ネットワークエンジニアは人手不足の状況のため、需要が高い職種です。
ネットワークエンジニアの求人は比較的多く、完全未経験であっても積極採用をする企業が増えています。
とはいえ、中には「ネットワークエンジニアって安定した職業なの?」「今後の需要が減るのでは?」という意見もあり、将来性について不安視する人も多いでしょう。
結論をいうと、ネットワークエンジニアの将来性は高いといえます。
そこで本記事では、ネットワークエンジニアの将来性が高い理由や平均年収、キャリアアップのコツを解説します。
なお、ネットワークエンジニア以外にもインフラエンジニアなどが知りたい方は以下記事をどうぞ!
インフラエンジニアの将来性を、「インフラエンジニアはやめとけ」といわれる理由や実情を交え解説していますので、ぜひご覧ください。
この記事の監修者
杉田 哲也
ネットギアジャパン合同会社 社長。 熊本県出身。 熊本大学工学部卒業後ミツミ電機でハイブリットICの設計を担当。米DEC(ディジタル・イクイップメント・コーポレーション)、米ケーブルトロンシステムズ、米ルーセント・テクノロジーズ、米クアンタム社などにてネットワーク、ストレージのエンジニア職・マーケティング職を経験し、2005年ネットギアジャパン入社。セールスエンジニア、マーケティングマネージャーを経て、09年から現職。
ネットワークエンジニアの将来性が高い理由
ネットワークエンジニアは将来性が高い職種です。
その理由には主に下記の3つがあります。
- ライフラインを守る重要な役目だから
- ネットワークセキュリティ強化が重要視されているから
- インフラや産業を持続可能なものにできる職種だから
ライフラインを守る重要な役目だから
まず、ネットワークエンジニアはライフラインを守る重要な役目を担っているからです。
万が一災害によって水道や電気が止まってしまった場合でも、インターネットの接続は絶えず保たれ、必要不可欠な情報やサービスを得られる手段として利用できます。
ネットワークエンジニアは、オンラインシステムが正常に稼働するよう保守管理、また修繕を行っており、現代において必要不可欠な存在といえます。
ネットワークセキュリティ強化が重要視されているから
セキュリティ面においても、ネットワークエンジニアは重要な役割を果たします。
テレワーク・リモート作業の急増や業務のオンライン化が進むにつれ、これまで以上にセキュリティ強化が求められます。
ネットワークエンジニアの仕事はセキュリティ管理も含まれるため、情報保護の観点からも重要な立ち位置です。
また万が一、サイバー攻撃を受けた場合でもシステムに影響が出ないよう設定する役目も担っています。
通信環境に限らず、情報を守る意味でもネットワークエンジニアは将来性が高いといえます。
インフラや産業を持続可能なものにできる職種だから
インフラや産業を持続可能なものにできることもネットワークエンジニアの将来性が高い理由です。
国土交通省ではインフラDXを推進しており、デジタル技術を活用して公共サービスを変革する取り組みを行っています。
その土台を支えるネットワークエンジニアは社会的な意義が高い職種であるといえます。
ネットワークエンジニアの需要が減るって本当?
結論からいうと、ネットワークエンジニアの需要はなくなることはありません。
しかし一方では「ネットワークエンジニアの需要が減る」「オワコンだ」という声があるのも事実です。
そう囁かれる背景として、ネットワークエンジニアに求めるニーズの変化が挙げられます。
代表的なものとして、クラウドの普及です。
クラウドとは、ユーザーがインターネットを通じて、必要なときに必要な分だけデータ管理やサービスを利用する形態のこと。
もともとネットワークエンジニアの仕事はオンプレミス(自社サーバーの構築・保守・運用)に特化したものでした。
クラウド化やオンライン化が普及している現代において、オンプレミスの技術だけではIT業界で生き残るのは難しいと言われています。
こうした背景が、従来型のネットワークエンジニアの需要が減ると言われる理由です。
しかし、クラウドサーバーの構築や運用を扱えるネットワークエンジニアにおいては活躍の場が広がるため、需要がなくなることはありません。
今後、ネットワークエンジニアとしての将来性を見越した場合、時代の変化に対応したスキルを身に付ける必要があります。
求められる人材になるには、ネットワーク構築だけでなく、セキュリティに関する知識やインフラ構築の技術を習得することで、より将来性を高められます。
将来性の高いネットワークエンジニアに求められるスキル
クラウド化や時代のニーズの変化から、将来性の高いネットワークエンジニアになるために必要なスキルを解説します。
クラウド上でのインフラ構築スキル
まず、クラウド上でのインフラ構築スキルです。
インフラ構築とは、システムを稼働するために必要な基盤をつくること。
具体的にはITインフラの設計や構築、運用保守管理を行うスキルを指します。
クラウドサーバーを利用する企業が増えたことで、ITの基盤を支えられるネットワークエンジニアは重要な存在です。
ネットワーク仮想化スキル、プログラミングスキル
ネットワーク仮想化スキルとプログラミングスキルも必須スキルとして学んでおきましょう。
ネットワーク仮想化とは、ルーターやロードバランサーなどを使用した従来型のネットワーク機器を、ソフトウェアベースのネットワークに変換すること。
ネットワーク仮想化に伴い、サーバープログラムの設計ができるネットワークエンジニアの担当する業務の範囲が増えており、プログラミング言語の学習も求められています。
クラウドサービスに対応できることはキャリアアップにつながるため、必須スキルとして学んでおきましょう。
ネットワークセキュリティの知識
ネットワークセキュリティの知識習得も、ネットワークエンジニアとして働くうえで切り離せません。
サイバー攻撃の被害件数は世界中で増加傾向にあり、種類や手口は巧妙化、また複雑化しています。
ネットワークエンジニアは、サイバー攻撃の最新情報や傾向を理解し、効果的なセキュリティ対策を検討、提案する力が求められます。
マネジメントスキル
より活躍する場を広げるには、マネジメントスキルも身につけておきましょう。
ネットワークエンジニアの仕事はプロジェクト単位で動くことが多く、チームワークが大半を占めます。
要件定義や設計など高度な業務を担当するようになると、メンバーの進捗管理やプロジェクト全体をまとめるマネジメントスキルが求められます。
プロジェクト責任者としてマネジメントスキルを身につけることで、今後のキャリアパスの選択肢となります。
なお、次の記事ではネットワークエンジニアとプログラマーはどっちがおすすめなのかを、両者の違いと必要なスキルも交え詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
ネットワークエンジニアの平均年収
ネットワークエンジニアの将来性を図るために平均年収を知ることはひとつの指標でしょう。
dodaが調べた『平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】』によると、ネットワークエンジニアの平均年収は442万円です。
一般的な会社員の平均年収は403万円(2022年度調査)なので、ネットワークエンジニアは平均よりも少し高めといえます。
しかし、上記に記載した年収はあくまで平均なので、資格取得やキャリアを積むことで、将来的に年収アップにつながります。
経済産業省が発表したIT関連産業の給与等に関する実態調査結果によると、IT保守では592.2万円、IT技術スペシャリストでは758.2万円です。
このように、スキルレベルによって年収は大きく変わるため、平均年収を上げるためにはキャリア形成を軸に考えてみましょう。
ネットワークエンジニアの年収について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
ネットワークエンジニアとしてのキャリアアップのコツ
稼げるネットワークエンジニアになるために、次に解説する3つのキャリアアップのコツを意識してみましょう。
資格取得で出来ることを増やす
まず抑えておきたいのが、資格取得です。
先述のように、スキルレベルによって平均年収に差が出ます。
スキルレベルを上げるには、資格取得によって知識量を増やし、担当する業務の幅を広げることが近道です。
ネットワークエンジニアの場合、クラウドやIoTなどインフラ関連の資格から、セキュリティに関する資格があります。
また、さらなるキャリアアップを目指すのであれば、マネジメントに役立つ資格も検討するといいでしょう。
ネットワークエンジニアのおすすめ資格はこちらをご覧ください。
専門スキルを学べるネットワークエンジニアスクールに通ってみる
ネットワークエンジニアとして早期戦力となるには、専門スキルを学べる養成スクールに通うこともひとつの手段です。
特に、未経験からネットワークエンジニアを目指す場合は、入社後から業務に慣れるまで短くても数ヶ月かかり、キャリアアップの過程で時間の無駄になりかねません。
専門スクールに通うことで、体系的な知識習得ができ、実機演習も可能です。
転職サポートを受けられるところも多く、転職後もスムーズに業務に携われます。
未経験からネットワークエンジニアになるために、後悔しないITスクールの選び方について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
英語力をつけると活躍の場が広がる
英語力をつけておくこともポイントです。
ネットワークエンジニアの業務上、製品マニュアルが英語表記であったり、外国製の機器を扱う場合の問い合わせ先で英語が必要になる等、英語に触れる機会が意外と多くあります。
英語の読解力や話す力を身につけておくと、企業からも重宝され、活躍の場が広がります。
将来性を見据えたネットワークエンジニアのキャリアパス
ネットワークエンジニアとして働く場合のキャリアパスは主に3種類あります。
高度な工程を担当するネットワークスペシャリスト
まず、ネットワークスペシャリストです。
ネットワークスペシャリストは、IT基盤の企画・運用・保守からインフラに関する知識を網羅したエンジニアを指します。
ネットワークスペシャリストの年収は、501万〜700万円が相場です(リクナビネクスト調べ)。
ネットワークスペシャリストになるには、知識や技術だけでなく、マネジメントスキルも必要です。
そのため、リーダーやマネージャーとしての業務経験を積み、コミュニケーション力も鍛えておきましょう。
ネットワーク関連のコンサルタント
ネットワーク関連のコンサルタントとして活躍の場を広げることもキャリアパスのひとつです。
ネットワークコンサルタントの仕事は、エンジニアとしての業務と異なり、コンサルティングがメインです。
企業が困っていることや改善したい内容をヒアリングし、必要なシステムの提案や問題解決をサポートします。
ネットワーク関連のコンサルタントの年収は、434万円〜916万円が相場です。
この数字はあくまで平均なので、経験を積むことでさらなる年収アップを目指せます。
フリーランスとして独立開業の道も
フリーランスとして独立開業の道もまた、将来活躍するネットワークエンジニアのキャリアパスです。
独立した場合の年収は大体700万前後が相場ですが、企業に対してコンサルティング業務も請け負えるようになると年収1,000万に届くようになります。
ネットワークエンジニアとして独立するには、下記のようなステップが理想です。
- エンジニアとして企業に入社する
- 3年以上の実務経験を積む
- 副業として徐々に個人の案件を獲得する
- 独立する
将来的に独立を検討しているのであれば、ネットワークエンジニアとしての技術だけでなく、経営力も磨いておきましょう。
フリーランスのエンジニアについて詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
まとめ:将来性のあるネットワークエンジニアを目指そう
ネットワークエンジニアの需要は時代の変化と共に増え、将来性が高い職種といえます。
実務経験を着実に積むことで、エンジニアとしての技術だけでなく、コンサルタント業務や独立など、さまざまな領域で活躍が可能です。
完全未経験からであっても将来の選択肢の幅が広がるので、参考にしてみてください。