「機械学習ってどんな手順で行われているの?」
「独学で習得するには何をすればいい?」
本記事では、このような疑問をお持ちの方に向けて、機械学習の手順を5つのステップでお伝えします。
機械学習によってできることや、よくある質問について網羅的に解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
機械学習とは?
機械学習とは、データを元にコンピュータが学習する技術のことです。
予め人間が学習ルールを教えてあげるのではなく、大量のデータから自動的にそのルールを学習することが重要なポイントです。
これにより、人間が認識しきれない複雑な傾向やパターンをコンピュータが自ら見つけ出し、それを元に新たな予測や判断を行います。
AIの根幹をなす技術のひとつであり、あらゆる業界から注目を浴びている技術です。
さらに詳しい内容は以下の記事でまとめています。
AI・ディープラーニングとの違いは?
AIの話になるとよく耳にするディープラーニング。
ディープラーニングも機械学習と同様、AIを構成する要素のひとつです。
ディープラーニングは、ニューラルネットワークの一種であり、現在最も注目されている技術です。
大量のデータを用いて自己学習を行い、人間の脳のように高度な認識能力を持つことで知られています。
素晴らしい技術ではありますが、精度を向上させるためには膨大な量のデータと高性能なコンピュータが必須となる点は大きな課題です。
以下の記事でも詳しくまとめていますので、あわせて読んでみてください。
機械学習によってできること
多くの分野で活用されている機械学習。
機械学習によってできることについて具体的に解説します。
画像認識や音声認識
画像認識は医療からエンターテイメントまで幅広く利用されています。
最も認知度の高い活用事例は、スマートフォンの顔認識機能です。
人間の顔を正確に認識し、一瞬で画面ロックを解除する仕組みには、高度な画像認識技術が使われています。
医療分野の例としては。レントゲン画像やMRIの画像解析です。
医師の診断をサポートすることが可能となります。
音声認識の応用例としては、リアルタイムに翻訳できるソフトやコールセンターにおける自動電話対応が挙げられます。
自然言語処理
自然言語処理(NLP)は、コンピュータが人の言葉を解析して処理する技術です。
最も身近な例としては、スマートスピーカーやスマートフォンの音声認識機能が挙げられます。
これらのデバイスは、ユーザーが話す言葉をテキスト化し、それを基に適切な情報を提供したり、命令を実行したりすることが可能です。
さらに、自然言語処理は大量のテキストデータから情報を抽出し、その内容を分析するためにも利用できます。
たとえば、SNSのユーザー投稿から世論を把握する、ニュース記事からトレンドを予測する、大量のレビューから製品の評価を把握するなどです。
他にも翻訳ツールとして有名なGoogle翻訳やDeepLでもNLPの技術が応用されています。
データ予測
過去のデータから学習し、未来の事象を予測することも可能です。
株価の予測、売上の予測、天候の予測など、多岐にわたる事例があります。
マーケティングの分野では、顧客の購買行動を予測し、それに基づいてパーソナライズされたマーケティング戦略を立てることが可能です。
製造業における生産性に関わる事例として、製品の故障予測も挙げられます。
必要なメンテナンス時間を事前に調整し、製造ラインの稼働時間を最大化します。
機械学習の種類と応用事例
機械学習には教師あり学習、教師なし学習、強化学習の3つの種類があります。
それぞれの特徴と応用事例について解説します。
教師あり学習
教師あり学習とは、既知のデータセット(教師データ)を使用して、未知のデータを予測する学習手法です。
代表的な応用事例としては、天気の予測や迷惑メールのフィルタリングです。
天気の予測においては、過去の天候や気象データをもとに、未来の気象状況を予測。
迷惑メールのフィルタリングにおいては、過去のメールデータから迷惑メールとそうでないものを学習させ、迷惑メールか否かを判断します。
以上のことからわかるように、すでにあるデータから未来を予測するのが教師あり学習です。
教師なし学習
教師なし学習はラベル付けされていないデータを用い、その構造やパターンを把握するための学習手法となります。
たとえば、顧客の購買データからクラスタリングを行い、それぞれのクラスターの特性を把握し、マーケティング戦略を立案することも可能です。
また、画像認識でも重要な役割を果たします。
未ラベルの大量の画像データから特徴を抽出し、類似性を探ることが可能です。
これらの例からわかるように、教師なし学習は未ラベルのデータから有意義な情報を引き出す学習手法として、ビジネスや研究の現場で広く活用されています。
強化学習
強化学習は、コンピュータが自分で試行錯誤をしながら学習し、最適な行動を見つけるための学習手法です。
たとえば、ゲームのキャラクターを操作して報酬を最大化する行動を学ぶとします。
コンピュータは試行錯誤を通じて、どの行動が得点を上げるかを学んでいきます。
これによって、最終的には最適な行動を選ぶ能力を持つようになるのです。
強化学習は、自動運転の制御やロボットの操作、ゲームのAIなど、さまざまな分野で使われています。
コンピュータが自分で考えて行動することで、複雑なタスクをこなすことができるようになるのが強化学習の魅力です。
機械学習の手順5ステップ
ここでは教師あり学習を例として、機械学習の手順を5つのステップでお伝えします。
STEP1:学習データの読み込み
STEP2:データの前処理
STEP3:データの分割
STEP4:モデルの学習
STEP5:モデルの評価
それぞれ具体的に解説します。
STEP1:学習データの読み込み
最初のステップは、学習に使用するデータを読み込むことです。
たとえば、猫と犬の写真から猫か犬かを判別する場合、写真データとそれぞれの写真が猫か犬かを示すラベルを用意します。
STEP2:データの前処理
データをそのまま使うことが難しい場合があります。
欠損値(データが抜けている部分)を処理したり、データを数値に変換したりする前処理が必要です。
たとえば画像の場合、サイズを統一したり、ピクセル値を正規化したりすることが含まれます。
正規化は、データを整理する方法の一つです。
関連する情報をグループ化し、情報が重複しないようにデータを整理します。
STEP3:データの分割
学習に使用するデータを、トレーニングデータとテストデータに分割します。
トレーニングデータはモデルの訓練に使用され、テストデータはモデルの性能評価に使用されます。
STEP4:モデルの学習
モデルの学習は、トレーニングデータを使います。
コンピュータに「これは猫、これは犬」ということがわかるように訓練し、モデルを構築していきます。
実際に使うライブラリはScikit-learnやTensorFlowなどです。
STEP5:モデルの評価
STEP4で学習させたモデルの予測精度がどれくらいなのかを、評価指標を用いてチェックします。
一般的な評価指標は、正解率(Accuracy)、適合率(Precision)、再現率(Recall)、F値 (F-measure)などです。
性能を評価する際には、テストデータを使用します。
以上により、モデルの性能を客観的に測ることができます。
機械学習を独学で習得する手順
初心者の方が独学で機械学習を習得するための手順を紹介します。
①機械学習を勉強する目的を明確にする
まずはじめに、機械学習を学ぶ目的を明確にしましょう。
独学は基本的に独りで進めていくことになるため、モチベーション維持のために最も重要なポイントです。
場合によっては独学でないほうがいいと考えられるパターンもあります。
たとえば「未経験から独学で機械学習エンジニアを目指す」というような、比較的難易度の高い目標です。
独学では多くの人が挫折してしまうような目標は、プログラミングスクールの活用をおすすめします。
②Pythonの基礎を勉強する
機械学習を学ぶためには、プログラミングは欠かせません。
Pythonは初心者にも親しみやすく、機械学習の実装にも使用されています。
まずは基本的な文法やコーディングの方法を学び、実際に手を動かしながらプログラムを書いてみましょう。
Pythonの学習において参考になるコンテンツはたくさんありますので、それらを活用してみてください。
③数学や統計学の基礎を勉強する
機械学習には数学や統計学の基本的な知識が必要です。
平均や分散などの概念を理解しましょう。
数学や統計学は難しいイメージがありますが、基礎的な部分から少しずつ学んでいけば、基本的なことは十分に理解できます。
④機械学習やディープラーニングの基礎を勉強する
いよいよ機械学習の本格的な学習です。
まずは機械学習の基本的な概念やアルゴリズムを学びましょう。
どのアルゴリズムがどのような場面で使われるか、どのようにデータから予測をするのかを理解することが目標です。
あわせてディープラーニングの基本やニューラルネットワークについても学んでみましょう。
よくある質問 (FAQ)
機械学習においてよくある質問を3つ紹介します。
機械学習を行う際に準備するものは?
必要なものは以下の3つです。
- 学ぶ意欲
- パソコン
- 学習させるデータ
まずは「学ぶ意欲」です。
初めて機械学習をする際は、わからないことだらけですぐに挫折する可能性があります。
学ぶ意欲を高く持てるよう、学ぶ理由を明確にしておきましょう。
次にパソコンです。
最初はそこまでスペックの高いパソコンでなくても問題ありませんが、本格的に学ぶと決めているのであれば、Macなどある程度スペックの高いPCをおすすめします。
最後にデータです。
これまでにもお伝えしているように、機械学習にはデータが必要です。
データを1から準備するのは大変かと思いますので、まずはインターネット上で公開されているデータを使ってみましょう。
入手先としては以下のようなサイトが挙げられます。
- DATA GO JP:総務省行政管理局が運用するオープンデータベース
- Data.dov:アメリカ政府が公開している政府予算や天候、経済指標などのデータベース
機械学習の分け方は?
分け方は大きく以下の3つです。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 強化学習
下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
Pythonで機械学習を行う手順は?
機械学習のモデルを構築する一般的な手順は以下の通りです。
- データの用意
- データの前処理
- フィーチャーエンジニアリング
- モデルの訓練
- モデルの評価
- モデルの最適化
以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて読んでみてください。
機械学習を最短で習得するならスクールを活用しよう!
今回は機械学習の手順や独学で習得する場合の手順について解説しました。
独学で機械学習を習得し、エンジニアとして活躍されている方もいらっしゃいますが、非常に稀なパターンです。
特に機械学習エンジニアへのキャリアチェンジを考えられている方は、最短で習得できるプログラミングスクールの活用をおすすめします。
完全未経験でも採用している企業もありますが、入社後の苦労が多く、挫折してしまうパターンもあるからです。
着実にステップアップしていきたい方は、ぜひプログラミングスクールを検討してみてください。