会社をやめるときは、「伝え方」がとても重要になります。
しかしその伝え方が原因で、上司と揉めてしまったりなど、円満退社が遠ざかってしまう方が多いことも事実です。
本記事では、会社をやめるときの伝え方をはじめ、引き止めの対策、やってはいけないことなどを解説しています。
スムーズな円満退社を目指す方は必見の内容ですので、ぜひ参考にしてください。
- 上手な伝え方を知ることで、円満退社が実現できる
- やってはいけないことを知ることで、失敗を最小限にできる
退職したい時は誰に伝えればよい?
初めて退職を経験する方なら、ます会社をやめたいと思い立ったとき「最初は誰に伝えるのが正解?」と疑問を抱くことでしょう。
会社をやめたいことを最初に伝える相手は、「直属の上司」となります。
直属の上司とは、自分がいる部署の中で、いちばん立場が上の人のことを指します。
それよりも立場が上の人でも、逆に立場が下の人でもいけません。
よほどの理由がない限りは、かならず「直属の上司」に最初に伝えましょう。
スムーズな退職につながる伝え方
ここでは、円滑に会社をやめるために重要になる「伝え方」を5つに絞ってご紹介します。
本章の内容を把握しておくことで円満退社の可能性がグッと上がるので、ご一読ください。
あらかじめ面会の約束をしておく
会社をやめることを伝える前に、必ず面会の約束をしておきましょう。
報告のシーンとして理想なのは、
- 2人きりの状況で
- 面と向かって直接
となります。
そのため、直属の上司にあらかじめ「お話があるのですが、○時ころお時間よろしいでしょうか?」など、面会の約束をしておくことが大切です。
突然「いま大丈夫でしょうか?」と告げられても、都合がつかないケースもあるためです。
場合によっては上司の都合に合わせて、数日後などに調整することも必要になります。
なお、ここではまだ「会社をやめること」は口に出さないようにしてください。
覚悟を決めてしっかりと退職することを伝える
上司と1対1の状況になったら、堂々と「会社をやめる」ことを伝えるようにしましょう。
会社をやめることは、ひとつのけじめに他なりません。
「まだ検討中」など、意思が固まっていない状況で上司に相談するのは失礼に値します。
辞めるかどうかで迷っているときの相談などは、もっと先に信頼できる別の人にしておくことです。
つまり上司と面会の約束をした時点で、やめる覚悟をしっかり決めておく必要があります。
オドオドしたり自信がなさそうな態度は見せず、礼儀ともって堂々と伝えましょう。
これまでお世話になったことへの感謝を伝える
「会社をやめることは、堂々と伝える必要がある」と前述しました。
しかしこれは決して、威圧的な態度になったり「やめてやる!」といった態度のことを指すのではありません。
会社をやめるときは「これまでお世話になったことへの感謝の気持ち」を、しっかり伝える必要があります。
たとえどんなに短い就業期間だったとしても、「短い間でしたが、ご指導いただきありがとうございました」などのように、ひとこと伝えるのがマナーです。
この感謝の気持ちを上手にしっかりと、礼儀正しく伝えられるかどうかが「円滑に会社をやめられるかどうかの境目」といっても過言ではないでしょう。
退職の日にちは話し合ったうえで決める
会社をやめるときに上司と揉めやすいのが、こちらの「退職日」です。
退職の日にちは上司と話し合ってから決めることも、スムーズに会社をやめるためのポイントになります。
たとえばあなたが「○月いっぱいで退職します」と一方的に告げたとします。
そうすると、「その時期は会社が忙しいから困る。なんとか○月いっぱいにしてもらえないか?」と提案されることは珍しくありません。
なので対策としては、「○月いっぱいでの退職が希望です。ですがご都合に合わせて対応することは可能です。」と伝えられることがベストです。
あらゆる引き止めパターンの対策を用意しておく
上司に会社をやめることを告げると、ほとんどのケースで「引き止め」に会います。
この引き止めのパターンはじつにさまざまなので、ある程度想定したうえでどう答えるかを考えておくことは重要です。
そんなあらゆるパターンの引き止め対策は、次章で紹介しています。そちらもご一読ください。
退職を伝えたときによくある引き止めのパターンと対策
会社をやめることを伝えたとき、高確率で行われるのが「引き止め」。
ここではあらゆる種類の引き止め対策を紹介します。
泣きながら理由を聞かれる
涙を浮かべながら引き止められるなど、感情に訴えるパターンです。
たとえばやめる人が
- 長く勤めている
- 若いときからお世話になっている
- 社内でもとくに愛されている
といった人材の場合だと、このパターンは珍しくありません。
このパターンへの対策は、「涙に屈しない強い決意をとおすこと」となります。
逆に「涙ながらに引き止められたから、決断を変えた」などでは、覚悟が甘すぎます。
会社をやめるということは、大きなけじめのひとつです。
「迷いはありましたが、自分としっかり向き合って決断したことですので」と、揺るがない強い覚悟と意思をもちましょう。
これから入社する企業を聞かれる
これから入社する企業名を質問したうえで
- 「その企業はブラックだよ」
- 「その業界は本当に大変だよ」
- 「転職は考え直したほうがいいよ」
などの口実で引き止めます。
このパターンに対する対策は、以下の2とおりです。
- それでもやめる意思を貫きとおす
- 会社名を言わない
どんな脅しにも屈せずに「もう決めたことなので」と、意思をとおしましょう。
そもそも、これから入社する企業のネガティブな部分を伝えること自体、意地悪かつ幼稚な行動です。
またさらにいうと、企業名を聞かれても、必ずしも答える必要はありません。
引き止め対策として、企業名は伏せておくこともおすすめです。
退職の日にちを先延ばしにされる
希望の退職日を伝えたときに、「繁忙期だから、もう少し後にすることは可能か?」などと提案される、先延ばしのパターンです。
こちらはシビアな問題であって企業側の都合もあるので、円滑にやめたいなら一方的に断るのは避けたほうがいいでしょう。
なので対策としては、以下のとおりです。
- 会社が望む日にちを退職日にする
- あたらしい会社への入社日が決まっていたら、丁重に断る
退職日は、会社が望む日にちに合わせることが理想です。
いくら新しい会社の条件がよくても、ものごとには「順序」があります。
可能な限り新しい会社への入社日を決定する前に、いま身を置いている企業の退職日を決定しておくことが望ましいでしょう。
ただ次の会社の都合やタイミングの兼ね合いで、入社日が先に決定してしまうケースもゼロではありません。
その際は正直に、「入社日が決まってしまっていること」を丁重に伝えましょう。
労働条件の変更を提案される
「労働条件の変更・改良」も、代表的な引き止めパターンのひとつです。
具体的には、「不満だった部分」をなんとか聞き出したうえで、
- 所属する部署の異動
- 担当する仕事内容の変更
- 年収アップ
などを提案し、やめることを考え直すよう引き止めます。
このパターンへの対策としては、大きく以下の2つになります。
- 一度口にした決断を曲げない
- 会社をやめる決断をいったん先送りにする
覚悟を決めて会社をやめる決断をしているわけなので、その意思は曲げないに越したことはありません。
ただ「その決断を考え直すに値するほどの条件改善」を提案されたら、いったんその決断を先送りにするのもひとつでしょう。
周りからどう思われるかより、自分がどうしたいかが最優先です。
「すこし考えさせてください」などといって、じっくり検討することも大切となります。
有給をすべて消化しないよう頼まれる
直接的な引き止めとは異なりますが、「有給休暇はすべて消化しないでほしい」などと頼まれるケースもあります。
この場合の対策は、「従う必要はない」というのが正解です。
有給休暇をすべて使うかどうかは、はたらく人が自由に決める権利があります。
どんなことを言われても、有給休暇はすべて消化するほうが得策といえるでしょう。
退職を伝えるときにやってはいけないこと
ここでは、会社をやめるときの「注意点」についてご紹介します。
最初に直属の上司以外に退職を伝える
会社をやめることを最初に伝えるべき相手は、「直属の上司」です。
それ以外のひとに退職を告げるのは、マナーに反しているうえ失礼に値するので、避けるようにしましょう。
ただ会社によっては、「上司がいない」というケースもあります。
その場合は人事部や窓口にて、目立たない形でこっそりと「誰に伝えるべきか」を相談するのがいいでしょう。
電話やメールで退職を伝える
会社をやめることをつたえるときは、直接面と向かって話すことがマナーです。
会社をやめることは、重要でシビアな内容の話です。電話やメールで伝えることは失礼に値するので、避けることが無難といえます。
しかしながら、こちらも企業によっては「上司に会える日が限定されている」など、なかなか会えないケースもあります。
その際はやむを得ないため、電話でもいいでしょう。
あらかじめ上司と電話の日程を決めておき、「電話で伝える形となってしまって申し訳ない」という姿勢をまじえて、報告することをおすすめします。
退職の理由として不満を述べる
上司に会社をやめることを伝えると、必ず理由を聞かれます。
このとき「会社への不満」を退職理由として話すのは、避けるようにしましょう。
不満を理由にすれば、
- それなら部署を変更する
- 給料を上げる
など、それを解決するための提案がされる可能性があるからです。
加えて、不満を聞く上司側の目線で考えても、決して気分がいいとはいえません。
そのため、会社をやめる理由としては「他にやりたいことが見つかった」など、前向きな理由にすることがおすすめです。
スムーズに退職するにはいつ伝えるべき?
ここでは円滑な退社を実現するために、やめることを伝えるタイミングを見ていきます。
企業の閑散期を退職希望日にする
会社を円滑にやめるなら、企業の閑散期(忙しくない時期)が理想となります。
逆に繁忙期に退職すると、会社への負担が大きくなってしまうからです。
そのこともあって「繁忙期が過ぎたあとにやめる」よう、提案や引き止めをされる可能性も高まります。
今いる会社の忙しい時期にはしっかり働き、忙しさが過ぎ去ってから退職することが、スムーズな退職のタイミングのひとつです。
希望退職日の2ヶ月以上前に伝える
会社をやめることを伝えるタイミングとしては、希望退職日の2ヶ月以上前がいいでしょう。
一般的な就業規則では、「退職を申告するときは遅くとも1ヶ月前」という記載があります。
しかし退職日のちょうど一ヶ月前に、やめることを告げるようでは遅いです。
退職を告げたあとは手続きや業務も慌ただしくなるため、せいぜい2ヶ月前には伝えましょう。
十分に引き継ぎが完了できる期間を確保する
しっかりと引き継ぎが行える時間を意識することも大切です。
引き継ぎは日常業務を行いながら終わらせる必要があるため、1ヶ月程度では足りません。
2〜3ヶ月の期間を設けたほうが、引き継ぎはしっかりと行うことができるでしょう。
退職を伝えたあとにやること
この章では、退職を伝えたあとにやるべきことについて紹介します。
先輩や同僚ほか関わっている人にひとこと報告する
直属の上司にやめることを告げたあとは、周りにもひとこと報告しましょう。
周りとは、先輩、同僚、部下、取引先など関わっている人全般を指します。
すでにうわさで耳にしている可能性が高いですが、本人から報告するのはひとつの礼儀でもあります。
直属の上司に言うときほど固くなくていいので、ひとこと「やめることになりました」と報告しましょう。
引き継ぎを念入りに行う
やめることを伝えたあとは、なるべくはやく引き継ぎに取り掛かりましょう。
引き継ぎは決してすぐに終わるものではなく、思っている以上に時間がかかります。
やめる本人、そして引き継がれる人、両方の都合が合わないとできないことだからです。
引き継ぎの精度は、会社の負担の度合いにも大きく影響するので、念入りに行いましょう。
必要書類を確認のうえ不備のないようまとめる
会社をやめる前に必要な書類を確認し、早い段階でまとめておきましょう。
会社にもよりますが、やめるときは退職届や健康保険証など、あらゆる書類の提出が必要になります。
退職日ギリギリになってから準備するようでは、一部の書類が見つからないなどのトラブルに対応しきれないリスクもあります。
提出すべきものをしっかり確認し、なるべくはやく揃えておくのがおすすめです。
まとめ:伝え方のひと工夫で退職は円滑になる!
会社をやめることを伝えるときは、相応の勇気と覚悟が必要となります。
どんな方であっても
- 「どんなことを言われるだろう」
- 「どんな顔されるのかな」
と不安になるのは、自然なことでしょう。
対策は、「しっかりとした礼儀」と「感謝の気持ち」をもって接することです。
ひとつひとつの言葉を丁寧に伝え、円滑な退社を実現させてください。