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SESで残業拒否は可能?対策と現場で使える交渉テクニックを解説!
「SESで残業拒否って無理なのかな…」
「クライアントからの残業指示、断りたいけど大丈夫?」
SESで働く上で、残業を拒否したいけどどうすればいいか悩む方も多いはず。
この記事では、残業拒否の対策や現場で使える交渉テクニックについてわかりやすく解説します!
こちらもチェック⇒SESはやめとけ?体験談をもとに理由を徹底分析!
SESエンジニアの残業実態は?
「SESエンジニアとして働くと、どのくらいの残業が発生するのか?」気になる方も多いでしょう。
ここでは、平均的な残業時間や固定残業代制度の仕組み、労働時間管理の課題について詳しく見ていきます。
残業時間の平均と意外な実情
結論から言うと、SES企業は他の業界に比べて平均残業時間が比較的短い傾向にあります。
例えば、当社が取り扱うSES企業の求人データでは、SESエンジニアの平均残業時間は約9時間です。
これは、「情報サービス産業の基本統計調査」によると、情報サービス産業全体の所定外労働時間の平均が19時間であることと比べると、SES企業の残業時間が短いことがわかります。
このように、SES企業の残業時間が比較的短い理由の一つは、SESエンジニアが「商品」ではなく「労働時間(工数)」を提供する形で契約されているためです。
つまり、クライアントは契約上の労働時間を遵守する義務があり、SESエンジニアに過度な残業を強いることができません。
クライアント先での勤務時間も契約に基づいて設定されるため、エンジニアが多くの残業を強いられることは少なく、結果として残業時間が短くなりやすいのです。
労働時間管理の盲点
SES契約では、派遣先での労働時間管理が難しい点も課題です。
例えば、契約上は就業時間外の作業が認められていないにもかかわらず、納期を守るために派遣先から暗黙的に残業が求められることがあります。
このような状況は労働基準法に抵触する可能性があり、注意が必要です。
派遣先からの暗黙の残業依頼がある場合、まずはSES企業に相談しましょう。
SES企業(雇用元)との契約に基づいて給与が支払われる
SESエンジニアの給与は、自分が所属するSES企業(雇用元)との契約内容に沿って支払われます。
たとえば、SES企業と「1日8時間労働」の契約を結んでいる場合、常駐先での勤務時間が7時間であっても、契約上の労働時間を満たすまでは残業とみなされません。
このように、残業の発生有無は「SES企業との契約内容」に基づいて判断されるため、自分の契約上の労働時間が何時間かを理解しておくことが重要です。
例)
「8時間労働の契約」で常駐先が7時間勤務の場合、常駐先で8時間働いても契約上の8時間を超えない限り残業代は発生しません。
このような仕組みのため、「なぜ自分だけ残業代が出ないの?」と感じるエンジニアも少なくありません。
SES企業によくある「固定残業代」の仕組み
SES企業では「固定残業代制度」がよく採用されていますが、この仕組みには注意が必要です。
固定残業代とは、あらかじめ一定の残業時間分の手当が給与に含まれている制度で、契約書内の「賃金内訳」に記載されていることが一般的です。
例)
「月額給与:260,000円、固定残業手当:40,000円(40時間分の残業代)」のように設定されている場合、この40時間分を超えない限り追加の残業代は発生しません。
固定残業代が多く含まれている場合、たとえ多く働いても残業代が支払われないため、「パッと見は高給でも、実際の労働に見合っていない」と感じるエンジニアもいます。
固定残業代を大きく見せることで給料が高く見えるように工夫している企業もあるため、実際の労働時間と固定残業代が適切に設定されているか確認することが必要です。
固定残業代(みなし残業)のカラクリ
みなし残業(固定残業代)とは、あらかじめ「この時間分までの残業代は給料に含まれていますよ」という仕組みです。
例)
月給25万円(みなし残業代20時間分:3万円を含む)
※20時間を超える残業代は追加で支給
のように求人に記載されていたとします。
これは、月給25万円の中に、20時間分の残業代として3万円があらかじめ含まれている、ということです。
つまり、20時間までは追加の残業代は支払われません。
しかし、実際には20時間以上残業しても、その超えた分の残業代が出ないことがあるため、これが問題になります。
たとえば、実際に40時間働いたのに、20時間分の残業代しか支払われないと、不公平を感じてしまいますよね。
このようなみなし残業の仕組みが原因で、
「実際にどれくらい働いたかがわかりにくい」
「残業が無制限になってしまう」
ことが起こるため、適正な労働時間管理と透明性のある契約が必要です。
SESにおける「精算幅」にも要注意
SES契約では、「精算幅(せいさんはば)」という勤務時間の幅が設定されることが多いです。
求人ではあまり精算幅」という表記はされていませんが、
例)
「労働時間:140~180時間を想定」
こうした表記で「精算幅」を間接的に示している場合があります。
この精算幅とは、たとえば「月140時間~180時間」のように設定され、実際の労働時間がこの幅に収まる場合、給与が固定される仕組みです。
精算幅に基づく給与制度には、いくつか注意点があります。
精算幅内であれば同じ給与:
月に140時間働いても180時間働いても給与は変わりません。
労働時間が増えても収入が増えないため、同じ賃金で長時間労働を強いられる可能性があります。
精算幅を超えた場合:
精算幅の上限(たとえば180時間)を超えた残業に対して追加の残業代が支払われないケースも見られます。
こうしたブラックな対応をするSES企業も少なからず存在するため、契約時には上限超過分の報酬規定があるかを確認することが重要です。
SES契約で残業はどう扱われる?
SESエンジニアとして働く際の契約形態によって、残業の扱われ方は異なります。
SESの契約形態
・準委任
・派遣
・請負
それぞれの「残業の法的な取り扱い」や、労働基準法・36協定との関連性について解説します。
準委任契約と残業の位置づけ
SESエンジニアの多くは準委任契約で働いていますが、この契約形態では成果ではなく業務過程の時間管理が重要視されるため、残業が発生しやすい環境にあります。
労働基準法と36協定の盲点
SES契約でも労働基準法が適用されますが、残業を行うためには36協定の締結が必須です。
しかし、SES企業では、エンジニアが派遣先企業の指示に従うことが多いため、36協定の内容が形骸化することが問題です。
※36協定とは、「会社が従業員に残業や休日出勤をさせるための許可を得るための契約」のことです。
通常、日本の労働法では1日8時間、週40時間を超える働き方は違法とされますが、この36協定を労働組合や従業員代表と結ぶことで、決められた範囲で残業や休日出勤が認められます。
協定を結んでいない場合、会社が従業員に残業を命じることはできません。
エンジニアとしては、36協定に基づく労働環境の整備が求められるほか、派遣先の残業指示が36協定に則っているか確認しましょう。
契約タイプ別・残業のルール
SESでは、派遣契約・請負契約など契約タイプごとに残業の取り扱いが異なります。
契約タイプ | 残業ルールの特徴 | 指揮命令権 | 残業拒否の難易度 |
---|---|---|---|
派遣契約 | 派遣先の規定に従うため、残業も派遣先の指示に基づく | 派遣先が指示命令権を持つ | 残業拒否が難しい |
請負契約 | 業務完成が責任。労働時間管理が不明確で、残業が発生しやすい | 指揮命令権はない | 無制限労働のリスクがあり困難 |
準委任契約 | 作業の過程に責任。成果責任はなく、労働時間管理は自社で行う | 自社が指揮命令権を持つ | 自社で管理するため調整がしやすい |
派遣契約では、派遣先の指示に従う必要があり、残業も派遣先のルールに従うことになります。
請負契約では、仕事を完成させることに責任があり、労働時間の管理があいまいになるため、長時間労働が発生しやすいです。
準委任契約では、仕事の進め方に責任を持ちますが、成果責任はありません。労働時間管理は自社で行うことが求められます。
これを理解すると、「自分の契約タイプによって、どこまで残業を拒否できるか」「残業を避けるにはどう交渉すれば良いか」が明確になります。
クライアントの残業指示は合法?違法なケースの見分け方
SES業務でよく問題になるのが、クライアントからの残業指示が合法かどうかという点です。
場合によっては違法な指示が発生することもあり、エンジニアはその見極めが重要です。
優良企業の見分け方については、こちらの記事を参考にしてください。
偽装請負を避けるべきポイント
SESエンジニアが請負契約や準委任契約で働いている場合、本来はクライアントが具体的な指示を出すことは許されていません。
もしクライアントが指示を出し、SESエンジニアがその指示に従って作業する形になると、それは「偽装請負」にあたり、労働基準法違反となります。
指揮命令権と残業ルール
派遣契約で働く場合は、派遣先が指揮命令権を持っているため、残業の指示も派遣先に従う必要があります。
一方で、請負契約や準委任契約では、指揮命令権はSES企業やエンジニア本人にあります。
このように、契約内容に基づいて誰が指揮命令権を持つかを理解しておくことで、不要な残業指示を避けることができるわけです。
違法な残業指示を拒否する方法
SESエンジニアが不当な残業指示を受けた場合には、まず契約内容を確認し、その指示が契約や法的に問題ないかを見極めます。
もし違法性があれば、労働基準監督署に相談するか、クライアントとの事前取り決めを行うことで、冷静に対応することが大切です。
残業代が支払われないときは?
残業代未払いのトラブルに直面した場合、どのような対応が考えられるのでしょうか。
労働基準監督署や専門家への相談、場合によっては転職も視野に入れた解決策をご紹介します。
労働基準監督署に申告
もし残業代が支払われない場合、労働基準監督署に申告するのが一つの方法です。
労基署への申告は、未払いの証拠を集めて行うことで効果的であり、改善を促すための力強い手段となります。
証拠としては、タイムカードやメールのやり取り、日々の業務日報などが重要です。
弁護士や専門家に相談する
残業代未払いが発生した場合、専門家である弁護士に相談することも選択肢の一つです。
弁護士は法律的な観点から助言を行い、場合によっては交渉を代理で行うことも可能です。
法律相談は無料で行えるサービスも増えているため、必要に応じて利用するとよいでしょう。
転職を考える
残業代が支払われない環境が改善されない場合、最終手段として転職を考えることも重要です。
将来のキャリアと健康を守るためにも、SES業界内外で自分に合った職場を見つけるための準備を始めることが賢明です。
匿名で相談できるホットライン
代表的な労働関連のホットラインには、厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」などがあり、残業代未払い、過重労働、職場環境の改善に関する相談が可能です。
相談は無料で、平日夜間や土日・祝日にも対応しており、匿名で利用できます。
SESで残業を拒否するための実践テクニック
残業を拒否したいと考えても、どのように対応すれば良いかは難しい問題です。
SES企業での残業拒否を実現するためには、事前の同意形成や現場でのルール徹底が必要です。
ここでは、具体的な交渉テクニックや残業を避けるための実践方法をご紹介します。
案件開始前の取り決めと同意形成
SESで残業を避けるためには、仕事が始まる前に
「どれだけ働くか」
「残業をするかどうか」
をしっかり決めておくことが大事です。
たとえば、「契約書に、何時間働くか」「残業が必要になった場合には事前に話し合う」などをきちんと書き込んでおくと、後から無理な残業を求められるのを防ぎやすくなります。
契約書には、残業に関するルールや条件が書かれていることが多いので、「労働時間」「残業」などのキーワードがある箇所を中心にしっかり確認しておきましょう。
現場調整と残業ルールの徹底
実際に働いている現場では、仕事の状況によっては残業が必要になることもあります。
このような場合でも、
「残業が発生しそうなときには、事前に報告する」
「追加の仕事があるときは、その分の報酬をきちんと確認する」
などのルールをしっかり守ることが大切です。
こうすることで、無理な残業が増えるのを防ぎやすくなります。
また、クライアントからの指示があいまいで困る場合には、SES企業の担当者に相談するのが良いでしょう。
疑問点があれば遠慮せず質問しましょう。
そうすることで後で「聞いていなかった」とならずに済みます。
定期的な進捗管理と問題解決方法
定期的に仕事の進み具合をチェックすることで、残業が発生しそうな時期を早めに予測し、対策を取ることができます。
たとえば、週に一度や月に一度、進捗状況をSES企業の担当者やクライアントと確認し、無理なスケジュールを避けるために作業の調整を行います。
また、何か問題が起こったときにはすぐに報告し、必要に応じて作業内容や仕事の量を見直してもらうことで、残業を減らせます。
こうしたチェックを続けることで、働きやすい環境をつくりやすくなります。
また、SES業界で働く同僚や先輩にアドバイスをもらうと、どこに注意すれば良いかのポイントがわかりやすくなります。
SES企業で働くエンジニアの声【体験談・実例】
実際に残業拒否に成功した事例や、逆に失敗してしまったケースも含め、エンジニアがどのように対応しているのかを見ていきましょう。
残業拒否が認められた成功事例
SESエンジニアとして働き始めたばかりのころ、あるプロジェクトで残業を頼まれたことがありました。
契約では「残業はない」と書かれていたので、どう対応しようかと悩みましたが、思い切って「契約上、残業は難しいんです」と伝えてみました。
最初は「ちょっとだけなら」と言われたんですが、「他の案件の影響もあるので、すみません」と丁寧に断ったんです。
すると、意外にもクライアント側が理解してくれて、作業スケジュールを調整してくれました。
こうやって契約内容をしっかり伝えることで、残業を回避できたのは大きな成功体験でした。
残業強制に対抗した失敗事例と教訓
ある現場では「納期が近いから残業頼むよ」と暗に毎日2~3時間の残業を求められました。
最初は「無理です」と伝えたんですが、「チーム全体が頑張っている」と強い圧をかけられて、結局断りきれませんでした。
疲れが溜まって体調を崩してしまい、このときは本当に参りました…。
この経験から学んだのは、一人で対抗するのは難しい場合もあるってことです。
次からは、SES企業の担当者にも早めに相談して、契約内容や労働環境についてサポートしてもらおうと思いました。
転職を選んだSESエンジニアの体験談
私は残業問題がなかなか解決しない環境だったので、思い切って転職を決意しました。
最初は「残業ほぼなし」と言われていたのに、いざ現場に入ってみると、納期前になるたびに毎日残業が続く状態…。
改善をお願いしてもその場しのぎで、根本的な解決には至りませんでした。
体力的にも精神的にも限界を感じて、別のSES企業に転職しました。
今の会社は残業管理がしっかりしていて、過去の経験が嘘みたいに快適です。
転職は不安でしたが、早く転職に踏み切っていればよかったと本当に思います。
「SESを辞めようかな、、」「優良企業に転職したいな、、」とお悩みの方は、活学キャリアへの相談をおすすめします。
ブラック企業は一切排除し、転職満足度98%以上と高水準のため、安心して転職サポートを受けることができます。
SES企業に入社する前に確認すべき3つのポイント
SES企業に入社する前にとくに見逃せない確認が
「残業や給与の仕組み」
「福利厚生と社内サポート」
「待機期間中の給与扱い」の3つです。
これらは実際の働き方や生活に大きな影響を及ぼすため、事前にしっかり確認しておくことがポイントになります。
詳しく見ていきましょう!
残業・給与の仕組み
SES企業での残業や給与の仕組みは会社ごとに異なるため、入社前にしっかり確認しておくことが重要です。
これまでに説明したように、「みなし残業」が給与に含まれている場合、その時間と金額を確認しましょう。
超過分の残業代が支払われるか、支払い方法や計算基準も明記されているか確認しておきましょう。
福利厚生や社内サポート
健康診断や社会保険だけでなく、特に資格取得支援や研修制度が整っているかもポイントです。
SESエンジニアはクライアント先での勤務が中心となるため、問題が起きた際にサポートしてくれる環境があるかを事前に確認しておくと安心です。
待機期間中の給与カットの有無
プロジェクトとプロジェクトの間に待機期間が発生する場合、その期間中の給与がどうなるかは必ず確認しておきましょう。
多くのSES企業では、待機期間中に給与が減額されるケースもありますが、中には通常通りの給与を保証する企業も存在します。
待機期間の取り扱いは生活に直結するため、契約内容をしっかり確認し、万が一の対応策も考えておくことが大切です。
【Q&A】SESでの残業に関するよくある質問
SESエンジニアが抱えがちなよくある質問について、具体的な回答をまとめました。
ぜひ、参考にしてみてください。
残業拒否って実際できるんですか?トラブルになりませんか?
「残業拒否」は、契約内容と現場の状況次第で実際に可能です。
特に、SESで多い「準委任契約」の場合、定められた就業時間を超えて働く義務はありません。
実際に残業を断るときは、契約上の勤務時間外であることを丁寧に説明し、あらかじめSES企業の担当者にも相談しておくとスムーズです。
ただ、現場によっては残業を断るとトラブルの原因になることもあるため、クライアントとの信頼関係を保ちながら、冷静に対処することが大切です。
残業するかどうかって、契約の種類で違うんですか?
はい、契約の種類によって対応が違います。
先述の通り、SES契約には「準委任契約」「請負契約」「派遣契約」がありますが、それぞれ残業の扱いが異なります。
準委任契約では時間の提供が前提で、成果物に対する責任はないため、残業は断りやすいです。
請負契約は納期までに成果物を納める責任があるので、納期が近いときは残業が発生することが多いです。
派遣契約では派遣先の指揮に従うので、場合によっては残業も求められます。
残業を断ったら評価に響くとか、キャリアに影響ありますか?
残業を断ることが評価やキャリアにどう影響するかは、クライアントやSES企業によっても異なります。
実際、残業を断っても契約内容に基づいて働くことを評価してくれる企業もあれば、チームワークの観点から評価が下がるケースもあります。
ただ、無理な残業で体調を崩し、業務効率が落ちると評価に悪影響が出る可能性もあるため、自分の健康やパフォーマンスを守るための選択として「適切な残業拒否」はむしろ重要です。
まとめ:SESで残業拒否は可能
SESでの残業拒否は、契約内容や交渉の工夫次第で可能です。
SESは残業が少ない一方で、契約によっては労働量に対して残業代が少なくなりがちです。
転職活動で失敗しないためには、企業の内部事情を知ることが重要です。
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