いつにも増して需要が拡大しているIT業界。その中でも
SESに勤めているんだけど、もう辞めたい
辞めたとて安定した就職先が見つかるのだろうか
という悩みを抱えているSES従事者は少なくありません。
「またSESは辞めたほうがいい」という情報を見て、不安になっている方もいるのではないでしょうか。
具体的には年収の頭打ちや労働環境の不安定さが原因となっていることが多いです。
しかし嫌だからと何も考えず辞めるだけでは、理想の転職は遠のいてしまいます。
本記事では、SESからの転職を成功させるためのコツを解説します。
SESを辞めたいと感じる主な理由
この章では、SESを辞めたいと感じる主な理由3つを紹介していきます。
年収アップが実現しにくい
SESで働く上で、年収アップが難しい点は辞めたいと感じてしまう大きな原因のひとつです。
SESは一般的にクライアント先にエンジニアを派遣し、働いた時間に応じて売上が決まります。
そのためエンジニア個人のスキルや実績に応じた給与アップは実現しにくいことが多い傾向です。
さらにSESは多重下請け構造が一般的なので、案件の報酬が本来の金額から大きく目減りしてしまいます。
こういった背景から、年収アップを目指すために自分のスキルを評価してもらいやすい職場を検討する方は少なくありません。
客先によって労働環境や必要技術が異なる
派遣されるクライアントによって労働環境や求められる技術が大きく変わる点も、辞めたいと感じる原因のひとつです。
SESは基本的にクライアント先の業務に応じて異なるスキルが必要となり、未経験の技術を求められることも珍しくありません。
新しい技術を身につける機会と捉えることもできますが、その反面、予期しない業務内容に適応する必要があるためストレスになることもあります。
環境の変化に対応するのが得意、もしくは新しいことに挑戦するのが得意な方であれば向いていますが、それを負担に感じてしまうのであれば、辞めたくなってしまうでしょう。
客先の当たり外れでストレスを感じやすい
SESでは、クライアント先の「当たり外れ」によって働きやすさが大きく左右されます。
SESエンジニアは複数のクライアント先に派遣されることが多いですが、それは必ずしも自分に合った職場ばかりではありません。
あるクライアント先ではスムーズに業務が進むこともあれば、別のクライアント先では理不尽な要求や長時間の労働を求められることもあります。
このように環境や業務内容に不満が生じやすく、ストレスを感じやすいのもSESの特徴の一つです。
以下の記事では「仕事辞める本音の理由」について言及していますので、、興味のある方はぜひお読みください。
SESを辞めたいと感じた際にすべきこと
ここでは、SESを辞めたいと感じた際にすべきことをご紹介します。
現状の問題点や不満を明確にする
まず「自分が抱える問題点や不満」をはっきりさせることが大切です。
不満をはっきりさせることで、転職先を選ぶ際に求める条件や重視したいポイントが見えてくるからです。
たとえば
- 年収が伸び悩んでいるのか
- クライアント先の当たり外れでストレスを感じているのか
- 業務内容や技術の方向性に違和感があるのか
など、具体的に不満の要因を言語化します。
不満が漠然としていると、転職活動の方向性も定まらず、再び同じ不満を抱える職場に移ってしまう可能性があります。
キャリアパスおよび目指す方向を考える
SESを辞めたいと思ったら、将来のキャリアパスと目指す方向性をじっくり考えましょう。
SESに限らず転職は、キャリアおよび人生の方向を大きく左右する決断になります。
たとえば安定した勤務環境を求める場合、社内SEや自社開発系エンジニアを検討するのもひとつです。
また技術を深めたいと考えるなら、専門性の高い開発エンジニアやITコンサルタントの道もあります。
自分がどのような働き方を望んでいるのか、将来的にどのようなスキルを身に付けていきたいのかを明確にすると、転職の方向性がはっきりします。
転職エージェントで仕事を探してみる
SESから転職を検討するなら、転職エージェントを利用して仕事を探してみることをおすすめします。
いまやほとんどの転職エージェントは、IT業界に詳しいキャリアアドバイザーが多数在籍しています。
そのため、自分の経験や希望に合った求人を紹介してもらいやすくなるからです。
さらにエージェントの利用によって、SESの現場から異業種や異職種への転職も視野に入れることが可能になります。
加えて業界の情報や最新の求人動向も把握できるため、効率よく転職活動を進められるでしょう。
SESを辞めて感じたメリット・口コミ
ここでは、実際にSESを辞めた方が感じたメリットおよび口コミを紹介していきます。
多重下請け構造による低単価から脱却できた
「SESを辞めたことで、多重下請け構造による低単価から脱却できた」という声が多くあります。
この仕組みでは当然下請けが多くなるほど報酬が減るため、実際の業務量と単価が見合わないと感じることも少なくありません。
これを踏まえて別の職種に転職することで、単価が上がることもあります。
たとえば「業務量が少ないにも関わらず、SES時代と同等かそれ以上の単価を得られている」という人も珍しくありません。
とくにより技術を評価される環境で働くことで、自分の価値を実感しやすいだけでなく、収入アップにもつながりやすくなります。
勤務地が頻繁に変わるストレスから脱却できた
「勤務地が頻繁に変わるストレスから解放された」と感じる人も多いです。
SESはプロジェクトごとに勤務地が変わるため、新しい職場や業務のやり方に毎回適応する負担が発生します。
そのため、環境や必要な技術がコロコロ変わるストレスがないことは、安定した働き方を求める人にとっては大きなメリットです。
安定性を重視し、同じ環境で腰を据えて働きたいのであれば、SESを辞めることで職場や業務に対するストレスが軽減される可能性は高いです。
質の高い業務ができるようになった
「自分の得意なスキルを活かした質の高い業務に就けた」という声もあります。
SESではエンジニアとしての技術力に直結しない単純作業を任されることも少なくないため「技術を磨けない」と感じることがあります。
そこで技術を評価してくれて、専門スキルを活かした業務に集中させてくれる環境に転職することで、成長や達成感を感じやすくなります。
「自分の得意分野を活かした業務ができるようになり、単価も上がった」といった声も多く、スキルアップと収入向上を同時に目指せる可能性もあります。
人間関係が固定なのでストレスが減った
SESを辞めた後の大きなメリットとして「人間関係の固定化によりストレスが減ること」が挙げられています。
SESではプロジェクトごとに配属先が変わり、慣れない環境での人間関係が負担になることも多いです。
しかし転職して特定の職場に定着することで、信頼できる仲間と安定したコミュニケーションが可能になります。
よって仕事に集中できる環境が整い、精神的な余裕も生まれやすくなるといった具合です。
やりがいのある仕事ができるようになった
自社開発をはじめ別の業界に転職することで「やりがいのある仕事ができるようになった」と感じる声が多くあります。
たとえば自社開発企業では、企画から運用まで社内で一貫して行っているため「自分が携わったプロジェクトをよりよくしていこう」というモチベーションが生まれます。
一方SESでは、どんな企業のどんなプロジェクトに関われるかがランダムで決まります。
そのため多少の「やらされている感」は否めず、モチベーションも上がりにくいです。
SESを辞める前に知りたい転職成功のコツ
ここでは、SESを辞める前に知っておくべき、転職成功のコツを紹介していきます。
次の転職先を見つけてから決断する
SESを辞めたいのであれば、次の転職先を見つけてから辞めることをおすすめします。
転職先が決まっていれば、収入の不安を感じずにスムーズに辞める準備ができるからです。
転職先が決まる前に退職するのは、転職活動に集中できるというメリットがあります。
しかし転職先がなかなか決まらない場合、次の収入が途切れてしまうリスクから不安が伴ってしまいます。
次の転職先を決めてから辞めるということは、現職の業務と並行して転職活動を行うことになります。
スケジュール管理を徹底し、無理なく実行しましょう。
ITスキル向上のために勉強をしておく
SESを辞めたいと思ったら、転職の前にITスキル向上を目指して勉強することが大切です。
とくに転職先がコンサルティングや自社開発だと、SESでのスキルだけでは不足と見なされ、新しいスキルの取得や技術力の底上げが求められることがあるからです。
たとえばプログラミングの基礎や最新の技術動向を学び直すことで、転職市場での評価が上がり、採用において有利になります。
有給休暇は可能な限りすべて消化する
有給休暇はできる限り消化してから退職するのが賢明です。
有給休暇は労働者の権利であり、残したまま退職してしまうと実質的な損失となってしまいます。
前述で述べたようなスキル向上のための勉強、また転職のための準備期間やリフレッシュの時間として有効に使えば、新しい職場への意欲も高まります。
それだけでなく次の職場へのスムーズな移行を可能にし、精神的なリセットも図りやすくなります。
SESを辞めたい方におすすめの転職先
ここでは、SESを辞めたい方におすすめの転職先を紹介します。
SIer
SIerは企業の業務システムを開発し、導入から運用サポートまでを一貫して担う企業のことです。
SIerはSESに比べて社内で業務を進めることが多く、働く環境が一定しているため、顧客先での労働条件の変動に悩む必要がありません。
長期的なプロジェクトに携わる機会が増えることから、専門分野での技術力を深めることが可能です。
またシステム設計や要件定義といった上流工程にも携わる機会が多いため、キャリアアップを目指したい方には大きなメリットがあります。
開発エンジニア
SESから開発エンジニアへの転職もおすすめです。
SESではプロジェクト先での単純な業務が多い場合もありますが、開発エンジニアという形で内定を得られれば、より高度でやりがいのある仕事に従事できます。
とくに自社開発の企業であれば、プロジェクトの進行や仕様決定に積極的に関われるため、スキルアップと同時に成長が期待できます。
加えて最新の技術に触れる機会も多いため、エンジニアとしての市場価値を高めることも可能です。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは主に企業のシステムや業務プロセスの改善をサポートする役割を担います。
SESで培った技術的な知識を活かし、顧客のニーズに合わせたシステム提案や効率的な業務フローの設計が求められる職種です。
多くのプロジェクトに関わるため、業界の幅広い知識やビジネス視点が磨けることから、専門性をより深められるでしょう。
さらに年収やキャリアパスにおいても上昇の可能性が高く、成長の機会が多い職種です。
自社開発を行う企業
自社開発企業はその名のとおり、自社の開発チームの一員としてプロジェクトに一貫して関われる環境となります。
請け負いではなく、自社内で仕様策定からリリース後の運用まで一貫して行うことから、広範囲に携われるためスキルアップの機会とやりがいが豊富です。
また自社プロジェクトに関わることで、成果をより直接的に実感できるだけでなく、チームの中で働くため充実した社内のサポートも期待できます。
以下の記事では人気のIT企業をランキング形式で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ホワイトなSES企業
同じSES企業ではあるものの、より働きやすい環境を重視するのも良い方法といえます。
ホワイトなSES企業では、労働環境や福利厚生の整備が進んでいるからです。
ホワイトというのは、たとえば以下のような条件の企業をいいます。
- クライアントとの関係が良好
- 福利厚生が充実している
- 労働者に対するサポートが充実している
- 大手企業のプロジェクトに携われる
こういったホワイトなSES企業を選ぶことで、ストレスの少ない働き方が可能です。
フリーランスとして独立
SESで培ったスキルや経験に自信がある方には、フリーランスもおすすめです。
自身で案件や仕事の量を選べるなど自由な働き方が可能になるうえ、収入面でも努力次第で大きな成果を狙えることから「現代で人気の働き方」として注目を集めています。
SESではさまざまな就業先でさまざまなプロジェクトに携わります。
それはデメリットである反面、独立する際にはスキルセットや経験としてカウントできる点はメリットとなります。
ただ、案件の確保や業務管理を自身で行う必要があり、最初は収入が安定しないリスクもあります。
SESを辞める際にトラブルを避ける方法
SESを辞めるときは何かとトラブルも起こりがちです。
この章では、それを避ける方法をご紹介します。
退職の意思は1ヶ月以上前に伝える
SESを辞める際には、退職の意思を1ヶ月以上前に伝えましょう。
プロジェクトの途中で人員が変わると、少なからず業務に支障が出ます。
まして急に退職などを告げると、トラブルにつながる可能性が高いです。
余裕をもって1ヶ月以上前に退職の意思を伝えることで、企業側も後任の手配や引き継ぎがスムーズに進むため、関係が円満に保たれやすくなります。
退職理由としてネガティブなことは言わない
SESを辞める際には、退職理由としてネガティブな発言を避けることが重要です。
たとえ現在の仕事や環境に不満があっても、それを直接的に表現すると企業側との関係が悪化し、後々のトラブルにつながるリスクが高まるからです。
そのため退職理由は
- キャリアアップのため
- 新しい挑戦をしたい
など前向きな理由を伝えれば、円満な退職が実現しやすくなります。
また円満退社ができれば、もしその先別の仕事で関わることがあっても、良好な関係を維持できるのもメリットです。
スムーズに退職する伝え方については、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
なるべく繁忙期を避ける
SESを辞めるタイミングは、できるだけ繁忙期を避けることが望ましいです。
企業やプロジェクトによって忙しい時期は異なりますが、繁忙期に退職すると、業務の負担が他のメンバーに集中しやすく、風当たりが強まる原因になるからです。
また引き継ぎや後任の採用が困難になるため、スムーズな退職が難しくなることもゼロではありません。
退職を決断したら自身が関わっているプロジェクトの状況を考慮し、できるだけ業務が落ち着いているタイミングで意思表示をすることが重要です。
以下の記事では、仕事を辞めるタイミングについて紹介していますので、ぜひご一読ください。
SESを辞めるための具体的な手順
ここでは、SESを辞めるにあたっての手順を紹介します。
1ヶ月以上前に辞める意思を伝える
まずは第一ステップとして、1ヶ月以上前に辞める意思を伝えましょう。
SES企業に限らず、突然の退職は企業側に迷惑をかけてしまうからです。
ただ注意点として、意思を告げるタイミングは企業の就業規則で異なる場合もあるため、しっかりと確認のうえ、余裕をもって告げるようにしましょう。
引き継ぎをしっかりと行う
辞める意思を告げたら、引き継ぎをしっかりと行うことが大切です。
引き継ぎを怠るとクライアントやプロジェクトチームに大きな迷惑がかかってしまいます。
目的は業務内容の詳細を整理し、次の担当者が円滑に仕事を進められるようにすることです。
口頭だけで説明するよりも、マニュアルなどで言語化するのが望ましいでしょう。
きちんとした引き継ぎは、これまでの実績やスキルが評価されるだけでなく、次のステップに進む際の安心材料にもなり、退職後も良好な関係を保ちやすくなります。
有給休暇を消化する
入念に引継ぎを行ったら、有給休暇を消化するスケジュールを考えます。
有給休暇の消化は労働者の権利なので、退職時に残っている有給休暇は法律上取得可能です。
なるべく退職を申し出る際など、早い段階で有給休暇の取得について上司や人事部門と話し合い、スケジュールを調整して有給を計画的に消化しましょう。
休暇中は転職先で必要なITスキル、もしくは将来的に知的資産になるようなスキルの習得に励みつつ、しっかりリフレッシュすることが大切です。
必要書類を提出する
退職手続きの際は、退職届や社会保険や税金に関する書類の提出が求められます。
これらをしっかり把握のうえ準備しておくことで、手続きがスムーズに進みます。
一般的には健康保険証の返却や年金手帳の確認などが求められるため、事前に人事担当者に確認して、必要な書類をひととおり揃えておきましょう。
SESを辞めたい方から寄せられるよくある質問
最後に、SESを辞めたいと考えている方が陥りがちな疑問に回答していきます。
SESはプロジェクト途中でも退職できる?
SESでもプロジェクト途中での退職は可能です。
法律上、退職のタイミングは労働者の自由であり、会社が強制できる部分ではありません。
ただし急に辞めることは会社に大きな迷惑をかけることになります。
退職の意思を伝えることは早めに行いましょう。
SESを1ヶ月で辞めるのは早い?
一般的には、1ヶ月での退職は早いと見なされることが多いです。
ただ労働環境や仕事内容が合わない場合、無理せず早い段階でキャリアを見直すことも大切な決断です。
SESを半年で辞めるのは普通?
半年での退職は、それほど珍しくありません。
SES業界で働く方々は「自分に合わない」と判断した場合、早い段階で転職を決断するケースが多いです。
ただ「半年での退職」が早いか普通かを判断するのは、次の就職先です。
SESを辞めるおすすめのタイミングは?
おすすめのタイミングとしては、次のとおりです。
- プロジェクトが終了したとき
- 次のプロジェクトが始まる前
- 契約更新時
上記は引き継ぎもスムーズに進めやすく、迷惑をかけにくいからです。
また繁忙期を避けることで退職時のトラブルを減らすことも可能になります。
まとめ:SESを辞めたいなら将来を見据えて行動しよう
SESを辞めたいと感じたら、まず現状の不満や課題を明確にし、今後のキャリアに必要なスキルや希望の働き方を洗い出すことが重要です。
転職エージェントの活用や計画的なスキルアップが成功のカギとなります。
またトラブルを避けるため、退職のタイミングや引き継ぎにも注意することも重要です。
SESを辞めることで実現できるメリットを理解のうえ、将来を見据えて勇気をもって行動していきましょう。