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セキュリティエンジニアが「なくなる」って本当?2つの理由を解説!


セキュリティエンジニアって将来なくなる仕事なの…?



今のうちに別の職種に転職したほうがいいのかな?
今、IT業界で注目されている「セキュリティエンジニア」。一方で「この職種は将来なくなる」という不安な声も。
本記事では、その背景と真実、そして未経験からでも将来性のあるキャリアを築くためのヒントをお届けします!
トピックス3つ
・セキュリティエンジニアが「なくなる」と言われる2つの理由
・AIやクラウドの進化で変わる業務内容
・今後も求められるスキルとキャリアの築き方
結論|セキュリティエンジニアが「なくなる」ことはない


IT技術が進化しても、セキュリティエンジニアの需要は今後もなくなりません。
理由は、脅威の増加・判断力の必要性・人材不足という3つの視点から明確です。
詳しく解説していきます。
セキュリティの脅威は増えている
現在、サイバー攻撃の手法は年々巧妙化しており、企業や組織を狙った不正アクセスやランサムウェアによる被害は後を絶ちません。
総務省の「情報通信白書」やIPA(情報処理推進機構)の調査でも、情報漏洩・不正アクセスの被害件数は年々増加傾向にあることが報告されています。
総務省|令和5年版 情報通信白書
IPA|情報セキュリティ10大脅威 2024(組織編)
加えて、クラウドサービスやIoT機器の普及、リモートワークの拡大などにより、守るべき対象も複雑化しています。
こうした背景から、企業にとってセキュリティ対策は最優先事項となっており、それを担う専門職であるセキュリティエンジニアの重要性は今後も増す一方です。
自動化ではカバーできない判断が必要
「AIが進化して、セキュリティの仕事もそのうち機械に任せられるんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。
たしかに、ログを自動で解析したり、怪しいアクセスを検知したりと、便利なツールは増えています。
でも、実際の現場では、「この攻撃の意図は何か?」「本当に止めていい通信か?」といった人の判断が欠かせません。
たとえるなら、自動ブレーキはあっても、最終的にハンドルを握ってるのは人間──そんな感じです。
ルール通りじゃ動けない時こそ、現場を読めるエンジニアの力が必要とされています。
人手不足で需要はむしろ上昇中
「この仕事、将来なくなるって言われてるけど、本当にそうなの?」と不安に思って検索した方も多いかもしれません。
でも実際はその逆で、人が足りてないのが現実です。
経済産業省「IT人材需給に関する調査(2020)では、2030年には最大で19万人のIT人材が不足すると言われています。
その中でも、セキュリティ系の人材は特に深刻。
海外でも同じで、ISACAの調査(State of Cybersecurity 2023)では8割以上の企業が「人材が足りてない」と回答しています。
つまり、「なくなる」どころか、今すぐにでも必要とされている職種です。
未経験からセキュリティエンジニアを目指す方法はこちらで詳しく解説しています。


セキュリティエンジニアが「なくなる」と言われる2つの理由


「セキュリティエンジニアは今後いらなくなるらしい」
「AIで置き換えられるって聞いた」
そんな話を見聞きして、不安になった方もいるかもしれません。
こうした声が広がっているのには、それなりの背景があります。ここでは、「なくなる」と言われる2つの主な理由を見ていきましょう。
業務がAI・自動化されて人間の仕事がなくなる
「AIの進化で、セキュリティの仕事っていずれなくなるんじゃないの?」
──そんな声を聞くことが増えました。
確かに、AIはすごい勢いで進化しています。怪しいアクセスを見つけたり、ログを自動で処理してくれるツールも出てきていて、便利になったなと感じることもあります。
でも、実際に現場で働いているとわかります。AIはあくまで“補助”であって、全部を任せることはできません。
たとえば、攻撃の背景に何があるのか、何を守るべきなのか、リスクをどう判断するか──こういう“考える”作業には、人間が必要です。
むしろ、自動化が進んだからこそ、「人が判断するべき場面」が浮き彫りになってきています。
だから、AIに仕事を奪われるんじゃなくて、仕事の質が変わってきているということです。
なお、次の記事では業務の自動化も交え、将来性のない仕事20選を紹介しています。ぜひ参考にしてください。


フルスタック人材が主流になるという予測
2つ目の理由は、「フルスタックエンジニアの台頭」です。
フルスタックエンジニアとは、フロントエンドからバックエンド、さらにはインフラやセキュリティまで、Webアプリ開発のあらゆる領域を幅広くカバーできるエンジニアのこと。
ひとりで何でもできる、まさに“技術の総合商社”のような存在です。
こうした人材の中には、セキュリティの知識をしっかり持っていて、簡単な対策や設計レベルの配慮であれば自分で対応できてしまう人もいます。
その結果、企業によっては「セキュリティだけ担当する人を別に採るより、フルスタックで幅広く対応できる人のほうが効率的じゃない?」という判断がされることもあるようです。
この流れが進むと、専門職としてのセキュリティエンジニアのポジションが相対的に減ってしまうのではないか──そんな声が出てきているのも事実です。
SNSや現場で見かける「なくなる説」の実態とは?
X(旧Twitter)やYouTubeのコメント欄では、悲観的な声や極端な意見も思った以上に広がっています。
でも、本当にそうなのか? 現場のリアルな声と照らし合わせてみると、違った景色が見えてきます。
SNSで拡散されがちな誤解
SNSでは、「セキュリティの仕事はAIで自動化されるから、将来なくなるよ」という意見がたびたび見受けられます。
こうした投稿は、拡散力のあるインフルエンサーや自称“業界通”の発信から広がることが多く、特にIT未経験者やこれから転職を考える人にとっては、不安をあおる情報として届きがちです。
また、「何でもできるフルスタックしか生き残れない」といった投稿も、専門職としてのセキュリティエンジニアを否定するように見え、印象として“なくなりそう”と受け取られてしまう要因のひとつになっています。
ただし、これらはあくまで一部の意見や極端なケースが切り取られているだけで、すべての現場に当てはまるわけではありません。
実際に働く人が感じる不安と現実のギャップ
現場で働いているセキュリティエンジニアの声を聞いてみると、「仕事が減っている」と感じている人はほとんどいません。
むしろ、サイバー攻撃の対応に追われる日々や、人手不足による業務の集中に悩まされているケースが多く、「人が足りていない」というのがリアルな実感です。
一方で、SNSでの情報に触れたことで「自分のスキルは時代遅れなのでは?」と不安になったという声もあり、現場の需要と世間のイメージにはギャップがあります。
つまり、「なくなる説」は決して無根ではないけれど、それは一面的な情報の切り取りであって、実際の現場ではむしろ人材が求められている──というのが現実に近い姿です。
人材不足で希少価値が高いセキュリティエンジニアは、他のIT職種と比べて年収が高めです。
セキュリティエンジニアの平均年収や、将来的に1000万円稼ぐ方法は、こちらで解説しています。


本当になくなる職種と、セキュリティエンジニアの違い
まずは、AIに代替されやすい仕事の特徴を整理したうえで、なぜセキュリティエンジニアがそれに当てはまらないのかを見ていきましょう。
AIに代替されやすい仕事の特徴
AIが得意とするのは、ルールに沿って繰り返される作業です。
たとえば、単純なデータ入力や定型レポートの作成、倉庫内での仕分けなどは、機械やアルゴリズムに置き換えやすい業務の代表例です。
また、判断基準があらかじめ明確に定められている業務もAIに適しています。
「条件Aなら処理Bを実行する」といったロジックがあれば、AIは人間より正確に、しかも速く処理できます。
実際、すでにいくつかの分野では、AIが人の仕事を肩代わりしはじめており、ホワイトカラーの一部職種でも業務の一部が自動化されつつあります。
セキュリティエンジニアが該当しない理由
一方、セキュリティエンジニアの仕事は、決して単純なルールだけで動いているわけではありません。
むしろ、「想定外のことにどう対応するか」が問われる仕事です。
サイバー攻撃の手口は日々変化し、過去のパターンが通用しないことも多々あります。
その中で、「これは何の兆候か?」「裏にどんな意図があるか?」「この企業にとって何が一番のリスクか?」といったことを読み解き、柔軟に対応策を講じる必要があります。
さらに、経営層への説明や、他部署との調整など、技術以外の“人間的な判断力”や“コミュニケーション力”が問われる場面も多いのが特徴です。
つまり、セキュリティエンジニアは「マニュアル通り」では対応できない仕事。
この“人間にしかできない判断”が求められる限り、AIが完全に代替することは困難です。
今後求められるセキュリティ人材とは
「セキュリティエンジニアはなくならない」と言っても、同じスキルセットのままで良いというわけではありません。
技術や脅威が変化し続ける以上、セキュリティ人材にも“進化”が求められる時代です。
では、これからの時代に必要とされるのはどんな人材なのか。キーワードは「戦略」「広がり」「視点」です。
戦略的なセキュリティ対応
これまでのセキュリティは「問題が起きたら対応する」という“守り”の役割が強いものでした。
しかし、今後は「起きる前に予測し、リスクを減らす」という“攻め”の姿勢がより重要になります。
たとえば、セキュリティをアプリ開発の最初の段階から組み込んでおく「セキュリティ・バイ・デザイン」や、ビジネス全体の戦略とセキュリティ方針をどう結びつけるか──こうした上流から関わる視点が求められます。
単なる“技術者”ではなく、「どう守るかを設計できる人」こそ、これからのセキュリティ人材です。
クラウド・IoT分野への対応力
クラウドサービスやIoT機器が爆発的に普及したことで、セキュリティの守備範囲も一気に広がりました。
オンプレミスだけを想定したスキルでは、対応しきれない場面が増えてきています。
たとえば、AWSやAzureのようなクラウド環境でのセキュリティ設定、IoTデバイスが社内ネットワークに与える影響の分析など、“新しい常識”に対応できることが重要なスキルとなっています。
今後のセキュリティエンジニアは、「クラウドもIoTもわかって当たり前」となる時代を意識して、柔軟に学び続ける姿勢が欠かせません。
クラウドの仕事内容については、こちらをご覧ください。


そのほかにもセキュリティエンジニアにはどんなキャリアパスがあるのか、こちらの記事で解説しています。


経営や組織全体を見渡す視点
そしてもうひとつ大切なのが、“技術だけで完結しない視点”を持つことです。
「この対策はコストに見合うのか?」「経営判断として優先すべきリスクは何か?」といった、ビジネスや経営の視点を持ったセキュリティ人材が求められています。
実際、情報システム部門だけでなく、経営層や広報、人事など他部署と連携しながら進めるセキュリティ対策が当たり前になってきています。
技術だけでなく、組織全体を巻き込む力やコミュニケーション力も含めて「セキュリティの力」と評価される時代です。
セキュリティエンジニアにどんな素質が必要かは、以下の記事で詳しく解説しています。


まとめ|セキュリティエンジニアは進化して必要とされ続ける
本記事では、セキュリティエンジニアが「なくなる」と言われている理由について詳しく解説しました。
サイバー攻撃の高度化や情報管理の重要性の高まりにより、セキュリティエンジニアの存在価値はますます大きくなっていることがわかったと思います。
たしかに、AIや自動化、フルスタック人材の登場といった変化はあります。
でも、それは“仕事がなくなる”というより、“仕事の質が変わっていく”ということ。
必要とされるスキルや視点は変わっていきますが、本質的に人が担うべき役割はこれからも確実に残ります。
未経験からIT業界、特にセキュリティ分野を目指すには、正しい学び方と、信頼できる環境選びがとても重要です。
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