私たちの生活を支えているインフラ。
その中でもITの基盤であるネットワークやサーバーを支えているのが、ITインフラエンジニアです。
今回は、世の中に欠かせないITインフラエンジニアの仕事がどのようなものかを解説します。
ITインフラエンジニアになるために役立つ資格や勉強方法も紹介しますので、最後までご覧ください。
ITインフラとは?
ITインフラとは、ITにまつわるものの基盤となる設備や構造物を指します。
パソコンやルーター、サーバー、OSもITインフラです。
データを保存する時やインターネット環境を利用する時に、ITインフラは欠かせません。
ITインフラを整備するには、セキュリティ面での注意が必要です。
セキュリティが正常でないとIT環境がうまく機能せず、ウィルスによる機密情報の漏洩やデータ改ざんが発生する恐れもあります。
ハード機器の故障や障害発生の原因にもなるため、ITインフラの正しい管理と運用は重要です。
ITインフラを構成する2つの要素
ITインフラは以下の2つの要素から成り立っています。
ハードウェア
ハードウェアは、パソコンやサーバーなど物理的な設備を指します。
処理・記憶・入力・出力の機能を持つパソコン・サーバー・ネットワーク・ストレージが一般的なハードウェアです。
パソコンやサーバーの周辺機器もハードウェアの一部です。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ハードウェアを動かすためのシステムです。
OS(WindowsやIOSなど)やミドルウェア(ハードウェアとソフトウェアの間にあるアプリケーションサーバー)を指します。
ミドルウェアは、異なるOSであっても円滑にアプリケーションを動かす橋渡し的な役割を担っています。
ITインフラエンジニアの種類
ITインフラエンジニアには4タイプあります。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、ネットワークに繋がる仕組みやルールを考えたり、設定したりしているエンジニアです。
サーバー同士やパソコンなど様々なハードウェアを繋ぎ、それぞれが通信できるように整えます。
Wi-Fiの設定やルーター、スイッチの操作もネットワークエンジニアの業務の一つです。
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアは、サーバーの構築や運用を行います。
サーバーを快適に利用するため、OSの設定やミドルウェアの管理・運用も業務の一部です。
サーバーにトラブルが発生したら迅速に原因を追求して復旧させるほか、機器の交換やバックアップしていたデータの復元も行います。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃からパソコンやスマートフォンなどの情報を守るために日々活動しています。
企業の個人情報流出を防いだり、外部から攻撃を受けないように対策したりしています。
サーバーが攻撃を受けてしまうと生産ラインがストップしてしまう場合もあるため、ネットワークやサーバーなどITインフラ全般に関わる知識が必要です。
データべースエンジニア
データベースエンジニアは、データを管理・活用しています。
大量のデータを管理して、利用者が欲しい情報に素早くアクセスできるようにする役割があります。
データベースは、会社や学校での個人情報、成績も保管されているものです。
そのため、内容が漏れないようにセキュリティに関する知見も必要です。
ITインフラエンジニアに欠かせない知識とスキルを解説
ITインフラエンジニアに必要な知識とスキルを解説します。
サーバーやネットワーク
サーバーは、ネットワーク上のデータや情報を提供するための機器です。
サーバーに関する基本的な知識は以下の通りです。
- サーバーの種類や仕組み
- スペック
- 管理方法
- セキュリティ対策
- OS・サーバーごとのハードウェアとソフトウェアの理解
ネットワークは、複数のパソコンやサーバーを通じてデータ通信をする仕組みを指します。
以下がネットワークに関する基本的な知識です。
- ネットワーク機器の選定・設計・運用方法
- ネットワーク通信の管理方法
- セキュリティ対策
- OSI参照モデルやIPアドレスの知識
これらの仕組みを理解していないと正しいデータ通信が行われないため、しっかり学んでおきましょう。
セキュリティ
セキュリティは情報を守るために重要です。
パスワードを設定したり、ウイルス対策ソフトをインストールしておくことでセキュリティ対策になります。
以下が必要な知識です。
- セキュリティの考え方
- サイバー攻撃の手法
- サイバー攻撃から守る方法
- セキュリティ管理や管理方法
ネットワークやサーバーの知識がないとセキュリティとしての問題点も見つけられないため、どの知識も必須といえるでしょう。
クラウド
クラウドは、インターネット上ですでに構築されている環境を用いて、サービスを提供する技術を指します。
近年では、ITインフラの主流であったオンプロミスからクラウドへと変わってきています。
そのため、AWSやGoogle Cloudといった主要なクラウドサーバーの知識をどのくらい持っているかが重要です。
今後もクラウドの活用は広まると見られており、クラウドスキルを持つ人材は求められるでしょう。
ITインフラ設計
ITインフラ設計は、顧客に合わせてITインフラを構築する必要があります。
そのため、設計に関する知識やスキルは大事です。
最近ではITインフラ設計に関する参考書やオンライン講座が多く提供されており、学べる環境も増えています。
エンジニアとしてのキャリアアップを考えた時に、設計スキルは役立つでしょう。
ITインフラエンジニアとして働くメリット
ITインフラエンジニアとして働くと、以下のメリットがあります。
将来性がある
ITインフラは生活になくてはならないものです。
新しい技術やシステムがうまれると、エンジニアは随時対応していかないといけないため、常に仕事がある状態になります。
専門知識を持ったITインフラエンジニアは安定した需要があり、将来性も期待できます。
未経験からでも着実にスキルアップできる
ITインフラエンジニアは未経験からでも目指せる職種です。
下流工程の運用・保守・監視といった業務から始めて経験を積んで、ITインフラエンジニアとしての知識を高められます。
IT資格を取得するとさらにスキルアップしていけるでしょう。
大規模プロジェクトに携われる可能性がある
ITサービスの規模によっては、数百台ほどのパソコンやネットワーク・サーバー機器を取り扱ったり、大人数でチームを組んでプロジェクトに携われる可能性があります。
大規模プロジェクトを経験すると自分に自信も付き、キャリアアップにも繋がるでしょう。
ITインフラエンジニアとして働くデメリット
反対に、ITインフラエンジニアとして働くと以下のデメリットがあります。
土日や夜間に出勤が必要な場合がある
ITインフラエンジニアは、ITインフラを構築して終わりではなく、いつ起こるかわからないトラブルにも対応していかないといけません。
ITシステムは24時間365日対応しているものが多いため、たとえ土日や夜間でもシステムエラーが起きたら出勤する必要があります。
常に学び続けなければならない
便利なクラウドサービスやオンラインでの業務が増え、それに伴いITインフラエンジニアに求められる知識も増加しています。
サーバーやネットワークはもちろん、セキュリティ面など、ITインフラに関わる幅広い知識も同時に学び続ける必要があります。
常に新しい知識や技術を学び続けなければならないため、負担に感じる人もいるようです。
フリーランスを目指しにくい
インフラエンジニアでもフリーランスは存在しますが、業務の特性上、Web系のエンジニアに比べるとフリーランスを目指しにくい傾向にあります。
これまでにも述べているように、役割によっては緊急時に出勤しなければならないからです。
したがって、フリーランスになることが最優先の方は、最初からWeb系のエンジニアを目指すことをおすすめします。
すべてのジャンルに対応できるフルスタックエンジニアを目指したい方は、インフラエンジニアで経験を積んだあとにWeb系エンジニアを目指すのもひとつの手です。
ITインフラエンジニアに役立つ資格
ITインフラエンジニアに役立つ資格を紹介します。
ITパスポート
ITパスポートは、基本的なIT用語やシステムの概要が問われる資格です。
プログラミングの知識が浅い人や学生などが取得しやすく、IT関連の資格のなかでも難易度は低めとなっています。
国家試験として認められている資格のため履歴書にも記載でき、転職や就活にも有利に働くでしょう。
CCNA
CCNAは、シスコ・システムズ社によるネットワークエンジニアの技能を認定する試験です。
世界共通のIT資格で、ITの基礎を学びたい初学者に最適です。
活学ITスクールでは、CCNAの取得に向けてしっかりサポートする基礎コースを設けています。
わからないところはすぐにプロの講師に質問できるため、短期間で集中してCCNAの資格取得を目指す方はぜひチェックしてみてください。
オラクルマスター
オラクルマスターは、オラクル社が認定しているデータベースの資格です。
Gold・Silver・Bronzeと難易度が3段階に分かれています。
データベースの管理や運用にくわえ、SQLの知識も身に付きます。
オラクルマスター自体は民間の資格ですが、Silver以上は世界に通用する資格です。
外資系企業を目指す方はSilver以上を目指しましょう。
基本情報技術者
基本情報技術者は、コンピューターに関する基礎知識を証明する資格です。
サーバーやネットワークなど、ITインフラエンジニアに欠かせない知識を習得できます。
ITシステムの企画、設計、運用まで幅広い業務の基礎知識を学べるのが特長です。
IT業界の中で認知度も高く、ITインフラエンジニアを目指すなら取得しておきたい資格の一つでしょう。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者の上位資格で難易度が上がります。
テクノロジー分野以外に、経営全般や法務に関する問題も出題範囲です。
取得すると高度IT人材であることの証明にも繋がります。
ITサービスマネージャ
ITサービスマネージャは情報処理技術者区分の一つで、ITシステムの運用管理の知識が問われます。
ITコンサルタントや、プロジェクトマネージャーを目指している方に向いているでしょう。
試験ではシステムを導入した後の保持や管理方法、セキュリティ面・ITサービスの改善に向けた対策などが問われます。
詳しくは下記の記事でも紹介しているため、ITの管理部門に興味がある方は合わせてお読みください。
関連記事(IT資格の難易度は?転職に役立つ理由や初心者におすすめの試験も紹介)
ITインフラエンジニアの資格取得に向けた勉強方法
ITインフラエンジニアの資格取得に向けた勉強方法は、以下の通りです。
オンラインコンテンツで学習する
学習サイトや無料のオンラインコンテンツで学習できます。
自宅以外にもWi-Fiが使える場所ならばどこでも学べます。
オンラインコンテンツのなかには、無料で使用できる範囲が定められているものも多くあるため、学習コストをかけたくない場合は注意しましょう。
書籍で学ぶ
書籍を使った学習は、独学ですぐに取り組める方法です。
ITインフラに関する書籍や参考書は多く販売されており、自分のレベルに合ったものやわかりやすい本を選びましょう。
未経験から勉強する場合は『インフラエンジニアの教科書』がおすすめです。
インフラエンジニアの業務についてや必要な知識をわかりやすく解説しています。
スクールに通う
予算があり短期間で習得したいなら、スクールに通うのがおすすめです。
スクールにはITの幅広い知識を持った講師がおり、不明点をすぐに聞いて解決できるのがスクールの一番のメリットといえます。
独学だけだと挫折しそうな方は、スクールに通ってみてください。
ITインフラエンジニアになってキャリアアップを目指そう
今回は、ITインフラエンジニアの業務内容や役立つ資格、勉強方法について解説しました。
IT業界は常に人手不足であり、未経験からでも頑張り次第でキャリアアップしていける業界です。
自分に合った方法で、仕事に活かせるITインフラエンジニアの資格を取得してみましょう。