IT系の国家資格でも一番難しいと言われているネットワークスペシャリスト。
「どれくらい難しいのかな」
「どうやって勉強しよう」
「年収を今より上げたい」
このように感じている方へ向けて、今回はネットワークスペシャリストの難易度や勉強方法、年収アップのコツまで一挙に解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
ネットワークスペシャリストとは
ネットワークスペシャリストは、ネットワーク分野で業務にあたり、指導者として活躍するための資格です。
情報処理推進機構(IPA)が主催しています。
ネットワークの基礎が分かっているだけでは合格できない、難しい試験です。
ネットワークスペシャリスト試験の難易度
ネットワークスペシャリスト試験の難易度や勉強時間の目安を解説します。
IT系国家資格で最高のレベル4
情報処理技術者試験制度で区分されている4段階のなかで、一番難易度が高い資格です。
- レベル1…ITパスポート試験
- レベル2…基本情報技術者試験
- レベル3…応用情報技術者試験
- レベル4…ネットワークスペシャリスト
ITサービスマネージャやプロジェクトマネージャなどもレベル4にあたります。
合格率は約14%
過去5年間の平均合格率はおおよそ14%です。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
令和4年度春期 | 9,495人 | 1,649人 | 17.4% |
令和3年度春期 | 8,420人 | 1,077人 | 12.8% |
令和元年度秋期 | 11,882人 | 1,707人 | 14.4% |
平成30年度秋期 | 12,322人 | 1,893人 | 15.4% |
平成29年度秋期 | 12,780人 | 1,736人 | 13.6% |
(令和2年は実施なし)
参考:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 統計資料
システム系やネットワーク技術支援業務を行う方が多く受験していますが合格率は低く、難しい試験であることがうかがえます。
合格に必要な勉強時間の目安は半年から1年
合格するための勉強時間はだいたい半年から1年と言われています。
4つの試験区分でそれぞれ範囲が異なるため、事前に学習計画を立てて勉強を進めていきましょう。
ネットワークスペシャリスト試験の合格が難しい理由
なぜネットワークスペシャリストが難しいといわれるのか、その理由を解説します。
1日に4つの試験がありすべて合格点を超える必要がある
ネットワークスペシャリストは、午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの4つの試験があります。
合格するためには全ての試験で100点満点中60点以上を超えなければなりません。
試験は朝9時30分から午後の16時30分まで続くため、高い集中力が求められます。
午後に実施する筆記試験の難易度が高い
午前の試験は選択式ですが午後の筆記試験は記述式で、午後Ⅰ・午後Ⅱの方が難易度レベルが上がります。
特に午後Ⅱの試験が最難関で、10ページにもわたる問題文を理解して記述しなければなりません。
決められた文字数で文章をまとめる力も鍛えていきましょう。
合格者は実務経験が豊富にある人が多い
合格者は33歳前後で、知識が豊富で実務経験を積んだ方が多いです。
このことから、経験や知識が浅い方は簡単に合格できないことが読み取れます。
参考:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 平均年齢
ネットワークスペシャリストとその他資格の難易度比較
ネットワークスペシャリストと類似する資格の難易度も紹介します。
CCIE
CCIEは、シスコ技術者認定資格のうちでも最高位の資格です。
シスコ社では、受験者は5年〜7年以上の実務経験がある人が望ましいと定義されています。
合格率は公開されていませんが、受験可能言語は英語のみと難関な試験です。
応用情報技術者
応用情報技術者は、IT系国家資格のレベル3に該当します。
過去5年間の応用情報技術者の合格率は、約21〜27%です。
合格率が約14%のネットワークスペシャリストに比べると、少し高めとなっています。
しかしそれでも全体の約3割にも満たないため、難しい試験であることに変わりはないでしょう。
参考:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 統計資料
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士は、ネットワークスペシャリストと同じレベル4に位置しています。
過去5年間の情報処理安全確保支援士の合格率は、約18〜21%です。
情報処理安全確保支援士の試験は春と秋の年2回あるため、その分ネットワークスペシャリストより合格率が上がっていると考えられます。
ネットワークスペシャリスト試験の概要
ここからは、ネットワークスペシャリストの試験概要をまとめて紹介します。
試験の対象となる人材像
IPAのサイトでは、試験の対象となる人材像を以下のように定義づけています。
高度IT人材として確立した専門分野をもち、ネットワークに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報セキュリティを含む情報システムの企画・要件定義・開発・保守への技術支援を行う者
引用元:ネットワークスペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
スケジュールと受験費用
ネットワークスペシャリストの試験は1年のうちに1回だけ、春期試験として実施されます。
- 1月~2月に申し込み受付期間
- 4月に春期試験
- 6月以降(おおよそ試験から2ヶ月後)に結果発表
受験費用は7,500円(税込)です。
試験時間や出題形式
各試験の試験時間と出題形式は以下の通りです。
試験時間 | 出題形式 | 出題数・解答数 | |
午前Ⅰ | 9時30分~10時20分(50分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:30問 解答数:30問 |
午前Ⅱ | 10時50分~11時30分(40分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:25問 解答数:25問 |
午後Ⅰ | 12時30分~14時00分(90分) | 記述式 | 出題数:3問 解答数:2問 |
午後Ⅱ | 14時30分~16時30分(120分) | 記述式 | 出題数:2問 解答数:1問 |
ネットワークスペシャリスト試験の勉強方法
以下に試験前の勉強方法を紹介します。
YouTubeやUdemyで勉強する
YouTubeやUdemyなど、オンライン上で勉強できます。
YouTubeは無料で閲覧できるものもありますが、Udemyは有料教材です。
どちらも基礎から実務で活用できるものなど、多種多様な動画があります。
本で勉強する
ネットワークスペシャリストの試験対策本が書店やネットで販売されています。
試験範囲が広く難易度も高いため、1冊購入しただけでは合格は難しいかもしれません。
複数の対策本を実際に手に取り、最も捗りそうなものを選ぶのがおすすめです。
スクールで勉強する
講師にしっかり教えてもらえるスクールもおすすめです。
疑問点はすぐに聞いて解決でき、独学で挫折してしまいそうな方はスクールの講座を受けてみましょう。
ネットワークスペシャリストを取得するメリット
ここからは、ネットワークスペシャリストを取得すると得られるメリットを紹介します。
年収アップできる可能性がある
IT系資格のなかでも一番難しい資格のため、基本給が高い傾向にあります。
資格保有者には手当てが出るなど、持っていると年収アップを狙えるでしょう。
転職や就職を有利に進められる
ネットワークスペシャリストの資格を持っている人が少ないため、就職や転職にも有利です。
IT人材の需要が高まり続けているため、即戦力として採用される可能性もあります。
業務の幅を広げられる
ネットワークの知識が得られることで、プロジェクトマネジメントの面でも活かせるようになります。
結果として業務の幅が広がり、スキルアップに繋げられます。
国家資格が一部免除される
ネットワークスペシャリストを取得すると、以下の国家資格が免除されます。
- 弁理士…論文式試験の選択科目
- 技術士…専門科目(情報工学部門)
- ITコーディネータ試験…情報系問題
これらの資格取得を目指したい方にとっては、ネットワークスペシャリストの資格取得は一石二鳥です。
ネットワークスペシャリスト以外で役立つ資格
ネットワークスペシャリスト以外に役立つ資格を紹介します。
シスコ技術者認定
シスコ技術者認定は、シスコシステムズ社が認定するネットワークの基礎知識と技能を示す資格です。
活学スクールでは転職にも有利になるCCNA資格取得コースをもうけており、未経験者からでも合格を目指せるようカリキュラムを組んでいます。
IT業界にまず一歩飛び込んでみたい方はぜひお申込みください。
>> 活学ITスクールのCCNA資格取得コースの詳細を見る
応用情報技術者
応用情報技術者は、ネットワークスペシャリストと同じIPAが主催しています。
技術から管理、経営まで幅広い知識と応用力を身に付けることができ、システム開発やIT基盤構築などの場面で役立ちます。
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士は2017年から始まった資格です。
情報システムに関する知見やシステム基盤の分析、法的な知識が求められます。
セキュリティエンジニアやセキュリティコンサルタントを目指す方は取得してみましょう。
ネットワークスペシャリストのスキルを活かせる職種
スキルを活かせる職種の業務内容を簡単にまとめました。
ネットワークの保守・運用
システムに障害が起きた場合に迅速に対応します。
ネットワークは基本的にシステムによって24時間365日監視が行われており、円滑な運用も業務の一つです。
ネットワークの構築・設計
新たなネットワークシステムの設計や構築にもネットワークスペシャリストのスキルは役立ちます。
設計・構築時にはセキュリティ面も十分考慮しなければなりません。
ITプロジェクトリーダー、マネージャー
ITプロジェクトリーダーやマネージャーは、プロジェクトの全体管理が主な業務です。
システムの設計をきちんと把握し、正しく運用できているか確認して指示を出します。
ネットワークスペシャリストで年収アップするためのコツ
ネットワークスペシャリストとして年収をアップしていくためのコツを3つ紹介します。
上流工程を目指す
ネットワークスペシャリストは、要職に任命されやすい職種です。
実際の開発などを行う下流工程よりも、システム開発全体の管理を行う上流工程の方が年収は高い傾向にあります。
上流工程を目指し、年収をアップさせましょう。
関連資格を取得する
持っているスキルレベルによって年収は変動します。
基礎的な資格ならばITパスポートやLPICがおすすめです。
同等の資格を取りたいならばCCIEに挑戦してみてください。
転職する
より良い条件を求めて転職するのも一つの手です。
クラウドの進出により、IT人材は常に不足しています。
希少な人材であるネットワークスペシャリストならば、現状より好待遇の企業と巡り合える可能性があります。
スキルをどう活かせるかをしっかりアピールしましょう。
ネットワークスペシャリストに関するよくある質問
最後に、ネットワークスペシャリストに関する質問を紹介します。
ネットワークスペシャリストの勉強におすすめの参考書は?
ネットワークスペシャリストは午前と午後で試験範囲が異なります。
学びたい内容で参考書を選びましょう。
『情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ』は、午前Ⅰと午前Ⅱの試験対策本です。
過去に出題された問題を徹底的に分析して作られています。
解答だけでなくその背景や知識も載っているため、より理解を深められます。
参考書に載っている全500問をWebアプリでも解ける、嬉しい特典付きです。
『ネスぺR3』は、午後Ⅰ・午後Ⅱの試験対策本として定評のあるネスぺシリーズです。
技術の基本はもちろんのこと、問題文で問われている深い内容についてもわかりやすく解説しています。
不正解の例文付きで間違えやすいポイントが学べます。
ネットワークスペシャリストの平均年収はどれくらい?
経済産業省の発表によると、ネットワークスペシャリストを含んだIT技術スペシャリストの平均年収は、758.2万円です。
参考:IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果
ネットワークスペシャリストを取得しても意味がない人はどんな人?
下記に当てはまる方は、ネットワークスペシャリストを取得してもあまり意味がないかもしれません。
- 外資系企業やWeb系で勤めている人
- 肩書きだけがほしい人
外資系やWeb系は成果主義の業界のため、資格の有無は重要視されにくいです。
ネットワークスペシャリストを取得してキャリアアップを目指そう
ネットワークスペシャリストの取得は容易ではありませんが、取得すると自分の仕事の幅が広がるのは確かです。
IT人材の中でネットワークに精通した人材として、キャリアアップを目指したい方はぜひ挑戦してみてください。