LPICはLinuxのシステム管理に関する知識が必要となる資格。
そしてこの資格の中〜上級に位置する難易度となっているのが、こちらのLPIC Level2。
取得のためには単なる知識だけでなく、適切なタイムマネジメントおよびモチベーションの管理も必要になってくるでしょう。
今回の記事では、LPIC Level2の取得に役に立つ情報をひとまとめにしました。
合格を目指している方は、ぜひ本記事を参考にして、勉強を始めてみてください。
学習の順調な進行の一助となるはずです。
LPIC以外にもIT資格を検討している方は、下記記事でおすすめのIT資格を紹介しているので参考にしてください。
【チェック】LPIC Level2の受験には条件がある!
受験にはいくつかの条件があります。
まず、LPIC Level1の資格を保持していることが必須条件。
LPIC Level1を保持していない状態で、Level2を受けることはできません。
Level1をもつことで、はじめてLevel2試験に挑む準備が整います。
まず最初はLevel1に挑戦し、少しづつ階級を上げていくようにしましょう。
LPIC Level2の主な出題内容
試験は2つの試験(201と202)で構成されており、両方の試験に合格する必要があります。
201試験はLinuxのキャパシティプランニングや、ストレージ管理に関する内容。
202試験ではシェルスクリプト、データ管理などがテストされます。
なお参考までに、201試験の詳細な出題範囲は次のとおりです。
主題 | 項目 | 詳細 |
---|---|---|
200 | キャパシティプランニング | リソース使用率および測定将来のリソース需要予測ほか |
201 | Linuxカーネル | カーネル構成要素〃コンパイル〃実行時の管理ほか |
202 | システム起動 | リカバリブートローダほか |
203 | ファイルシステムデバイス | ファイルシステム操作〃保守〃作成およびオプション構成 |
204 | ストレージ | RAID構成記憶装置へのアクセス法調整ほか |
205 | ネットワーク構成 | ネットワーク構成〃構成(高度)〃トラブルの解決 |
206 | システム保守 | ソースからのプログラムインストールバックアップシステムトラブルの通知 |
試験の合格点は各試験ごとに独立しており、詳細なスコア要件が設けられています。
LPIC Level2の合格率は非公開
合格率は公開されていないので、詳細な数字は不明です。
合格率の非公開は、試験の厳密さや公正性を維持するための措置とも考えられています。
LPICの試験は、真のスキルと知識を持つ個人を評価するために設計されたもの。
結果の公開が他者の受験者に影響を与える可能性を懸念し、秘密にする流れになったものと考えられます。
ただ受験者数と合格者数から推測すると、合格率は約30%程度と考えられます。
難関の国家資格の合格率が約15〜20%と考えると、「難しくはあるものの現実的に不可能ではない」程度のレベル感と捉えていいでしょう。
LPIC Level2に受かるための勉強時間
個人のスキルや経験で大きく変動するものの、試験に合格するためには最低でも数百時間(半年から1年程度)の学習が推奨されています。
LPIC Level2は試験範囲が広く、高度な設定および管理についての知識が必要です。
そのため十分な時間をかけて各トピックを理解し、実践的な経験を積む必要があります。
勉強時間の割り振りは、個人の学習ペースや経験によるので一概にはいえません。
一般的なガイドラインとしては、定期的な学習スケジュールを立て、週に数時間を確保することが効果的です。
また自己学習だけでなく、教材や模擬試験問題を活用し、実際の試験形式に慣れることも重要になります。
勉強時間だけでなく、継続的な学習と復習を重視することで知識が定着し、自信を持つことができます。
LPICに受かるための勉強時間は下記記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
LPIC Level2の受験にかかる費用
受験にかかる費用は、単体だと16,500円です。
ただし受験するためには、LPIC Level1を通過していることが必須条件。
このLPIC Level1にも同様に16,500円の受験料が発生しているため、すなわち結果的に実質33,000円の費用がかかることになります。
さらにこの他にも参考書や問題集を購入すれば、数千円の出費となるため、トータルで35,000〜40,000円はかかると考えるのが妥当です。
とはいえLPIC Level2の受験料は、比較的手頃な価格といえます。
LPIC Level2に合格するメリット
LPIC Level2をとると、以下のようなメリットを受けられます。
LPIC Level1より高度な技術の裏付けになる
LPIC Level2はLPIC資格の上位レベルの資格であり、Level1よりも高度な技術の裏付けができます。
とくにシステム管理者などの責任のある役割を目指す場合には、Level2試験の合格が必須要件となることも少なくありません。
現代で主流の技術にも採用されている
LPIC Level2の合格は、いま主流の技術においても高い価値を持ちます。
たとえば現代のIT環境では、Linuxは大規模なデータセンターやクラウドインフラ、モバイルデバイスなどで使用されています。
LPIC Level2の合格で、オープンソースのエコシステムやツールに関する知識を備えていることが証明でき、また現代の技術トレンドに合致していることを示せるでしょう。
給与の向上が図れる
LPIC資格は、Linuxの高度な知識とスキルを証明するもの。
合格することで、求職時や昇進時において、給与交渉の際に有利な立場を築くことができるでしょう。
また新たな職務や責任を引き受ける際、その能力とスキルに見合った仕事内容と給与待遇が期待できるはずです。
LPIC Level2に受かるために備えたい知識
LPIC Level2に合格するために、頭に入れておきたい知識を紹介します。
Linuxカーネルに精通したシステム管理能力
合格するためには、Linuxカーネルに関する深い知識と高度なシステム管理能力が必要です。
カーネルはオペレーティングシステムの中核であるとともに、試験の重要な要素でもあります。
Linuxカーネルに精通するためには、以下の項目に対する理解があることが望ましいです。
- カーネルの構造と機能
- カーネルのコンパイル
- カスタマイズ
- パッチ適用
- デバッグ
さらにいうとモジュールの操作、システムコールの挙動の理解もあるとなおいいでしょう。
ファイアウォールやVPNを交えたセキュリティ実行力
セキュリティは現代のIT環境で非常に重要な要素であり、組織のデータやネットワークを保護するために必須の技術です。
ネットワークトラフィックを監視し、不正アクセスやマルウェアからの保護を行うためには、ファイアウォールに関する知識は不可欠となります。
また、VPN(Virtual Private Network)は、リモートアクセスや拠点間における安全な通信経路を実現する仕組みです。
特殊なVPNプロトコルや認証メカニズムを理解したうえで、実際に設定やトラブルシューティングができる能力が求められます。
各種サーバーのインストールや構成を行う力
まず、Linuxサーバーのインストールに関する知識が必要です。
各種ディストリビューションのインストール手順やハードウェア要件、ディスクパーティショニングなどを理解しましょう。
さらにあらゆるサービスの提供のために、さまざまなサーバー(Webサーバー・メールサーバー・ファイルサーバーなど)の構築と設定のやり方を知っておくこともおすすめ。
ApacheやNginxといったWebサーバーソフトウェアの設定や、PostfixやSendmailなどのメールサーバー構築方法の習得もあとで必ず重宝します。
自動化や購入を助言する提案・サポート力
現代のIT環境では、効率的な運用や迅速なトラブル対応のため、何かと自動化が必須。
スクリプト言語や構成管理ツールを使って、繰り返しのタスクや作業フローを自動化する能力は、やはりあるに越したことはありません。
また組織のニーズに基づいて適切なハードウェアやソフトウェアを提案し、購入を助言できるサポート力も備えておくといいでしょう。
以下のような購入サイクル全体を想定することも、合格に必要な要素です。
- 要件の収集や評価・比較
- ベンダーやサプライヤーとの交渉
- 予算管理
LPIC Level2が役に立つ場面
LPIC Level2が重宝すると感じるのは、主に以下のような場面です。
インフラエンジニアを目指すとき
インフラエンジニアになるなら、LPIC Level2の貴重さを実感するでしょう。
LPIC Level2で求められる、
- システム管理
- 〃構築
- 〃運用
- ネットワーク設定
などといった知見は、Linuxベースのシステムを使うときに不可欠です。
さらにインフラエンジニアに必須となるセキュリティ項目も、試験範囲に含まれています。
インフラエンジニアになるなら、資格の取得は理にかなった選択です。
普段の業務遂行時
普段の業務を行うシーンでも、資格の貴重さを実感するタイミングがあるはずです。
たとえば多くのIT企業では、「Linuxはエンジニアが扱うもの」などという決まりは存在しません。
つまりLinuxに詳しくない素人でも、Linuxでちょっとした通常業務を依頼されることもしばしば。
不慣れな場合、不明点を都度聞いてこなすしかありませんが、ここで資格をもっていれば、作業スピードは段違いです。
LPIC Level2に向いている参考書
LPIC Level2が学べる参考書を見ていきましょう。
動かしながらゼロから学ぶ Linuxカーネルの教科書
Linuxの中核ともいえる「カーネル」に焦点を当て、概要から仕組みまでじっくり理解できるのが特徴です。
「OSとしてのLinuxがどのように動いているのか」、きちんと覚えることが可能になるでしょう。
またタイトルのとおり、実際に動かしながら学べるよう、実践用のプログラムが用意されています。
DNSがよくわかる教科書
DNSに焦点を当てた、Linuxの教材の中では珍しい部類のこちらの書籍。
- DNSの仕組み
- ドメイン名の規定
- リソースレコード内容
- コマンド動作の確認
- DNSの運用ノウハウ
- DNSSECの基礎知識
などが、やさしい解説で記述されています。
わかりづらく苦手意識をもつ方も多いDNSですが、全体像を押さえて詳細に着手する方式のため、スッキリとした理解が得られるでしょう。
Apacheの実践的な運用と管理を学べる参考書
Apacheの基礎から導入までをしっかりサポートしてくれる一冊です。
設定ファイル「httpd.conf」や拡張モジュールなど、難しい用語も噛み砕いた解説が施されています。
ディストリビューションも
- CentOS
- Red Hat
- Fedora
- Debian
- Ubuntu
- Windows
- Mac OS X
など幅広く対応。
「実際にHTTPサーバを運用していく力」を養ううえで、必ず役に立ちます。
LPIC Level2についてよくある質問
LPIC Level2でよく質問されている項目は、以下のとおりです。
LPIC Level2は更新が必要?
はい、結論からいえば5年以内に更新が必要です。
厳密には「資格の有効期限」は設けられていません。
しかし「有意性の期限」なるものが存在し、これは「資格保持者としての知識が最新かどうか」を示しています。
この有意性の期限が5年と定められており、5年以内ならACTIV、5年経過後はINACTIVEとなります。
INACTIVEでは有意性が薄いので、したがって更新は必要です。
独学でLPIC Level2に受かるのは難しい?
いいえ、独学でも十分に合格を目指せる資格です。
参考書をじっくり読み込み、模擬試験形式で過去問題を何度も解くことで、確実に合格に必要な知識は身につきます。
ただし惰性で問題を解くのではなく、回答後に
- 自分はどこをなぜ間違えたのか
- 自分はどこが苦手なのか
といった「分析」を怠らないことがポイント。
分析と実践を繰り返せば、独学でも習得を狙えます。
しかし毎日の仕事が忙しくモチベーション管理に自信がない方は、スクールなどを検討してみるのもひとつです。
LPICの難易度については下記記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
まとめ:しっかり対策すればLPIC Level2は怖くない!
LPIC Level2は、十分な準備と対策をすれば怖くありません。
まずはオンラインやハンズオン形式の学習資料を手に取り、試験のトピックに関する理解を深め、不明点および弱点克服を目指すこと。
そして実際の試験の形式や難易度に近い「模擬試験」に何度も挑戦し、準備を完璧にしましょう。
過去問題やオンライン模擬試験を利用し、試験のスタイルに慣れることで、自身のレベルがだんだんわかってきます。
周りと比較せず、決して焦らずに自分のペースを遵守のうえ、着実に合格へのステップを踏んでください。