銀行員は安定した職場とされ、将来にわたり確実な収入源と期待されてきました。
しかし近年は銀行を取り巻く環境は激変し、銀行からの転職を検討している人が増えています。
「銀行から転職したいけれど、有利に進めるにはどうしたらよいか」「どの業界に進めばいいか」といった疑問や不安が出てくるでしょう。
本記事では、銀行からの転職を有利に進めるためのポイントや注意点、銀行員が転職を検討する理由、転職先の業界や職種について解説します。
銀行から転職は可能?

可能です。
銀行での経験やスキルを活かし、金融業界に限らず異業種への転職も可能でしょう。
銀行員が転職をする理由はさまざまなものがあり、これからのキャリアプランを形成していくためにもじっくり検討する必要があります。
自分の経験やスキルを整理し、適切な業界や職種を選ぶことが大切です。
銀行からの転職理由で多いものTOP7

銀行は人気のある業界ですが、実際に就職したら「思っていた仕事と違った」と感じる人も少なくありません。
銀行員が転職したいと考える理由を主に7つ紹介します。
ノルマが厳しい
転職理由にノルマが厳しいと感じることが挙げられます。
営業や販売の成績を達成するためにノルマが設定されますが、「過剰に厳しい」「ノルマがストレスだ」と感じる人もいるでしょう。
銀行は差別化が難しい金融商品を取り扱っているため、必然的にノルマが高いと感じられます。
給与や評価が妥当でない
銀行員は高い専門性を要するため、高度なスキルや知識が求められます。
自分の能力に見合った給与や評価が得られないと不満を感じるでしょう。
銀行の衰退への不安
銀行業界は激しい競争にさらされ、見通しがきかなくなっています。
利益が減少したことで早期退職やリストラが実施される銀行も少なくありません。
さらに近年では、AI(人工知能)に業務を奪われるのではないかといった業界の先行きへの不安を感じる人も増えてきました。
他の業界と比べて成長性や将来性が感じられず、今後伸びていく分野にチャレンジしたいと考え転職を決意する人が増えています。
人間関係や社風が合わない
職場環境が合わない、人間関係が悪化するといったことも転職を考える理由の一つです。
銀行は年功序列制が色濃く残っているところも多く、昇給や昇進に上司の顔色をうかがわなければならないストレスを感じる人も多くいます。
歴史のある銀行は古い組織体質が残っている場合もあります。
そのため社風が自分の感覚と合わないと感じる人もいるでしょう。
営業が苦手
銀行員の中には営業が苦手であるため、転職を検討する人もいます。
なぜ自分がこの金融商品を売らなければならないかという意義を見出しにくいときもあるでしょう。
銀行では営業職の比率が高く、営業成績で昇給や昇格が決まることも少なくありません。
営業が苦手で向いていないと感じたら、別の職種や業界の検討をおすすめします。
転勤が多い
銀行員は転勤が多い職種です。
特に、子どもがいる家庭であれば転勤の負担は大きく、配偶者の仕事の事情もあればなおさら厳しいでしょう。
自分の時間もしくは家族との時間を大切にしたいと感じる人は転職に踏み出す傾向にあります。
特に主要都市だけではなくて地方都市にも支店を持つメガバンクに勤めている人は、転勤が頻繁にあるためストレスと感じやすくなるでしょう。
仕事が楽しくない
銀行員はお金を取り扱う特性上、確認作業が多い仕事です。
毎日同じ作業を淡々と集中して続けなければならないため、やりがいを感じられず仕事が楽しくないと感じるでしょう。
仕事へのモチベーションを上げて臨みたいと感じ、転職を決意する人もいます。
銀行から転職する人が活躍できる業界や職種

銀行からの転職で活躍できる業界や職種を7つ挙げました。
銀行
同じ銀行業界の中で、他の銀行に移ることが考えられます。
銀行の数は都市銀行、地方銀行をはじめ全国にたくさんあり、銀行によって性質は異なります。
他の銀行でなら、転職したかった理由を解消できる場合もあります。
職種を変えずに転職すれば、銀行員として今のスキルをそのまま活用できるため、活躍が期待できるでしょう。
銀行以外の金融業界
銀行以外の他の金融業界に転職することで、これまでの経験を活かせられます。
銀行員として培った金融知識や経験を活かせるでしょう。
主な金融業界の企業として、証券会社、保険会社、ファイナンスリースなどがあります。
コンサル
銀行員の業務にはビジネス戦略の策定、顧客ニーズの分析といったコンサルと共通の仕事も含まれます。
融資や資金調達の業務で企業の財務状況を詳細に分析する能力を持つため、コンサルタントとして活躍できるでしょう。
ベンチャー企業
ベンチャー企業やスタートアップ企業は、銀行から転職したい人を採用する傾向にあります。
融資や資金調達の経験で企業の財務状況を詳細に分析できる能力を持つからです。
ベンチャー企業での資金調達や財務管理は会社を発展させるために重要な役割を果たします。
公務員
銀行から公務員へ転職する人も多くいます。
銀行でのコンプライアンス遵守は、公務員の法令順守にも役立ちます。
また、公務員はノルマが少ない仕事で、ワークライフバランスを充実させたい人におすすめです。
安定した業界でもあるため、女性の銀行員の転職先としても人気があります。
人材業界
人材業界では銀行からの転職者を求める傾向が多く見られます。
なぜなら、経営者と経営の課題についてコミュニケーションがとれるスキルが活かせるからです。
また、金融業界に特化した人材紹介会社では知識や経験を活かして活躍することができます。
IT業界
IT業界は人手不足が深刻な業界であり、これから発展も大きく見込めます。
一から勉強し新しい業界へ入りたい人におすすめです。
銀行から転職するために経験者が活かせる5つのスキルと強み

銀行員は仕事で培った多くの経験やスキルがあります。
転職先でも活かせる5つのスキルや強みをまとめました。
職務経歴書や面接でのアピールポイントにしましょう。
コツコツ地味な作業を継続できる力
銀行員は、資格や金融知識を身につけるための勉強が日々必要です。
また、訪問やメールなどで顧客との関係の構築を一から築き上げなければなりません。
さらに、銀行員はお金を取り扱う特性上、確認作業が多く毎日同じ作業を淡々と集中して続ける能力が鍛えられています。
このようにコツコツと作業を継続する力は強みになるでしょう。
リスクに対する感度の高さ
銀行員は金融商品を取り扱う仕事なので、資産運用やリスクヘッジの手法を学ぶ機会が多いです。
そのためリスクに対して回避する能力は日常的に鍛えられています。
リスクに対する感度が高ければ、業務効率化や企業の戦略面を立案する際に貢献できるでしょう。
論理的思考力
顧客からの問い合わせやトラブルを解決するため、論理的思考力や問題解決能力が高い傾向にあります。
物事を多角的にとらえて相手に分かりやすく説明できるスキルは多くの業界から求められるでしょう。
経営者と交渉できる折衝力
日々多くの顧客と接する機会があることからコミュニケーションスキルも強みと言えるでしょう。
融資や取引に関する交渉の折衝力は、他の業界でも非常に有益です。
経営者と円滑にやり取りできる折衝力は、企業の利益や競争力の向上に重要な要素となるでしょう。
ストレスへの耐性
銀行員はノルマや業務の繁忙期で強いストレスを感じることが多いため、ストレスへの耐性が強いと言えます。
強い精神力とストレス耐性はどのような職場でも活かせるでしょう。
銀行からの転職を成功させるためのポイント5選

銀行から転職を成功させるためのポイントを解説します。
自己分析をする
自分自身の価値観やスキル、強み、キャリアプランを客観的に見つめ直すことが大切です。
自分が持つスキルや強みを整理し、どのような業界や職種に転職したいか考えましょう。
例えば、財務知識やリスク管理、コミュニケーションスキルなど、これまでの経験で培った幅広いスキルがあります。
社外の人の話を聞く
銀行からの転職を検討している人は、積極的に社外の人とコミュニケーションをとりましょう。
銀行員は新卒で入社し、そのまま継続して勤務しているという人が大半を占めているため、社内に転職を経験した人はほとんどいません。
転職についての情報を得るためには、実際に転職した人へ話を聞くことが大切です。
社外のコミュニティで、自分とは違うキャリアを歩んでいる人とコミュニケーションを取ることで、選択肢が大きく広がるでしょう。
業種を絞りすぎない
転職の検討には銀行で培った経験やスキルを棚卸しして、今後の働き方やキャリアのプランを考え直すことが必要です。
初めから業種を絞りすぎないようにしましょう。
場合によっては限られた選択肢しか残らないためです。
自身のキャリアをもとに広い視野で仕事を探してみてください。
転職理由を明確に
転職する理由や目的を明確にして、自分が望んでいるキャリアプランを具体的に描くようにしましょう。
銀行を離れる理由や、新たな仕事で何を達成したいのかを明確にします。
これらは面接の際のアピールポイントにもなるでしょう。
転職エージェントの活用
転職活動に不安を感じる人、初めての転職の人には転職エージェントの利用がおすすめです。
無料でサービスを受けられ、転職活動をサポートしてくれます。
銀行から転職する際に活かせる5つの資格

銀行員が保有している率が高く、転職に活用できる資格を5つ紹介します。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーには国家資格のFP技能士と、民間の日本FP協会の資格であるCFP・AFPがあります。
FP技能士を銀行員は多く取得しており、1〜3級と3つの等級に分かれています。
転職で評価されるのは2級以上と言われています。
証券外務員
証券外務員の資格は銀行で働く上では欠かせません。
外務員資格は、日本証券業協会(JSDA)が試験を実施し、一種外務員・二種外務員の2種類があります。
他の銀行や証券会社、信託銀行など金融機関への転職に有利となるでしょう。
宅建
宅地建物取引士(宅建)は、融資の不動産担保登記や不動産の評価で必要となり、融資営業の担当者は取得している人が比較的多い資格です。
不動産業界や住宅、建築業界への転職に活かしやすいでしょう。
日商簿記
財務状況の把握や分析に必要な資格です。
等級は1〜4級と4つに分かれています。
企業の経理に必要な会計知識や財務諸表の読み方、経営状況の把握の力があるとアピールできるでしょう。
転職で評価されるのは2級以上だと言われています。
中小企業診断士
中小企業診断士は難易度が高い資格で、経営のコンサルティング関係では唯一の国家資格です。
所有しているだけで大きなアピールポイントになるでしょう。
特にコンサル系への転職に有利です。
最速で中小企業診断士に合格したい方は、「200時間で中小企業診断士」を参考にしてください。
忙しくて時間がない方でも、最速で合格するための様々な情報を提供しています。
銀行から転職する際の注意すべき点

銀行から転職する際に注意すべき点をまとめました。
年収の確認
銀行員は高い給与が期待できる職業の一つなので、転職先によっては収入が今より減少してしまう場合もあります。
転職先の年収を確認し、他にどのような手当もあるか調べておきましょう。
福利厚生の確認
銀行の強みは福利厚生が充実している点です。
転職先の福利厚生がどのようになっているか確認し、待遇が悪くなったとしても転職したいのかを改めて考えましょう。
情報収集の徹底
転職先の業界や企業についての情報を収集し、自分が興味を持つ職種や企業を深く理解しましょう。
さらに求人情報をよく確認して、応募資格や条件を満たしている必要があります。
自分だけで情報が集められない場合は転職エージェントや求人サイトを活用しましょう。
銀行の経験やスキルを活かせる職種は限定される
銀行員は専門性が高い職種です。
異業種で、経験やスキルをそのまま活かせる仕事は限られます。
ただし、海外への留学や法人営業の経験など異業種でも役立つスキルも多くあるでしょう。
自分の経験やスキルを整理し、転職先で有利に活用できたり、面接でアピールできたりするよう徹底的に自己分析をしてください。
銀行員におすすめする転職エージェント8選

転職エージェントを活用することで有利に転職活動を進められます。
銀行員におすすめする転職エージェントを紹介します。
活学キャリア
IT業界への転職を検討しているのであれば、活学キャリアがおすすめです。
IT業界の未経験者や完全初心者を対象としたサービスなので、銀行員として従事してきた方でも安心して利用できるでしょう。
IT業界は人手不足が深刻で、将来性が高い業界でもあるため、高い需要があります。
マイナビ金融エージェント
マイナビ金融エージェントは、転職に関する情報収集、企業や求人情報が充実しています。
金融系転職に強いキャリアアドバイザーがサポートしてくれるため、銀行からの転職の力となるでしょう。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、転職に関する情報の収集やエージェントによるキャリアアドバイスが充実しています。
業界最大手で求人数も豊富です。
特に女性を積極的に採用したい企業の求人が多数あり、女性のキャリアアドバイザーも多数在籍しています。
ビズリーチ
ビズリーチは転職の希望者と求人企業を直接つなぐためのマッチングプラットフォームです。
従来の転職エージェントとは異なるアプローチで転職をサポートします。
ハイクラスや管理部門に強いスカウトサービスです。
doda
dodaは実績が豊富な国内最大級の転職エージェントです。
求人数の多さが魅力で、厳選して紹介をしてくれるサービスが充実しています。
JACリクルートメント
JACリクルートメントは、金融や保険・不動産などの専門職を対象とした転職エージェントです。
金融業界の求人情報に強く、管理職クラスや外資系企業などハイクラスの転職実績に強みを持ちます。
パソナキャリア
パソナキャリアは、顧客満足度の高い転職エージェントです。
キャリアアップしたい人に頼れる転職エージェントで、転職後に年収がアップした人の割合が高い点も特長です。
ハイクラスの求人や女性管理職のサポートにも強いメリットがあります。
レバテックキャリア
レバテックキャリアは、ITやエンジニア向けの転職エージェントとして強みを持ちます。
銀行からIT業界へ転職したい人にとって、心強いサポートが受けられるでしょう。
銀行員の転職に関するよくある質問
銀行から転職すれば年収は上がる?
転職先の企業や業界によって異なるため一概に上がるとは言えませんが、年収を上げるチャンスは大きくあります。
銀行員としての自分が持つスキルや経験を活かしての転職が重要です。
ただし他の業種と比較して銀行は高給であるため、転職先の給与を確認しましょう。
年齢は関係ある?
銀行から転職する際に年齢が関係するかは、転職先の企業や業界によって異なります。
一般的には年齢が高くなるにつれ、転職は難しくなるでしょう。
ただしスキルや経験が認められれば年齢は関係なく転職することができます。
子持ちの銀行員は転職できる?
子持ちの銀行員でも転職は可能です。
子育てや家庭と仕事との両立を求められるため、転職先の職場は慎重に選びましょう。
また、転職に伴う収入の変化も考慮する必要があります。
子どものための教育費や生活費といった費用は、家計に大きく影響を与えるため、よく検討しましょう。
銀行員は市場価値は高い?
市場価値は経験やスキル、持っている知識によって大きく変わってきます。
市場価値が高くなる例として、長期間にわたり法人営業など特定の業務に熟練している、海外への留学経験がある、何かしらの実績が残せているといった場合には市場価値が高くなります。
まとめ:銀行からの転職はポイントを押さえて有利に進めよう!

銀行からの転職を考える人は多くなっています。
かつてはトップクラスの人気を誇っていた銀行業界ですが、成長にかげりが見えています。
転職は、新しいキャリアへの大きな一歩であり、将来の可能性が広がるかもしれません。
自分自身の適性やスキルを見つめ直し、適切な職場を選択しましょう。