G検定は人工知能やディープラーニングの基本的な知識・スキルを証明する試験です。
2017年に始まったばかりですが、AIへの関心が高まるとともに受験する方も増えています。
そこで今回の記事は、G検定の難易度や合格者数、取得に向けた勉強の進め方について解説します。
今後AIを使って事業を展開したい方、資格取得に向けた勉強法を知りたい方は最後までご覧ください。
G検定とは?
G検定はジェネラリスト検定ともいいます。
一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施している、人工知能(AI)に関する資格です。
試験では機械学習やディープラーニング、数理・統計の知識が問われます。
さらにビジネスで活用するために法律の知識も必要です。
AIエンジニアを目指す方は取得しておきたい資格といえるでしょう。
G検定の合格率は約60%〜70%
JDLA公式ホームページには、G検定の合格率はおおよそ60〜70%程度と発表されています。
参考:「2023年 第3回 G検定」開催結果を発表(4,518名が受験し、3,106名が合格) – 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
ここからは、各項目ごとの合格率について解説します。
開催回ごとの合格率
過去に開催された回の合格率です。
開催年と回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2017年 | 1,448名 | 823名 | 56.84% | |
2018年 | 第1回 | 1,988名 | 1,136名 | 57.14% |
第2回 | 2,680名 | 1,740名 | 64.93% | |
2019年 | 第1回 | 3,436名 | 2,500名 | 72.76% |
第2回 | 5,143名 | 3,672名 | 71.40% | |
第3回 | 6,580名 | 4,652名 | 70.70% | |
2020年 | 第1回 | 6,298名 | 4,198名 | 66.66% |
第2回 | 12,552名 | 8,656名 | 68.96% | |
第3回 | 7,250名 | 4,318名 | 59.56% | |
2021年 | 第1回 | 6,062名 | 3,866名 | 63.77% |
第2回 | 7,450名 | 4,582名 | 61.50% | |
第3回 | 7,399名 | 4,769名 | 64.45% | |
2022年 | 第1回 | 6,760名 | 4,198名 | 62.10% |
第2回 | 6,398名 | 3,917名 | 61.22% | |
第3回 | 7,502名 | 4,964名 | 66.17% | |
2023年 | 第1回 | 7,150名 | 4,705名 | 65.80% |
第2回 | 3,052名 | 2,075名 | 67.99% | |
第3回 | 4,518名 | 3,106名 | 68.75% |
どの回も合格率50%は上回っており、平均して約60〜70%で推移しています。
サーバーに関する資格「LinuC」も約60〜70%と同等の合格率です。
年代別の合格者数
年代別の合格者数です。
年代 | 合格者数 | 全体の割合 |
10代 | 45名 | 1.45% |
20代 | 1,206名 | 38.83% |
30代 | 945名 | 30.42% |
40代 | 611名 | 19.67% |
50代 | 274名 | 8.82% |
60代 | 25名 | 0.8% |
年代別では20代が一番多く、30代、40代と続いています。
実務経験を積んだ層が合格しているのが読み取れます。
職種別の合格者数
職種別の合格者数です。
職種 | 合格者数 | 全体の割合 |
情報システム・システム企画 | 705名 | 22.70% |
研究・開発 | 658名 | 21.18% |
営業・販売 | 344名 | 11.08% |
企画・調査・マーケティング | 253名 | 8.15% |
生産・製造 | 199名 | 6.41% |
総務・経理・人事 | 104名 | 3.35% |
経営企画 | 66名 | 2.12% |
経営・社業全般 | 46名 | 1.48% |
学生 | 217名 | 6.99% |
その他 | 514名 | 16.55% |
情報システム・システム企画、研究・開発など、AIやディープラーニングの知識を存分に活かせる職種が上位を占めています。
社会人よりも勉強時間を確保しやすい学生がトップ5にランクインしていることから、挑戦しやすい資格といえるでしょう。
業種別の合格者数
次に、業種ごとの合格者数です。
業種 | 合格者数 | 全体の割合 |
製造業 | 602名 | 19.38% |
情報処理・提供サービス業 | 565名 | 18.19% |
ソフトウェア業 | 512名 | 16.48% |
金融・保険業・不動産業 | 478名 | 15.39% |
サービス業 | 182名 | 5.86% |
大学生 | 117名 | 3.77% |
普段からプログラミングの経験があり、ディープラーニングの知見を持った業種が全体でも大きな割合を占めています。
役職別の合格者数
最後に、以下が役職別の合格者数です。
役職 | 合格者数 | 全体の割合 |
一般社員・職員 | 1,690名 | 54.41% |
係長・主任クラス | 532名 | 17.13% |
課長クラス | 369名 | 11.88% |
部長・事業部長クラス | 103名 | 3.32% |
経営者・役員クラス | 42名 | 1.35% |
学生 | 217名 | 6.99% |
その他 | 153名 | 4.93% |
役職別では、一般社員・職員の合格者数が全体の半数を占めています。
業務で主に実務を行う層であり、G検定の試験範囲は慣れ親しんだ内容のため合格者数も多いと見られています。
G検定と他のIT資格の難易度を比較
G検定に似ている他のIT系資格の難易度と比べてみました。
- AI実装検定(B級)…易しい
- 統計検定DS基礎…易しい
- G検定…標準
- AI実装検定(A級)…難しい
- E資格…難しい
- AWS機械学習専門認定資格…難しい
統計検定DS基礎は、AIの知識を持っていない初学者でも挑みやすいレベルです。
AI実装検定はB級・A級・S級の3段階にレベルが分かれています。
受験資格の制限は特にもうけておらず、AIに興味関心がある方やビジネスに活かしたい方まで、誰でも受験可能です。
E資格はG検定と同じく、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施しています。
E資格は開発を行うエンジニア向けの資格のため、G検定を取得後にレベルアップを目指して受けてみてはいかがでしょうか。
AWS機械学習専門認定資格は、開発またはデータサイエンスの業務にあたる方が試験対象です。
機械学習の設計・実装・運用といった知識とスキルを問われます。
この資格は有効期間が3年間と定められており、定期的に受験する必要があります。
G検定の難易度が高くない理由
実務経験がなくても合格できるG検定。
なぜG検定の難易度はそこまで高くないのでしょうか。
理由を以下に解説します。
出題範囲は広いが対策本が充実している
G検定の出題範囲は幅広いですが、その分試験対策本も充実しています。
基礎的な知識を網羅している公式テキスト本のほか、イラストや表で視覚的にも見やすいものや解説の分量が多い本など、種類は豊富です。
自分の学習スタイルやニーズに合った1冊を見つけられるでしょう。
知識ゼロの方でも合格している実績が多数ある
G検定には受験制限がなく、知識や実務経験がない学生でも多数合格しています。
最近はオンラインの動画講座やWebベースの学習プラットフォームなど、手軽に学べるコンテンツが増えています。
文字が羅列してある本は苦手といった方でも、動画でなら学習できるでしょう。
適切な教材を使ってしっかり勉強すれば合格を目指せるため、難易度は高くないといえます。
必要な学習時間が比較的少ない
一般社団法人日本ディープラーニング協会が公開している調査結果によると、試験を受けるまでの勉強時間は下記の通りです。
- 15~30時間…32.1%
- 30~50時間…28.8%
- 50~70時間…13%
参考:【JDLA公式】G検定について(学習方法・試験対策・合格者体験談)
難易度が高いIT資格だと、2〜3ヶ月前から計画を立てて勉強が必要なものもあります。
それに比べると、G検定に必要な学習時間は比較的少ないといえるでしょう。
G検定の合格に必要な正答率は約70%
G検定の合格に必要な正答率は公開されていませんが、受験者全体の平均得点率は公開されています。
このデータを基に、正答率は約70%と推測されます。
G検定は120分で220問程度の問題数が出題されるため、154問ほど正解することが合格の目安です。
合格率は毎回発表されていますので、下記をご参考ください。
参考:「2023年 第4回 G検定」開催結果を発表(3,309名が受験し、2,390名が合格)
G検定の資格取得に向けた勉強の進め方
G検定合格に向けた学習の進め方を解説します。
STEP1:学習計画を立てる
まずは学習計画を立てることが重要です。
G検定は出題範囲が広いため、計画的に進めないと全ての範囲をカバーできません。
現在の理解度を把握して、試験日までにどのくらい勉強が必要かを考えましょう。
AIやディープラーニングだけでなく法律の問題も出題されるため、知見がない方は早めに取りかかると焦らずに進められます。
STEP2:公式テキストや評判の良い教材で勉強する
次に、公式テキストや口コミの良い教材を使って勉強します。
公式テキストはG検定の試験範囲が網羅されています。
対策本も多くあるため、事前に口コミを調べて評価が高いものを選びましょう。
グラフや表があるもの、解説がしっかりされているものなど、人によって分かりやすいと感じるポイントは違います。
調べたうえで自分に合う物を選んでください。
STEP3:問題集を解く
テキストが決まれば、問題集を繰り返し解きましょう。
問題集は1回解いて終わりではなく、何度も解いてしっかり内容を理解することが必要です。
実際の試験は120分で220問程度の問題が出題されるため、1問あたり約30〜50秒のペースで解いていかないと間に合いません。
素早く解けるようにトレーニングを続けてください。
G検定に関するよくある質問
最後に、G検定でよくある質問を紹介します。
G検定の試験方法や受験費用は?
G検定はオンラインで行われ、多肢選択式です。
受験費用は以下をご覧ください。
- 一般:13,200円(受験後2年以内の場合…6,600円)
- 学生:5,500円(受験後2年以内の場合…2,750円)
前回の受験から2年以内に再受験する場合、受験費用が半額になります。
この割引制度は個人の申し込みのみに適用されるもので、団体経由では割引不可のため注意してください。
学生は学生証の提示が必要です。
勉強時間の目安はどのくらい?
G検定合格者のアンケートによると、多くの受験者が約30〜50時間ほど勉強に要したとの結果が出ています。
ただし、普段からAIや機械学習に触れている方と初学者とでは、勉強時間は異なります。
AIや機械学習に慣れ親しんでいる方はすでに基本的な概念を理解しており、比較的短い時間で勉強を進められるでしょう。
一方、初学者や未経験者は基礎から学ぶ必要があるため、その分を考慮して勉強時間を確保しなければなりません。
約30〜50時間という数字はあくまでも目安で考えてください。
G検定は文系の人でも合格できる?
文系の方でも合格できます。
たしかにG検定は、情報技術やコンピューターサイエンスといった理系の内容です。
しかし、試験で問われるのは情報技術の基礎的な概念や一般的なスキルであり、高度なプログラミング技術や知識はG検定では必要ありません。
そのため、きちんと勉強すれば文系の人でも十分合格を目指せるでしょう。
G検定は仕事に役立つ?
もちろん仕事にも役立ちます。
AIを活用してDXに取り組んだり、事業展開したりできるビジネスパーソン向けの資格です。
IT系やシステム開発に携わる方は、得た知識を横展開できる特長もあります。
G検定の試験申し込みの方法は?
試験の申し込み方法は以下の手順で行います。
- 一般社団法人日本ディープラーニング協会のホームページから受験チケットを購入
- 希望する試験回を選んで予約する
- 試験当日に受験ページから試験を受ける
受験チケットは1年間の有効期限が定まっていて、その間ならばいつでも申し込みできます。
各回でそれぞれ申し込み期間が決まっているため、締切前に申し込みましょう。
受験日(2日開催の場合は第1日程)の8日前までにG検定試験事務局宛にメールを送るとキャンセル可能です。
キャンセルした場合、受験チケットの有効期限内であれば再度申し込みできます。
G検定の難易度は高くない!AI人材を目指して資格を取得しよう
G検定は試験範囲こそ広いものの、専門分野でなくても勉強すれば合格できる試験です。
合格の目安である正答率約70%を目指し、日々勉強を積み重ねていってください。
需要が高まっているAI人材を目標に資格取得に向け励んでみましょう。