Linuxのノウハウをもっと深めたいと思っているなら、資格の取得はとくに推奨されています。
その中でも代表的なものとして挙げられるのが「LPIC」ですが、これについていまいちピンとこない方は多数を占めることでしょう。
本稿では、LPICの概要や難易度、合格のための勉強方法について詳しく紹介します。
最後まで読むことで試験そのものの理解が深まるだけでなく、保有者としての一歩を踏み出す可能性を大きく上げてくれるでしょう。
ぜひご一読いただき、Linuxのプロフェッショナルを目指すステップとしてお役立てください。
取るべきIT資格をもっといろいろと知りたい方は、以下の記事でジャンル別に詳しく紹介しているので参考にしてください。
LPICの概要
LPICは「Linux Professional Institute Certification(リナックス プロフェッショナル インスティテュート シニアティフィケーション)」の頭文字から作られた名称です。
システムやネットワーク管理などのスキルを認定する国際資格であり、求人市場で確実に人材価値を高めてくれる、たいへん価値の高いものとなっています。
大きな特徴を挙げると、
- 世界における需要をもっている
- 日本国内でも人気が高い
という点です。
国家資格ではないものの、世界共通の資格となっているので、国内外を問わない活躍を目指す方にはぴったりな資格と考えて差し支えありません。
とはいえ日本国内のみで見ても人気が高いので、国内での活躍を目指す方にも向いている、たいへん利便性の高いものとなっています。
LPICの詳細
本章では、LPICのくわしい情報を、
- 各グレードと範囲
- 合格率・難易度
- 更新タイミング
の3項目に分類してご紹介します。
LPICの各グレードと主な範囲
LPICは、
- LPIC-1
- LPIC-2
- LPIC-3
の3つのグレードに分類されており、それぞれが異なる範囲と分野をカバーしています。
引用:LPICとはどんな資格?難易度から勉強方法までまとめました
この中でもLPIC-1がもっとも容易、LPIC-3がもっとも難関という設定です。
なおLPIC-2以降に挑戦する際は、それぞれの下位資格を保有している必要があります。
たとえばLPIC-2に挑戦するにはLPIC-1に、LPIC-3に挑戦するにはLPIC-2に合格していることが条件というわけです。
また各グレードごとの試験範囲については、以下の表を参考にしてください。
グレード | 試験項目 | 試験範囲 |
---|---|---|
LPIC-1 | 101 | システムアーキテクチャLinuxインストールおよびパッケージ管理GNU/Unixコマンドデバイスおよびファイルシステム |
102 | シェルスクリプトデータ管理インターフェイスおよびデスクトップ管理タスク業務必須サービスシステムネットワーキングセキュリティ | |
LPIC-2 | 201 | キャパシティプランニングLinuxカーネルシステム起動ファイルシステムおよびデバイスストレージデバイス管理ネットワーク構成メンテナンス |
202 | DNS(ドメインネームサーバ)Webサービスファイル共有ネットワーククライアント管理電子メールサービスセキュリティ | |
LPIC-3 | 300 | Samba基礎〃/ActiveDirectoryドメイン〃共有設定〃クライアント構成LinuxID管理とファイル共有 |
303 | 暗号学アクセスの制御セキュリティ(アプリケーション)〃(オペレーション)〃(ネットワーク)脅威および脆弱性評価 | |
305 | Full VirtualizationContainer VirtualizationVM Deployment and Provisioning | |
306 | High Availability Cluster ManagementHigh Availability Cluster StorageHigh Availability Distributed StorageSingle Node High Availability |
LPICの各グレードについて詳しくは下記記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
LPICの合格率・難易度
各グレードごとの目安となる合格率と難易度を、以下にまとめました。
グレード | 目安となる合格率 | 目安となる難易度 |
---|---|---|
LPIC-1 | 45~50% | Accessスタンダード情報セキュリティ技術認定試験IoT検定 レベル1程度 |
LPIC-2 | 25~30% | ソフトウェア品質技術者 中級CCNA程度 |
LPIC-3 | 20%前後 | オラクルマスタープラチナ応用情報技術者試験程度 |
LPICの更新のタイミング
LPICはすべてのグレードにおいて、取得後5年間は有効です。
5年を過ぎると「失効」とはならないものの、有意性が低いものと認定され効果は半減してしまいます。
更新の際は、いま保有している資格と同グレードのもの、もしくはそれよりも上のグレードのものを改めて受験し、合格しないといけません。
結局おなじ条件での再受験を行うなら、同グレードよりも上のグレードのものにアップすることが望ましいでしょう。
LPICの取得で得られるメリット
LPICを手にすることで、以下のような恩恵を受けることが可能です。
Linuxが関係する仕事全般で広く使える
Linuxは近年のIT領域において、非常に広く扱われている技術のひとつ。
そのため、それらが関連している仕事全般で、汎用的に活用できることが大きなメリットと言えます。
IT領域において広く普及している本資格は、多くの企業や組織に絶大な安心感・信頼感を与えてくれます。
そのため、よりその人を輝かせてくれる心強い武器になることは間違いありません。
組み込みシステム関連事業において重宝される
組み込みシステムは、携帯電話、家電製品、自動車、医療機器など、日常生活や産業において広範な領域で活用されています。
組み込みシステムにはリソース制約やリアルタイム性など、厳しい要件を満たす必要がありますが、LPICの取得によってその能力を示すことが可能です。
これから先、組み込みシステムはさらに需要が増す可能性が非常に高いため、安定した人材価値の保持に優位となるでしょう。
日常的な小さなタスクの効率化も図れる
日常的な小さなタスクの中には、Linuxの操作や管理が必要なものも多くあります。
たとえばファイルの転送やバックアップ、システムのアップデートなど。
資格を取得することで、これらのタスクを効率的に行うことができるようになります。
またファイルのバッチ処理、データ抽出や変換なども効率化できれば、かなり大きな時短が図れるでしょう。
「日常生活で毎日積み重なる小さなタスク」はぜひ効率化に務めるべきであり、これによって得られるメリットを甘く見てはいけません。
「塵も積もれば山となる」というものです。
LPICの合格におすすめな参考書
LPICの勉強には、ぜひ以下の参考書を手にとってみてはいかがでしょうか。
やさしく教えるLPICレベル1 基礎講座
本書の著者である赤星リナ氏は、基本情報処理やセキュリティ関連資格の試験対策、また学習教材開発やその他書籍執筆などを行っています。
また企業研修や大学・専門学校にてコンピュータ基礎や実務教育にも、精力的に関与。
そんな赤星氏による本書は章ごとに重要なポイントや実践的な例題が用意されているため、実際の試験にも役立つ内容となっています。
実際に手に取った方からも、
- 「楽しくスイスイと学ぶことができた」
- 「面白く、第一歩として選んだ本がこれでよかった」
といった評判が目立ちます。
Linux教科書 図解でパッとわかる LPIC/LinuC
この参考書はタイトルのとおり、図解およびイラストを多く用いることで、読者が素早くスムーズに理解できるよう考慮されている一冊です。
複雑な概念や操作手順、ポイントやキーワードを視覚的に理解することで、独学では得られない順調な進捗を実現します。
また各レベルの学習においては、別冊で書籍が用意されています。
受験予定のものを選んだうえで、ネット教材などと足し合わせて勉強することで、初学者を脱するに必要十分な知識が得られることでしょう。
しっかりわかるLinux入門
本書はLPIが監修に携わっており、実務で用いられる基礎をまったくの知識ゼロでもわかるようていねいに説明しています。
初学者向けということだけでなく、しっかりとLPICの合格対策もサポートもしている、自己学習向けに構成された教材です。
ページカラーは試験分野ごとに別の色を用いるなど、UIの見やすさにもこだわりが感じられます。
LPICの合格におすすめな問題集
LPICの勉強には、以下の問題集が最適といえます。
Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集
エントリー試験「LPIC-1」に合格すべく、最新バージョン5.0に対応し、出題範囲をまんべんなく網羅している問題集です。
LPI審査からの認定を受けており、Linux教育事業で定評のある、著者の山本道子氏によって書き下ろされています。
もちろん101、102試験のそれぞれの模擬試験が付属のうえ、さらに各問題のすぐ下に問題がついていることから、短時間でスピーディーな勉強が可能です。
- 「本書のおかげで一発合格ができた」
- 「この本を読むことが合格への近道」
といった評判も多く見られる良書です。
徹底攻略LPIC Level1問題集
LPI-Japanからの正式教材認定を受けたこちらの問題集は、最新のLPIC試験に対応した受験者必読の一冊です。
前半には101試験、後半には102試験、そして巻末には本番さながらの「総仕上げ問題」が掲載されており、読み応えは抜群です。
一問一問をこまかく解説しているので、初心者でも落ち着いて学ぶことができ、たしかな合格力が養えるでしょう。
なかなか分厚い書籍ですが、電子版を購入すればパソコンやスマホ・タブレットでいつでも勉強できて便利です。
LPIC Level.1 1回で合格必達テキスト+問題集
「超」がつく初心者の合格に向けられた必達テキストという位置づけの本書。
本格学習の前準備、さらに親切丁寧な補足注釈が随所に散りばめられています。
模擬試験はボリューミーで2回分、合計240問が網羅。
さらに練習問題は352題を収録、各章ごとの一問一答形式になっているので着実に演習力が身につきます。
また電子版では、巻頭でひとまとめにしたチェックシートからすぐ解説を読めるなど、使いやすい仕様になっていることもポイントです。
LPICに合格するための勉強方法
LPICの合格に必要な勉強法なら、ぜひ以下をお試しください。
座学よりも手を動かして覚える
LPICは座学で知識を学ぶだけでは不十分です。
実際に手を動かして操作をしてみることで、より深い理解につなげられるからです。
もちろん座学で知識を学ぶことは大切ですが「百聞は一見にしかず」というように、やはり触って操作しないと、定着度合いが圧倒的に違ってきます。
とはいえあまりに偏りすぎても問題なので、座学と実技の両方をバランスよく学ぶことが大切です。
座学で知識を学んだら、すぐに実技で試してみましょう。
過去問題の反復をメインにする
過去問題を反復することで、試験の傾向を把握し、どのような問題が出題されるのかを知ることができます。
また問題を解くためのテクニックやコツが身に付くため、試験対策としてこの上なく理にかなっています。
まずは過去問題集を入手し、取り組んでみましょう。
解答を確認しながら、間違えた問題や不明な点を復習することで、知識の定着が期待できます。
LPIC合格のためのおすすめ勉強方法については下記記事でさらに詳しく解説しているので参考にしてください。
LPICに関するよくあるQ&A
LPIC初心者が抱きやすい質問をご紹介します。
「LPICは意味がない」という意見もあるけど本当?
いいえ、LPICは大きな意味をもたらすものです。
意味がないと言われる理由には、主に
- 業務必置の資格ではない
- 実務で役に立つ機会は限定的
といったことが挙げられます。
必置ではないにせよ、責任の大きな任務において取得が求められる場面はゼロではありません。
また資格は、そういった高報酬の仕事にアサインできる可能性を高めてくれます。
詳しくは次の記事を読んでみてください。
落ちたら再受験まで日にちを空ける必要はある?
一度試験に落ちてしまった場合、2度目の挑戦まで7日間の期間を開ける必要があります。
さらに再試験にも落ちてしまった場合、3度目の挑戦までは30日間の期間を開けなければなりません。
LPICの難易度を他の資格に例えると?
わかりやすくたとえるなら、以下のようになります。
- LPIC-1…ITパスポート
- LPIC-2…CCNA
- LPIC-3…応用情報技術者試験
LPIC-1は基本的な内容がベースなので、それほど難易度は高くありません。
しかしLPIC-2や3となると、より実用的なノウハウが問われるため、しっかり勉強しないと難しいです。
他のIT資格難易度をもっと知りたい方は、下記記事で解説しているので参考にしてください。
まとめ:Linuxの資格を目指すならLPICが最適解!
漠然と「Linuxの資格がほしい」と思ったら、まずはLPICを目指すのが最適解です。
LPICの取得で信頼性の向上を図れるため、広範囲なLinux関連の仕事に応募する際に有利なポイントになりえます。
合格のためには、実際の環境でLinuxを操作し学ぶことがベストです。