スマホやタブレットの普及により『アプリ』という言葉はすごく身近になりました。
『スマホアプリ』という言葉はスマホユーザーなら誰もが知っているでしょうが『Webアプリ』という言葉はご存知でしょうか。
この記事では、Webアプリとはなにか、仕組みや開発方法、Webアプリケーションエンジニアになる方法を紹介します。
Webアプリケーションとは
Webアプリケーションとは、インターネットを介してブラウザ上で提供されるWebサービス全般を意味します。
具体的には、YouTubeやTwitter、Zoomなどです。
似ている言葉に「Webサイト」がありますが、おおよそ以下のように分けられます。
- Webアプリ…多機能でユーザーと双方向でやりとりができる
- Webサイト…複数のWebページの集まりで、情報提供を目的としている
つまり、WebサイトとWebアプリケーションの違いは「双方向のやりとりの有無」です。
Webサイトの具体例はブログやホームページが挙げられます。
Webアプリとスマホ用アプリ(ネイティブアプリ)の違い
Webアプリとスマホ用アプリ(ネイティブアプリ)の違いは、ダウンロードする必要があるかどうかです。
たとえば、スマホやタブレットの場合、Apple StoreもしくはGoogle playからアプリをダウンロードして利用しますよね。
このように、ダウンロードして使うものはすべてネイティブアプリと呼ばれ、なかでもスマホ用に開発されたものはスマホアプリに該当します。
一方、Webアプリの場合はインターネット環境さえあれば、PCでもスマホでもダウンロード不要でサービスを利用できます。
Webアプリのサービス事例
Webアプリの具体例をみていきましょう。
食べログ
大手レビューサイトです。
グルメが趣味の人や、接待やデートでレストランを探す際に使ったことがある人もいるでしょう。
料理のジャンルやこだわり条件が検索でき、レビューも投稿可能。
さらに予約もできる多機能なWebアプリです。
Amazon
普段からよく使っている人も多いWebアプリです。
食べログと同様、検索ワードや作者名、カテゴリで検索可能で、レビューも投稿可能です。
定額で映画が見放題のAmazon Prime Videoや、音楽聴き放題のAmazon Prime Musicなどさまざまなサービスを展開しています。
YouTube
動画シェアプラットフォーム『YouTube』もWebアプリのひとつです。
なかには「YouTubeアプリをダウンロードして使っている」という人もいるでしょう。
ちなみに、Webアプリとスマホアプリの両方に対応しているアプリを『ハイブリッドアプリ』と呼びます。
Webアプリの仕組み
ここでは、Webアプリの基本となる仕組みについて紹介します。
Webアプリの仕組みは、大きく以下の3つに分けられます。
- クライアントサイド(フロントエンド)
- サーバーサイド(バックエンド)
- データベース
それぞれの役割を解説します。
専門的な部分までは掘り下げませんので、気軽に読み進めてください。
クライアントサイド(フロントエンド)
クライアントサイド(フロントエンド)とは、ユーザーが目にして操作できる部分を指します。
たとえばTwitterの「ツイート」ボタン、YouTubeの動画再生ボタンなど、これらはすべてクライアントサイド(フロントエンド)の領域です。
UI・UXを大きく左右するポイントです。
※UIとは、操作する要素であるボタンやフォームのこと。
※UXとは、サイトを利用したときのユーザー体験のことで、サイトの表示速度やサービス提供の導線が該当。
サーバーサイド(バックエンド)
クライアントサイド(フロントエンド)に対して、サーバーサイド(バックエンド)は、ユーザーが見たり触ったりできない裏側の設計を指します。
たとえばYouTubeで「勉強 BGM」と検索すると、たくさんの動画が表示されます。
このような動作が実現できるのは、ユーザーの見えないところで「検索ワードに該当・関連する動画を表示させる」プログラムが実行されているためです。
目に見えない部分ではありますが、Webアプリケーションの開発においては非常に重要な役割を果たしています。
データベース
Webアプリに関わる膨大な量のデータを管理し、検索しやすくしているのがデータベースです。
ここでは細かなデータベースの仕様に関する内容は割愛しますが、データが重複したり繁雑になったりしないように、一定のルールで管理されるのがデータベースです。
データベースがあることで、私たちが普段利用するAmazonやYouTubeなどの会員情報や商品情報、動画が適切に管理できるようになっています。
Webアプリの開発に使用される言語
Webアプリの開発において使用される言語について解説します。
HTML
HTMLは『Hypertext Markup Language』の略で、Webページを作成するための言語です。
HTMLをWebブラウザが読み込むことで、Webページへ内容を表示できます。
たとえば、以下の内容をテキストで保存し、ブラウザで開いてみると理解しやすいです。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>HTMLの例</title>
</head>
<body>
<h1>見出し</h1>
<p>これは段落です。</p>
</body>
</html>
Webアプリを作るうえで基本的な言語であり、習得必須の言語です。
CSS
CSSは、HTMLで構成したWebページに装飾を施すための言語です。
テキストの色や大きさ、表示位置などを調整できます。
HTMLとセットで使用され、Webアプリの開発に欠かせない言語です。
CSSの例としては以下のようになります。
h1 {
color: red;
font-weight: bold;
}
これを「style.css」というファイル名で保存し、先ほどのHTMLファイルの<head>内を以下のように書き換えると変化がわかります。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>HTMLの例</title>
<link rel="stylesheet" href="styles.css">
</head>
<body>
<h1>見出し</h1>
<p>これは段落です。</p>
</body>
</html>
JavaScript
HTMLとCSSはクライアントサイドのみで使用可能な言語ですが、JavaScriptはサーバーサイドでも使用できる言語です。
写真をスライドさせたり、ポップアップを表示させたりといった、動的な表現を施すことができます。
PHP
HTMLに動きをつけられる言語で、SNSやECサイトでよく使われています。
お問い合わせフォームや予約フォームは、PHPによって開発される場面が多いです。
サーバーサイド言語のなかでは、比較的学習しやすい言語といわれています。
Ruby
日本人の「まつもとひろゆき氏」によって開発されたプログラミング言語(サーバーサイド言語)で、SNSやWebアプリなどで広く使われています。
Webアプリだけでなくスマホアプリにも使えるので、アプリ開発に特化してスキルを磨きたい人におすすめです。
『Ruby on Rails』というフレームワークを使用することで、プログラミング初心者でも簡単なWebアプリが作れるようになっています。
完走の難易度は高いですが、チュートリアルがありますので、興味がある方は以下のページもチェックしてみてください。
Ruby on Railsチュートリアル
※フレームワークとは、開発を楽にしてくれるツールのこと。
Python
Webアプリはもちろん、ブロックチェーンやAI(人工知能)といった先端技術にも対応している言語(サーバーサイド言語)で、近年注目を集めています。
コードが読み書きしやすく、初心者でも馴染みやすい点も人気の理由です。
Pythonにもさまざまなフレームワークがあります。
その中でも『Flask』というフレームワークは学習コストが比較的低いです。
興味がある方はチュートリアルがありますので確認してみてください。
Flaskチュートリアル
Webアプリができるまでの流れ
Webアプリ開発の流れを簡単に解説します。
全体の流れとしては、以下の通りです。
- Webに関する基礎的な知識や技術について理解する
- 作りたいアプリの開発に適切なプログラミング言語を決める
- 選定したプログラミング言語の基礎を勉強する
- アプリの企画書を作る
- 企画書から要件定義を作る
- 要件定義からプロトタイプを作る
- プロトタイプをもとに実装する
①Webに関する基礎的な知識や技術について理解する
Webアプリ開発には、高度な知識と技術が必要です。
「開発しよう」といざ思い立ってすぐにできるものではありません。
まずは簡単でいいので、Webに関する基本的な知識を学習してみましょう。
以下の記事でWebアプリ開発を独学で学ぶ方におすすめの書籍をいくつか紹介していますので、参考にしてください。
②作りたいアプリの開発に適切なプログラミング言語を決める
実際に作りたいアプリをイメージし、必要な言語を選定します。
前述したように、Webアプリ開発に使われる言語は1つではありません。
プログラミング上級者はさまざまな観点からプログラミング言語を選定していますが、初心者の場合は、これまでに紹介している以下の言語がおすすめです。
- PHP
- Ruby
- Python
理由はシンプルで、学習コストが比較的低いためです。
いずれの言語でもさまざまなWebアプリケーションが開発できます。
③選定したプログラミング言語の基礎を勉強する
アプリ開発に必要な言語を学んでいきます。
勉強方法としては、独学またはプログラミングスクールの二択になりますが、勉強したことを活かして副業や転職を考えている場合はプログラミングスクールがおすすめです。
まれに独学でスキルを大きく伸ばす方もいますが、そのような方はほとんどいません。
また、独学で進めることで誤った理解をしたり、必要ない知識やスキルの習得に時間を割いたりする可能性があります。
したがって、効率よくプログラミングスキルを習得したい方はスクールがおすすめです。
④アプリの企画書を作る
作りたいアプリのイメージをより具体的にするプロセスです。
頭の中で「こんなアプリを作りたい」とイメージするだけではなく、言語化しましょう。
書き出すことで「こんな機能があったらもっといいかも」「この機能は余分かも」と整理できます。
個人で開発を試みる場合は、以下の項目を整理してみてください。
- アプリを作成する背景
- アプリのコンセプト
- アプリのタイプ(Webアプリかネイティブアプリか)
- 対応OS
- デザイン
- 収益の獲得方法
- 開発完了予定日
⑤企画書から要件定義を作る
要件定義は、企画書の内容をより深掘りするイメージです。
具体的には以下のポイントを整理して作成します。
- 開発スケジュール
- データ処理の方法
- 搭載する機能の優先順位付け
業務で進める場合は、より詳細に要件を定義していく必要があります。
⑥要件定義からプロトタイプを作る
要件定義をもとに、プロトタイプを作ります。
プロトタイプは試作品と考えてください。
最初から細部まで徹底的にこだわる必要はなく、まずは基本的な機能を搭載したプロトタイプを作ります。
このフェーズでよく使われるのはAdobeXDというツールです。
プログラミングをせずに、操作の流れやデザインを確認できます。
ここで改善点が見つかった場合は随時修正を加えていきます。
⑦プロトタイプをもとに実装する
いよいよ最後のフェーズです。
プロトタイプをもとにプログラムを書き、機能を実装していきます。
最後にエラーやバグがないかを確認し、問題がなければ完成です。
Webアプリのメリット・デメリット【企業側】
ここでは、企業側から見たWebアプリのメリット・デメリットを紹介します。
企業側のメリット
メリットとして大きいのはコスト面です。
Webアプリはネイティブアプリよりも安く開発できます。
もうひとつのメリットとしては、Webアプリは最新情報をユーザーに届けられることです。
ネイティブアプリの場合、アプリのアップデートはユーザー側に委ねられています。
一方でWebアプリであれば、開発者側でアップデートが可能です。
また、ネイティブアプリのようにApple StoreやGoogle Playの審査がないのもメリットです。
企業側のデメリット
ネイティブアプリと異なり、ユーザーにプッシュ通知をすることができないため、ユーザーとの接触頻度を上げることが難しくなります。
ユーザーが自発的に「知りたい」と思いアクションを起こさない限り、情報を届けられない点はデメリットです。
また、オフラインでは利用できない点もデメリットのひとつです。
Webアプリはプログラミング未経験でも作れる
Webアプリの開発は、通常であれば高度な知識とスキルが必要です。
しかし、実はプログラミング未経験でも作れるサービスがあり、知識ゼロでもアプリ開発を始められます。
「まずはお試しで作ってみたい」という人は『joint apps』や『yappli』といったサービスを試してみてください。
いわゆる『ノーコード開発』というプログラミング不要で開発できるツールです。
Webアプリを開発して活用してもらうには?
実際に開発したWebアプリを多くの人に使ってもらうにはどうすればいいのでしょうか。
SEO対策をする
SEOとは、Search Engine Optimizationの頭文字を並べた言葉で、日本語では「検索エンジン最適化」と呼ばれています。
SEO対策とはなにか簡単に説明すると、Google検索で自社のページを上位に表示させるためにさまざまな対策をすることです。
検索上位に表示されれば多くのユーザーに認知してもらいやすくなります。
自分のアプリに関するコンテンツが上位に表示される状況になれば、多くの人に利用してもらえる可能性が高まります。
SNSを活用する
先ほど述べたSEO対策は、初心者にはとても難易度の高い施策です。
もし個人でアプリを開発して最短で認知してもらいたい場合は、SNSがおすすめです。
予算に余裕があれば広告も出せます。
サービスリリース前に事前にSNSで継続的に発信をし、ある程度のフォロワーを集められればリリース初日からフィードバックをもらうことも可能です。
UI・UXを最適化する
たとえアプリの機能が優秀でも、使い心地や見た目が悪ければ、類似サービスに負けてしまうでしょう。
開発したアプリを利用してもらうには、UIやUXについて勉強し、ユーザーにとって最適なアプリを提供する必要があります。
Webアプリケーションエンジニアになる方法
「Webアプリ開発を仕事にしたい」という人に向けて、Webアプリケーション開発エンジニアになる方法を紹介します。
完全未経験でも入社できる企業に転職する
エンジニアとして技術を磨いたり、実績を作りたい場合は企業に入社するのが一番です。
アプリ開発は個人で始めると挫折するケースが多いですが、仕事であればステップバイステップで教えてもらいながら開発が可能です。
当然受け身ではなく、積極的に勉強する必要はありますが、独学で進めるよりも実力をつけるにはとても良い環境といえます。
最初は苦労の連続ですが、厳しい環境に身を置けば自ずとスキルが身につきます。
独学でプログラミングを学んで転職する
独学でしっかりと実力をつけてから、転職を狙うパターンです。
プログラミングスクールに比べてコストは抑えられますが、自力でやり抜くにはかなりの忍耐力が必要になります。
特に身近に相談できる人がいない場合は「エラーの原因がどうしても理解できない」と壁にぶつかったとき挫折しがちです。
プログラミングスクールを活用して転職する
最もおすすめなのがプログラミングスクールです。
効率よく学べるように洗練されたカリキュラム、講師は現役エンジニア、わからないことがあっても気軽に相談可能など、挫折せずにやり抜ける環境が整っています。
また、近年では手厚い転職サポートを提供するプログラミングスクールも多く、未経験でも必要な努力をすればスムーズな転職が可能です。
充実したカリキュラムで身につけたスキルは、転職はもちろん副業にも役立ちます。
Webアプリケーションエンジニアの将来は明るい
Webアプリエンジニアは需要の多い職業です。
「未経験可」という求人も散見され、需要の高さが伺えます。
また、今使っているWebアプリが今後数年でなくなるとは考えにくい状況です。
Webアプリケーションエンジニアへの転職を考えている方は、働きながらでも勉強できるため、ぜひ挑戦してみてください。
「転職したいけど独学でやり抜けるか不安」という方は、弊社が運営する活学ITスクールなどを活用いただければと思います。