Linuxのサーバー構築は初めての方にとって、一見複雑な作業のように感じられるかもしれません。
しかし正しい手順と理解をもって取り組むことで、段取り良くサーバー環境を構築することができます。
この記事では、Linuxサーバー構築の具体的な手順とそのメリットについてご紹介します。
また、サーバー構築の前に固めておくべきポイントも紹介しているので、失敗を未然に防ぐことに役立つでしょう。
正しい手順に基づいてサーバー構築を進めれば、信頼性の高いサービスの提供や効果的なシステム管理が可能になります。
Linuxとは?という方は、下記の記事でわかりやすく解説しているので先に読んでみてください。
なぜLinuxでのサーバー構築がおすすめ?
Linuxでのサーバー構築が推奨される主な理由は以下のとおりです。
- 安定性が高い
- 柔軟性が高い
- 安全性が高い
- 低コストで使える
Linuxは安定性に優れ、長期間の稼働や負荷の高い環境でも安定して動作します。
またさまざまなパッケージやツールが豊富に提供されており、必要な機能やサービスを簡単に追加できる柔軟性も魅力です。
またLinuxはセキュリティにも優れており、堅牢なアクセス制御やパッチの迅速な提供によってシステムの安全性を確保しています。
さらにライセンス料もなく低コストでの運用を実現できることは、法人・個人問わず大きな利点です。
Linuxのサーバー構築方法については、下記記事でどこよりもわかりやすく解説しているので参考にしてください。
Linuxでサーバーを構築するメリット
Linuxでサーバーを建てることによる利点を見ていきましょう。
カスタマイズ性が高く柔軟な変更にも対応できる
数多くのオプションやツールによって、用途に合わせたサーバーの改変を自由に行うことができる点がメリットです。
Linuxはモジュール式の設計を採用しているので、変更やアップグレードもかんたん。
新しい機能やセキュリティパッチの追加、ハードウェアのアップグレードなどに対応するために、システムの細かな改変が可能です。
必要なモジュールのみを使うことですることで、サーバーサイズも最小限に抑えられるでしょう。
また豊富なコミュニティやサポートにより、変更に関する情報や支援を得ることもできます。
費用をかけずに構築・運用できる
Linuxは無償で一般公開されているOSなので、ライセンス料をはじめとする費用がかかりません。
そのため、サーバーを建てるための初期費用を最小限にできることが強みです。
またハードウェアの要件も比較的低く、古いマシンや低費用のハードウェアでも動作させることができます。
つまり既存のパソコンを再利用できるので、費用を抑えたハードウェア環境でサーバーを構築することができます。
さらにLinuxは堅牢なセキュリティシステムを標準で設けているので、それに関する追加費用も必要ありません。
比較的セキュリティの維持がかんたん
セキュリティの維持が容易なこともメリットといえます。
たとえばLinuxでは、ユーザーごとに権限を厳密に制御することが可能です。
また一般公開されているOSという特性上、多くの開発者やセキュリティ専門家が監視・検証を行っています。
そのためセキュリティに関する問題が発見されると、素早く修正されるのが特徴です。
さらに、Linuxの豊富なコミュニティによるサポートの利用も可能。
システム保護に関する情報やベストプラクティスも共有されており、適切な対策を講じるためのガイドラインも多く提供されています。
データ処理をはじめ高度なパフォーマンスが期待できる
高度なパフォーマンスと優れたデータ処理能力が期待できる点も魅力です。
Linuxはソフトウェア構成が単純な作りとなっているため、データ処理能力が高いです。
そのため複数のタスクを同時に処理するなど、高い負荷下でも安定したパフォーマンスを発揮します。
またLinuxは優れたファイルシステムやキャッシュメカニズムを備えており、データの読み書き処理を最適化することも容易。
したがってデータベースや大容量ファイルの処理など、データ関連の作業においても高い性能を維持することが可能です。
サーバーソフトの組み合わせが多彩
Linuxには幅広いサーバーソフトウェアが提供されています。
具体的には
- Webサーバー
- データベースサーバー
- メールサーバー
- ファイルサーバー
のようなものがあり、やりたいことに応じて自由に選ぶことが可能です。
各ソフトウェアはそれぞれに独自の拡張機能やモジュールをもっているので、組み合わせて利用することで、再現できることの敷居も広がるでしょう。
対応しているOSの種類が多く汎用性が高い
使えるOSの種類が多く、いろんな目的で使えることもメリットです。
Linuxはさまざまなディストリビューションがあり、それぞれが異なる特徴や目的に合わせて開発されています。
これにより、特定の目的や要件に沿って最適なものを選ぶことが可能です。
またLinuxは、さまざまなハードウェアアーキテクチャに対応。
x86、ARM、PowerPCなど、他にもいろんなプラットフォームで動作するので、異なるハードウェア環境でサーバーを建てるときも、役に立つものとなります。
問題の特定や解決が比較的かんたん
Linuxは豊富なログやデバッグツールを設けており、システム状態やエラーの原因を追跡するのに役立ちます。
ログファイルを調べることで、問題が発生した時点や具体的なエラー内容を特定しやすくなるでしょう。
またコマンドラインインターフェースも強力で、システムの状態やリソース使用状況をリアルタイムで監視できます。
問題発生時にもてっとり早く対応できるので安心です。
さらに一般公開されたOSならではの豊富な情報により、問題解決に関するノウハウを容易に入手できます。
Linuxサーバー構築の前に固めておくこと
サーバーを建てるなら、まず最初に以下のことを固めておきましょう。
作るサービスの完成像
サーバーを建てる前に、作るサービスの完成像をイメージしておくことが大切です。
完成像がイメージできていない限り、最適なサーバーは選びようがありません。
完成イメージは以下のような項目を、具体的に定義することがポイントです。
- サービスの機能
- サービスのターゲットユーザー
- 達成したい目標
- 必要なリソース
- 予想されるトラフィック量
- サービスの運用体制
- セキュリティ要件
完成イメージの再現に必要な機能をムダなく選ぶことが、良質なシステム開発のコツといっても過言ではありません。
必要なサーバーのスペック
サーバーにはどの程度のスペックが必要か、先立って見極めておきましょう。
これは、サービスの提供範囲や用途によって大きく変動します。
たとえば常時一定のアクセス数が保たれるようなシステムなら、それほど大きなスペックは必要ないでしょう。
しかし、特定の期間や時間に多くのアクセスが集中するようなサービスなら、それなりのスペックを用意したほうが安心です。
過剰なスペックはコストの面でもムダですが、逆に不足しているとパフォーマンスの低下やサービスの評価に影響が出る可能性があります。
適切なスペックの選定は、サーバーのパフォーマンスや応答性、安定性に直結するもの。
十分な要件の洗い出しと評価を行い、しっかり固めることが重要です。
目的に沿ったディストリビューション
目的に合わせたディストリビューションの選択も、先立ってやっておきたい項目です。
たとえばディストリビューションには、
- ウェブサーバーを建てることに適しているもの
- データベースサーバーを建てることに適したもの
- 堅牢性・保守性に優れているもの
- 軽量で処理スピードの速さがウリのもの
など、選択肢はたくさんあります。
ここで必要以上のものを選んでしまうと、サービスの品質が低下したり、運用コストが増加したりすることがあります。
理想的な環境を提供するためにも、建てるサーバーの目的や必要機能を洗い出しましょう。
おすすめのLinuxディストリビューションについては、下記記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
利用するアプリケーション
建てたサーバーで実現するサービスの中身しだいで、それに適したアプリケーションも大きく異なります。
アプリケーションとディストリビューションの組み合わせがよくないと、サービスの提供ができなかったり、不具合が発生するリスクもゼロではありません。
アプリケーション間の相互運用や依存関係もしっかり考慮し、必要なソフトウェアパッケージやライブラリのインストールを先立って計画することが重要です。
サーバーを置く場所
サーバーをどこに置くべきかも、先立って決めておくべきでしょう。
具体的には、以下のような選択肢が挙げられます。
- 社内に設置する
- データセンターを利用する
- クラウド環境下に置く
物理的なサーバーを社内に設置する場合、サーバー本体のみならず、適切な温湿度管理を実現する冷却設備も必要になります。
クラウド環境で管理するのも良い選択ですが、利用には継続的な費用がかかるため、長期的な運用が目的ならじっくり検討を重ねなければなりません。
どの選択肢にもメリット・デメリットは存在するので、サーバーを建てる前に固めておきましょう。
適切なプログラミング言語
プログラミング言語にもそれぞれに個性があり、向き不向きのジャンルも違います。
実現するサービスに合っているプログラミング言語はどれなのかは、サーバーを建てる前に考えておきましょう。
たとえばサーバーサイド系ならPHP、Python、Rubyなどのスクリプト言語が広く利用されています。
また高パフォーマンスを要求する場合には、CやC++、Goなどの言語が適しているでしょう。
セキュリティへの対策
Linuxはいくらセキュリティ性能に優れているとはいえ、「リスクがまったくない」とはとても言い切れません。
そのため、その対策はどう講じるべきかも、先立って決めておく必要があります。
代表的な対策には、
- 最新のセキュリティパッチを適用する
- 強力なパスワードを使用する
- ファイアウォールを有効にする
- 不正アクセスを検知するセキュリティツールを導入する
などがあります。
セキュリティ対策は一度施したら終わりではなく、継続的な施策が必要。
そのため、「サービス運用中も定期的な監査や脆弱性スキャンを手間なく続けていくためにはどうしたらいいか」を考えてください。
Linuxサーバー構築の手順
サーバーを建てる手順を、3ステップに分けてご紹介します。
手順①:MX Linuxのダウンロード
まずは、「MX Linux」のダウンロードを行います。
以下のページから、インストールに必要なファイルをダウンロードしてください。
なお、ダウンロードに必要なスペックは以下のようになっています。
- CPU:インテルi686プロセッサ/AMDプロセッサRAM:512MB(推奨は2GB以上)
- HDD:5GBの空き領域(推奨は20GB以上)
- メモリ:推奨は4GB以上
手順②:MX Linuxのインストール
MX Linuxのダウンロードが完了したら、次にインストールを行います。
インストーラを起動したら設定画面を開き、以下の設定を行ってください。
- 言語:日本語
- 時刻:Tokyo
設定後にデスクトップ画面が開いたら、その中の「Installer」を選択。
すると、利用規約画面やディスク配分方法などの設定項目が表示されますが、すべてデフォルトのまま「Next」をクリックします。
すると、ユーザ名やパスワードの入力画面が表れるので、任意のものを入力したら、インストール作業は終了です。
「Installation in progress」が100%に到達したのを確認後、「finish」を選択してください。
なお、DVDやUSBを用いたインストールを行うなら、専用ソフトが必要になります。
手順③:ターミナルの起動確認
デスクトップ画面の左下に、スタートメニューがあります。
その中から「Xfce Terminal」を選択のうえ、ターミナルが問題なく立ち上がることを確認しましょう。
毎回スタートメニューから選ぶのが面倒な場合は、ショートカットを作成し、好きな場所に貼り付けておくこともおすすめです。
手順④:IPアドレスの設定
デフォルトで設定されたIPアドレスは、ターミナルにて「ip -4 a」と入力することで確認できます。
こちらを変更する場合、スタートメニューの設定から「Advanced Network Configuration」を選択。
その後IPv4の設定変更画面が出てくるので、「Add」ボタンから新しいIPアドレスを追加してください。
新たなIPアドレスを設定した後、再起動するとIPアドレスの変更が反映されます。
再起動後、ターミナルにて「ip -4 a」と入力し、新たに設定したIPアドレスが記載されていれば完了となります。
まとめ:利便性の高いLinuxサーバーを構築して活用しよう!
一見面倒な作業にも思えるサーバー構築ですが、正確な手順と理解をもっていれば、楽しい作業にもなり得ます。
Linuxサーバーは利便性が高く、いろんな形式に改変することが可能なので、多くの企業や個人から愛されています。
正しい知識と手順を学んでサーバーを建て、快適なシステム運用を実現してください。