数多くあるプログラミング言語のなかでもニーズが高いPHPですが、資格が複数あるのはご存知でしょうか。
今回は、PHPエンジニアならば取得しておきたいPHPの資格をそれぞれ紹介します。
学習方法やおすすめの書籍などもしっかりと解説していきますので、資格取得を目指す方はぜひ最後までお読みください。
PHP技術者認定試験とは
PHPとは、動的なページやコンテンツを作成するのに適した、サーバーサイドのプログラミング言語です。
WordPressのカスタマイズやプラグイン開発には、ほぼPHPを活用しているといっても過言ではありません。
ほかにもゲームや基幹システムの開発によく活用されています。
このように様々な場面で活用されているPHPですが、PHPエンジニアの技術レベルに差があることが、業界内における課題となっていました。
そこで、PHPの技術育成、雇用増加を目指すための『PHP技術者認定試験』が生まれました。
PHP技術者認定試験は、一般社団法人PHP技術者認定機構が運営しており、全国200箇所で実施しています。
PHP技術者認定試験の3つの難易度
PHP技術者認定試験の難易度は3段階に分かれています。
初級 ITSS レベル1
初級ITSSレベル1は、PHPプログラミングの基礎を図るものです。
経済産業省が定めたガイドライン『ITスキル標準』レベル1に該当します。
一般的なPHP基礎知識に関する出題、認定教材やオンラインマニュアルからも出題されます。
学生や新人プログラマーが対象で、合格率は約70%です。
まずは初級合格を目指しましょう。
上級・準上級 ITSS レベル2/3
上級・準上級者は、3年程度の実務経験があるPHPエンジニア向けの資格です。
PHPの基礎と実用的なプログラミング能力が試されます。
『ITスキル標準』でいうと準上級者はレベル2、上級はレベル3に該当します。
上級は高難度の試験であり、合格率は10%以下です。
ウィザード
ウィザードは、PHPの認定資格で最高位の資格です。
上級・準上級試験で得点率が90点以上かつ500文字以上の論文(コードでも可)を提出して合格した者のみ認定されます。
匿名でWebに公開された論文を、関係者や上級の資格を持った人たちに審査される「論文審査」が特徴です。
PHPの知識に加えてより実践的なスキルが必要になります。
上級試験に合格してから2年以内なら受験できます。
2015年に初めて2人の合格者が出ただけの難しい資格です。
認定されると業務に役立つだけでなく、転職時においても高い評価を受けるでしょう。
PHP技術者認定試験の種類と概要
この章では、PHP技術者認定試験の各試験の概要を紹介します。
PHP8技術者認定 初級試験
独習PHPの第4版から主に出題されます。
難易度 | PHPプログラミングの基礎レベル |
ITスキル標準 | レベル1 |
出題範囲 | オブジェクト指向構文、制御構文、PHPの基礎、リクエスト情報、組み込み関数など |
試験形式 | 選択式 |
試験時間 | 60分 |
試験の問題数 | 40問 |
合格基準 | 正解率70%以上 |
試験費用(税込) | 13,200円(学校法人の生徒、先生は6,600円) |
PHP7技術者認定 初級試験
初めてのPHP(PHP7版)を主な教材とし、一般的な知識を織り交ぜながら出題されます。
難易度 | PHPプログラミングの基礎レベル |
ITスキル標準 | レベル1 |
出題範囲 | ユーザとの情報交換(Webフォームの作成)、情報保存(データべース)、テキストと数の操作など |
試験形式 | 選択式 |
試験時間 | 60分 |
試験の問題数 | 40問 |
合格基準 | 正解率70%以上 |
試験費用(税込) | 13,200円(学校法人の生徒、先生は6,600円) |
PHP5技術者認定 初級試験
初めてのPHP5を主な教材とし、一般的な知識やオンラインマニュアルなど幅広く出題されます。
難易度 | PHPプログラミングの基礎レベル |
ITスキル標準 | レベル1 |
出題範囲 | 配列の操作、関数、テキストと数の操作、Webフォームの作成、ファイルの操作など |
試験形式 | 選択式 |
試験時間 | 60分 |
試験の問題数 | 40問 |
合格基準 | 正解率70%以上 |
試験費用(税込) | 13,200円(学校法人の生徒、先生は6,600円) |
PHP8技術者認定 上級・準上級試験
プログラミングPHP第3版から主に出題されます。
難易度 | PHP言語仕様から実用的なプログラミング技術を問われるレベル |
ITスキル標準 | 上級:レベル3 準上級:レベル2 |
出題範囲 | 言語リファレンス、基本的な関数、セキュリティ、インストールと設定など |
試験形式 | 選択式 |
試験時間 | 120分 |
試験の問題数 | 30問 |
合格基準 | 上級:正解率70%以上 準上級:正解率50以上~70%未満 |
試験費用(税込) | 16,500円(学校法人の生徒、先生は8,250円) |
PHP5技術者認定 上級・準上級試験
PHP8技術者認定上級・準上級試験と同様に、主にプログラミングPHP第3版から出題されます。
難易度 | PHP言語仕様から実用的なプログラミング技術を問われるレベル |
ITスキル標準 | 上級:レベル3 準上級:レベル2 |
出題範囲 | Webに関するテクニック、セキュリティ、アプリケーションに関するテクニック、データベースなど |
試験形式 | 選択式 |
試験時間 | 120分 |
試験の問題数 | 60問 |
合格基準 | 上級:正解率70%以上 準上級:正解率50以上~70%未満 |
試験費用(税込) | 16,500円(学校法人の生徒、先生は8,250円) |
PHP技術者認定 ウィザード
前述のとおり、PHP技術者認定試験のなかでも最も難しい試験です。
2015年に初の合格者が出て以降、申し込みをストップしていましたが、2020年3月14日から申し込みを再開しています。
難易度 | PHPプログラミングの最上位レベル |
概要 | 上級試験で正解率90%以上を取得した者が500文字以上の論文を提出し、認められたらPHP技術者認定ウィザードとなる |
認定方法 | 論文を一般社団法人PHP技術者認定機構のWeb上で匿名で公開し、他の資格保有者から審査を受ける |
試験費用(税込) | 無料 |
PHP技術者認定試験に合格するための学習方法
この章では、PHP技術者認定試験に合格するための学習方法を解説します。
書籍で学ぶ
書籍はいつでもどこでも学習でき、網羅的に学べることが特徴です。
PHPの初学者にはイラストが豊富に使われている書籍がおすすめです。
アウトプットについては定番の問題集がありますので、後ほどご紹介します。
その他おすすめの書籍も後述していますので、自分に合った1冊を見つけてください。
オンラインコンテンツで学ぶ
動画や音声で学びたい方は、オンラインコンテンツを利用しましょう。
一般社団法人PHP技術者認定機構の公式サイトで、初級試験対応教材を無料でダウンロードできます。
この教材は3部構成となっており、導入から基礎までをしっかり学べます。
参考:一般社団法人PHP技術者認定機構 公式サイト
学習におすすめのサイトについては次項でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
認定スクールで学ぶ
短時間で資格を取りたい方、未経験者、上級の資格を取りたい方はスクールがおすすめです。
一般社団法人PHP技術者認定機構では以下3つのスクールがあります。
- ゴールド認定スクール
- シルバー認定スクール
- 学割プログラム参加校
『学割プログラム参加校』の生徒は、初級と上級の試験を割引価格で受けられるのがメリットです。
無料の模擬試験が実施されているスクールもありますので、チェックしてみてください。
PHP技術者認定試験の学習におすすめの書籍やサイト
PHP技術者認定試験の学習時に活用したい書籍やサイトを紹介します。
独習PHP
『独習PHP』は、PHPの教科書的な存在です。
第11章からなり『解説』『例題』『練習問題』を通して基本的なスキルを得られます。
Webページやアプリを開発するのに必要な基礎知識やデータベース連携まで、プログラミング初心者から上級者まで幅広く学べる本です。
電子版もあるため、通勤通学中の電車など、どこでも気軽に学習できます。
初めてのPHP
『初めてのPHP』は、基礎を丁寧に解説したPHP7の入門書です。
基本的な文法のほかに、PHPとWebサーバーやブラウザの仕組みまで解説しています。
データベースとの連携やフレームワークなど、実践で役立つ解説が満載です。
サンプルプログラムも豊富に記載されており、中級者にも選ばれています。
徹底攻略PHP7技術者認定[初級]試験問題集
『徹底攻略PHP7技術者認定[初級]試験問題集』は、公式の認定対策本です。
資格試験対策で定評のある『黒本』と呼ばれています。
PHP7を習得するための基礎から応用までが徹底解説されています。
173問一つずつにある解説がわかりやすいと評判です。
模擬試験1回分もあるため、学んだ内容をしっかりアウトプットしましょう。
プログラミングPHP
『プログラミングPHP』は、言語仕様から実用的なテクニックまで解説しているボリューミーな1冊です。
文字列処理、オブジェクト指向プログラミング、グラフの描画についても解説されています。
この1冊を読み込めば、自分でアプリケーションを作成することもできるでしょう。
徹底攻略 PHP5技術者認定[初級]試験 公式問題集
一般社団法人PHP技術者認定機構の認定対策本です。
経験豊富な講師による、書き下ろし問題170問を掲載しています。
設問ごとに丁寧な解説があるため、試験対策としてだけでなく、PHP5を習得するためにも活用できる一冊です。
『徹底攻略PHP7技術者認定[初級]試験問題集』と同様に電子版もあるため、日々のすきま時間をうまく利用して学習を進めていきましょう。
paiza
『paiza』はITエンジニア向けの転職・就職・学習プラットフォームです。
会員登録後、コーディングスキルをチェックし、スキルに応じて企業からスカウトが来るサービスを提供しています。
『paizaラーニング』を利用することで、基礎について無料で学習できます。
プログラミング初心者には無料の範囲だけでも十分なボリュームが提供されていますので、ぜひチェックしてみてください。
Progate
『Progete』はオンラインで学習できるプログラミング学習サイトです。
無料または月額料金がかかる2種のプランがあります。
いずれの言語においても、変数・配列・繰り返し処理・関数など基礎を『学習レッスンコース』で学び『道場レッスン』で問題を解いていくシステムです。
学んだことをすぐにアウトプットできる仕様になっており、手を動かすことで着実にスキルアップできます。
有料プランでも1ヶ月990円からと、非常に低コストで学習できるため、自分のペースで学習していきたい方におすすめです。
ドットインストール
『ドットインストール』は、1本3分程度の動画でプログラミングを学べる学習サイトです。
Progate同様に、基礎から実践的なシステム開発を学べ、PHP以外の学習コンテンツも充実しています。
ドットインストールでは、アウトプットできる環境を整えるために環境構築が必要ですが、これは実務においても避けて通れません。
プランは基本無料ですが、有料のプレミアム会員(月額1,080円)もあります。
まずは無料で学習を進め、基礎を習得できたら有料に切り替え理解を深めましょう。
PHP技術者認定試験に合格するメリット
この章では、PHP技術者認定試験を取得するメリットを解説します。
PHPを体系的に学べる
資格取得に向けた勉強により、PHPの基礎から応用まで総合的に学べます。
基礎がわかっていないと応用はできませんから、少しずつ段階を踏んでいくのがおすすめです。
難易度が低い資格から順番に取得し、ステップバイステップでPHPのスキルを高めていきましょう。
収入アップに繋がる可能性がある
PHPの資格に限ったことではありませんが、資格の取得が収入アップに繋がる可能性があります。
企業によっては資格取得者に基本給とは別に資格手当を支給することもあるためです。
また、フリーランスのような自身のブランドで仕事を獲得するような方の場合、資格取得は自分の実力を証明する材料になります。
結果としてより好条件の案件を獲得できる可能性が高まり、収入アップに繋がります。
転職で有利になる場合がある
実務経験を積むと同時に資格を取得することで、理論も実践も十分に備えた人材であるということを客観的に証明できます。
また、これからITエンジニアを目指す人であれば、ITエンジニアに必要な「意欲的に学習する力」を証明することにも繋がります。
PHP技術者認定試験に関するよくある質問
PHP技術者認定試験に関するよくある質問を紹介します。
PHP技術者認定試験の勉強時間の目安はどれくらい?
初級の場合はプログラミング初心者で約100時間ほど、実務経験者で約10時間ほど見込んでください。
上級・準上級の場合は5年ほどの実務経験者で約50時間ほどです。
前提条件によって勉強時間は大きく異なりますので、あくまでも目安としてみておきましょう。
PHP技術者認定試験に有効期間はある?
有効期間はありません。
一般社団法人PHP技術者認定機構がなくならない限り、取得すれば永久的に有効な資格です。
PHP5などの古いバージョンが終わったとしても、資格そのものは有効です。
PHP技術者認定試験は就職にも有利になる?
就職に有利になる場合もあります。
資格を持っているとスキルの証明になるほか、取得に向けた意気込みや努力も面接官にアピールできるからです。
PHP技術者認定試験に合格してキャリアに活かそう
今回は、PHPの資格であるPHP技術者認定試験について解説しました。
PHPでサービスを提供している企業はたくさんあるため、優秀なエンジニアになれば仕事に困ることはありません。
ぜひPHP技術者認定試験に合格して、キャリアアップや案件獲得に活かしていきましょう。