば、金融、流通、医療など、様々な業界で活躍することができます。
情報処理業界においては、企業の基幹システムやWebシステムなど、多岐にわたるシステムの構築や運用を行うためにはデータベースの知識が必要不可欠です。
金融や流通などの業界においては、大量のデータを取り扱うため、高度なデータベース設計・運用が必要です。
医療分野においては、電子カルテなどの情報システムが必須となっており、データベースエンジニアの役割もますます重要性を増しています。
最近では、ビッグデータ分析やIoT技術の発展によって、データの蓄積量が増大しており、データベースエンジニアの需要は今後ますます高まることが予想されます。
さまざまな業界でデータベースエンジニアとして活躍していくためには、データベースの専門知識を習得し、幅広い業務に対応できるスキルを身に付けることが求められます。
データベースエンジニアのキャリアパス
キャリアパスは多岐にわたり、様々な職種に進むことができます。
以下では、プロジェクトマネージャー、データベースコンサルタント、データサイエンティストという代表的なキャリアパスについて解説します。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの進行管理やスケジュール管理など、全体的なプロジェクトのマネジメントを担当する職種です。
主に、データベースの設計や構築に関わることが多く、それらのプロジェクトをリードする機会もあります。
そのため、プロジェクトマネージャーというキャリアが考えられます。
データベースコンサルタント
データベースの設計や構築に関する高いスキルを持っているので、企業や組織のデータベースに関する課題解決に対するコンサルティングも行うことができます。
データベースコンサルタントというキャリアでは、データベースの専門家として、顧客とのコミュニケーションやプロジェクトの設計、構築、運用などを担当します。
データサイエンティスト
データベースエンジニアは、データの設計や構築に関する知識があり、そのデータの分析スキルも身につけることができます。
データサイエンティストというキャリアでは、データマイニングや機械学習などの専門的な知識やスキルも必要ですが、その基盤となるスキルはデータベースの知識です。
データベースに関する深い知識を身につけていることで、将来的にデータサイエンティストというキャリアも考えられます。
未経験からデータベースエンジニアを目指すには?
未経験からデータベースエンジニアを目指すには、3つの方法が考えられます。それぞれについて詳しく解説します。
SEやプログラマーとして経験を積む
まずIT全般に関するスキルを身につける必要があります。
そのため、SEやプログラマーとしての経験を積んでから目指すことがおすすめです。
実際の業務で開発するシステムには、アプリケーションやサーバーなどの複数のIT技術要素が含まれています。
また、システム開発を行うためには、プログラム言語に関する知識やデータ構造に関する理解などが必要になります。
SEやプログラマーとしての経験があると、データベースエンジニアとしてのスキル習得がしやすくなるでしょう。
データベースに関する知識を身につける
データベースエンジニアになるためには、データベースの基本的な知識が必要不可欠です。
データベースの基礎知識としては、データベースの種類やテーブルの設計、クエリ言語(SQL)、データベースの正規化などがあります。
このようなデータベースの基礎的な知識を身につけることが、データベースエンジニアとしての第一歩となります。
データベースに関する資格を取得する
データベースエンジニアになるためには、データベース関連の資格取得も有効です。
データベース関連の資格としては、データベーススペシャリスト試験やオラクルマスターなどがあります。
これらの資格を取得することで、自身のデータベースに関する能力や技術力を証明できます。
まとめ
未経験でも、SEやプログラマーとして経験を積むことで、データベースエンジニアとしてのキャリアをスタートできます。
データベースに関する知識を身につけ、データベース関連の資格を取得することも大切です。
未経験からでもデータベースエンジニアを目指せるので、挑戦してみてはいかがでしょうか。