LPICの受験を考えてはいるものの、「101試験」や「201試験」など聞き慣れない言葉に翻弄されて困惑してしまい、受験を敬遠してしまっている方は多いはずです。
しかしLPIC資格の構造をしっかり理解すれば、101や102などの数字の意味が理解でき、効率よく勉強することが可能になります。
本記事においては、LPICの中でも101試験について、概要や受験にかかる金額、さらに合格するための条件について詳しくご紹介します。
最後までお読みになることで、LPIC試験の構造そのものが理解でき、101試験の合格が目前となるでしょう。
ぜひ参考のうえ、合格の一助としていただければ幸いです。
LPIC101とは
LPIC101試験とは、「LPIC-1」の認定に必要な複数の試験のうちの一部です。
まずは本項の話の源にもなっており、101試験を含んでいる「LPIC-1」について解説します。
LPIC-1はLinux技術者認定のひとつであり、主にシステム管理における技術を有することを証明できる資格です。
本資格のターゲットとなるのは、
- これからLinuxを使い始める人
- 仕事でLinuxを使うことになった人
などが一般的となります。
要求される知識としては「システム管理全般に関すること」であり、具体的には、
- アカウント
- タスク
- ネットワーク
- セキュリティ
の管理・メンテナンスを、Linuxを使っていかに実施できるかというのが、主に学ぶべき内容です。
まずLinuxとは何?という方は、下記記事でわかりやすく解説しているので先に読んでみてください。
LPIC101の受験料
LPIC101試験にかかる料金は、税込みで16,500円です。
こちらの料金体系には、試験の運営や実施、成績の評価に関わるさまざまな要素に必要な費用が含まれています。
Linuxシステム管理者としてのキャリアを築くために必要な投資の一環と言えるでしょう。
受験者はその料金の価値を理解のうえ、資格取得に向けて努力を惜しまないことが大切です。
LPIC試験については、下記記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
LPIC101の合格の条件
LPICは合格点や条件、合格率を正式に公表していません。
ただ合格ラインの推定値は、65%程度とされています。
試験は全60問で構成されているので、つまるところ39〜40問正解で合格ラインに達するという計算です。
とはいえ、すべての問題に平等な点数が配分されているわけではありません。
問題の難易度や正解数によって、1問正解ごとに加点される点数が前後するので、ひとえに「◯問正解すれば合格」と表現することは難しいのです。
あくまで目安として39〜40問の正解が目標となりますが、より確実な取得のためには、さらなる加点を目指して努力することが大切になります。
LPIC101の懸念点
LPIC101試験における懸念点を挙げるなら、以下のようなものがあります。
- 十分な学習時間の確保とリソース配分が必要になる
- 落ちてしまった場合、1週間空けないと再受験はできない
- 必ずしも取得後の恩恵が保証されるわけではない
まずLPIC101試験は決して、「簡単で誰でもとれるような資格」ではありません。
十分な学習時間を確保のうえ、試験の合格に向けた学習計画を考える必要があります。
また、もし試験に一度落ちてしまった場合、その後1週間は再受験することができません。
最低でも7日間を空ける必要があるため、挑戦のモチベーションを保つのが困難です。
さらに試験に合格したからといって、大企業への就職や高度なプロジェクトの参加といった恩恵が、安易に実現できるという保証もありません。
取得した資格を丸っきり頼りにするのではなく、あくまでプラスアルファの武器として備えておくこと。
そして、それ以上に自分自身の良質な経験を磨く努力をすることが重要になります。
その他試験の仕様
その他の詳細な仕様を一覧にまとめたものが、以下のとおりです。
受験に必須となる条件 | なし |
受験の時期 | 会場によって異なる(オンライン受験可) |
試験コード | 101-500102-500 |
問題数 | 各60問 |
試験時間 | 各90分 |
試験にかかる料金 | 各16,500円(税込) |
資格の有効期限 | 5年間 |
受験のための特定の条件はないので、どのような方でも挑戦することができます。
また試験は101、102ともに各60問なので、合計で120問。
試験時間も各90分なので、合計で180分と長期戦になります。
荷物にならなくて、かつ眠気に影響が出ないような、手軽な栄養補給の食べ物などを持参しておくのがいいかもしれません。
LPIC101試験日に会場でやること
試験の当日は、会場の受付にて本人確認が行われます。
本人確認には免許証やマイナンバーカード、パスポートなど指定の書類が必要になるので、忘れずに持参するようにしてください。
その後、試験についてのかんたんな説明を受け、試験の会場まで移動。
試験時間になったら、試験が開始される流れとなります。
会場の受付や手続き、会場の移動、および学習したことの最終チェックなどを踏まえ、遅くとも20分前くらいには会場に到着しておくと安心です。
会場で何かしらのトラブルで慌ててしまうと、試験の集中力にも影響が出てしまいます。
念入りな準備とシミュレーションを行って、当日をむかえるようにしてください。
LPIC101に受かるための勉強の取り組み方
受かるためには、以下のように勉強に取り組むのが効果的です。
大まかな概要の理解を深める
まずは大まかな概要だったり、出題される内容などを理解することから始めましょう。
全体的な構造や流れ、問題の傾向をある程度掴んでおかないと、効果的に勉強を進めることはできません。
ここで多くの方は「丸暗記」することに走ってしまい、そもそもの大まかな概要を「理解」しきれていない傾向にあります。
暗記ができていなくても、理解できていれば答えられるような数学的な問題もたくさんあるので、まずは大まかな概要を理解しましょう。
必要な事柄を暗記する
実際の試験では、Linuxシステム管理の基礎に関するあらゆる知識や用語が登場します。
まず試験範囲に含まれる各トピックにおいて、
- 専門用語
- コマンド
- 最低限の設定
など公式ドキュメントやガイド、参考書から情報を集めリストアップしておくこと。
その上で、自分に合った暗記のための効果的なやり方を実践していくことです。
たとえば物理的なメモやノートを用いて、専門用語やコマンドを書き込んだり、アプリのメモを使って書き込み移動中やスキマ時間に見返す、といったやり方があります。
一気に覚えようとしても不可能なことが多いので、マインドマップや視覚的な手法を活かしつつ、関連性を意識しながら少しづつ覚えていくようにしましょう。
過去に出された問題演習を反復
大まかな概要を理解し、必要な部分の暗記ができたら、過去に出題された問題を反復して解いてみましょう。
まずは試しにひととおり問題を解き、解くことができなかった部分や分からなかった点を重点的に勉強すること。
そしてだいたいの問題が解けるようになったら模擬試験に挑戦し、時間配分の間隔を養いましょう。
ちなみにただ模擬試験をおこなうのではなく、解くことができなかった問題をしっかり把握しておくことが大切です。
どんな問題に躓きやすく、またどういう分野が苦手な傾向にあるかを分析することで、合格の可能性がグッと上がります。
そうこうして模擬試験でおおよそ半分以上が満足に正解できるようになれば、十分に合格範囲に該当しています。
あとは早い段階でスケジュールを決めて、試験を受けに行きましょう。
ある程度期間を決めて挑戦しないと、ズルズルと余計な勉強時間が伸びてしまいます。
LPICの勉強方法については、以下の記事でさらに詳しく解説しているので参考にしてください。
LPIC101の勉強にかかる所要時間
ここでは、合格するためにかかる勉強時間を、受験者のレベルごとにまとめました。
未経験者のケース
まったくの実務未経験で、かつこれからLinuxに初めて関わる方であれば、目安として200時間程度となります。
受験者の勉強のペースや集中力のもちようで変動しますが、1日2時間の勉強で、3ヶ月強〜4ヶ月弱かかる計算です。
もし短期間での学習を目指す場合は、集中的な学習時間の確保はもとより、何らかのサポートを受けることも選択肢に入れるといいでしょう。
たとえばITスクールのひとつ「活学ITスクール」では、資格の取得支援として、動画教材やプロ講師による強力なサポートが受けられます。
基礎を押さえている方のケース
ある程度Linuxに対する知見をもっていたり、すでに基礎知識を押さえている方であれば、おおよそ100〜120時間が目安となります。
「基礎を押さえている」の基準を定義するなら、
- Linuxの基本操作がスムーズにできる
- 日常使いで頻出されるコマンドを暗記している
といった具合です。
単純計算で、毎日2時間の学習で2ヶ月前後で取得できることになります。
ただ、いくら基礎知識があってもダラダラと学習をしていると、目安以上の時間がかかったり不合格となってしまう可能性も大いにあります。
いま持っている知識を活かしながら、試験範囲中の不明点を潰していく形で学習しましょう。
また、さらなる合格率の向上のために、PC上でLinuxに触れるだけでなく実機を用いた操作経験を積んでおくことも、対策として有効です。
実務経験者のケース
実務における経験があったり、常日頃からLinuxでシェルを書くなど応用的に使いこなしている方であれば、30〜40時間が目安です。
1日2時間の勉強とすると、1ヶ月以内で取得できることになります。
LPIC101は主に、システムの管理技術についての出題がメインです。
実際の現場でやっている操作スキルや日常使いで培っている技術力は、必ず大いに役立つでしょう。
ただし油断は禁物であり、まったく対策をしていなかった実務経験豊富な現役エンジニアが不合格となる事例もゼロではありません。
過去の問題を実際に解いてみると、必ず普段仕事で使わないような不明点が出てきます。
「試験に出てくる内容」と「実務で使う知識」には乖離があるので、その点を意識しながら対策するのが賢明です。
LPIC101についてよくあるQ&A
LPIC101に関して、よく質問されている内容を紹介します。
LPICレベル1の合格は難しい?
LPIC-1は、それほど難関な資格ではありません。
3グレードの中ではもっとも初心者向けとされており、難関で応用的なものよりも、基礎的な内容が出題されます。
さらに受験の条件もなく誰でも挑戦できることから、多くの未経験者が受験するからです。
とはいえ、Linuxに関わったことがない初学者にとっては、すこし難しい壁になることは間違いありません。
コマンドをはじめ覚えるべき専門知識が多いため、理解・暗記に時間がかかるからです。
また経験者でも、勉強せずに合格できるほど簡単なものではありません。
どのような立場の方でも、一定の対策を行わないと不合格になるのがLPIC-1です。
そもそもLPICレベル1とは?
LPICレベル1とは、LPICの3つのグレードのうちのひとつで「LPIC-1」とも表記されます。
LPIC-1はLinux技術者認定のひとつであり、主にシステム管理における技術を有することを証明できる資格です。
その「LPIC-1」の中に含まれているのが、101試験と102試験ということです。
101と102の両方の試験に合格できなければ、LPICの合格は認められません。
LPICレベル1、レベル2については、下記記事でそれぞれ詳しく解説しているので参考にしてください。
LPICは101と102どっちから挑戦すべき?
どちらから挑戦してもいいでしょう。
とくにルールが存在するわけでもなければ、難易度に大きな違いがあるわけでもありません。
実際に102→101の順序で挑戦し、取得に至っている方もいます。
ただあくまで本記事としては、101試験から挑戦することを推奨します。
101はコマンドの暗記が必須となる問題が多く出題され、その延長線のような問題が102で出題されるからです。
スムーズに102に挑戦するためにも、前もって101に合格したほうが、気持ち的には楽かもしれません。
また名称や数字的な観点から、LPICへの挑戦のスタートとしてふさわしいことも理由のひとつです。
まとめ:準備を万端にしてLPIC101に挑もう
LPIC01は未経験者が多く受験することもあって、それほど高難易度なものではありません。
ただ十二分な対策を施していないと、合格が遠ざかってしまうレベルであることも事実です。
101試験の合格は、LPICの取得に必須の条件となります。
万全な準備をして、自信をもって挑むようにしてください。