全体から見ても、年収が350万円程度である世帯は多いです。
年収とは、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額を指すので、手取り金額とは異なります。
ここで、「年収350万円を稼げるようになったら、手取りはどれくらいになるの?」という疑問を持つ人もいるでしょう。
本記事では、年収350万円の手取り金額を紹介します。
年収350万円レベルの方に向けた節約術や年収アップの方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
年収350万円の手取り金額
まずは、年収350万円の手取り金額をみてみましょう。
手取りの計算方法
手取り金額を計算するときは、年収額から所得税と住民税、社会保険料を差し引くことになります。
したがって、計算式については下記の通りになります。
年収-(所得税+住民税+社会保険料)=手取り金額
まず所得税とは、その年の1月1日から12月31日までに稼いだ金額に課される税金です。
日本では、累進課税制度が採用されており、所得が増えるほど支払う税金が増えるシステムになっています。
また、住民税とは地域の住人に課される税金です。
教育や福祉、清掃などのサービスは都道府県や市区町村によって提供されますが、住民税はその費用として徴収されます。
住民税が課されるのは、前年の1月から12月に一定以上の所得があった人です。
社会保険料には、下記が含まれます。
- 健康保険料
- 厚生年金
- 雇用保険料
- 介護保険料(40歳以上が徴収対象)
会社員の場合、社会保険料は全額負担ではなく企業と折半して納付します。
年収350万円の手取り金額は280万円程度
年収350万円の手取り金額は、280万円程度になります
所得税と住民税、社会保険料の合計は、年収の約15~25%になるケースが一般的です。
したがって、手取り金額の目安は「年収×0.75~0.85」という式を利用して算出できます。
年収350万円の場合、下記の計算式からも手取りは280万円程度になることがわかります。
350万円×0.75=約263万円 350万円×0.85=約298万円
年収350万だと手取りの月収はいくらになる?
年収350万円の場合、手取りの月収は23万円程度になります。
手取り月収が23万程度あれば、頻繁に贅沢をすることは難しくても、単身での生活においては問題ないレベルです。
年収350万円の割合はどれくらい?
年収350万円を稼ぐ人は全体のうちどれくらいでしょうか。
年収350万円世帯の割合は高い
下記の表は、年収別の割合をまとめたものです。
国税庁の令和3年分民間給与実態統計調査によると、年収300万円超えで400万円以下の人は全体の17.4%という結果でした。
この結果から、6人に1人程度は年収350万円程度であることになります。
本データより、年収350万円程度の世帯は多数存在することが読み取れます。
20代の平均年収である
ここでは、国税庁による平均給与の調査データをみてみましょう。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
19歳以下 | 154万円 |
20~24歳 | 277万円 |
25~29歳 | 365万円 |
30~34歳 | 439万円 |
35~39歳 | 491万円 |
40~44歳 | 516万円 |
45~49歳 | 539万円 |
出典:平均給与(国税庁)
上の表からもわかるように、25~29歳の平均年収は365万円です。
したがって、年収350万円は20代後半の平均年収に該当します。
20代の平均年収については、こちらの記事も参考になるのであわせてご確認ください。
年収350万円の生活レベルとは
続いてこちらでは、年収350万円の生活レベルを紹介します。
独身・実家暮らしの場合
年収350万円で独身の人が実家暮らしをする場合は、生活に余裕があります。
光熱水費や食費などの生活費を家に入れるとしても、一人ですべて負担するわけではないので手元に十分なお金が残るでしょう。
しかし、今後も独身・実家暮らしが続くとは限りません。
将来、結婚や一人暮らしをすることを見据えて貯金をすることも大切です。
実家暮らしの場合は、手取りの3~4割程度の金額を貯金に回せれば理想です。
したがって、月々7~9万円程度の貯金をすると良いでしょう。
7~9万円の貯金をしても、14万ほど手元に残ります。
独身・一人暮らしの場合
年収350万円の人が一人暮らしをする場合も、余裕ある生活ができます。
e-Statの家計調査によると、一人暮らしの支出は1か月あたりトータルで約17万円です。
そのため、手取りが23万円と考えれば生活自体に不自由はないでしょう。
ただし当然のごとく、実家暮らしと比較すれば貯金に回すお金は少なくなります。
そのなかでもできるだけ貯金をしていくためには、自炊をして食費を抑えるなどの工夫が必要になります。
出典:家計調査(e-Stat)
既婚・子どもなしの場合
年収350万円で既婚・子どもなしの場合、生活自体はできるもののギリギリになりやすいでしょう。
e-Statの家計調査によると、世帯人数が2人の場合の1か月あたりの支出は、約24万円です。
手取りが23万円であることを考慮すれば、無駄な出費が発生しないように気を付けてやり繰りする必要があります。
出典:家計調査(e-Stat)
既婚・子どもありの場合
既婚・子どもありの場合は、やり繰りが難しくなります。
先にも説明した通り既婚・子どもなしの場合も生活がギリギリになる傾向があり、子どもありの場合はさらにやり繰りに苦労しがちです。
そのため、可能な限り共働きで世帯年収を増やすのが理想となります。
年収350万円の場合、ライフイベントはどうなる?
「年収350万円の場合、ライフイベントはどうなるのか」は、皆さんにとって大きな関心事でしょう。
ここでは、下記項目ごとにライフイベントの実態を紹介します。
結婚は可能
年収350万円の場合、結婚することは可能です。
頻繁に贅沢をしたり娯楽を楽しむことはできなくても、生活自体は成り立ちます。
ただし、配偶者にも収入があれば世帯年収が上がり余裕も出るので、可能であれば共働きで稼ぐスタイルを築くのが良いでしょう。
住宅ローン支払いは可能
年収350万円の場合、住宅ローンの支払いも可能です。
住宅ローンの年間返済額の目安は、手取り年収の約20%程度になります。
年収350万円世帯の手取り金額は、280万円程度であることを先述しました。
そのため、年間返済額は60万(280万×0.2)程度が目安と考えられます。
月々にすれば、5万円程度の返済になるでしょう。
年間返済額が60万円で35年ローンを組むとすれば、総額にすれば約2100万円の借り入れをすることが想定されます。
ただし、これはあくまでも目安であることを忘れないでください。
マイホームは一生に一度の大きな買い物なので高いクオリティを求めたくなりますが、日々の生活も大切です。
他項目の費用との兼ね合いも十分考慮し、返済可能な金額を事前に検討しましょう。
子どもの教育費を払うには不安がある
年収350万円の場合、子どもの教育費については不安が生じます。
先述したように、年収350万円で既婚・子どもありの場合、生活費だけでも出費がかさみます。
ここで、文部科学省による調査の学習費総額のデータを下記の表にて紹介します。
- 公立の場合
教育段階 | 学習費総額 |
---|---|
幼稚園 | 16万5千円 |
小学校 | 35万3千円 |
中学校 | 53万9千円 |
高校 | 51万3千円 |
- 私立の場合
教育段階 | 学習費総額 |
---|---|
幼稚園 | 30万9千円 |
小学校 | 166万7千円 |
中学校 | 143万6千円 |
高校 | 105万4千円 |
上の表から、公立の場合と私立の場合では教育費総額に大きな差があることが読み取れます。
年収350万円の場合、子どもが私立校への進学や塾通いを希望した際は学費の捻出には頭を悩ませることになります。
しかし、学費のために子供の希望する進路を左右することは、親にとって好ましくないでしょう。
学費を確保する対策としては、学資保険の加入やジュニアNISAでお金を貯める方法などがあるので、ぜひ検討してみてください。
年収350万円の人向け節約術
年収350万円の場合、年収アップを狙う人も多いですが日頃から節約を心掛けることもおすすめです。
具体的な節約術については、下記を参考にしてください。
固定費を抑える
まずは、固定費を抑えることを試みましょう。
固定費を見直せば、1年間で数万円程度の節約になる可能性もあります。
例として、固定費には下記項目が挙げられます。
- 水光熱費
- 通信費
- サブスクリプションの費用
最近では、電気・ガスの会社を自由に選択できるので、一度最安の会社・プランなどを確認してみましょう。
現在よりも電気やガスの費用を安くできる会社・プランがあれば、乗り換えを検討するのも選択肢です。
また、通信費の見直しとしてスマートフォンの契約プランを見直すのも有効です。
現在は格安のプランも提供されているので、一度乗り換えを検討するのも良いでしょう。
そして、サブスクリプションの契約をしている場合は、本当に必要かを考え直すのも有効です。
使用頻度が低いサブスクリプションは、思い切って解約しても案外問題ないかもしれません。
このようにして固定費を抑えられれば、その分を貯金や他項目の出費へ回すことができます。
食費を抑える
食費を抑えるのも有効です。
外食やテイクアウト、コンビニを利用する頻度を減らせば、すぐに食費を削れる場合もあります。
とは言え社会人にとって毎日自炊をするのは負担になるので、休日に作り置きをするなどの工夫をすると良いでしょう。
食事制限をして食費を削るのではなく、費用を抑えて健康的な食事を摂るのが一番の理想形です。
無駄な出費を見直す
無駄な出費がないかも見直しましょう。
年収350万円の場合、無駄な出費があるとすぐに生活が苦しくなりやすいです。
そこでおすすめなのは、定期的にレシートやクレジットカードの明細を見て、「何にいくら使っているか」を確認することです。
明らかに不要な物を買っている場合は、今後の買い物において「本当に必要か」を考える癖をつけましょう。
また、自動販売機や売店で飲み物を買う頻度が高い人は、自宅から水筒を用意して外出するだけでも年間で数万円の節約を実現できます。
クレジットカードをなるべく利用しない
クレジットカードをなるべく利用しないのも一つの方法です。
この方法は、日頃からクレジットカード利用による浪費が多い人に有効です。
特に、給料日やボーナス支給日の後はクレジットカードで浪費をしたくなることもあるでしょう。
しかし、そのような浪費癖があると、なかなか節約する習慣を身に着けられません。
そこで、クレジットカードは固定費の引き落としのみに利用するなど、一度使い方を見直すのもおすすめです。
ふるさと納税で節税対策をする
ふるさと納税で節税対策をするのも有効です。
この「ふるさと納税」とは、自分が選んだ自治体に寄附を行った際に2,000円を越える部分について所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。
また、寄付をした自治体からは特産品などの返礼品を受け取れます。
手続きはインターネットを利用して手軽に行えるため、ぜひ活用しましょう。
年収350万円から収入アップするための方法は
年収350万円の人の割合は、全体のなかでも約17%で、決して少ないわけではありません。
しかし、現状に満足せず「もっと年収を増やしたい」と考えている人が多いのも現状です。
ここでは、年収350万円から収入アップするための方法を紹介します。
転職する
年収アップを狙う方法として、「転職をすること」があります。
現職で年収アップが難しい場合や年収アップするまでに長い時間が掛かる場合は、思い切って転職するのが良いでしょう。
もし転職を検討するならば、なるべく早めに動き出すのがおすすめです。
若い年齢の方が、転職には有利に働きます。
とは言え、転職には大きな不安がつきまとうので躊躇してしまうこともあるでしょう。
転職に不安がある方は、ぜひこちらの記事を参考にしてください。
そして、高年収を狙いやすい業界はIT業界です。
以下では、IT業界への転職を検討する際に参考になる記事を掲載しているので、ぜひあわせてご確認ください。
また、転職による年収アップの相場は、こちらの記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
昇進する
現職で年収アップを目指せる環境がある場合は、昇進を目指すのも良いでしょう。
仕事で評価を得て昇進するのも、年収アップ実現への早道です。
昇進すれば責任や仕事が増えますが、職場のなかで重要なポジションを担うこととなり、大きなやりがいも得られます。
昇進試験の日程や昇進要件については、あらかじめよく調べておいてください。
副業を行う
年収を上げるには、副業を行うのも一つの方法です。
現在は、副業を始めやすい環境が整っています。
例えば、ビジネスマッチングサイトには、パソコンさえあればできる仕事がたくさん紹介されています。
また、動画制作やブログ執筆などで自分の得意分野を発信する人も増えています。
もちろん、本業に支障をきたさないことが前提ですが、休日などを利用して少しずつ副業を始めるのはおすすめです。
フリーランスとして働く
フリーランスとして働くのも、収入を増やすための一手段です。
実際に、継続的に高単価の仕事をしているフリーランスは、高年収を得ています。
ただし、フリーランスとして仕事を得るには、スキルや実績、営業力が必須となります。
これまで企業などで働いていた人が、いきなりフリーランスになって成功を目指すのは現実的ではありません。
もし一からフリーランスを目指すのであれば、現職や副業にてスキルを磨くことから始めることが大切です。
その後、仕事を受ける自信を持てた際は、営業活動を始めましょう。
投資をする
投資をするのも一つの方法です。
もちろん、必ずしもお金を増やせるわけでなく損をするリスクも伴いますが、余裕資金がある場合は検討しても良いでしょう。
上手に運用してお金を増やすことができれば、貯金するよりもプラスに働きます。
まとめ
年収350万円の場合、手取りは280万円程度になります。
全体から見ても、年収350万円の人は多くの割合を占めていますが、生活レベルは世帯人数によって大きく左右されます。
年収350万円でやり繰りが苦しい場合は、節約もしくは年収アップの実現により、余裕のある生活につなげていけます。
節約については地道な取り組みに感じられますが、上手に実施すれば年間で数万円を浮かすこともできます。
また、年収を上げる方法には複数あるので、ぜひ本記事で紹介した方法も参考にしてください。