近年のIT需要の増加や将来性から、システムエンジニアを目指す方が増えています。
そんな中でやはり気になるのは、システムエンジニアの年収です。「平均年収は高い」と聞くものの、相場がわからない方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、システムエンジニアの平均年収を業種・年齢・地域別にご紹介します。また、年収が高い理由のほか、システムエンジニアとして年収を上げる方法をまとめました。
システムエンジニアを目指している方はぜひご一読いただき、参考にしてください。
システムエンジニアについてまだあまりイメージがついていない方は、まずはこちらをご覧ください。
- システムエンジニアの平均年収は、442万円
- IT企業は東京に一点集中しているため、関東圏の年収が高い
- 年収が高い主な理由は、人手不足と専門職であること
- 年収を上げるには、上流経験、転職、資格の取得
- 年収アップにつながる資格は、応用情報処理技術者、CCNAほか
システムエンジニアの仕事内容
この章では年収を紹介する前に、システムエンジニアの主にどんな内容の仕事を行っているかご紹介します。
システムエンジニアが行う仕事の内容は、一般的に以下のとおりです。
- 要件定義にて顧客の悩み・要求をヒアリング
- システム設計書を作成し、顧客やメンバーと共有
- 設計書どおりにプログラミングを行い、システムを開発
- システムにエラーやバグがないかテスト
- 納品
まずは顧客の要望を明確化し、設計書に落とし込みます。その設計書に従って開発を行い、エラーチェックを行って納品というのが一連の流れです。
ただ企業によって内容は多少異なります。ヒアリングは営業、プログラミングはプログラマーなど、役割が分担されているケースも少なくありません。
システムエンジニアの平均年収はいくら?他業種と比較!
システムエンジニアは、平均で約442万円前後の年収となっています。
以下は2022年12月、転職エージェント大手のDodaが発表した、「職種・職業分類別の平均年収ランキング」です。
業種分類 | 平均年収 |
専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人) | 585万円 |
企画/管理系 | 527万円 |
技術系(IT/通信) | 442万円 |
技術系(電気/電子/機械) | 442万円 |
営業系 | 439万円 |
金融系専門職 | 434万円 |
技術系(建築/土木) | 422万円 |
技術系(メディカル/化学/食品) | 386万円 |
クリエイティブ系 | 374万円 |
事務/アシスタント系 | 336万円 |
販売/サービス系 | 325万円 |
引用:https://doda.jp/guide/heikin/syokusyu/
システムエンジニアは「技術系(IT/通信)」に該当しますが、他の業種に比べて高い傾向となっています。
退職仕事が主となる「建築・土木」よりも20万円近く高くなっているのは、それだけIT需要が増加しているということの現れです。
システムエンジニアの平均年収【年代別】
システムエンジニアは年代ごとに、平均年収も変わります。
以下は、平均年収.jpが公開している、「システムエンジニアの年齢別年収推移」です。
年齢 | 年収 |
20~24歳 | 314万円 |
25~29歳 | 391万円 |
30~34歳 | 429万円 |
35~39歳 | 490万円 |
40~44歳 | 550万円 |
45~49歳 | 616万円 |
50~54歳 | 660万円 |
55~59歳 | 655万円 |
60~65歳 | 446万円 |
引用:https://heikinnenshu.jp/it/se.html
やはり年功序列の関係もあり、50〜54歳のエンジニアの年収は650万円以上と高い傾向です。
とはいえ30〜34歳のエンジニアも、年収が約430万円と平均以上のため、比較的高いことが見てとれます。
システムエンジニアの平均年収【地域別】
同じシステムエンジニアでも、地域によって、年収に差が発生します。
以下は、2022年5月に大手求人サイトの求人ボックスが集計した、「システムエンジニアの仕事の年収・時給・給料情報」です。
地域 | 年収 |
北海道・東北 | 約420万円 |
関東 | 約471万円 |
甲信越・北陸 | 約411万円 |
東海 | 約451万円 |
関西 | 約465万円 |
中国 | 約413万円 |
四国 | 約417万円 |
九州・沖縄 | 約414万円 |
引用:求人ボックス
関東・関西・東海の3地域とその他で、年収に大きな開きがあることがわかります。関東の年収が最も高い傾向にあるのは、東京にIT企業が一点集中している影響もあるでしょう。
また、関西や東海も企業や人の数が多いことから、関東圏に近い水準です。
システムエンジニアの需要や将来性も気になる方は以下の記事も併せてご覧ください。
システムエンジニアの年収は比較的高い傾向
システムエンジニアは他業種や年齢、また地域別に見ても、平均的に年収が高い傾向にあります。
そのため、
- 新卒でどの業界に進むか迷っている
- 異業種に転職して、専門スキルを磨きたい
のように考えている方であれば、今後の将来性の観点からもシステムエンジニアを目指すのがおすすめです。
ただ、ひとえにシステムエンジニアといっても、企業の規模や扱う言語、役割などによっても年収は上下します。また、おなじシステムエンジニアでも会社員かフリーランスかによっても、年収は異なるでしょう。
どんなエンジニアとして、どの地域で活動するのかを明確にし、そのうえでおおよその年収を把握しておくことが大切です。
システムエンジニアの平均年収が高い理由
「システムエンジニアは平均年収が傾向として高い」とよく言われています。その理由は大きく3つです。
高度なスキルを要する職業だから
システムエンジニアの平均年収が高い理由は、高度なスキルを要する職業だからです。
プログラミングは挫折率が9割と言われます。努力次第でどんな方でも習得はできるものの、「その努力を継続できるか否か」が分岐点です。さらに論理的思考力の有無などで、習得や仕事の速さに差が生まれてしまうこともあるでしょう。
しかしプログラミングを学べば間違いなく、その先もさまざまな場面で汎用的に役立つスキルが得られます。地道なしっかり努力を継続した人がなれる職業だからこそ、年収が高い傾向となっています。
IT業界が全体的に人手不足だから
システムエンジニアの平均年収が高い理由に、IT業界の深刻な人手不足も挙げられます。
現代のIT業界は、IT需要に対するエンジニアの供給が追いついていないのが現状です。
以下は経済産業省が発表した、IT需要とIT人材の推移グラフとなります。
引用:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
こちらのグラフでは、「これからのIT需要の拡大に対して、IT人材の供給が追いつかなくなる可能性がある」ことを示しています。2030年には約45万〜79万人が人材不足となる予想です。
グラフは2030年までの推移ですが、それ以降もIT需要とエンジニアの供給の差は広がっていくでしょう。この背景からシステムエンジニアは希少性が高く、作業単価が高く付くことから年収が高くなります。
休日対応や残業があるから
システムエンジニアの平均年収が高い理由に、休日対応や残業が多いことも挙げられます。
「システムエンジニアは仕事がきつい」という話を聞いたことがある方も少なくないでしょう。たしかに時期やタイミングによっては、激務となることもあります。
たとえば顧客がタイトな納期を希望する場合、なるべくそれに合わせる必要があります。またプロジェクトにはイレギュラーがつきもので、仕様変更で作業が大幅に出戻りが発生したり、メンバーの体調不良を起こす可能性もゼロではありません。
クライアントやプロジェクトの支障によって、休日対応や残業が多くなることが、平均年収が高い理由でもあります。
システムエンジニアとして年収を上げる方法
この章では、システムエンジニアとして年収を上げる方法についてご紹介します。
トレンドや最新の技術を学ぶ
年収を上げるためには、トレンドの言語および最新の技術を、逐一取り入れることも重要となります。
近年のIT技術は、流行り廃りが激しいためです。「昨年まで主流だった技術や言語が、今年になってすっかり入れ替わった」というケースも、珍しいことではありません。
そのためシステムエンジニアは、必要に応じてその都度新しい技術の習得が必要になります。
一度習得した技術に固執していると、その技術がだんだん枯れ、使われない技術になっていくものです。そうなるとシステムエンジニアとしての市場価値も徐々に下がっていきます。
システムエンジニアに限った話ではありませんが、勉強しない限り収入が伸びることはありません。トレンドや最新技術を学び、知識をアップデートしましょう。
上流工程を経験し実績を積み上げる
「上流工程の実務経験」は、年収アップに大きく響く要素となります。
上流工程の経験によって、以下が養えるためです。
- 顧客が本当に欲しがっている機能を理解するヒアリング力
- 顧客のニーズをしっかり満たせるシステムの提案・ソリューション能力
- プロジェクトを進捗などを管理し、適切で柔軟な指示や判断ができるマネジメント能力
- プログラマの苦労や事情も理解できるプログラミングスキル
上流工程を実務で経験できれば、システムエンジニアとしての市場価値が上がり、年収アップにつながるでしょう。
転職で年収を上げる
転職することも、比較的手っ取り早く年収アップが期待できるためおすすめです。
今勤めている企業でしっかり実績と経験を積めば、転職で大きく年収を伸ばすことも可能になるためです。
日々の業務に向上心を持って取り組み、「アピール材料」と「面接で話すこと」を作っていくことが重要になります。
ある程度自信がついたら、自分の市場価値を確かめるべく、他のIT企業へ積極的に応募するといいでしょう。
こちらの記事でも詳しく紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。
IT資格を取得する
IT資格も、システムエンジニアの年収の年収アップの手段として有効です。
資格があることで、主に以下がアピールできます。
- 専門的な知識と高度なスキルを備えていること
- 資格を取得するだけのやる気や行動力、自走力があること
IT資格によって転職で有利にもなるうえ、市場価値の向上にも大きく役立つでしょう。
さらにIT資格が役に立つのは、知識やスキル面だけではありません。「行動力や自走力のある人」と思われることもメリットです。
システムエンジニアとして年収を上げていくためのキャリアプランを考えたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
システムエンジニアの年収アップにつながりやすい資格
この章では、システムエンジニアの年収アップにつながりやすい資格を4つご紹介します。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、経済産業大臣認定の国家資格のひとつで、おなじIT国家資格である「基本情報技術者」の上位資格といった位置づけです。
取得することで、より高度なITの専門知識に精通し、優れたスキルを持っていることがアピールできます。
基本情報技術者との違いは、その名のとおり「基本か応用か」です。より踏み込んだコンピューターシステムやセキュリティ知識が問われるため、これからIT業界を目指す人より、経験を積んだ玄人に向けた資格といえます。
合格率も20%前後と低いため、取得すれば強力なアピール材料となるでしょう。
システムアーキテクト
システムアーキテクトは、情報処理推進機構(IPA)が運営する国家資格です。
取得することで実務における専門スキルが証明できます。市場価値も上がるため、年収のアップにもつなげやすくなるでしょう。キャリアアップのための転職でも、企業から一目置かれることは間違いありません。
ただこちらのシステムアーキテクトは「高度区分試験」という最難関の資格とされ、習得には相応の努力が必要になります。
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストは情報処理推進機構(IPA)が運営する資格です。その名のとおりデータベースに特化した資格となっており、主に論理設計、スキーマやデータモデルに関する質問が穴埋め形式で出題されます。
この資格を取得することで、データベースの高度な知識、データ操作、設計スキルを備えていることのアピールが可能です。
世の中にあるIT企業で、データベースを使わない企業はありません。エンジニアのみならず、IT業界にかかわるすべての方に必須となる知識として、最大限に活かせる資格となるでしょう。
CCNA
こちらはネットワーク機器大手である「シスコシステムズ」が運営している資格の中の一種となっています。
ネットワークの専門的な知識の証明となり、年収アップが実現できる資格です。
出題範囲が広く、ネットワーク知識の基礎から応用、またシスコ社のシステムの使い方まで幅広く網羅されているのが特徴です。
こちらのCCNA資格の取得を目指すなら、プログラミングスクール「活学ITスクール」の利用がおすすめです。「活学ITスクール」は日本初のアニメーション動画を採用しているITスクールです。
CCNA資格が取得できるうえ、合格率も92%と高い水準を誇ります。
年収アップのためにCCNAの取得を検討している方は、活学ITスクールの利用がおすすめです。
CCNAやIT資格についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
まとめ:付加価値を付けて年収の高いエンジニアになろう
システムエンジニアは他業種や年代で比較しても、年収が比較的高い傾向にあります。
とはいえ扱う技術や言語、および業務形態によって年収には開きがあることも事実です。
高年収のシステムエンジニアには、以下のような「付加価値」が必要不可欠となります。
- 職場で積んだ実績や経験
- 最新技術の知識
- IT資格
自分だけの付加価値を身に着け、年収の高いシステムエンジニアを目指していきましょう。