フリーターの年収は、正社員に比べるとどうしても低くなってしまいます。
平均年収はおよそ221万円となっており、正社員と比べて100万円ほどの差がつくことも。
フリーターにも時間的な余裕などのメリットはあるものの、やはり雇用や収入の安定性に不安があります。
実際に、フリーターとして働いている方の中には、年収相場や正社員への転職などについて気になっている方も多いでしょう。
本記事では、フリーターの平均年収とメリット・デメリット、正社員転職の方法やおすすめの職種について解説します。
フリーターの平均年収
はじめに、フリーターの平均年収と平均手取り額を紹介します。
フリーターの平均年収はおよそ221万円、月の平均手取り額はおよそ15万円となっています。
フリーターの平均年収は221万円
公的な調査を参考にすると、フリーターを含む非正規職員の平均年収は以下の通りです。
平均年収 | 正社員・正職員以外 |
---|---|
男女計 | 221.3万円 |
男性 | 247.5万円 |
女性 | 198.9万円 |
厚生労働省の調査「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、「正社員・正職員以外」全体の平均年収は「221.3万円」です。
非正規社員全体の数字なので、フリーター以外にも契約社員や派遣社員が含まれます。
フリーター全体で見た場合、平均年収はさらに低めになると考えられます。
たとえば、東京都の最低賃金時間額は「1,072円」です。
引用:地域別最低賃金の全国一覧
1日8時間、月に20日間働いた場合、フリーターの月収と年収は以下の通りです。
月収 | 年収 |
---|---|
171,520円 | 約206万円 |
時給制のため、契約社員や派遣社員よりもさらに年収は低めになってしまいます。
フリーターの平均手取り額
フリーターの平均手取り額を算出してみましょう。
一般的な手取り額は額面のおよそ75~85%です。
フリーターの場合は雇用保険などに加入していないことも多いため、ここでは額面の85%を手取りとして計算します。
また、ここでは上記の「令和4年賃金構造基本統計調査」を参考にした年収と、東京都の最低賃金時給額を参考にした年収の双方から、手取り額を算出しています。
非正規社員全体の平均手取り額 | アルバイトのみの平均手取り額 | |
---|---|---|
男女計 | 15.6万円 | 14.6万円 |
男性 | 17.5万円 | ー |
女性 | 14.1万円 | ー |
非正規社員全体の平均手取り額は1ヶ月あたりおよそ「15.6万円」、フリーターに限定するとおよそ「14.6万円」です。
フリーターと正社員の平均年収・生涯収入の差
ここでは、フリーターと正社員の平均年収・生涯収入の差について解説します。
フリーターと正社員の年代別平均年収の差
はじめに、フリーターと正社員の年代別平均年収を比較してみましょう。
いずれも男女計の数字となっています。
正社員・正職員 | 正社員・正職員以外 | |
---|---|---|
全体 | 328.0万円 | 221.3万円 |
~19歳 | 185.0万円 | 170.1万円 |
20~24歳 | 221.0万円 | 196.2万円 |
25~29歳 | 255.9万円 | 212.3万円 |
30~34歳 | 288.4万円 | 215.5万円 |
35~39歳 | 323.5万円 | 213.3万円 |
40~44歳 | 347.5万円 | 217.6万円 |
45~49歳 | 366.3万円 | 212.8万円 |
50~54歳 | 387.5万円 | 211.9万円 |
55~59歳 | 396.2万円 | 216.7万円 |
年代が若いうちは、正社員と非正規社員との間に大きな年収差はありません。
年代が進むにつれて正社員と非正規社員の年収差は大きくなり、最大でおよそ180万円の差が生じています。
正社員が年齢に応じて年収も上がっていくのに対し、フリーターを含む非正規社員の場合はあまり年収が上がっていません。
正社員の平均年収について、より詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
フリーターと正社員の生涯収入の差
平均年収を参考に、フリーターと正社員の生涯収入の差を算出してみましょう。
生涯収入は、いずれもストレートに大学を卒業した場合の23歳から定年までの年数と、平均年収をもとに算出します。
正社員・正職員 | 正社員・正職員以外 | フリーター | |
---|---|---|---|
生涯収入 | 約1億4千万円 | 約9千5百万円 | 約8千8百万円 |
正社員とフリーターとでは、生涯収入に最大でおよそ5千万円の差が生まれています。
1年あたり100万円の差があるので、生涯収入にも大きな差があることが分かるでしょう。
フリーターの年収と税金・保険料
正社員と同じく、フリーターでも収入に対して税金や保険料が発生します。
ここでは、フリーターが支払うべき主な税金と保険料の種類について解説するので、確認してみてください。
フリーターが支払う主な税金
フリーターの収入に対して発生する主な税金は、以下の2種類です。
- 所得税
- 住民税
所得税は所得の額に応じて発生する税金です。
年間の所得が103万円を超えた場合に発生するため、フリーターでも納める必要がある方は多いでしょう。
勤め先による源泉徴収がある場合、かつ1ヶ所のみで働いている場合を除き、年度末に確定申告をして納める必要があります。
住民税は住んでいる都道府県民税と市区町村税から成ります。
税額は前年所得のおよそ10%です。
納付方法は、毎月の給与から天引きされる形で支払う「特別徴収」と自分で支払う「普通徴収」の2種類で、普通徴収の場合は忘れずに納税しなければなりません。
フリーターが支払う主な保険料
フリーターが支払う主な保険料は以下の通りです。
- 健康保険料
- 年金保険料
- 雇用保険料
健康保険は、医療機関での医療費を一部負担してもらえる保険制度です。
フリーターの場合、以下の条件に当てはまる場合は「社会保険」、そうでない場合は「国民健康保険」に加入することになります。
- 学生ではない
- 1ヵ月の給料が8万8,000円以上
- 見込まれる雇用期間が2ヵ月以上
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 勤務先の従業員数が101人以上
(出典:パート・アルバイトのみなさま|厚生労働省)
年金保険料には、「厚生年金保険料」と「国民年金保険料」があります。
厚生年金保険に加入する場合は毎月勤務先と折半で天引きされる形で保険料を支払いますが、国民年金保険料は自身で支払わなければなりません。
雇用保険は、失業時や休職時に手当を受け取れる保険制度です。
雇用保険に加入するには、以下の条件があります。
- 見込まれる雇用期間が31日以上
- 1週間に実働20時間以上勤務
- 学生ではない(休学中の者など、例外がある)
保険料や税金については勤務先に確認をとり、滞納しないように注意しましょう。
フリーターとして働き続けるメリット
フリーターは正社員より年収が低くなりやすいものの、メリットもあります。
フリーターとして働き続ける主なメリットは、以下の3つです。
- 時間的な余裕がある
- キャリアチェンジがしやすい
- 正社員より責任が軽い
時間的な余裕がある
フリーターは正社員に比べ、時間的な余裕をつくって働けます。
シフト制の場合、ある程度は自分の都合に合わせて働けるため、自由な時間を作りやすいのがフリーターの大きなメリットです。
プライベートの時間を確保したり掛け持ちしたりできるのは、正社員にはない魅力でしょう。
キャリアチェンジがしやすい
フリーターの場合、正社員よりもキャリアチェンジがしやすいというメリットがあります。
勤務先を辞める際に負担が少なく、正社員よりもアルバイトの方が採用の難易度も低いため、キャリアチェンジのチャンスが期待できるでしょう。
正社員より責任が軽い
正社員より責任が軽いのも、フリーターのメリットの1つです。
給料が安い分、正社員に比べて責任の軽い業務を任されることが多く、負担が少ないというメリットがあります。
ストレスやプレッシャーの少ない環境で働けるため、より気軽な気持で仕事を続けられるでしょう。
フリーターとして働き続けるデメリット
フリーターとして働き続ける場合、もちろんデメリットも考慮しなければなりません。
ここでは、以下の5つのデメリットについて解説します。
- 社会的信用が得られない
- 貯金しにくい
- 雇用が不安定
- 福利厚生が期待できない
- 年齢を重ねても収入アップが期待しにくい
社会的信用が得られない
正社員よりも社会的信用が得られないのが、フリーターのデメリットです。
正社員に比べると雇用も収入も安定していないため、ローンや賃貸契約、クレジットカードなどの審査に通りにくくなってしまいます。
貯金しにくい
フリーターは収入が低いため、貯蓄はどうしても難しくなってしまいます。
正社員に比べて月あたりの手取りに数万円の開きがあるので、なかなか収入を貯蓄に回せない方も多いでしょう。
長期的にフリーターを続ける場合には、将来に備えられないというデメリットにも目を向けなければなりません。
雇用が不安定
雇用が不安定なのも、フリーターとして働く場合のリスクの1つです。
正社員の場合、重大な過失などがない限りは雇用が保証されていますが、フリーターは保証されていません。
経営状況が悪化した際にまず人員削減の対象となるのは、正社員よりもアルバイトです。
解雇までいかずとも、急にシフトに入れなくなってしまう可能性もあるため、収入も不安定になってしまいます。
福利厚生が期待できない
正社員に比べると、フリーターは福利厚生が期待できない働き方です。
社会保険や各種手当がないこともあるため、正社員に比べて損をしやすく、安定して働くことは難しくなります。
賞与も出ない職場が多いため、まとまった収入が得にくいのもデメリットの1つです。
年齢を重ねても収入アップが期待しにくい
フリーターの場合、年齢を重ねても収入アップは期待できません。
正社員に比べて責任の大きい仕事を任せてもらえないため、時給が大きく上がるチャンスは少ないでしょう。
生活にゆとりがうまれず、結婚や出産といったライフプランにも影響します。
フリーターとして年収を上げる方法
フリーターとして年収を上げるには、主に以下の2つの方法があります。
- アルバイトの時間を増やす
- 高時給のアルバイトに転職する
アルバイトの時間を増やす
時給制のアルバイトであれば、稼働時間を増やせば自然と収入も上がります。
フリーターであれば掛け持ちもしやすいため、時間を増やすこと自体は難しくないでしょう。
時間を増やすと負担も大きくなるため、身体を壊すリスクにも注意が必要です。
高時給のアルバイトに転職する
時給が高いアルバイトに転職することで、同じ労働時間でも収入は高くなります。
専門的なスキルが必要なアルバイトなど、時給が高めに設定されているアルバイトを選びましょう。
フリーターが正社員転職を成功させる方法
正社員に比べると、フリーターはデメリットが多い働き方です。
フリーターとして短期的には十分な収入が得られたとしても、長期的・将来的には安定しにくく、ライフプランにも影響します。
可能であれば、正社員への転職を目指した方が良いでしょう。
ここでは、フリーターが正社員転職を成功させる方法を3つ紹介します。
- 転職エージェントを利用する
- 転職サイトを利用する
- 転職サポートのあるスクールでスキルを習得する
転職エージェントを利用する
転職エージェントは積極的に活用しましょう。
スキルや希望に合わせて求人を紹介してくれるので、独力よりも効率的に転職活動を進められます。
面接対策や書類添削にも対応してもらえるため、転職成功率を上げられます。
転職エージェントを利用する際は、希望の業界に特化したエージェントを選ぶのがおすすめです。
たとえば、IT系におすすめのエージェントについては以下の記事を参考にしてみてください。
転職サイトを利用する
転職サイトの活用も、転職活動の基本です。
自分のペースで転職活動を進められ、豊富な求人をチェックできます。
転職エージェントと併用すると良いでしょう。
転職サポートのあるスクールでスキルを習得する
転職サポートがあるスクールでスキルを習得するのもおすすめです。
IT系など、特に専門的なスキルが要求される業種の場合は、スクールで学習しつつ転職サポートを受けられる場合もあります。
面接対策や書類添削はもちろん、転職先企業を紹介してもらえる場合もあるため、独力よりも正社員転職の成功率を大きく上げられるでしょう。
未経験からのIT転職については、以下の記事もご覧ください。
年収を増やしたいフリーターにおすすめの職種
最後に、年収を増やしたいフリーターの方におすすめの職種を4つ紹介します。
- ITエンジニア
- 事務職
- 運送業
- 営業職
ITエンジニア
ITエンジニアは、フリーターからの正社員転職におすすめの職種です。
スキルを身につけられる環境が整っており、需要と将来性が高い職種なので、フリーターからでも安定した雇用が見込めます。
スキル次第で高収入を狙いやすい職種でもあるため、収入と雇用を安定させたい方に特におすすめです。
IT業界への転職については、以下の記事もご覧ください。
事務職
事務職もおすすめの職種の1つです。
Officeをはじめとする基礎的なPCスキルがあればこなせる場合が多く、求人数も安定しています。
アルバイトからの正社員登用制度がある場合もあるため、スキルがある方や事務作業に苦手意識がない方におすすめです。
運送業
運送業も選択肢の1つです。
需要が高く、運転免許があれば比較的転職しやすいため、フリーターからの正社員転職は不可能ではありません。
中型・大型免許の取得をサポートしてくれる企業も少なくないため、運転技術に大きな不安がない方であればチャンスはあるでしょう。
営業職
営業職も、フリーターからの正社員転職のチャンスが見込める職種です。
人とのコミュニケーションや行動力、体力に自信があれば、特別な資格が求められることもないため、未経験からの転職も十分に期待できます。
インセンティブがつく場合もあるため、成果次第で収入アップも見込めるでしょう。
まとめ
本記事では、フリーターの年収相場について解説しました。
フリーターの平均年収は「221万円」で、正社員と比べると100万円ほどの差があります。
フリーターにも、時間的な余裕があるといったメリットはありますが、やはり雇用や収入の観点から正社員への転職を検討した方が良いでしょう。
正社員への転職に際しては、転職エージェントや転職サイトはもちろん、各種スクールの受講も視野に入れて検討してみてください。
IT系など、専門的なスキルを身につけられれば、将来的にも安定して働いていくことが可能です。