LPICは世界中で知られた資格ではあるものの、初めて聞いた方や「ちょっと興味はあるけど概要はまったくわからない」という方は多いでしょう。
なぜならLinuxに興味をもったり、実際に触れている方でいないと、なかなか認知されることのない資格といえるからです。
今回はそんなLPIC資格について深掘りしていく内容となっており、概要から申し込みの方法、どんな人が挑戦したほうがいいかまで見ていきます。
Linuxのプロフェッショナルを目指す方にとって有益な情報が満載です。
ぜひお読みの上、しっかりご活用いただければと思います。
取るべきIT資格にまだ迷っている方は、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
LPIC試験とは?
LPIC試験はLinux Professional Institute Certificationの略であり、Linuxシステムの管理や運用に関する実力を評価する資格試験です。
LPIC試験はLinuxシステムの管理をはじめとする基本的な領域で構成され、以下の3つの難易度区分が設けられています。
- LPIC-1(難易度低)
- LPIC-2(難易度中)
- LPIC-3(難易度高)
LPIC認定は、Linuxエンジニアやシステム管理者の実力を裏付ける目的で求められることがしばしばあり、キャリア形成で役立ちます。
ひとつの難易度区分の中に、2〜3つの試験が盛り込まれる形で構成されており、一定の合格基準を満たせば認定を手にできる方式です。
Linuxを専門とするIT従事者からすれば、欠かすことのできない重要資格となっています。
LPICの各試験については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
LPIC試験の申込みから受験までの方法
ゼロ状態での申し込みから、LPIC試験を実際に受験するまでの流れについてご紹介します。
1.試験実施日と試験会場を把握する
まず最初のステップは、試験実施日と試験会場を把握することです。
公式ホームページから試験のスケジュールを確認し、受験したい試験日と試験会場を選択します。
試験センターは一般的に専用の施設で行われますが、オンラインで試験を受けるオプションもある場合があります。
なお注意点として、原則日曜日と祝日、年末年始は休業となっているため、受験はできません。
試験を受けるなら祝日以外の月〜土曜日になるので、要確認です。
2.必要なアカウントの作成を行う
第二ステップとして、必要なアカウントの作成作業を行う必要があります。
必要なアカウントとは、以下の3つです。
- Linux Professional Institute(LPI-ID)
- ピアソンVUE(会員アカウント)
- Ping-T(会員アカウント)
Linux Professional Instituteの公式ホームページにアクセスし、LPI-IDを作成します。
このアカウントは、試験スケジュールや試験結果などの情報を管理するために必要です。
また、試験の申込みを行う際にピアソンVUEというサイトの会員アカウントも使うので登録が必須です。
さらに割引価格で受験するためのチケットを購入するのに、Ping-Tの会員アカウントも作成しなければなりません。
いずれもアカウント作成時には、個人情報や連絡先情報を提供する必要があります。
また各受験者アカウントでは、試験予約や試験料の支払い、成績の確認などをインターネット上で行うことができます。
3.受験料を支払い申し込みを完了させる
ひととおりアカウントの作成が完了したら、次は受験料の支払いと申し込みのフェーズです。
申込み方法には、オンライン申込みフォームの提出や電話での申込みなどがあります。
また試験料の支払い方法には、一般的にはクレジットカードや銀行振込などが利用できます。
支払いが完了したら、申込みが正常に処理されるまでしばらくお待ちください。
支払いが確認されると、受験者アカウントに試験予約の詳細情報が表示されます。
試験の日時や会場、受験番号などが含まれているので、必ず確認し受験当日の準備を進めてください。
受験料の支払いと申込みの完了により、試験の予約が確定したら、あとは試験当日に向けて勉強を仕上げるのみです。
4.持ち物をしっかり準備し試験会場へ足を運ぶ
試験当日に必要な持ち物を事前にしっかりと準備し、会場に足を運びましょう。
必要な持ち物は基本的に身分証明書のみですが、それらを2点用意しなければならない点に注意が必要です。
試験直前まで勉強したことを確認したい方は、書籍や自作のノートなどを持参してもいいでしょう。
また試験の前に事前受付や本人確認などがあるので、遅くとも試験開始の20分前には会場に到着しておくのが理想です。
5.試験終了後に合否を確認する
試験が終わったら、合格点に達しているかどうかがその場でPCの上に表示されます。
この方式により後日通知を待ったり、自分で確認を行う必要がないため、たいへん合理的といえるでしょう。
自分の点数がどうだったかをしっかり確認してから解散、という流れになります。
合格した場合、LPIC認定証が3日から1週間ほどで発行されますので、試験に合格したことを誇りに思い、しっかり活用しましょう。
もし試験に不合格だった場合でも、自身の知識や弱点を分析し改善点を見つけ、諦めずに次回の試験に向けて再度努力することが重要です。
LPIC試験の受験料
LPIC試験の受験料は、30,000円となっています。
具体的には
- LPIC-1の101試験で15,000円
- 同様102試験で15,000円
が発生するので、合計で30,000円という計算です。
これに加えて書籍やノートの購入費を考えると、LPIC取得にかかる費用はトータルで40,000円弱と考えて差し支えありません。
ただ「受験のキャンセルは1日前までに行えばOK」となっているので、万が一の急な予定でも安心です。
とはいえ、あまり気軽にキャンセルできるからといって、勉強期間をズルズル伸ばすことは良いこととはいえません。
LPIC試験の受験料を安くする方法
受験料を安くするなら、以下のいずれかのサイトから「受験料割引チケット」を購入する方法があります。
- バウチャーチケット購入センター
- Ping-T
上記から希望の日時の試験のチケットを購入し、記載されているコード番号をピアソンVUEに入力すると、正規ルートで購入するよりも安く申込受付を完了させることが可能です。
上記の方法は決して不正ルートなどではなく、LPICが公式で公表している方法なので、安心して活用するといいでしょう。
LPIC試験の合格までの目安となる勉強時間
LPIC合格までの勉強時間として、一般的な目安とされているのは約100〜200時間です。
まったくのゼロの状態で、これから取得を目指す方なら約200時間、ある程度経験と知識を備えている方が目指すなら約100時間という認識でいいでしょう。
なお、上記はLPIC-1のレベルでの合格を目指す場合の推定時間であり、LPIC-2や3など高度なレベルに進む場合、さらに時間がかかる可能性があります。
ただ合格までの勉強時間は、個人の前提知識、学習方法、状況によって大きく異なります。
「あくまで目安」と考え、自分の無理のない学習ペースを守ることが、学習の継続と自信につながるものです。
LPIC試験によって得られる利点
LPIC試験を取ると、以下で紹介するような利点が生まれます。
ひととおりのLinux知識が得られる
LPICを受験すると、Linuxのひととおりの知識は身につきます。
試験範囲には、入門知識から実用知識まで、あらゆるノウハウが盛り込まれているからです。
さらにいまLinuxはIT産業において貴重な役割を担っており、クラウドやビッグデータにおけるネットワーク管理など、広い領域で親しまれています。
「Linuxの網羅的な知識をおさえている人材」というステータスのためにも、取得は有用な選択肢です。
初心者から上級者までいろんなレベルに対応
LPIC試験は、初心者から上級者まで、さまざまなレベルの受験者に対応しています。
LPIC-1は未経験者に適しており、Linux概要から基礎を身につけることができるため、Linux環境での作業や学習の基盤が出来上がります。
またLPIC-2やLPIC-3はより高度なトピックを扱うため、上級者に最適。
初学者とは一線を画す、実務に付随した内容がメインとなっており、さらにLPIC-3ではアドバンスドレベルの管理などについても学ぶことが可能です。
実用的な資格として知られている
LPIC試験の利点として大きいのは、その「実用性の高さ」です。
名ばかりで実用性の小さい資格もたくさんある中、LPICはキャリアアップから転職、さらに国外での活躍に確実に貢献してくれます。
取得後の満足度も高いことが、その人気をより強固なものにしている理由です。
LPIC試験に挑戦すべき人
以下に該当する方々は、ぜひLPICに挑戦すべきです。
仕事でLinuxを必須で扱う方
LPIC試験は、仕事でLinuxを必須で扱う方なら挑戦すべき資格です。
Linuxは多くの企業や組織で広く使用されているため、その実力をもつことは重要だからです。
LPIC試験に挑戦することで実際の業務に必要な実力が身に付くので、Linux環境での作業や運用において、確実に業務を遂行することができます。
とくにネットワークやデータベースを管理といった、インフラストラクチャ系の立場の方は、LPIC資格の知見はもはや必須でしょう。
インフラ関連業務に関わる方
インフラはITサービスの基盤となる要素を指し、安定した挙動を担保するための重要な役割を担っています。
ここで雇用主やクライアントに対して自身のインフラスキルを証明するために、LPIC試験が有力な手段となります。
LPIC認定は安定性や可用性を考慮しながらインフラを使用する実力を裏付けるもの。
そのため、業務の信頼性と効率性を飛躍的に高めることができます。
サーバー業務を担当している方
サーバー業務を担当している方も、積極的に挑戦したいところです。
LPIC認定は、まさしくサーバーの安定性や可用性を高めるための実力を認定するものでもあります。
LPIC試験はベンダーニュートラルな資格なので、いろいろなサーバー環境に対応。
なので、どんなプラットフォームやオペレーティングシステムのサーバー業務にも、柔軟に対応することが可能になるでしょう。
サーバーのスペシャリストとして、専門性および信頼性の高さを示すなら、申し分ない資格です。
システム開発の業務に携わる方
システム開発の業務に携わる方も、積極的に挑戦する価値があります。
システム開発は、主にソフトやアプリの開発やテスト、デプロイメントなどのプロセスを担当。
LPIC試験に挑戦することで、Linuxを含むオープンソース技術の実力を養えます。
そのため、Linuxベースの環境での開発やデプロイメントがより効率的になるでしょう。
さらにLPIC試験は、ソフトウェアエンジニア、アプリ・ウェブ開発者など、開発の業務に深く関わる方ほど重要です。
これからIT業界を目指す駆け出しの方
これからIT業界を目指す駆け出しの方なら、ぜひLPIC試験に挑戦すべきです。
Linuxを中心としたITの知見があることがアピールできるので、キャリアスタートにおいて圧倒的に有利な要素になるからです。
合格に向けてひたむきに勉強することは、ひととおりの実力を身につけるための第一歩となります。
LPIC認定は、実力や経験を求める企業や求人において、応募者のアピールポイントとなることは間違いありません。
実力の育成のみならず、大きな自信にもつながるので、挑戦することを検討してみてはいかがでしょうか。
Linuxを何から勉強したらいいかわからない方は、下記記事で初心者でもわかるように詳しく解説しているので参考にしているので参考にしてください。
まとめ:LPIC試験はどんな方でも挑戦すべき!
LPIC試験は、仕事でLinuxの知識が必須となっている方から、開発やインフラのスペシャリストを目指す方、さらにはこれからIT業界を目指す駆け出しの方まで、さまざまな人に向いた資格です。
LPICは難易度が3つに区分されているため、入門者からベテランまで幅広いレベル感に対応しています。
これといった受験の条件もなく誰もが挑戦できるものでありながら、自身の成長とビジョンの発展を強力にサポートしてくれる武器となります。
そのため、どんな方でもLPIC試験に挑戦を検討する価値はあるといえるでしょう。