アパレルや雑貨、家電量販店などを支える販売職。
しかし休日の取れなさや給与面、接客のストレス、キャリアアップなどの観点から、販売職を辞めたいと感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事をご覧になっている方の中には、「販売職から別の職種へ転職したいけれどできるのだろうか」「販売職からの転職におすすめの職種は何か」という疑問を持っている方もいるかと思います。
そこで今回は、そうした転職の悩みを持つ販売職の方に向けて、販売職からの転職理由、異業種転職の実態、転職で活かせるスキル、販売職からの転職を成功させるポイントを一挙に紹介します。
是非とも本記事を参考に、販売職からの転職を成功させてください。
販売職からの転職理由は?
はじめに、販売職の方々の転職理由を解説します。
苦情やクレームが多い
販売職は、接客業であることから、苦情やクレームに対応する機会も多いです。
商品に対する苦情はもちろん、販売員に対して直接のクレームも想定されます。
苦情やクレームの対応は精神的にも負担のかかる仕事であり、クレーム処理を理由に販売職を辞める人も多いです。
残業時間が多く休日も不規則
販売職は開店準備や閉店後の作業など、残業時間が多い職種でもあります。
残業の長さに苦しんでいる販売員も多く、残業代の出ない職場もあることから、転職を考える人もいるようです。
また、店舗勤務ではシフト勤務を採用している現場がほとんどでしょう。
土日祝日のほか、GWや正月休みなどはむしろ繁忙期となるため、プライベートの充実が図りにくいのも販売職のデメリットです。
給料が低い
給料の安さも、販売職からの転職を考える理由です。
販売職は他の職と比べると専門性が低いとされ、給料を安めに設定している会社も多いと言えます。
特に正社員として販売職に就いている人は、勤務時間を考えるとアルバイトの方が稼げるなんて思うこともあるほど。
給料の安さから、販売職を辞めたいという人もかなり多いようです。
専門的なスキルが身につかない
販売職では、専門性の高いスキルが身につきにくいという理由も挙げられます。
販売職の仕事内容は、顧客に対して商品を売ることがメインであり、業務の中で新たなスキルを見つけることがなかなかできません。
そのため、特に年齢が若い人ほど、将来性を考えて不安に思ってしまうことが多いでしょう。
さらに、店長やマネージャー職までの道のりが長いというのも、転職を検討する理由のひとつです。
販売職は入社しやすい職種であると言えますが、その分入社後に得られるスキルが少ないため、転職を考える人も多いと言えるでしょう。
キャリアアップが難しい
基本的に現場仕事である販売職は、昇給やキャリアアップが難しいと言われています。
店長になれたとしても、それほど大きく待遇が変わるわけではなく、むしろ業務量や責任が増えるために、店長への昇進を拒否している人もいるほどです。
昇進までに時間がかかること、また昇進したとしてもあまり待遇面では変わりがないことから、長いキャリアを考えて転職を検討する人も多いと思われます。
販売職からの異業種転職は厳しい?
販売職から他の職種への転職を検討している方の中には、「販売職からの異業種転職は厳しいのでは」と考えている方も多いと思います。
しかし実際には、販売職から他職種への転職を成功させた事例も多く、転職難易度も非常に難しいというわけではありません。
もちろん、職務内容や企業の規模によって転職難易度の上下はありますが、今までの経験や実績をうまくアピールすることで、販売職であっても他の職種へのキャリアチェンジは可能でしょう。
転職活動を行う際には、「自身の市場価値の把握」「自分の適性がある仕事選び」「明確な将来のキャリア像」などを、転職活動前にしっかりと準備をしておくことが大切です。
さらに、転職活動をする上で重要なのは、自分の経験やスキルをアピールする方法や、転職先で求められるスキル・経験を持っているかどうかを説明することができるエビデンスを用意することです。
これらのアプローチを活用することで、販売職から他の職種への転職の可能性を高めることができます。
転職で活かせる販売職としてのスキルは?
続いて、転職で活かせる販売職のスキルについてみていきましょう。
コミュニケーションスキル
販売職として働いてきたなかで、転職の際に大きなアピールポイントとなるのは、やはりコミュニケーションスキルでしょう。
販売職には、常に接客の機会があったり、商品を売るための話術を持っているという特色があります。
特に高級品を扱う店舗など、丁寧な接客を心がけている企業に勤めている場合は、営業職など他の職種にも活かせる経験が積まれていることでしょう。
また、営業職以外のどんな業種・業界においても、コミュニケーションスキルは必要不可欠な能力です。
書類審査や面接の際には、ご自身の持つコミュニケーションスキルを積極的に売り出すように心がけましょう。
顧客のクレームなどへの対応能力
販売職を経験している方であれば、顧客のクレーム対応をしたことのある方も多いと思います。
クレーム対応では、顧客それぞれに合わせて問題点や解決策を提案する柔軟な対応力が鍛えられます。
また、クレームの中には理不尽な要求をされることもあるとは思いますが、そうした試練を適切に処理する対応能力も、販売職が評価されるポイントです。
商品管理・売上管理
また、販売職の中には、商品管理や売上管理に携わる経験をしている方もいることでしょう。
特にExcelなどのパソコンスキルは、どの業界でも評価されるポイントです。
さらに、商品管理や売上管理を通して、商品の売り方や市場のニーズを把握して、問題点・課題点・解決策などを考えながら売り上げに貢献した経験は面接でも高く評価されます。
また、事務職を志望する際にも、こうした管理能力やパソコンスキルは評価されやすいでしょう。
販売職から転職する際のおすすめ職種は?
それでは、ここからは販売職から転職する際のおすすめ職種を紹介していきます。
営業職
営業職は、接客を通して身につけたコミュニケーション能力を活かせる職種です。
営業職は「人」を相手にする職業であり、コミュニケーション能力は必須となってきますので、これまでの経験が存分に活かせます。
また、マーケティングプランナーや商品企画、営業コンサルタント、管理職など、多様な職種がその先のキャリアパスになることも営業職の魅力です。
さらなるキャリアアップを達成するために、まずは営業職に就いて経験を積む、という選択も非常に有意義なものでしょう。
事務・総務・経理
事務・総務・経理といった職種もおすすめです。
事務・総務・経理では、気配りや協調性、臨機応変な対応力などが重宝されます。
正社員として店舗の運営に携わった方や、在庫や人事の管理業務などを担当したことのある方は、こうした仕事にも転職しやすいと言えるでしょう。
事務・総務・経理として働くためには、Office系のソフトを扱うスキルは必須となります。
また、これらの職種の中で、特に未経験歓迎の求人が多いのが事務系の職種ですが、事務は応募人数も多く、競争率の高い職種であるとも言えます。
なお、事務系の職種は専門的な知識を必要とされない分、新たなスキルの習得や将来的なキャリアアップは望みにくいというデメリットもあります。
IT・Web系
IT・Web系の仕事は、販売職からの転職のハードルが高いようにも思われがちですが、販売職・店舗スタッフとしての経験が活かせる分野の仕事も少なくありません。
例えばECサービスを中心に提供している企業の場合、実店舗での接客経験は現場の肌感覚を持っている人材として重宝されることがあります。
IT・Web業界での仕事では、Webマーケティングの知識やHTML、CSS、JavaScript、PHPなどのプログラミングスキル、SEOに関する知識などが必要です。
これらは書籍や学習サイトを通して独自で身につけることも十分に可能ですが、移り変わりの速いIT・Web業界では継続した学習が必須となります。
スキルを身につけた分だけ昇給もしていくと言えますが、常に学び続ける姿勢が大切となってくる業界です。
介護系
介護系の職種は人手不足が慢性化していることが多く、未経験者でも採用されやすい職業です。
介護の仕事も「人」が相手になるため、販売職として培ってきた経験を活かしやすい職業のひとつです。
さらに、日本は今後さらに高齢化が加速することが確実となっていますので、介護職は将来性のある職種でもあります。
介護業界ではキャリアアップに資格取得が必須となってきますので、転職後も継続した学習が必要です。
ですが、資格を取得することによって昇給していくというわかりやすいキャリアアップへの道のりとなるため、昇進制度が曖昧な販売業よりもモチベーション維持しやすいとも言えるでしょう。
同業種内の他職種
「販売職の仕事は辞めたいけれど、現在自分が勤めている業界は好き」といった方の場合は、企画職など同業種内で他職種への転職もおすすめです。
同業種内の他職種転職は、全く関係のない業種から転職してくる志望者よりも有利に転職活動を進められる可能性もあります。
基本的な業界知識は身についていると見なしてもらえるため、企業の求める人間性と合致することができれば、すぐに採用が決まることもあるでしょう。
また、同業種内での転職はキャリアに一貫性を持たせることが可能です。
これから先のキャリアを考えても、他職種への転職は有意義な経験になってくると言えるため、同じ業界にいたいけれど販売職は辞めたい、という方には非常におすすめできる選択肢です。
販売職からの転職を成功させるポイントは?
次に、販売職からの転職を成功させるポイントについても確認していきましょう。
「なぜその職種に就きたいのか」を明確にする
未経験の職種へ転職する場合、企業側が懸念していることとして「実際の仕事内容を具体的に認識できているか」という点が挙げられます。
面接の際には、異業種を志願する理由をわかりやすく説明することが大切です。
「曖昧なイメージで、なんとなく憧れているだけ」と捉えられないよう、事前になぜその職種に就きたいのかを明確にしておきましょう。
就きたい職種に活かせる経験や強みを洗い出す
未経験の職種にチャレンジする場合では、今までのキャリアの棚卸しなどをすることによって、就きたい職種に活かせる経験や強みを洗い出しておくことが大切です。
販売職においては、コミュニケーション能力や管理能力、提案力などを強みとしてアピールすると良いでしょう。
面接の際には、販売職として経験してきたことを、異業種の採用担当者にも伝わる程度まで噛み砕き、新しい業界でも活かせる知識・スキルは何なのかを洗い出しておく必要があります。
「これまでの経験から、自分は今どんなスキルを持っているのか」をたくさんリストアップし、「そうしたスキルは今後の仕事においてどのように活用できるのか」をわかりやすく説明できるまでに噛み砕くことがポイントです。
就きたい職種の情報を把握しておく
面接でマッチ度合いをしっかりとアピールするためにも、入社後のミスマッチを防ぐためにも、転職前に就きたい職種の情報を把握しておくことは非常に大切です。
業界の特性や職種の特徴、実際の業務内容、仕事のやりがいや大変なこと、転職後の具体的なキャリアパス、求められるスキルなど、できる限り広範囲の情報を入れておくよう心がけましょう。
転職後のミスマッチを避けるために大切なのは、事前に業務内容だけではなく、残業時間の平均や離職率の高さ、仕事のやりがいや大変なことなど、ややネガティブな情報にもしっかりと触れておくことです。
また、転職後のキャリアパスも理解しておくことで、長期的な目線でその職種を捉えられるようにもなります。
まとめサイトを閲覧する他にも、口コミサイトや転職サイトも見て、実際の従業員の声に触れておくことも大切です。
必要に応じてスキル獲得も目指す
希望する職種が専門職や技術職であれば、転職活動を始める前にスキル獲得の必要があることもあるでしょう。
特に、IT業界や介護業界では、事前に資格などを獲得しておくことで転職活動が有利に進められるケースも多いと言えます。
スキルの獲得は時間のかかる工程ですので、転職活動と一緒にはせず、まずは資格取得に向けてしっかりと学習を進め、資格を取った後に転職活動を始める、という順番がおすすめです。
求人探しにおける企業選びのポイントを把握しておく
転職活動は求人探しからスタートします。
最初の段階で自分の希望とマッチ度の高い企業を選択できるよう、予め求人探しにおける企業選びのポイントを把握しておくことは重要です。
求人探しでは、給与や業務内容だけではなく、残業時間や休日制度、会社の規模感や従業員数、上場非上場、離職率、福利厚生制度、転勤の有無など複合的な目線から会社を捉えることも大切でしょう。
また、文面だけではわかりにくい点でもあるかとは思いますが、「自分が成長できる環境かどうか」「社員の人間関係は良好か」「どのような人が働いているか」「在宅勤務など最新の労働環境に対応しているか」といった点にも注目しておきたいところです。
これらは面接中の逆質問の際にも質問できる項目ですので、事前に疑問点をピックアップしておくことも良いでしょう。
販売職からの転職は転職エージェントの利用がおすすめ
なお、販売職からの転職では、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは、転職希望者と企業との間を仲介して両者をマッチングさせてくれるサービスのことで、プロのキャリアアドバイザーが転職を総合的に支援してくれます。
国からの認可が降りないと運営できないクリーンなサービスで、料金も無料です。
忙しい自分に代わって求人探しから行ってくれ、書類添削や面接対策なども積極的に実施してくれるエージェントがほとんどですので、是非とも転職の際は転職エージェントの利用を検討してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、そうした転職の悩みを持つ販売職の方に向けて、販売職からの転職理由、販売職から異業種転職の実態、転職で活かせる販売職のスキル、販売職からの転職を成功させるポイントを一挙に紹介しました。
是非とも本記事を参考に、販売職からの転職を成功させてください。