CCNAは、ネットワークエンジニアを目指す人にとって必須の資格といえます。
なぜならCCNAは、ネットワークエンジニアとしての知識を証明する資格だからです。
ネットワークなどのインフラと呼ばれる分野のITエンジニアは、システムの構築、運用・保守には欠かせない存在であるため、需要が高く収入も安定しています。
未経験からネットワークエンジニアを目指す人にとって、入門編であるCCNAは挑戦しやすい資格です。
しかし、資格の取得を考えるとき、費用や時間の制約などが頭に浮かび、まずは独学から始める方が多いのではないでしょうか。
CCNAを独学で取得する鍵は、「ネットワーク全体像」と「用語」の理解です。
この記事では、CCNA取得を目指す独学の勉強法や工夫できるポイント、取得すると有利なITエンジニア職を紹介します。
CCNAとは
ネットワークエンジニアで検索を行うと必ず出てくる単語が「CCNA」です。
CCNAとネットワークエンジニアはどのような関係でしょうか。
また、ネットワークエンジニア向けの資格は複数ありますが、CCNAとどのような違いはあるのでしょうか。
ここでは、CCNAの概要と国家資格であるネットワークスペシャリストとの違いを紹介します。
CCNAについての詳しい説明はこちらを参考にしてください。
CCNAはネットワークの入門資格
CCNAとは、ネットワーク関連機器を取り扱うCISCO(シスコ)社が実施している世界共通基準のネットワークエンジニア向け資格です。
2023年2月現在、CISCO社が提供している資格は「エントリー」、「アソシエイト」、「プロフェッショナル」、「エキスパート」のレベルに分かれています。
「エキスパート」がもっとも難易度が高い資格になります。
CCNAは略称で、正式名称は「Cisco Certified Network Associate」です。
「アソシエイト」は入門レベルに位置づけられているため、試験の内容はネットワークエンジニアとして必ず身につけるべき基礎知識が出題されます。
そのため、CCNAを取得していると、ネットワークエンジニアとして基本的な知識を習得していると判断されることが多いです。
ネットワークスペシャリスト(国家資格)との違い
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワーク分野での唯一の国家試験です。
IPAが提供しており、経済産業省が定めるITスキル標準の中で、高度な知識・技能を有する最高峰レベル4に相当します。
2021年に実施されたネットワークスペシャリスト試験の合格率は12.8%であったため、難易度が非常に高いことがわかります。
ネットワークスペシャリストは国や国内企業に対して高度なネットワーク技術者としてアピールできる資格です。
対して、CCNAはネットワーク知識を広く扱う基礎知識が集約された実用的な資格になります。
前述したとおり、CCNAは世界共通資格であると同時に高いシェアを誇るCISCO社が提供していることもあり、国内外の企業への就職・転職にCCNAはアピールしやすい資格です。
CCNA試験の基本情報
CCNAの取得を目指すには、試験の概要や難易度を把握した上で勉強法を検討するべきです。
CCNA取得までにかかる勉強時間の目安はどれくらいでしょうか。
また、取得後に未経験からエンジニア職への転職は可能でしょうか。
CCNA試験概要(出題範囲、問題数など)
CCNAの試験概要は2023年2月現在、以下のとおりです。
CCNA:試験番号「200-301」
- 受験料 33,600円
- 受検日 希望する任意の日
- 試験時間 120分
- 問題数 約100問
- 出題形式 CBT方式(コンピューターを利用した試験)
- 出題範囲 ネットワークの基礎
- ネットワークアクセス
- IPコネクティビティ
- IPサービス
- セキュリティの基礎
- 自動化とプログラマビリティ
CCNAの試験内容は、日々進化するIT技術に対応するため、2020年2月に改訂されました。
以前は専門分野に細分化された10の資格がありましたが、現在はひとつの資格に統合されています。
このように出題範囲の変更があるため、学習計画を立てる前に現在の出題範囲を確認することをおすすめします。
CCNA難易度と勉強時間
前述したとおり、CCNAは細分化された資格がひとつに統合されたため、出題範囲が広くなりました。
より網羅的な範囲を学習しなければならないため、従来よりも難易度が上がったといわれています。
CISCO社の公式ページでは、受検前提として「シスコソリューションの導入と管理経験が1年以上であること」を推奨しています。
しかし、CCNAはCISCO社の資格の中では入門編と位置づけられており、IT業界未経験から独学で取得した方も多くみられるのも事実です。
CCNAの難易度と合格率を上げる勉強方法についてはこちらを参考にしてください。
未経験からのエンジニア転職はCCNA取得で成功に近づける
ネットワークエンジニアはインフラエンジニアに属しており、ITシステムを動かす上で欠かせない存在です。
そのため、未経験から採用する企業が多くあります。
CCNAは世界共通のネットワーク資格であるため、取得することで国内企業はもちろん、海外企業へのアピールになるでしょう。
採用する企業としても、CCNA取得の実績がネットワークの基礎知識を有していると評価され、採用しやすくなります。
また、CCNA研修付きの企業先であれば、CCNAを取得せずとも採用してもらえるのでそのような転職先をエージェントに紹介してもらうのも一つの手です。
「活学キャリア」は、未経験専門のIT転職エージェントのため研修付き企業を紹介してもらうことも可能です。
CCNA独学のメリットとデメリット
CCNAが未経験からの就職・転職に有利な資格であるとお分かりいただけたかと思います。
とりあえず独学から始めてみよう、と思った方も多いのではないでしょうか。独学は手軽に始められる反面、デメリットもあります。
ここでは、CCNAを独学で勉強するメリットとデメリットを紹介します。
CCNA独学のメリット
独学は手軽に始められる以外に多くのメリットがあります。代表的なメリットを2点挙げます。
①学習費用を抑えられる
②時間に縛られない
①学習費用を抑えられる
CCNAはIT業界では有名な資格です。そのため、インターネット上に多くの情報が無料で公開されています。
また、対策本も多く出版されているため、自分の知識レベルに合わせた本を書店で選びましょう。
対策本を購入する費用はかかりますが、自分の知識レベルに合わせた内容を選ぶことで勉強を進めやすくなります。
②時間に縛られない
現在の仕事や学業に従事しながら、就職・転職準備を目指してCCNAの勉強を行うケースが多くあります。
そのため、スクールのような決まった曜日、時間の確保が難しいこともあるでしょう。
独学だと自分の都合に合わせて好きな時間や場所で勉強を進めることができるため、時間に縛られないといえます。
独学するには、CCNAの無料Web教科書「CCNAイージス」の活用がおすすめです。
CCNA独学のデメリット
独学は上記のメリットを得られる反面、デメリットもあります。代表的なデメリットを3つ挙げます。
①わからないことが解決できない
②学習計画を自ら管理しなければならない
③意志が弱いと続かない
①わからないことが解決できない
独学の場合、わからないことに直面すると自分で調べたり、考えたりしなくてはいけません。
そのため、調べきれなかった場合、そのままの状態になるケースがあります。
知識としては穴があいている状態になるため、資格取得が遠のいてしまうでしょう。
②学習計画を自ら管理しなければならない
独学の場合、自分で学習計画を立て、遂行していく必要があります。
思ったより進まなかったなどの理由で学習計画を達成できない可能性が高まります。
事前に決めていた受検スケジュールに勉強が間に合わないこともあるでしょう。
③意志が弱いと続かない
独学の場合、計画に沿って出題範囲を全網羅し、不明点はクリアにして勉強を進める必要があります。
わからないことや日々の忙しさに流されて、資格取得への熱意が薄れてしまい、挫折してしまうこともあるでしょう。
独学に自信がない方はITスクールを検討してみましょう。
受講料はかかりますが、「効率」や「挫折」などを考えると、スクールのほうが短期間で挫折することなく理想に近づける場合があります。
CCNA合格に向けた独学法
では、独学でCCNAを取得するためには、どのような勉強法がいいでしょうか。
ここでは、取得するための鍵と、段階的な勉強法を紹介します。
CCNA合格の鍵はネットワーク全体像と用語の理解
CCNAを取得するためには、ネットワークの全体像と用語の理解が必要になります。
前述したとおり、CCNAはネットワークの入門的な位置づけであるため、ネットワークの全体像を把握する必要があります。また、資格自体はベンダー資格であるため、CISCO社特有の単語の把握が必要になります。
まずは練習問題で知識レベルを確認
CCNA取得にあたって、学習計画を立てていく必要があります。
そのため、今の自分にはどんな知識が不足しているのかを確認しなくてはいけません。
CCNAは練習問題を公式サイトで公開しているため、一度解いてみることをおすすめします。
その結果を基に、自分の知識レベルや知識の不足箇所を確認し、学習計画を立てましょう
参考書や試験対策本を利用した独学
上記の結果を基に、自分にあった参考書や対策本を購入しましょう。
CCNAに特化した試験対策本や、ネットワーク全般の基礎知識の本など、自分のレベルに合った内容を選んでください。
本や電子書籍は外出時や通勤時に持ち運びができるので、隙間時間を活用して着実に勉強を進めることができます。
オンライン学習を利用した独学
インターネット上には、CCNA取得対策が公開されているサイトが多くあります。
それらを参考に、知識を深めることができます。
また、公式サイト以外にも練習問題が公開されているサイトを活用し、自分の知識レベルを確認しながら勉強を進めていくと効率的に知識を吸収できるでしょう。
未経験でCCNA独学を成功させるための5つの工夫
では、未経験から独学でCCNA取得を成功させる場合、どのような方法で勉強をすすめていけばいいのでしょうか。
ここでは、未経験でもCCNAを独学で成功させる方法を紹介するとともに、実業務に活用できるスキルの習得法を紹介します。
勉強する前に試験問題に挑戦する
前述したとおり、現在の自分の知識レベルを把握するために、試験問題を解くことをおすすめします。
知識レベルの把握以外にも、試験問題の形式や出題傾向を早めに把握することで、より試験に合った学習計画を立てられます。
また、繰り返し試験問題を解くことで苦手な分野や理解度を把握できます。
その都度、学習計画を見直して、わからない箇所を補強する学習計画にする必要があります。
シミュレーションソフトで実操作を経験する
CCNAではシミュレーション問題という、画面上でルーターのコマンドを入力して機器の設定を完了させる問題が出題されます。
解答するためには、CISCO社のネットワーク機器のコマンドとネットワーク構成を理解しなくてはなりません。
また、この知識は、就職・転職後の実務に役に立つので確実におさえておきたいポイントです。
そのためには、シミュレーションソフトを使ってみましょう。
実際のネットワーク機器がなくても、パソコンがあればシミュレーションソフト上でネットワークを疑似的に構築できます。
CICSO社純正のPacket Tracerは無料のシミュレーションソフトなので、独学で費用を抑えたい人にもおすすめです。
CISCOの実機で勉強する
可能であればCISCO社の実機ネットワーク機器を手に入れて、構築作業を通して学んだコマンドをひとつずつ確認しましょう。より理解を深めることができます。
IT系の企業に勤めているのであれば、余った機器で試してみるなどの機会があるかもしれません。他には中古で手に入れるなどの方法があります。
上記のように、実機での勉強はなかなか機会がないため、他の受検者と差がつく勉強法です。
ただし、ネットワーク機器は高額なので、実機での勉強は必須ではありません。
成功者や仲間の声に耳を傾ける
独学の経験がある方はわかると思いますが、独学で孤独を感じ挫折しそうになることがあります。
相談する相手や励ましあう相手がいないためです。
そんな時、背中を押してくれるのはCCNA取得を独学で成功させた人や独学中の仲間の声です。
SNSやブログでは、CCNA取得に向けて頑張っている人の声や体験談、成功までの道のりを見ることができるでしょう。
強い意志で自己管理を行う
独学で最も大切なことは、CCNAを絶対に取得したいという強い思いです。
日々の仕事や学業で疲れていたり、遊びに行きたい欲求で学習計画が滞る可能性があります。
CCNAを取得した後にITエンジニアとして活躍する姿を想像し、モチベーションを保って自己管理を行いましょう。
CCNA独学が不安ならスクールを検討してみよう
独学でCCNA取得するには強い意志が必要です。
独学では不安と感じる方やもっと効率的に短期間で取得したい人にはスクールをおすすめします。
スクールでは費用の心配がありますが、一定の条件を満たせば無料で受講する方法もあります。
ここではスクールに通うメリットと未経験専門エンジニアスクールの活学ITスクールを紹介します。
スクールで勉強に集中できる環境を作ろう
独学では、自分で立てた学習計画を基に勉強を進めていきます。
学習計画を進めていくうちに苦手分野の勉強時間を増やしたり、出題範囲をすべて網羅するように組み替える労力がかかります。
スクールでは、CCNA取得に向けたカリキュラムに沿って勉強するため、勉強自体に集中することができるでしょう。
活学ITスクールは、完全未経験専門エンジニアスクールです。
提供しているカリキュラムがCCNA取得に対応しているため、効率よく短期間での取得が可能になります。
学習ハードルをとことん下げた「わかりやすい」アニメーション動画カリキュラムが特徴です。
CCNAの合格率も高く、2023年現在、合格率は92%です。
就職や転職支援付きスクールを選ぼう
スクールの中にはCCNA取得を支援するだけでなく、就職や転職支援が付いているスクールがあります。
CCNA取得後に就職や転職を考えているのであれば、サポート付きのスクールを選びましょう。
活学ITスクールでは、プロのキャリアアドバイザーが転職活動をサポートします。
自己分析や選考準備、面接対策に加え、求人紹介も行っています。
転職成功率は未経験からでも98.7%と高い水準を誇っています。
CCNA取得で就職や転職に有利になるエンジニア職
CCNAを含むIT系の資格は、未経験でも取得していることで一定の知識を習得していることをアピールできます。
ここでは、CCNAを取得したことで就職や転職で有利になるITエンジニア職を5つ紹介します。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアの仕事は、ネットワークの企画、要件定義、設計、構築、運用・保守です。
ネットワークエンジニアは、企業の要望を基にネットワークの構成やネットワーク機器(ルーターや回線など)をいくつ使用するかなど決定し、構築します。
構築が完了したら、システムが安定的に使用できるようにネットワークの運用・保守を行います。
このようにネットワークに特化したITエンジニアであるため、ネットワーク資格であるCCNAを取得しているとかなり有利です。
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアとは、ITシステムに必要不可欠なサーバーを担当するエンジニアです。
サーバーエンジニアは、サーバーの構築からサーバーの運用・保守を行います。
サーバーエンジニアはネットワークエンジニアと同様、ITインフラを担当するITエンジニアです。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアは担当する領域が異なりますが、サーバーとネットワークをつなげるなど、近い領域になります。
そのため、サーバーエンジニアがネットワーク資格であるCCNAを取得していると担当する領域を広げられるため、親和性が高い資格といえます。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアの仕事内容は、クラウドサービスを使用してサーバーやネットワークなどのインフラ環境を設計、構築、運用するITエンジニアです。
クラウドサービスとは、インターネットを経由したコンピューター資源を利用するサービスになります。
クラウドエンジニアはインフラ全般を担当領域としているため、ネットワーク資格であるCCNAを取得していると知識のアピールが可能です。
システムエンジニア
システムエンジニアの仕事内容は、ソフトウエアの設計を担当するITエンジニアです。
ソフトウエアを設計していく中で、ソフトウエアをどのように動かすか考慮しなければなりません。
ソフトウエアはネットワークを通じてエンドユーザーが使用するため、ネットワーク資格であるCCNAの取得はシステムエンジニアにとって知識のアピールになるでしょう。
プログラマー
プログラマーは、プログラム言語を使用してソフトウエアを作るITエンジニアです。
プログラマーが作るソフトウエアはシステムエンジニア同様、ネットワークを通じて使用されるため、プログラマーにとってCCNA取得はネットワーク知識を習得しているアピールになります。
まとめ
CCNAは入門的なネットワーク資格であると紹介しましたが、出題範囲が広く、専門性の高い資格です。
CCNA取得には、ネットワーク全体像と用語の理解が重要となります。
独学でCCNA取得を目指す場合は、自分の理解度を確認してから学習計画を立案しましょう。
独学は費用や時間の制約に縛られない分、強い意志を持って勉強に臨む必要があります。
CCNA取得後、就職や転職を考えている方はスクールをうまく活用することもおすすめです。
CCNA取得を足掛かりに、未経験からでもIT業界で活躍することで安定した収入を得るなど、具体的な目標を定めてCCNA取得に挑戦してみましょう。