仕事を辞めようとする際、会社側から必ずといっていいほど聞かれるのが、「仕事を辞める理由」です。
人間関係や待遇、労働環境、適正など、仕事を辞める理由は人によって様々でしょう。
この仕事を辞める理由について、「本音をそのまま伝えてよいものか」「必要に応じて本音と建前を使い分けるべきか」「他の人はどういった理由にしているのだろうか」などと悩まれている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「仕事を辞める理由」にフォーカスし、本音と建前の使い分け方や円満退職のコツなどをご紹介していきます。
仕事を辞める理由:本音編
仕事を辞める理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、本音の理由としてよくあるものをご紹介していきます。
これから仕事を辞めようと考えている方にとって参考になるでしょう。
人間関係が難しい
時代や業界によらず多いのが【人間関係が難しい】という理由です。
仕事というものは、自分一人で完結するものではありません。
必ず誰かしらと関わる必要があります。
責任転嫁、出世争い、孤立、いじめ、セクハラなどなど、人間関係のトラブルを挙げてみればキリがありません。
給料が低い
【人間関係が難しい】と同様、時代や業界によらず多いのが【給料が低い】という理由です。
給料は、普段の生活レベルを左右するとても重要な要素です。
一生懸命に働いているのに基本給が上がらなかったり、残業手当や休日出勤手当がつかなかったりすると、モチベーションが低下してしまいます。
福利厚生に魅力がない
前述した【給料が低い】と似たものとして【福利厚生に魅力がない】があります。
福利厚生の良し悪しだけで仕事を辞める人はそう多くはありません。
「給料が上がらない上、福利厚生にも魅力がないから転職しようかな」といったように、給料とセットで判断されるケースが多いです。
労働条件が悪い
人手が不足している業界や成長している業界で多いのが【労働条件が悪い】という理由です。
たとえば「労働時間が長い」「有給休暇をもらえない」「シフトが不規則」など。
労働条件が悪いと、睡眠時間やプライベート時間を確保しにくくなり、生活の充実度が低下していきます。
勤務地に不満がある
リモートワークの普及により少なくなってきてはいますが【勤務地に不満がある】という理由もあります。
勤務地が自宅からあまりに遠いと、それだけ睡眠時間やプライベート時間が少なくなります。
電車通勤であれば満員電車のストレスにも耐えなければなりません。
仕事が自分に合わない
専門性の高い仕事で多いのが【仕事が自分に合わない】という理由です。
仕事が自分に合わなければ、ストレスがたまりますし、出世も見込めません。
やりがいを感じない
【やりがいを感じない】という理由も時代や業界によらずあります。
「自社の商品やサービスを好きになれない」「成長している実感がない」「業務内容がマンネリ化している」など。
やりがいがあれば多少辛いことがあっても耐えられますが、やりがいがなければそうもいかないでしょう。
責任が重い
大企業などで多いのが【責任が重い】という理由です。
「工場の爆発事故で数名が死亡」「数万人の個人情報が流出」といったニュースを耳にすることがあります。
責任が重い仕事は、大きなストレスを抱えやすいでしょう。
人事評価に不満がある
【人事評価に不満がある】という理由も時代や業界によらずあります。
「どれだけ成果を出しても正当に評価されない」「いわゆる太鼓持ちの人ばかりが出世していく」といったことがあればモチベーションが低下するでしょう。
社風が合わない
【社風が合わない】という理由も時代や業界によらずあります。
社風にも、「体育会系」「実力主義」「風通しが良い」など様々なものがありますが、入社してみないと分からないことが多いです。
経営状況がよくない
近年、増えているのが【経営状況がよくない】という理由です。
現代は、テクノロジーの高度化やグローバル化などにより変化の激しい時代です。
「繁盛していた企業がいつの間にか倒産していた」という事例が数多くあります。
仕事を辞める理由は建前の理由でも大きな問題はない
仕事を辞める際に本音の理由としてよくあるものをご紹介しました。
仕事を辞める理由は人によって様々ですが、共通する部分もあり、実は会社に対する不満というケースがほとんどです。
会社に対する不満を、そのままストレートに会社側に伝えてしまうと、どうなるでしょう。
やはり相手も人間です。
反感を買ってしまい、人間関係のトラブルに発展してしまう可能性もでてきます。
また、会社に対する不満を伝えると、人材が不足している会社などの場合、「改善するので辞めないで欲しい」などと引き留められることがあります。
もちろん、本当に状況が改善するならよいですが、実際には一時的な対応をするだけというケースが少なくありません。
このような事情から、本音をそのまま伝えるのは避けた方がよい場合もあります。
必要に応じて、本音と建前を使い分ける意識を持つことが大切です。
そもそも、会社を辞める際に、「労働者は会社側に明確な理由を伝えなくてはならない」などという法律・ルールは存在しません。
辞める辞めないはあくまで労働者の自由です。
しかし、だからといって、事実無根の理由にすることを推奨しているわけではありません。
一般的に、仕事を辞める理由は、たとえば次のように複数あるケースが多いです。
「自分のスキルを十分に活かせていないし、プライベートの時間も増やしたい」
「人間関係面・給料面で悩んでいるし、何か新しいことにもチャレンジしてみたい」
会社側には、角が立たない理由のみを伝えればよいでしょう。
仕事を辞める際、建前の理由を伝えるメリット
仕事を辞める際、建前の理由を伝えることには、主に次の3つのメリットがあります。
引き留められにくい
先にもお伝えしましたが、仕事を辞める理由として不満について言及すると、「改善するので辞めないで欲しい」などと引き留められることがあります。
いったん引き留められてしまうと辞めにくい雰囲気になってしまいますし、強い意志で振り切っても角が立ってしまうことがあります。
一方、建前の理由を使うことで、不満について言及せずにいれば、この引き留めを避けられるでしょう。
退職日まで気持ちよく過ごせる
通常、退職意思を伝えても即座に辞めることはできません。
一般的には、1ヶ月程度の時間がかかります。
仕事を辞める理由として不満について言及すると、誰かしらの反感を買い、その間の居心地が悪くなってしまうこともあります。
一方、建前の理由を使うことで、不満について言及せずにいれば、人の反感を買うことがありません。
退職日まで気持ちよく過ごせるでしょう。
引き継ぎや退職手続きもスムーズに進みます。
退職後も会社の人とのつながりを持ちやすい
建前の理由により円満退職ができれば、退職後も会社の人とつながりを持ちやすいでしょう。
仕事を辞める際、建前の理由を伝えるデメリット
仕事を辞める際、建前の理由を伝えることには、主に次の2つのデメリットがあります。
本音を隠し通す必要がある
建前の理由を伝えると、退職日まで本音を隠し通さなくてはなりません。
同僚などと会話をする中で、つじつま合わせをする必要が出てくるため、ストレスになるかもしれません。
本音がバレた場合に印象が悪くなる可能性がある
本音というものはバレてしまうこともあります。
よくあるのが「本音を伝えていた同期から上司に伝わってしまった」というケースです。
本音がバレてしまえば、退職日までの間、気まずい思いをすることもあるかもしれません。
仕事を辞める理由:建前編
ここでは、仕事を辞める際に建前の理由として使えるものをご紹介していきます。
ぜひ参考にしてください。
キャリアアップしたい
「自分の強みをより活かせる業界で働きたい」「新しい環境で自分自身を成長させ人間としての幅を広げたい」など、キャリアアップのために辞める場合は角が立ちません。
とても前向きであるため、気持ちよく送り出してくれるでしょう。
今しかできない経験をしたい
「年齢制限のある資格を取得する」「世界一周旅行をする」など、今しかできない経験をするために辞める場合も角が立ちません。
その会社にいては実現できないことであるため、誰も引き留めないでしょう。
家族との時間を増やしたい
生き方は人それぞれです。
「子どもと触れあう時間を大切にしたい」「今のうちに親孝行をしておきたい」など、家族との時間を増やすために辞める場合は納得してもらいやすいです。
病気治療に専念したい
「過労がたたって持病が悪化し、静養することにした」など、病気治療に専念するために辞める場合も納得してもらいやすいです。
「健康を犠牲にしてまで働け」という方はそう多くはいません。
家業を継ぐ
家業継承は家庭の事情ですので、やむを得ないこととして受け入れてもらいやすいです。
引っ越しを伴う場合はなおさらです。
身内の介護をする
身内の介護も家庭の事情ですので、やむを得ないこととして受け入れてもらいやすいです。
結婚する
結婚を機に専業主婦になるケース、遠方に引っ越すケースも受け入れてもらいやすいです。
祝福しながら送り出してくれるでしょう。
仕事を辞める前に行っておきたいこと
仕事を辞める前は、次の4つのことを行っておきましょう。
後悔がないよう改めて辞めることについて考える
辞めた後に後悔しないよう、改めて辞めることについて考えてみましょう。
仕事を辞めたいと思っているときは、精神的に疲れていて視野が狭まっていることが多いです。
そんなときは、落ち着いて自分自身を客観的に見る時間をとることも大事です。
状況を改善できないか人事部や管理職にかけあう
状況を改善できないか、人事部や管理職にかけあうのも効果的です。
人事部や管理職は、現場で起きていることについて詳細まで把握できていないということが往々にしてあります。
かけあうことにより、状況の改善に動き出してくれる可能性があります。
辞めるときの大まかな流れを把握しておく
辞める決断をしたら、その後の大まかな流れを把握しましょう。
そうすることで、物事がスムーズに進みやすくなります。
退職は、一般的には次のような流れで進めていきます。
・退職届の提出
・退職日の調整
・業務の引き継ぎ
・挨拶まわり
・有給休暇消化
・社員証や制服など貸与品返却
3ヶ月から半年分の生活費を用意しておく
転職活動を行う場合は、前もって3ヶ月から半年分の生活費を用意しておきましょう。
そうすることで、精神的に余裕を持って転職活動を行うことができます。
良い印象を与える仕事を辞める理由の伝え方
仕事を辞める理由は、その内容も大事ですが、伝え方もまた大事です。
伝え方によって印象が大きく変わります。
円満退社につなげるため、仕事を辞める理由を伝える際には、次の4つのポイントを意識してください。
タイミングに気を配る
退職者が出れば、会社側としては、退職手続きや後任者教育などの対応が必要となります。
それまでお世話になった会社になるべく負担がかからないよう、退職意思はなるべく早めに伝えるようにしましょう。
繁忙期を避けるといった配慮も大事です。
直属の上司に伝える
基本的に、退職意思を伝える相手は直属の上司です。
その上の上司あるいは人事部に伝えるなど、直属の上司を蚊帳の外におくようなことはNGです。
なるべく口頭で伝える
退職意思は、メールやチャットなどを通して伝えるのではなく、対面で伝えるのが基本です。
大事な話は直接お会いして顔を見ながらする。
これが社会人としてのマナーです。
辞める理由が二転三転しないようにする
仕事を辞める理由は、二転三転しないようにしましょう。
二転三転すると深く追及されかねません。
退職を引き留められたときの対処法
退職したいと伝えたのに、何らかの事情により「辞めたいのに辞めさせてもらえない」事態が発生した場合は、こちらの対処法を活用してみてください。
上手く断る
引き留めが不可能な断り方ができれば、トラブルが起きることなくスムーズに退職することが可能です。
もし引き止められたときに、論破できる断り方や上司が納得する断り方を知っておくと、いざという時に役立つので、参考にしてみてください。
退職代行サービスを利用する
どうしても辞めさせてもらえない場合、退職代行サービスを利用するのがいいでしょう。
退職代行サービスとは、労働者本人に代わって退職に関する処理を行ってくれるサービスのことです。
いわゆるブラック企業がはびこる日本社会では、「辞めたいのに辞めさせてもらえない」というケースが横行しています。
そこには、「人手が足りていない」「採用・教育費をかけたくない」「離職率を一定以下にしたい」などの事情があると考えられます。
辞める意思を貫き通そうとすると、脅しや嫌がらせをしてくるケースもあるようです。
「辞めたいのに辞めさせてもらえない」という場合、退職代行サービスを利用することをおすすめします。
まとめ
この記事では、「仕事を辞める理由」にフォーカスし、本音と建前の使い分け方や円満退職のコツなどをご紹介してきました。
仕事を辞める理由として本音をそのまま伝えてしまうと、心証を悪くしたり、引き留められたりすることがあります。
全くの嘘はよくありませんが、必要に応じて本音と建前を使い分けることも大切です。
円満退職をするため、この記事がご参考になれば幸いです。