カテゴリー
SESで上流工程に進むためのスキルとステップガイド


「上流工程の案件って、どうすれば任せてもらえるんだろう?」



「ずっとテストや保守ばかりで、このまま成長できるのかな…」
こんな悩みを抱えていませんか?
SESでキャリアを積んでいると「上流工程に進みたいけど、どうすればいいのかわからない」という壁にぶつかることが多いですよね。
本記事では、SESで上流工程に進むために必要なスキルや具体的なステップを解説します。
今の業務からステップアップしたい方、キャリアの選択肢を広げたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
SESの上流工程とは?知っておくべき基礎知識
SESの上流工程を目指す上で知っておきたい基礎知識は、以下4つです。
- 要件定義
- 基本設計のポイントと流れ
- 詳細設計の具体的な内容
- 下流工程との違い
まずは要件定義について解説します。
要件定義とは?
「どんなシステムを作るのか」を決める工程のことです。
クライアントと話し合い、何を実現したいのか、どんな機能が必要なのかを整理します。
具体的には、以下のようなことを決めます。
- システムの構築によって解決すべき課題
- 必要な機能
- 画面操作の流れ
- セキュリティ対策
この段階でしっかりと要件を決めないと、後で「こんなはずじゃなかった…」という問題が発生し、修正に時間とコストがかかってしまいます。
そのため、クライアントとのコミュニケーションがとても大切です。
基本設計のポイントと流れ
要件定義で決めた内容をもとに、システムの大まかな設計をします。
建築で例えるなら「どんな家を建てるかの設計図を描く」段階です。
システム開発とインフラ構築では、基本設計の内容に違いがあるため、それぞれ以下の表にまとめました。
システム開発における基本設計項目は以下のとおりです。
設計項目 | 内容 |
---|---|
画面設計(UI/UX設計) | ユーザーが操作しやすい画面の構成を計画し、ボタンや入力フォームの配置、遷移の流れを整理します。 |
データ設計 | データの構造や関係性を決め、テーブル設計やデータの種類、検索時の最適化を考慮します。 |
機能設計 | どのような機能を持たせるかを決定し、入力や出力、処理フロー、エラーハンドリングの仕様を明確にします。 |
外部システムとの連携設計 | APIや外部サービスとデータをやり取りする仕組みを決定し、通信方式や認証手順を設計します。 |
パフォーマンス・セキュリティ設計 | システムが安定して動作するための処理速度や負荷分散を考え、セキュリティ対策としてアクセス制御や暗号化の方針を決めます。 |
インフラ構築における基本設計項目は以下のとおりです。
設計項目 | 内容 |
---|---|
サーバー構成設計 | 物理サーバーやクラウド環境を選定し、CPUやメモリ、ストレージの適切な構成を決めます。 |
ネットワーク設計 | IPアドレスの割り当て、通信ルール、ファイアウォールの設定など、安全かつ効率的なネットワーク構築を行います。 |
データベース設計 | データベースの種類、アクセス負荷を考慮した設計、バックアップやリカバリー方法を決めます。 |
高可用性・耐障害設計 | 障害発生時にシステムが継続して稼働できるように、負荷分散や冗長化の仕組みを取り入れます。 |
運用・監視設計 | システムの正常稼働を維持するため、監視ツールの導入、ログ管理、障害時の通知方法を設計します。 |
各項目ごとに求められるスキルが変わってきますので、継続的なインプットが求められます。
詳細設計の具体的な内容
基本設計をもとに「プログラムをどう作るか」を細かく決める工程です。
プログラマーが実際に開発できるように、各機能の仕様を詳細に定めます。
具体的には、以下のようなことを決めます。
- 画面のレイアウト:ボタンや入力欄の配置
- データベースの構造:どんな情報をどのように保存するか
- 処理の流れ:ユーザーの操作に対してシステムがどのように動くか
基本と詳細設計の違いは、家を建てることに例えるとわかりやすいです
基本設計は、家の間取りや外観、部屋数、大まかな設備(キッチン、バス、トイレの位置など)を決める工程。
詳細設計は、基本設計で決まった間取りや外観を基に、壁の材質、床の素材、ドアや窓の種類、コンセントの位置など、家を実際に建てるために必要な細部の仕様を決定する工程です。
いずれもシステム開発において非常に重要な工程となります。
下流工程との違い
上流工程と下流工程の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
項目 | 上流工程 | 下流工程 |
---|---|---|
内容 | システムの計画・設計 | プログラミング・テスト |
役割 | どんなシステムを作るかを決める | 実際にシステムを作る |
必要なスキル | コミュニケーション力、設計力 | プログラミング力、デバッグ力 |
上流工程ではクライアントと直接やり取りすることが多いため、「話す力」や「聞く力」も重要です。
SESが上流工程で働くメリット3つ
SESが上流工程で働くことで得られるメリットを3つ紹介します。
スキルアップできる
上流工程を経験すると、システム全体の仕組みを理解できるようになります。
特に、要件定義や設計ができるエンジニアは、プロジェクト全体を見渡せる貴重な存在です。
そのため、SESエンジニアとしてスキルアップを目指すなら、上流工程の経験は大きな武器になります。
キャリアアップできる
上流工程の経験があるエンジニアは、プロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタントなどの上位職へキャリアアップしやすくなります。
実際、上流工程の仕事ができるエンジニアは市場価値が高く、転職でも条件面で有利な傾向です。
ワークライフバランスが改善される
下流工程では、納期前に残業が増えることがよくありますが、上流工程の仕事は比較的スケジュールが安定しています。
所属する企業にもよりますが。ワークライフバランスを改善したい人にとっては、大きなメリットです。
年収がアップする
上流工程の仕事ができるエンジニアは、企業からの評価が高くなりやすく、年収アップにつながります。
上流工程を担当するエンジニアの平均年収は、下流工程のエンジニアよりも高い傾向です。
年収アップの方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。


SESが上流工程に進むためのロードマップ
SESエンジニアとして働いている方が、上流工程へステップアップするための具体的な方法を4つ紹介します。
資格を取得する
上流工程に進むためには、知識を証明できる資格の取得が有効です。
特にプロジェクトマネージャ試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験などは、システムの企画や設計、プロジェクト管理のスキルを身につけるのに役立ちます。
資格を取得することは知識の証明になるだけでなく、転職においても有利です。
上流工程の知識を学ぶ
上流工程ではシステムの企画や設計が求められるため、以下のような知識が必要です。
- 要件定義:クライアントの課題を整理し、システムの要件を決める
- 基本設計・詳細設計:システムの全体像を描き、具体的な仕様を決める
- 様々な業界の商習慣:業務フローを理解し、最適なシステムを提案する
オンライン講座や書籍を活用するか、職場の研修制度を利用して学んでいきしょう。
現場での実務経験を積む
学ぶうえで最も理想的なのは、働きながら学べる環境にいることです。
強制的にアウトプットができるため、知識が定着しやすくなります。
上流工程に携われる機会があれば、積極的に手を挙げていきましょう。
プロジェクトのリーダーを担当する機会があれば、マネジメントスキルの向上にもつながります。
チャンスを掴むためにも、日頃から上流工程で経験を積みたい旨を社内で共有しておくことも大切です。
Slerへ転職する
Sler(システムインテグレーター)への転職もひとつの手です。
Sler企業の中でも、大手企業の案件を扱っている企業や、自社開発案件が多い企業は、上流工程に携われる環境が整っています。
教育制度が充実している企業であれば、未経験の分野でも着実にキャッチアップできます。
以下に当てはまる方は、Sler企業への転職を検討してみてください。
- 要件定義や設計に興味がある
- 長期的にキャリアアップを目指したい
- クライアントと直接関わる仕事をしたい方です。
SESとSIerの違いは以下の記事で詳しく解説しています。


SES上流工程エンジニアに求められるスキル
上流工程の業務をこなせるようになるために必要なスキルは以下の4つです。
- 高度なコミュニケーション能力
- ITに関する幅広い知識と技術力
- プロジェクト管理・マネジメント能力
- 事業に対する理解
詳しく解説します。
高度なコミュニケーション能力
上流工程では、クライアントや開発チームと多くのコミュニケーションを取る必要があります。
クライアントの要望を正確に理解するヒアリング力、分かりやすく説明するプレゼンテーション力、スムーズに物事を進める調整力などが求められます。
技術的な知識だけでなく、人と円滑に関わる力を身につけることが重要です。
ITに関する幅広い知識と技術力
IT全般に関する幅広い知識も求められます。
システムアーキテクチャやクラウド、ネットワークの知識、データベースに関する理解、開発手法の違いなど、様々な知識が必要です。
特定の技術に偏らず、全体を俯瞰できる知識を身につけることで、プロジェクトの全体像を理解しやすくなります。
プロジェクト管理・マネジメント能力
プロジェクト全体を管理するスキルも必要です。
スケジュール管理やコスト管理、リスク管理などを適切に行うことで、プロジェクトを円滑に進められます。
より高いポジションを目指すには、マネジメント能力も必須のスキルです。
ただし、このスキルについては実際に管理職になることで得られることも多いです。
まずはプレイヤーとして上流工程に携われるよう、日々の業務に前向きに取り組みましょう。
事業に対する理解
システム開発は、クライアントのビジネスを支えるために行われます。
そのため、業界や市場動向を理解し、システムがどのようにビジネスに貢献するかを考える力も必要です。
最終的には経営層と話ができるビジネス視点を持つことで、より市場価値の高いエンジニアになれます。
SESで上流工程の仕事を獲得するには?
SESエンジニアが上流工程の仕事を獲得するためには、企業選びや転職活動の進め方が重要です。
上流工程に特化した企業を把握する
まずは上流工程に特化した企業を把握することが大切です。
SES企業の中には、要件定義や基本設計から参画できる企業もあれば、主に開発やテスト工程が中心の企業もあります。
企業の公式サイトや求人情報、エンジニア向けの口コミサイトなどを活用し、上流工程の案件が多い企業をリストアップすると良いでしょう。
転職サイトで上流工程案件を探す
転職サイトを活用して上流工程の案件を探すことも一つの方法です。
特にITエンジニア向けの転職サイトでは「要件定義」「設計」「プロジェクトマネージャー」などのキーワードで検索すると、上流工程の案件を見つけやすくなります。
求人情報には案件の内容だけでなく、参画するフェーズや求められるスキルが記載されていることもあります。
また、未経験から上流工程にチャレンジできる案件もあるため、自分のスキルに合った案件を探してみましょう。
それでもなかなか良い案件が見つからないようであれば、ぜひ「活学キャリア」へご相談ください。
未経験からでも応募可能な優良求人を1200以上保有していますので、きっとあなたにあった案件が見つかるはずです。
常駐先から直接スカウトされる
SESエンジニアとして常駐している現場で実績を積み、クライアントから直接スカウトされるケースもあります。
上流工程の業務に積極的に参加し、クライアントとの信頼関係を築くことで、正社員としてのオファーを受けるパターンです。
そのためには単なる開発業務だけでなく、要件定義や設計の業務に関心を持ち、積極的に学ぶ姿勢を示すことが大切です。
SES企業の担当者に希望を伝える
現在のSES企業で上流工程の仕事を希望する場合は、担当者に具体的な希望を伝えておきましょう。
SES企業の営業担当者は、エンジニアのスキルや希望を踏まえて案件を紹介するためです。
また、過去の経験を整理し、上流工程に必要なスキルを持っていることをアピールすることができれば、希望の案件に参画できる可能性がより高まります。
転職エージェントを活用する
企業の内部情報や案件の詳細を把握しており、自分に合った企業を紹介してもらえます。
面談を通じてキャリアビジョンを整理できるのも大きなメリットです。
履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などのサポートも実施してもらえるため、書類選考や面接の通過率も向上します。
入社時の条件交渉も代行してくれるため、交渉が苦手な方にはおすすめです。
着実に行動すれば、3ヶ月以内で転職できるでしょう。
退職時に気を付けることを以下の記事で解説していますので、こちらも参考にしてください。


SESの上流工程がある優良企業の特徴とは?
上流工程の案件に携われる優良なSES企業には、以下のような特徴があります。
チーム単位で案件に参画している
優良なSES企業は、単独で常駐するのではなく、チーム単位でプロジェクトに参画するケースが多いです。
チームで動くことで、上流工程に携われるチャンスが増え、経験豊富な先輩から学ぶ機会も得られます。
また、チーム体制が整っている企業はクライアントとの信頼関係が強く、長期的に案件を獲得しやすい傾向があります。
口コミに悪評が少ない
SES企業を選ぶ際には、口コミや評判をチェックすることも重要です。
エンジニア向けの口コミサイトや転職サイトのレビューを参考にし、過度な残業がないか、スキルアップの機会がありそうかなどを確認しましょう。
悪評が少なく、エンジニアの成長を支援している企業は、安心して働ける環境が整っている可能性が高いです。
研修・教育制度が充実している
上流工程に携わるためには、スキルアップが欠かせません。
そのため、研修や教育制度が充実している企業を選ぶことが重要です。
特に要件定義や設計に関する研修、プロジェクトマネジメントの講座、資格取得支援制度がある企業は、成長しやすい環境が整っています。
元請け・二次請けの案件を多数持っている
元請けや二次請けの案件が多い企業を選ぶこともポイントです。
下請けの案件が多い企業では、保守・運用やテストが中心となり、上流工程に関われる機会が限られてしまいます。
元請けや二次請けの案件を多く持つ企業は、クライアントと直接関わる機会が増え、要件定義や設計の経験を積める可能性が高いです。
ここでは優良企業の特徴を紹介していますが、以下の記事ではブラック企業の見分け方も解説していますので、あわせてお読みください。


実際に上流工程にキャリアアップした人の成功事例
実際に上流工程にキャリアアップできた方の成功事例を3つ紹介します。
テスターからPLへ!業務改善提案が評価されたAさん
Aさんは、SESとして大手メーカーのシステム開発プロジェクトに参画。
当初はテスターとしての業務が中心でしたが、単なるテスト作業にとどまらず、バグの発生パターンを分析し、テスト工程の効率化を提案しました。
さらに、開発チームとの調整を積極的に行うことで、プロジェクト内での信頼を得ていきました。
あるとき、テスト結果の分析を元に業務フローの改善提案を行ったところ、クライアント側から「プロジェクト全体を見渡せる視点がある」と評価され、次の案件では設計フェーズから関与するチャンスを獲得。
その後、徐々に要件定義にも携わるようになり、現在ではプロジェクトリーダーとしてチームをまとめています。
SESから自社開発企業へ転職!要件定義経験を積んだBさん
BさんはSES企業に所属し、金融系Webシステムの開発案件に参画。
最初はプログラマーとして開発業務を担当していましたが、「仕様の意図を理解しないと良いコードは書けない」と考え、上流工程を意識しながら業務を進めていました。
具体的には、要件定義書や設計書を積極的に読み込み、設計の意図を理解するように努力。
さらに、仕様変更の際には、クライアントと開発チームの橋渡し役を買って出ることで、徐々に上流工程に関与する機会を増やしていきました。
その後、SESのままでは本格的な上流工程の経験が難しいと感じ、自社開発を行う企業への転職を決意。
転職時には、SESでの経験を「クライアントの要望を整理し、設計に落とし込むスキル」としてアピールし、現在は要件定義フェーズから関与するエンジニアとして活躍しています。
PL→PMへ!エンド直案件で上流工程を極めたCさん
Cさんは、もともとプログラマーとしてSES案件に従事。
その後、設計・要件定義にも関与できる案件を意識的に選び、上流工程のスキルを磨いていきました。
転機はクライアントと直接契約するSES案件(エンド直案件)での経験でした。
エンド直案件では、クライアントと直接やり取りする機会が増え、要件定義やプロジェクトマネジメントの経験を積むことができました。
「上流工程のスキルを極めたい」という意志を持ち続けたCさんは、その後も懸命に業務に取り組み、プロジェクトマネジメントスキルを習得。
そこから転職活動をはじめ、SESから受託開発企業のプロジェクトマネージャーへの転職を果たしました。
現在は、大手企業の開発プロジェクトを統括し、複数のチームを管理する立場で活躍しています。
まとめ | SESでも上流工程の経験を積むことは可能!
SESから上流工程にキャリアアップするには、単なる開発業務にとどまらず、要件定義や設計の意図を理解し、クライアントとの折衝経験を積むことが重要です。
また、環境を選びながら経験を積むことで、よりスムーズに上流工程へ移行できます。
上流工程を目指す場合は以下のポイントを意識し、着実にステップアップを目指しましょう!
- 現在の業務の中で上流工程に関われるチャンスを探す
- エンド直案件やプロジェクトマネジメントができる案件にチャレンジする
- 必要なスキル(コミュニケーション力・マネジメント力)を意識的に磨く
- 転職も視野に入れてキャリア戦略を立てる
上流工程の案件を扱うIT企業を見つけるためには、IT専門の転職エージェントの利用がおすすめです。
活学キャリアでは、転職成功率98.7%、転職後の離職率2%を実現し、企業様からも厚い信頼をいただいています。
経験豊富なキャリアアドバイザーが在籍していますので、まずはお気軽にご相談ください。