SESと派遣は何が違う?給料・将来性・働き方を徹底比較!

SESと派遣は似ているようで契約形態も待遇も大きく異なります。

この記事では【仕組み・給料・将来性】の違いをわかりやすく比較し、自分に合った働き方を選ぶための判断基準を解説します。

本記事を読んでわかること
  • SESと派遣の基本的な違い
  • 給料や待遇面の違い
  • キャリアや将来性の違い
  • 自分に合った働き方を選ぶ判断基準
目次

SESと派遣の基本的な違い

両者は現場に常駐して働く点では似ていますが、契約形態や指揮命令権、働き方のスタンスが大きく異なります。
まずは主要な違いを表で整理しました。

比較項目SES派遣
雇用形態正社員または契約社員(自社と雇用契約)派遣社員(派遣会社と雇用契約)
契約形態準委任契約(成果物不要・業務遂行が目的)労働者派遣契約(業務指示を受けて働く)
指揮命令系統クライアントからの直接指示NGクライアントからの直接指示あり
働く現場・案件の特徴案件によってスキルや環境にばらつきあり勤務地・条件が明確に提示されている
待遇・報酬昇給・賞与・福利厚生あり(企業により差あり)昇給は少なく、福利厚生が限定的な場合も多い

それぞれ、雇用形態・契約形態・指揮命令など、具体的にどこがどう違うのかを1つずつ解説していきます。

SESと派遣の違い比較
  1. 雇用形態の違い|SESは正社員・派遣は派遣社員
  2. 契約形態の違い|SESは準委任、派遣は派遣契約
  3. 指揮命令系統の違い|誰が仕事の指示を出すのか?
  4. 働く現場や案件の違い|案件選びの自由度は?
  5. 報酬や待遇の違い|年収・昇給・福利厚生の差

1.雇用形態の違い|SESは正社員・派遣は派遣社員

SES企業に所属する場合、基本的には正社員や契約社員として自社と雇用契約を結びます。
一方、派遣は派遣会社との契約で、派遣先企業に出向く形です。

つまり、どちらと「雇用契約」を結ぶかがまず異なります。

2.契約形態の違い|SESは準委任、派遣は派遣契約

SESは「準委任契約」、派遣は「労働者派遣契約」という、契約形態そのものが異なります。

・SES:業務の遂行が目的。成果物や納品は求められない。
・派遣:派遣先の業務指示に従って働く。

法律上の位置付けがまったく違うため、指揮命令の取り扱いやトラブル時の対応も変わってきます。

3.指揮命令系統の違い|誰が仕事の指示を出すのか?

ここは誤解が多いポイントですが、SESではクライアントから直接の指示はNGです。
指示はSES企業を通じて行うべきという建前があります(実態はグレーなケースも…)。

一方、派遣はクライアントが直接指示を出すため、業務範囲が明確で、初めての方でも働きやすい傾向にあります。

「派遣は“他人の指揮命令を受ける”形式で法的に定義されており、法第2条に基づいて管理されています」
厚生労働省 労働者派遣制度の概要

4.働く現場や案件の違い|案件選びの自由度は?

SESでは案件により、スキルレベルや職場環境が大きく異なります。
営業担当がマッチングしてくれますが、希望が通らないケースも多々あります。

派遣は基本的に「○○駅徒歩5分/残業月10時間以内」など、勤務条件が明確に提示された求人から選ぶことが可能です。

優良SES企業では希望に沿った案件を紹介してくれますが、ブラックSES企業では「案件ガチャ」と言われるように思っていた業務と全然違う、、ということも少なくないです。

5.報酬や待遇の違い|年収・昇給・福利厚生の差

派遣は時給制や月給制で、昇給が少なく、福利厚生も限定的な場合があります。
一方SESは正社員雇用であれば、昇給・賞与・福利厚生が整っている企業も多いです。

ただし、SESは単価に対して還元率が低く、給与に納得できないと感じるケースもあります。

SESと派遣の待遇・条件の違い

SESと派遣は雇用形態だけでなく、給料・昇給の仕組みや福利厚生の範囲にも大きな違いがあります。

この章では、収入の安定性やキャリアアップの可能性、生活面に直結する福利厚生まで、待遇面の違いを詳しく解説します。

待遇・条件の違い
  • 給料・年収の違い
  • 昇給・キャリアアップの違い
  • 福利厚生・安定性の違い

給料・年収の違い

派遣は時給や月給が明確に提示されるため、短期的にはSESより高いと感じる場合もあります。

しかし長期的に見ると、SESは正社員として雇用されることが多く、昇給や賞与、スキル習得による単価アップが期待できます。

一方で派遣は契約更新が前提となり、契約終了のタイミングで収入が途切れるリスクもあるため、安定性に差が出ます。

昇給・キャリアアップの違い

SESは継続的に案件に関わりながらスキルを伸ばし、経験を積むことで昇給やより上流工程へのキャリアアップにつながります。

マネジメントやクラウド・セキュリティなど専門分野を磨けば、年収が大きく上がるケースもあります。

一方、派遣は昇給の仕組みが限定的で、同じ仕事内容を続けても給与が変わりにくい傾向があります。
キャリア形成よりも短期的な就業を重視した働き方に近いと言えます。

福利厚生・安定性の違い

SESは正社員として雇用される場合、社会保険や厚生年金、育休・産休などの制度が整っている企業が多く、長期的に働きやすい環境が確保されやすいです。

派遣も社会保険の加入条件は満たせば整っていますが、福利厚生の範囲は派遣会社ごとに大きく差があります。

また、契約更新の有無によって生活の安定感が左右されやすく、長期的なキャリアを築きたい人にとっては不安要素になりやすい点が特徴です。

SESは会社によって待遇差が大きく、ブラック企業も存在します。
詳しい特徴や見極め方は以下の記事で解説しています。

条件の良し悪しを自分で見抜くのは難しいため、専門のキャリアアドバイザーに相談して企業を精査してもらうのも安心です。

SESと派遣の将来性を比較

SESと派遣はどちらもIT人材不足の中で需要はありますが、今後の伸び方やキャリアの築きやすさには差があります。ここでは、需要が伸びる分野と縮小する分野、そして10年後を見据えたキャリアの選び方について解説します。

SESと派遣の将来性を比較
  • SESと派遣はどちらに将来性がある?伸びる分野と衰退する分野
  • 10年後を見据えたキャリアの選び方

SESと派遣はどちらに将来性がある?伸びる分野と衰退する分野

SESはクラウド・セキュリティ・SREなどの成長分野で案件が増えており、スキルを磨けば高単価案件につながりやすいのが特徴です。

一方で、運用・保守などルーティン業務は自動化や外注化が進み、単価が伸びにくい傾向にあります。

派遣は即戦力としての需要が根強く、事務系やサポート系では安定していますが、IT領域に限ると高度な技術が必要な分野は派遣よりもSESで任されることが増えています。

10年後を見据えたキャリアの選び方

将来を見据えるなら、「どの契約形態を選ぶか」よりも「どのスキルを伸ばすか」が重要です。

SESはさまざまな案件で経験を積めるため、専門性を高めるには有利です。
派遣はライフスタイルに合わせた安定就業がしやすく、短期的な収入確保に向いています。

10年後も市場価値を維持するためには、クラウド・セキュリティ・自動化ツールなど成長領域のスキルを計画的に身につけることが欠かせません。

どちらを選んでも、自らのキャリアプランに沿った学習と経験が将来性を左右します。

SESの将来性については賛否があります。データや市場動向を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

実際の求人動向を把握しているプロに相談すれば、自分の将来像に合った働き方を客観的にアドバイスしてもらえます。

【タイプ別診断】自分に合っているのはどっち?

どちらの働き方が自分に合っているのか、性格や希望から判断するヒントをまとめました。

【タイプ別診断】
  • 安定志向・育成環境重視 → 派遣向き
  • 安定志向・育成環境重視 → 派遣向き
  • スキルアップ重視・将来独立志向 → SES向き
  • 迷ったら?プロによる無料キャリア相談も選択肢

安定志向・育成環境重視 → 派遣向き

派遣という働き方は、「安定して働きたい」「丁寧に教えてくれる環境がいい」といった希望がある方に向いています。

・決まった勤務時間で働きたい
・未経験でもしっかり研修がある環境を選びたい
・業務範囲が明確な方が安心できる
・職場の人間関係のしがらみは少ない方がいい
・ライフスタイルと両立しやすい仕事がいい

このような価値観を持っている方は、育成環境が整った派遣の方がストレスなく働ける可能性が高いでしょう。

安定志向・育成環境重視 → 派遣向き

派遣という働き方は、「安定して働きたい」「丁寧に教えてくれる環境がいい」といった希望がある方に向いています。

・決まった勤務時間で働きたい
・未経験でもしっかり研修がある環境を選びたい
・業務範囲が明確な方が安心できる
・職場の人間関係のしがらみは少ない方がいい
・ライフスタイルと両立しやすい仕事がいい

このような価値観を持っている方は、育成環境が整った派遣の方がストレスなく働ける可能性が高いでしょう。

スキルアップ重視・将来独立志向 → SES向き

一方でSESは、「成長したい」「経験を積んで将来に活かしたい」という目的意識を持っている人におすすめです。

・現場での実務経験を積みたい
・将来的にフリーランスや自社開発を目指している
・新しい技術や環境に飛び込むことに抵抗がない
・収入やキャリアを自分で切り拓きたい
・営業との連携を通じて多様な案件に携わりたい

変化を楽しめる人や、自走力のある人にとっては、SESはキャリアアップの土台となる働き方になります。

迷ったら?プロによる無料キャリア相談も選択肢

どちらにも当てはまる部分がある、自分では判断が難しい……という方は、第三者の視点を取り入れると判断が早まります。

キャリアのプロに相談すれば、自分では気づかない強みや適性をもとに最適な選択肢を提示してもらえます。

活学キャリアでは、IT未経験の方にも丁寧にヒアリングを行い、性格や希望条件をもとに「本当に合う働き方」や「避けた方がいい働き方」まで一緒に整理します。

希望すれば、ブラックな三次請けSESや、使い捨て型の派遣企業は除外したうえで、優良企業のみをご紹介可能です。

転職前にモヤモヤをクリアにしたい方は、まずは一度ご相談ください。

SESと派遣でよくある勘違い・トラブル事例

よくある誤解や契約トラブルの実例を知っておくと、ミスマッチを避けやすくなります。

SESと派遣でよくある勘違い・トラブル事例
  • 「指示命令を受けてはいけない」SESの法的ルール
  • 「スキル不足で契約終了」されるのはどっち?
  • 福利厚生・保険制度で起こりがちな誤解
  • 口コミで誤解されやすいポイント

「指示命令を受けてはいけない」SESの法的ルール

SESは準委任契約のため、原則としてクライアントからの直接的な指示を受けることは違法行為(偽装請負)とされます。

とはいえ、現場では「SESでも普通に指示されてる」という声が多く、実態としてはグレーな状態が横行しています。

このような状況は法的リスクだけでなく、責任の所在が曖昧になり、エンジニア側が不利な立場になりやすいという問題も。

働く前に、契約形態と指揮系統が明確な企業かどうかを確認することが大切です。

「発注者が労働者に直接具体的な指揮命令をして業務を行わせると、それは“偽装請負”として労働者派遣とみなされます」(厚生労働省

「スキル不足で契約終了」されるのはどっち?

「スキル不足を理由に契約を切られる」というケースは、SESの方が圧倒的に多いです。

派遣は労働者派遣契約のため、よほどのことがない限り契約期間中は雇用が守られますが、SESは準委任契約なので、現場評価が低いと即終了もあり得ます。

特に未経験からSESに入った場合、「実力不足で案件を降ろされ、次が決まらず待機 → 退職に追い込まれる」という例も少なくありません。

▶︎現場経験者の声(元SESエンジニア)

私も未経験からSESに入りましたが、最初の案件で求められるスキルレベルが高く、初月で契約終了に。
その後は案件が決まらず2ヶ月間待機に…。営業のフォローもなく、このまま辞めさせられるのでは…と不安でした。
転職エージェントを使って「スキルに合った案件を選んでくれるSES企業」に移ってからは、徐々に成長実感が持てるようになりました。

だからこそ、最初の会社選びや、営業・フォロー体制が整った企業かどうかが重要になります。

IPAのIT人材白書2020でも、ITスキルの量・質ともに不足感が高いことが示されています(IT人材白書2020概要

福利厚生・保険制度で起こりがちな誤解

SESは多くの場合、自社で正社員として雇用されるため社会保険や厚生年金などの福利厚生が適用されます。

一方で、派遣も一定条件を満たせば保険加入は可能ですが、派遣会社ごとに制度が異なるため「福利厚生が不十分」と感じる人も少なくありません。

また、SESでも待機期間中の給与や待遇が会社ごとに異なるため、就業前にしっかり確認しておくことが大切です。

口コミで誤解されやすいポイント

ネットの口コミでは、「SESは全部ブラック」「派遣は楽だけど安い」といった極端な意見も見かけますが、実際は企業によって大きく異なります。

たとえば、以下のような誤解がよくあります:

・SES=ブラック → 一次請けSES企業はむしろ待遇が良い場合もある
・派遣=キャリアにならない → インフラ運用や社内SEへのステップアップ事例もあり
・SESはフリーランスの登竜門 → 実際は営業力がない企業だと成長しづらい

こうした誤解に惑わされず、「自分がどんな環境で成長できるか」を見極める視点が大切です。

SESのトラブル事例として以下のような「経歴詐称」で裁判になった事例もあるので、参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

検索されやすい疑問や不安を、Q&A形式でまとめました。

よくある質問(FAQ)
  • Q. SESと派遣、どちらが給料は高い?
  • Q. SESと派遣、どちらがブラック企業が多い?
  • Q. 未経験でもSESと派遣どちらでも働ける?
  • Q. フリーランスや正社員を目指すならどっち?

Q. SESと派遣、どちらが給料は高い?

A.短期的な時給単価は派遣の方が高めに見えることもありますが、昇給や賞与を含めた長期的な年収はSESが有利なケースが多いです。

単価や還元率、昇給制度を確認して判断するのがおすすめです。

Q. SESと派遣、どちらがブラック企業が多い?

A. 一般的にはSESの方が「多重下請け構造」によってブラックになりやすい傾向があります。

特に三次請け以下の企業では、給与還元率が低く、フォロー体制も不十分なケースが多いです。
一方で、一次請けSESや派遣でもホワイトな環境は存在します。企業ごとの見極めが重要です。

Q. 未経験でもSESと派遣どちらでも働ける?

A. はい、どちらも未経験から働ける求人はあります。

派遣の方が研修制度が整っていたり、業務範囲が限定されているケースが多く、未経験者に向いている場合もあります。
一方で、活学キャリアでは未経験からでも挑戦できる優良SES企業の紹介も可能です。

Q. フリーランスや正社員を目指すならどっち?

A. キャリアアップやフリーランスを目指す場合は、SESで現場経験を積む方が近道になることが多いです。

ただし、派遣で基礎スキルを身につけてから、次のステップに進むルートも有効です。目的によって選択肢は変わります。

【まとめ】SESと派遣の違いを理解して、後悔しない働き方を選ぼう

どちらの働き方にもメリット・デメリットがあります。重要なのは、自分の目的に合った選択をすることです。

SESと派遣は、一見似ているようで「契約形態」「働き方」「キャリア形成」に大きな違いがあります。

・育成環境やワークライフバランスを重視するなら派遣
・経験を積みたい、キャリアアップを目指したいならSES

どちらが正解ということはなく、あなたの価値観やライフプランに合った選択がベストです。

もし「まだ自分に合っている働き方がわからない」「企業の違いをどう見極めればいいかわからない」という方は、活学キャリアの無料カウンセリングをご活用ください。

現場経験のあるキャリアアドバイザーが、あなたの志向に合わせてブラック企業を除外した上で、納得できる働き方をご提案します。

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この記事の監修者

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エンジニア・講師

山本 忠輝

東京大学大学院において宇宙関係の研究に従事。その後はIT開発の現場に身を置き、エンジニアとしての実務経験を積みながら、人事としての採用・育成にも携わる。現在は活学ITスクールの講師としても活動中。業界歴は14年におよび、現場と人事の両視点から未経験から活躍できるエンジニアを多数輩出。

この記事の監修者

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谷川 昭雄

株式会社ラストデータ 代表取締役/元Earth Technology創業者

IT未経験者向け転職支援・エンジニア育成のプロ。
2013年に「英語×IT人材」に特化したEarth Technologyを創業し、年商18億円企業へと成長。2021年には株式会社ラストデータを設立。未経験から活躍できるエンジニアを多数輩出。累計5,000名以上のキャリア支援を行う。

IT業界歴は17年以上におよび、未経験者向け転職支援・エンジニア育成のプロ。

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