公務員として勤めているどんな方でも、一般企業へうつりたいと考えることはあります。
そんな中、
- 「公務員が会社を変えることってできるの?」
- 「具体的にどんな職種なら通用するのかな?」
といった悩みや不安を抱える方は少なくありません。
今回は一般企業へうつることの可否、またおすすめの就職先などを解説しています。
公務員をやめて一般企業を目指す方にとって有益な情報が満載ですので、ぜひご一読いただき、参考にしてください。
公務員から異業種に転職することは可能?【可能】
公務員から一般企業へ進むことは、「可能」というのが結論となります。
公務員で養ってきたスキルは、その他の企業でも存分に活かせるからです。
公務員には、世間一般的に、
- 「スキルが一般企業で活かしにくい」
- 「その環境でしか活かせない」
というイメージがありますが、実際はそうではありません。
むしろ特有の強みがあり、大きく差別化を図れるメリットもあります。
公務員を辞めて転職するメリット
この章では、公務員をやめて一般企業へうつるメリットをご紹介します。
年功序列からは解放される
一般企業にうつる大きなメリットとして、「年功序列からの解放」が挙げられます。
近年の一般的な企業では、年齢を問わず「スキルや実績に伴って、給料を確定させる」といった制度を設けている企業も少なくありません。
こういった制度を設けることで、若手が積極的に成長していき、結果として企業が活発化するものです。
しかしその点、公務員はまだまだ年功序列の風潮が強く、年齢とともに給料が増えていきます。
その年功序列から解放される点は、メリットとなるでしょう。
残業から解放される可能性がある
残業が減って労働環境が好転する可能性があることも、一般企業にうつるメリットとして挙げられます。
公務員に対するイメージとして
- それほど忙しさに追われることもなく
- のんびり事務作業をして
- 定時に帰れる
という、キラキラした印象をもつ方もいるでしょう。
しかし現実はそうではなく、一般的なブラック企業なみの残業を強いられる方も少なくありません。
企業によりますが、近年では働き方改革の影響もあるので、一般企業にうつることで残業が減る可能性は高いといっていいでしょう。
ダブルワークができるようになる
一般企業を目指すメリットのひとつに、「ダブルワークが可能になること」も挙げられます。
地方公共団体のひとりとして働く人は、一般的にダブルワークは禁止です。
しかしその点で、近年の一般企業では、「ダブルワークOK」の制度を設けているところも珍しくはありません。
ダブルワークを行うことで
- 自身のスキル・能力に直結する
- 一種の気分転換になる
というメリットがあるからです。
「もっと報酬を増やしたい」と考える方なら、ダブルワークが認められている一般企業にうつることで、その恩恵を受けられるでしょう。
自分自身のスキルが身につく
自身の能力およびスキルが伸びていくことも、一般企業を目指す大きなメリットのひとつです。
一般企業では自身の能力によって、新たな仕事を任せてもらえたり、企業からの評定も上がります。
さらに努力を重ねて資格などを取得することで、報酬アップも期待できるでしょう。
公務員も能力が上がるにつれ、新たな業務を任されるようにはなります。
しかしそれが評定や報酬につながることはないので、自身のスキルが伸びていることは実感しにくいでしょう。
こういった背景から、一般企業は自身のスキルアップを図る環境としてはうってつけです。
今後のキャリアにおける自由度が高くなる
一般企業にうつるメリットに、「今後のキャリアの自由度が上がること」も挙げられます。
一般企業に従事し、自身のスキルを上げていくことで、他の企業でも通用する能力が鍛えられていくからです。
さらに企業や職種によっては、経験が「手に職」となることで、あらゆる企業で通用する汎用的な知見やスキルが得られます。
その結果、より自身の理想の企業に就業できたり、独立や企業などといった選択肢も広がっていくでしょう。
公務員を辞めて転職するデメリット
一般企業にうつることにメリットはたくさんあるものの、デメリットも存在します。
ここでは、そのデメリットを5つご紹介します。
公務員で培ったスキルは活かしにくい
一般企業にうつるデメリットとして、「これまで培ってきた能力を活かしにくい」ことが挙げられます。
公務員と一般企業とでは、
- やっている仕事内容
- 目標に向かう姿勢
- ライバル社に対する競争意識
などがまったく異なるためです。
たしかに地方公共団体ならではの知見や知識も、非常に専門性が高いものなので、その環境では間違いなく重宝するでしょう。
しかし一般企業では競合他社の存在などもあって、仕事に向かう姿勢から、業務内容、考え方まで、180度異なるといっても過言ではありません。
これまでの経験が活かせる場面は多くはないので、ゼロからの挑戦と考えたほうがいいでしょう。
年収をはじめ待遇は悪化する可能性が高い
「労働条件の悪化」は、一般企業にうつるうえで大きなデメリットとなるでしょう。
とくに地方公共団体の方々の年収は、一般企業と比べ、非常に高い水準となっています。
そのため「これまでと同じかそれ以上の条件」で一般企業にうつろうとすると、難航することは間違いありません。
年収はもとより、何らかの労働条件を妥協する必要に迫られます。
「安定」からは遠ざかる
一般的に地方公共団体と呼ばれる方々は、その強固な「安定性」も保証されています。
日本という国がなくならない限り、仕事がなくなることはないためです。
近年はとくに変化や流行り廃りがとても激しく、数年後に何がどう変わるかがわからない時代となっています。
一般企業にうつることで、その「安定性」が失われてしまうのはデメリットといえるでしょう。
異動や転勤など環境の変化が多くなる
一般企業にうつるデメリットに、環境の変化が増えてしまうことも挙げられます。
企業にもよりますが、とくに大手企業の場合、遠方への転勤や異動はなかなか避けることはできません。
とはいえ収入面を考慮するとやめることもできず、家族と離れて暮らす「単身赴任」を選択する方もいます。
「なるべく今後もおなじ環境で生活をしたい」と考える方にとっては、デメリットとなるでしょう。
周囲の人から引き止められる
一般企業にうつることを周りに公言すると、必ず引き止められます。
世間一般的に見て、公務員のイメージの良さは根強いものがあるためです。
同僚はもちろん、家族、友人からも「もったいない」などの言葉をかけられる可能性は極めて高いでしょう。
それでも絶対にブレない、強い「自分軸」をもつことが重要となります。
公務員ならではの転職で有利になる強み
この章では、一般企業の面接でアピールできる「公務員ならではの強み」をご紹介します。
幅広い分野における勉学能力
あらゆる科目で通用する、偏りのない勉学能力の高さは、特有の強みといっていいでしょう。
地方公共団体のひとりとなるためには、資格を取得することはもちろん、試験における適性検査「SPI」なども通過する必要があります。
その高度な頭脳、そして優れた知識の吸収力は、一般企業への転職において大きな強みとなるでしょう。
基礎体力や持久力・スタミナの高さ
地方公共団体の中でも、運動能力・身体能力が求められる任務に従事している方もいます。
そのような方なら、その優れた基礎体力および持久力、またスタミナの高さは大きなアピール材料となるでしょう。
一般企業とはいえ、移動などが多く体力がないと勤まらない仕事や、体そのものを動かす仕事もたくさんあります。
認識の齟齬を生まないコミュニケーション能力
認識の齟齬が発生しないコミュニケーション能力の高さは、地方公共団体ならではの強みといっても過言ではありません。
たとえば公的な書類や手続きのやり方などを、市民にわかりやすく説明する必要があるためです。
難しい言葉で書かれた書類の内容を理解し、多くの人に噛み砕いて説明するスキルは、誰でもかんたんにマネできるものではありません。
公務員からのスムーズな転職を実現するためのポイント
ここでは、一般企業へスムーズに転職するためのポイントについて見ていきます。
公務員ならではの知識・知性をアピールする
一般企業への面接では、これまで存分に活かしてきた「知識および知性」をアピールすることがポイントになります。
「地方公共団体の一員として働いていた」ということは、幅広い分野における高度な知識を持ち合わせていることの証明でもあるからです。
あらゆる仕事を早く覚えられる頭脳の高さは、大いにアピールすべきでしょう。
転職先の業界で有利になる資格をとる
「自身が目指している業界で有利になる資格」をとることも、重要なポイントのひとつとして挙げられます。
資格があることで、知識・スキル・やる気がアピールできるからです。
公務員がもつ「これまでの経験」は、一般企業で活かしにくいことも事実。
そこを資格で補うことで、就職成功率はアップするでしょう。
転職エージェントを活用する
一般企業にうつるのであれば、転職エージェントをうまく使うことも、重要なポイントになります。
うまく活用することで、理想どおりの転職がよりスピーディーに実現できる可能性が高まるためです。
ひとりで行動するよりも圧倒的に効率がよく、お金もかからないので使わない手はありません。
なお、おすすめの転職エージェントについては後述しています。
公務員からの転職におすすめのジャンル
ここでは、一般企業にうつるときにおすすめのジャンルをご紹介します。
IT・インターネット業界
一般企業にうつるなら、IT・インターネット業界はとくにおすすめです。
一般的に「頭脳労働」なので、地方公共団体ならではの能力を最大限活かせることは間違いありません。
さらにIT・インターネット業界は近年とくに需要が急激に高まっていて、今後も将来性が伸びていくことが期待されています。
これから一般企業を目指すなら、ぜひ検討したい職種です。
コンサルティング業界
コンサルティング業界も、地方公共団体ならではの能力を活かしやすいでしょう。
コンサルティングとは、企業が抱えている悩みを解消するための取り組みを行っている業態のことです。
取引先となる企業が一般企業のみならず、行政に関わることもあるため、地方公共団体の知見が必要とされる場面も少なくありません。
教育職(講師・教師)
教師をはじめとする「教育職」も、これまでの経験が活かせる働き方といっていいでしょう。
市民に対し、「公的書類などの噛み砕いた説明ができる能力」を活かすことができるためです。
教育職では、「どうすれば伝わるか」など、相手の立場に立って考える能力が必要不可欠となります。
営業職
一般企業へうつるなら、営業職もおすすめとなります。
これまで積み上げてきた「コミュニケーション能力」が存分に活きる職業と考えて差し支えないからです。
営業でものを売るには、相手とのコミュニケーションによる「信頼関係」を築くことが必須となります。
また「ストレスへの耐久性」の面で考えても、向いているといえるでしょう。
スポーツトレーナー・ジムスタッフ
地方公共団体として、体を動かす任務に従事していた方であれば、スポーツトレーナーなどもおすすめです。
これまで積み上げてきた基礎体力や持久性を最大限に活かせるからです。
「健康」は、すべての人からのニーズのあるジャンルなので、安定的に働くことも可能になるでしょう。
公務員からの転職を実現するのにおすすめの転職エージェント
ここでは、一般企業への転職を実現するときに、ぜひ利用すべき転職エージェントを3つご紹介します。
活学キャリア
IT・インターネット業界へうつることを考えているなら、活学キャリアがとくにおすすめです。
IT業界未経験、かつ完全初心者を対象にしたITサービスとなっており、これまで公務員として従事してきた方でも安心して利用できます。
また活学キャリアでは、高い需要・人気・汎用性を誇る資格「CCNA」をとることが可能で、その獲得率は驚異の90%超えです。
これから将来性の高いIT業界で活躍したいなら、こちらを利用することに損はありません。
マイナビエージェント
20〜30代で一般企業へうつることを考えているなら、マイナビエージェントも選択肢のひとつです。
専任のアドバイザーが、個々の強みや好みを把握のうえ、しっかりと指導してくれます。
そのため公務員からの就職活動でも安心でしょう。
さらに独自のサポート体制が充実している点も、人気の理由です。
doda
さまざまな職種の求人を幅広く見て、じっくり選びたい方なら、dodaがおすすめです。
求人数とジャンルの豊富さに定評があり、アドバイザーから急かされることもなく、自分のペースで就職活動を行えます。
名だたる大手企業も軒並み顔を揃えており、選択肢が広がることは間違いありません。
公務員を辞めて転職するときに気をつけたいこと
この章では、一般企業へうつるときに気をつけるべき「注意点」について解説していきます。
公務員のデメリットばかりに着目しない
「やめたい」という気持ちが全面に出ている人は、デメリットばかりに目を向けてしまっている傾向が強いです。
毎日働いているとマイナスな部分に目が行きがちですが、その状態で決断するのは危険ともいえます。
デメリットばかりに目を向けず、冷静に良し悪しを把握し、じっくり考えて決めることが大切です。
公務員と同じかそれ以上の待遇を求めすぎない
「これまでの待遇と同じかそれ以上」という条件をつけて活動していると、成功率は下がってしまいます。
言わずもがな、公務員は一般企業に比べて待遇が高水準だからです。
理想を高くもつのはいいことですが「再現性」も視野に入れつつ、妥協できるポイントを考えておく必要があります。
公務員を辞めたあとのキャリアプランを明確化する
一般企業に勤めたあと、その後のキャリアプランをしっかり考えておくことが大切になります。
興味本位で公務員をやめて一般企業に転職すると、のちのち後悔してしまう可能性が高くなってしまうからです。
やめること自体をゴールにするのではなく、
- やめてどうしたいのか
- ゆくゆくどうなっていきたいのか
を考えたうえで、決断しましょう。
まとめ:公務員からの転職は自問自答のうえ慎重に!
「一般企業にうつる」という決断には、メリットもたくさんあります。
その一方で、「公務員をやめること」に対するデメリットもつきものです。
勢いや興味で動くのではなく、
- どうして、やめたいと思っているのか
- やめたあと、どのような行き方をしたいのか
を、まずはじっくり自問自答することが重要となります。
決断後の失敗や後悔を避けるためにも、しっかり自分と向き合い、慎重に決断することを心がけましょう。