LPICのその難しさについては、じつに多くの人々が関心をもっています。
他の資格と比べると幅広いLinuxノウハウをおさえているので、実用的なスキルを要求する点で高い評判を誇ります。
とはいえ他の資格と比べて難しいと感じるかどうかは、個人のバックグラウンドや経験によって大きく違うもの。
その難しさを正確に評価するなら、要件や対象範囲を理解し十分な準備を行うことが重要になります。
この記事では、難しさを他の資格と比較のうえ、内容について徹底的に検証します。
試験の構成や内容、有効となる期間なども紹介しているので、自身の能力と目標に基づき、受験する際の適切な判断が支援できれば幸いです。
取るべきIT資格をジャンル別に解説しているので、下記記事も参考にしてください。
LPICはどのくらいの難易度?
LPICは難しさごとに、カテゴリが類別されていることが特徴となっています。
全部で3つあるカテゴリの難しさは、具体的にそれぞれどのように違うのでしょうか。
LPIC1
こちらは3つのカテゴリのうち、もっとも易しい試験です。
合格率は約60%となっており、比較的合格しやすいといえるでしょう。
ただし、専門技術者としての必須ノウハウを問うている資格であることには変わりはありません。
実務での経験がなかったり、これまでLinuxとの接点がなかった方であれば、適切な学習時間の確保や、十分な操作経験が必要になります。
市販の教科書を読み込んだり、オンライン講座やスクールを利用したりして、まずは0からの土台を作っていくことから始めましょう。
LPIC2
3つのカテゴリのうち、中間レベルに値する試験です。
合格率は約45%強となっており、前項の1よりもやや難しさが上がっています。
運用技術者としてより高度なスキルを身につけるべく、必要な知識を幅広く問うているため、十分な勉強をすることで合格は可能です。
レベル1で培った初級の知識はもとより、実際の環境で育成した経験や深いノウハウが必要になります。
ある程度、Linuxのベースができ上がった状態で挑戦することが推奨されています。
そしてこのレベルの受験には、「LPIC1に合格していること」というルールがある点に注意が必要です。
LPIC3
3つのカテゴリの中で、いちばん難易度の高い試験です。
合格率は約30%前後となっており、1、2と比較しても極めて難しい試験として位置づけられています。
それもそのはず、Linux運用者として最高峰のスキルを身につけるために必要な知識が幅広く問われる内容です。
十分な学習のみならず、良質な実務における経験が求められる、まさにプロ仕様の資格といって過言でないでしょう。
またレベル2とおなじく、受験のルールとして「レベル2を取得していること」が定められています。
LPICと別のIT資格との難易度比較
それぞれの3つのカテゴリの難しさを解説してきましたが、いまいちわかりにくいという方も多いでしょう。
本項では別のIT資格を比較対象として例に挙げ、よりわかりやすく説明していきます。
LinuC
おなじくLinux資格であるLinuCと比べると、難しさのレベルは同等です。
LinuCにも難しさで分けられた3つのカテゴリが存在し、それぞれの受験者層やレベル感にも大きな違いはありません。
ただ、微々たる差でLPICのほうが難しいとされています。
LinuCは日本のIT界隈で必要な知識に優れている一方で、LPICは日本以外の国でも活用できる技能の獲得に優れているためです。
カテゴリごと、そして挑戦者の勉強の進捗で合格率は変動しますが、どちらもLinuxのベースとなる知識があれば、克服可能な認定です。
オラクルマスターゴールド
オラクルマスターゴールドは、Oracle Databaseの専門的な運用を認定する資格です。
内容はOracle Databaseの基本操作から応用まで、広範な分野を網羅していることが特徴となっています。
なお、オラクルマスターゴールドの合格率は約30%前後。
LPICに当てはめるとレベル3程度の難しさに該当し、そのうえなかなかに範囲も広いので、やや難しいことは間違いないでしょう。
Linuxとデータベースは関連性がありつつも、試験で問われる内容はまったく違うので、十二分な経験とともに念入りな準備が必要になります。
ネットワークスペシャリスト
こちらはIPAが経営する、高度情報処理技術者試験の1つです。
スペシャリストと認定するにふさわしい実用知識から、経験に基づいた運用方法といった設問が出される傾向。
実際のネットワーク環境における、問題解決能力を評価するものです。
本資格は合格率が15%前後となっているので、LPICに当てはめてもレベル3よりはるかに難しい認定といえます。
Linuxとネットワークには深い関連性があるので、LPICへの挑戦に成功したら、よりネットワークの深みを目指すべく、次のステップとして受験してみるのもいいでしょう。
LPICの試験内容
それぞれの難しさのカテゴリごとに試験の内容をまとめたものか、次の表になります。
主な設問内容 | 構成 | 試験の時間 | 設問数 | |
---|---|---|---|---|
LPIC1 | Linuxの起動法基本的な操作法 正常なシステム動作チェック ファイル操作や挙動チェック ネットワーク基礎スクリプト ほか | 101試験 102試験 | 各90分間 | 60 |
LPIC2 | カーネル ファイルシステム ファイヤウォール VPN接続 SSHメンテナンス関連 ほか | 201試験 202試験 | 各90分間 | 60 |
LPIC3 | Sambaの概要および応用 〃のシェア設定 〃のクライアントセッティング 〃のIDメンテおよびファイルのシェア セキュリティ全般仮想・コンテナ化 クラスターの管理 ほか | 300試験 303試験 305試験 306試験 | 各90分間 | 60 |
カテゴリの中でもレベル3は資格の構成数も多く、設問の範囲もより広いことが特徴です。
いくら実務経験に優れた従事者でも、実際に問われる設問への読解力や適応力が必須なので、念入りに準備に時間を割くことが賢明といえます。
さらにルールとして、レベル3に挑戦するにはレベル2、レベル2に挑戦するにはレベル1の認定を受けなければいけないことが決まっているので、注意しなければなりません。
LPICの有効期間
有効期間は、3つのカテゴリともに、すべて5年間と定められています。
期間が定められている理由は、技術や環境が絶えず進化しているため、有識者が最新の技能を維持し続けることを促すためです。
有識者は5年ごとの再認定を通じて、自身の技能を更新のうえ最新動向に対応しなければなりません。
有効期間が設けられることにより、持続的な技能を担保されるものとなっています。
この期間が過ぎたら、資格を再認定する必要があります。
再認定には、有効期限が切れる前におなじカテゴリの試験を受験するか、上位カテゴリの試験の取得が必要です。
LPICを取得するメリット
LPICをとることで、次のような利益を手に入れることが可能です。
プロとしての信頼度が上がる
Linuxのワイドな技能をもつことを担保できる世界標準の認定ということもあり、プロとしての信頼度がアップします。
認定されたプロとして管理業務などの大切なタスクに取り組めるので、企業からの期待にしっかり応えることが可能になるでしょう。
より責任の伴う仕事に挑戦できる
前項の信頼度の延長でもありますが、有識者としての立場が確立されるので、より責任のある仕事に挑戦することができます。
LPICは多くの組織から求められているので、あたらしいプロジェクトの参加や、不動の地位を確立するときにも有効です。
プロジェクトの品質アップにつながる
プロジェクトの品質の向上につながることも、ひとつの利益として挙げられます。
有識者としてのノウハウを活かして、設計や運用といった業務を滞りなく行えるようになるからです。
さらに緊急時のトラブル対応時も、周りから心強い存在として認められます。
プロジェクトにおけるエース、統括のような立ち位置にもなれ、品質アップが期待できるでしょう。
LPICの難易度に動揺しないための学習法
取得には一定の難易度は伴いますが、以下の方法を実践することで、難易度に動揺することなく自信をもってチャレンジすることが可能になります。
- 系統的な学習の計画を立てる
- 座学よりも手を動かして慣れる
- 自身に適切なあらゆる学習資料を有効活用する
- プラクティステストを何度も実施する
- 他の有識者や経験者からのアドバイスをもらう
まず先に内容や要件をおさえ、それに合わせた学習の計画を立てましょう。
スケジュールをあらかじめ決めないと、先送りになったり、挫折の原因になりかねません。
次に大切なのは、実践的な操作の慣れや経験です。
座学で概要をおさえることももちろん重要ですが、それ以上に実際に触って体で習得したほうがずっと効率はいいでしょう。
そして情報が爆発しているこの時代、もちろん資料も豊富にあるので、適切なものを選んでプラクティステストを繰り返しましょう。
なお、インターネットやコミュニティを用いて、他の有識者や試験の経験者からアドバイスをもらうことも有益です。
試験の学習方法については、以下の記事も参考になるので、ぜひご一読ください。
LPICの取得が役に立つシーン
具体的にLPICがどのようなシーンで役に立つのか見ていきます。
未経験からIT業界への挑戦
未経験からIT業界に挑戦するとき、確実に役に立つでしょう。
界隈ではLinuxは幅広く使用されており、その需要に応えるための入り口となるからです。
有識者になれば、技能の信ぴょう性の担保を築けるうえ、いろんな求人に自信をもってアプローチできるようになります。
それだけでなく学習過程においても、実際の環境での作業やプロジェクトに取り組めるので、実務に即した知識が得られることもポイントです。
インフラエンジニアへの転職
インフラエンジニアへ転職するときも、じつに有能な効果を発揮します。
本資格の保持は、実務経験と技能をもつことの証そのものです。
そのためインフラエンジニアに転職する時、採用担当者からの信ぴょう性を得ることが可能になります。
ライバルとなる就職希望者との差別化から、有利なポジションの獲得も期待できるでしょう。
上流工程や管理職へのキャリアアップ
上流工程や管理職といった、責任のある業務への挑戦のときにも重宝します。
上流工程では、システム全体を俯瞰する力やトラブルの最適化が求められますが、それに応えることができるでしょう。
また管理職となると、Linuxの技能的な知見とリーダーシップが求められますが、こちらも資格の保持によってカバーできます。
さらに計画の立案、予算のスケジューリング、リソース配分にももちろん役立つので、もはやキャリアアップに不可欠な存在です。
LPICを就職活動で最大限に活かすコツ
LPICを最大限に活かす場所としては、主に就職活動時が大半でしょう。
ここでは、就職活動のときに資格をうまく活かすコツを解説します。
論理性と問題解決力をアピールする
論理性と問題解決力のアピールが重要です。
認定資格を併せ持つことで、そのアピールの力が倍増するので、雇用主に強力な印象を残すことができます。
面接や履歴書で自身のLPICの取得経験、および関連するプロジェクトの実績を具体的に述べ、どのように論理的思考と問題解決力を発揮したかを説明しましょう。
例えば、
- 困難なシステム障害のトラブルに対し、迅速かつ効果的に解決した経験
- 効率的なシステム設計や最適化を行った実績
を挙げることが有効です。
さらに実際のシナリオやケーススタディを用いて、どのように問題解決に取り組んだか説明できる口実を準備しましょう。
転職支援サポートのあるスクールを利用する
転職支援サポートがあるスクールの活用も、就職活動で活きてくるでしょう。
転職支援サポートがあるスクールは、取得して終わりではなく、その後の就職活動におけるサポートも担います。
これにより求人情報の提供や履歴書・面接対策の指導、就職相談など、総合的なサポートを受けることが可能です。
さらに産業界の最新動向や求人情報に精通しているため、取得者に適した求人情報をシェアしてくれます。
就職活動に必要なスキルやマインドセットを育成するためのトレーニングやワークショップも開催されているため、投資効果は高いと考えていいでしょう。
転職支援のあるスクールは種類が豊富ですが、サポートの厚さとスタッフの人当たりの観点から、活学ITスクールがぜひおすすめです。
良質な転職エージェントを利用する
良質な転職エージェントの活用も、就職活動の成否に大きく関わるといって間違いありません。
転職エージェントは「有資格者である求職者」のスキルや経験を、適切な企業とマッチングさせるための専門知識とネットワークをもっているからです。
ここでいう「良質な転職エージェント」を定義すると、以下のようなものになります。
- 業界シェア率や知名度が高い
- ネットでの評判やレビューが高い
- LPIC取得者に適した求人を揃えている
- その他のサポート内容も有意義
「転職エージェントといえば〇〇」のような知名度やシェア率が大きいほど、ブラックで怪しい求人に出会う確立は低いと考えていいでしょう。
また実際のユーザからの評判やレビューにも、しっかり目をとおしておくこと。
そして登録する前に実際の求人内容や動向を見て、LPIC保持者にメリットがありそうかどうかを見極めることも重要です。
まとめ:LPICの難易度に動揺せず自信をもって挑もう!
Linuxとの関わりがない初学者からすれば、LPICはそこそこ難しいことも否めません。
しかし適切な準備と心構えしだいで、動揺することなく、自信をもって立ち向かうことができるようになります。
自信を持つためには、焦らず着実に学習し、継続的な努力を続けること。
なおかつ過去の実績や成果を振り返り、自分の能力を定期的に認識することも大切です。
勉強をサポートするためのプログラムも充実しているので、必要に応じて活用しながら前向きに挑戦することが、成功の秘訣となるでしょう。