企業をあらゆる攻撃やウイルスから守る「セキュリティエンジニア」。
高度な知識や技術、経験が必要になる職業ですが、
- 「どんなキャリアパスがあるのだろう」
- 「他のことに活かせるのかな」
- 「将来性はあるの?」
など、先々に不安を抱く人も少なくありません。
今回の記事ではそのような方へ向け、セキュリティエンジニアのキャリアパスをご紹介します。
また、将来性やキャリアアップの方法、それに必要な資格も理解できるでしょう。
ぜひ最後までお読みいただき、参考にしていただければと思います。
- 仕事内容は、攻撃やウイルスから守ること。
- 主なキャリアパスは、コンサルやアーキテクト、アナリストなど。
- セキュリティエンジニアは将来性抜群。
- スキルアップには、ヒューマンスキルの向上や資格の取得が効果的。
- おすすめ資格は情報処理安全確保支援士、CCNPほか。
セキュリティエンジニアの仕事内容とは
セキュリティエンジニアの本質は、「サイバー攻撃やウイルスから企業を守り、安心・安全を提供する」ことです。
業務内容は企業によって多少異なるものの、主に以下のようになります。
- システム設計・構築にセキュリティ対策を施す
- セキュリティテストを行い、レベルや脆弱性を可視化する
- セキュリティシステムのアップデート・インストール
- 過去の何らかの攻撃やウイルス感染の履歴の記録および改善
- 万が一の際のトラブル対応
一般的に企業のシステムやサーバーが被害に遭わないよう、日々何らかの対策を施します。
そのため過去のログを確認のうえ、軽微な攻撃や感染もしっかり記録したり、万が一の際にはトラブル対応も行わなければなりません。
なおセキュリティエンジニア以外にもインフラエンジニアに興味をお持ちの方は、こちらをぜひご覧ください。
セキュリティエンジニアのキャリアパス
セキュリティエンジニアは専門職ですが、キャリアパスは多岐にわたります。
この章ではそのキャリアパスとして代表的な5つを見ていきましょう。
セキュリティコンサルタント
セキュリティコンサルタントはその名のとおり、セキュリティに関するコンサルティング業務を行う立場です。
高度なセキュリティの知見をもつ者として、クライアントにアドバイスをしたり、提案する職業となります。
セキュリティエンジニアは企業に必要な立場ですが、すべてのIT企業に必ず存在するとは限りません。規模や人員の関係で配置できず、セキュリティに不安を感じる企業も少なくはないのが現状です。
そこでセキュリティコンサルタントは、豊富な知識と経験を活かし、クライアントに安心・安全を提供します。
セキュリティアーキテクト
セキュリティアーキテクトは、クライアントのセキュリティシステムの設計・構築を行う職業です。
これから何らかのシステム開発を考えている企業に対し、セキュリティ対策の土台や方向性を提案し、構築作業まで行います。
一般的には、ゼロからセキュリティシステムを構築することがメインです。
ただ、すでに稼働しているシステムやサーバーに対し、より強固なセキュリティ対策のための提案なども行います。
そのため、セキュリティエンジニアとしての濃い経験がないと務まらない職業といっていいでしょう。
セキュリティアナリスト
セキュリティアナリストは、セキュリティに関する分析・調査・改善を行う職業です。
過去のログや履歴から何らかの異常の詳細を分析し、対策を行います。どんなに程度が小さなものでも、しっかり調査して改善することで、後に大きな被害を防ぐことにつながるためです。
セキュリティアナリストは、攻撃の手法、またウイルスの特性などを熟知し、適切な対策を施さなければなりません。そのためセキュリティエンジニアのキャリアパスでも、とくに高度な経験が求められる職業となります。
セキュリティマネージャー
セキュリティマネージャーはその名のとおり、「セキュリティエンジニアをマネジメントする立場」です。
セキュリティ業務を行うエンジニアの統括のような立場で、セキュリティシステムの設計・開発、さらに運用まで担当します。
またセキュリティシステムやソフトウェアの導入や設定も担当し、さらに万が一のトラブルの際には復旧作業も行わなくてはなりません。
「統括」といった立場であることから、当然大きな責任も伴います。そのため、セキュリティエンジニアとしての幅広い経験やスキル、およびマネジメント能力が必要となるでしょう。
CISO(Chief Information Security Officer)
CISOは「Chief Information Security Officer」の頭文字をとった造語で、いわゆるセキュリティの最高責任者のような立場を指します。
一般的なセキュリティエンジニア業務はもちろん、
- 従業員への指示出し
- クライアントとのヒアリングの日程調整
- 上層部と現場の仲介
- 提案・導入のセキュリティシステムの判断
- トラブル発生時の対応、意思決定
など、責任者としてやるべきことは多岐にわたります。
専門的な知識と経験に加え、統率力やマネジメント能力が必要不可欠です。
セキュリティエンジニアの詳しい仕事内容については、こちらからチェックしてみてください。
セキュリティエンジニアの需要・将来性
セキュリティエンジニアは、将来性はあるといっていいでしょう。
世の中にAIをはじめ、どんな最新技術が生まれようと「情報セキュリティが不要になる未来」は考えがたいためです。
最新のWeb3やAIなどがどんどん普及している現代のIT界隈ですが、一方で「大企業がサイバー攻撃を受け、情報漏洩した」などのニュースも増えています。この背景もあり、いまやすべてのIT業界にとって「情報セキュリティ」はとくに重視すべき項目として扱われているのが現状です。
セキュリティは今後も必須で、かつ今後のIT需要の拡大からも、セキュリティエンジニアはしばらく仕事に困ることはないと考えて差し支えありません。
こちらでは、「セキュリティエンジニアはやめとけ」とよく言われる理由を中心に、需要や将来性を解説していますのでご参考ください。
セキュリティエンジニアとしてキャリアアップする方法
この章では、将来性の高いセキュリティエンジニアを目指すべく、キャリアアップの方法を見ていきます。
ヒューマンスキルの向上を図る
ヒューマンスキルの向上は、セキュリティエンジニアに必要でしょう。セキュリティエンジニアのセカンドステップでは、「人と接すること」が増えるためです。
たとえばコンサルタントは、クライアントにセキュリティを提案する仕事です。またアーキテクトは実際にセキュリティシステムの構築を行います。さらにマネージャーやCISOになれば、指示出しや意思決定力が必須でしょう。
セキュリティエンジニアは「専門知識を武器に、黙々と業務をこなす」イメージが強いですが、ゆくゆくコミュニケーションをはじめとするヒューマンスキルが必須です。
最新技術を学んでスキルの向上を図る
最新技術を学ぶことも、キャリアアップに有効な手段といえます。IT技術の進化は目まぐるしいですが、セキュリティの分野に関しても例外ではないためです。
セキュリティ対策は、なるべくモダンな技術を用いるほうが好ましい傾向にあります。昔、主流だった古いセキュリティ対策を使い続けるのは、好ましい対策とはいえません。あらゆるOSやアプリケーションが、頻繁にセキュリティアップデートを繰り返しているのはそのためです。
将来性の高いエンジニアへキャリアアップしたいなら、都度、最新技術を習得していきましょう。
セキュリティ関連のIT資格を取得する
セキュリティ関連のIT資格の習得も、キャリアアップに大きく影響します。
セキュリティエンジニアがセカンドキャリアに進む際、「資格があった方が有利になる場面」は少なくないためです。
たとえばセキュリティコンサルタントやアーキテクトを名乗る際、資格を保有していれば、クライアントはより安心し、信頼してくれるでしょう。
またセキュリティアナリストのような専門性の高い職業では、資格で得られる高度な知識が存分に役に立つものです。
相手に信頼してもらうため、そしてより高度な知識を得るため、資格の取得はぜひおすすめです。
セキュリティエンジニアのキャリアアップで重宝する資格
セキュリティエンジニアは資格をもつことで、よりキャリアアップに有利な状況を作れます。
この章では、「保有することでキャリアアップの際に重宝する資格」を見ていきましょう。
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士は、情報処理推進機構(IPA)が運営する資格です。
セキュリティマネジメント、インシデント管理などをはじめ、セキュリティに関する幅広い問題が出題されます。取得によって、より高度かつ実践的なセキュリティスキルをもつことをアピールできるでしょう。
情報系唯一の士業資格として扱われており、たいへん複雑なセキュリティの知識やスキルが問われる傾向です。合格率も20%以下と低く、難関資格として扱われています。
一般的には、セキュリティマネージャーやCISOを目指す方に向いた資格です。
応用情報技術者試験
こちらも情報処理推進機構(IPA)が運営・提供を行う国家資格です。IT業界への登竜門として名高い資格「基本情報技術者試験」の上位資格といった位置づけとなっています。
出題範囲は、
- コンピューターの基礎理論
- サーバー
- ネットワーク
- データベース
- アルゴリズム
- プログラミング
など、IT業界の幅広い内容が網羅されていることが特徴です。
この資格の中でも「情報セキュリティ」分野はとくに重要視され、経験者でも悩むような難問が100%出題されます。
取得によってセキュリティはもちろん、幅広い知識をもつ高度なIT人材であることがアピールできるでしょう。
CompTIA Security+
CompTIA Security+(コンプティア セキュリティプラス)は、アメリカのIT非営利団体「CompTIA」が運営・提供する資格です。
保有者数は世界147カ国で50万人を超える(2019年9月時点)、国際的にも有名かつ人気の資格となっています。
「プロフェッショナルなセキュリティスキルの証明する人向けの資格」と位置づけられており、
- サイバー攻撃やウイルスの分析
- セキュリティシステムの設計
- リスクマネジメント
などをはじめ、広範囲なセキュリティ知識が問われる傾向です。
高度な知識を要する「セキュリティアナリスト」に向いた資格でもあるため、難易度は高いことは否めません。
CCNP
CCNPはネットワーク機器の大手企業「シスコシステムズ社」が運営する、シスコ技術者認定資格のひとつです。
ネットワークやクラウドにおけるセキュリティ対策をはじめ、セキュリティシステムの実装や運用に関する、専門的な知識が問われます。
グローバルな取得のため、世界で通用する実践的なセキュリティスキルを証明できるでしょう。キャリアアップとしても、ぜひ手に入れておきたい資格です。
ちなみに、同様のシスコ技術者認定資格のひとつに「CCNA」があります。CCNAは初級〜中級者向け、CCNPが上級者向けという位置づけで、CCNPの前にCCNAに挑戦する流れが一般的です。
「まずはCCNAの取得から始めてみたい!」と思っている方は、ITスクール「活学ITスクール」の利用をおすすめします。
「活学ITスクール」を利用すれば、未経験からでも最短1日でCCNAが取得でき、試験合格率も92%と高水準です。
またこちらでは、セキュリティエンジニアになるなら取っておきたい資格6選を紹介しているので、ぜひご覧ください。
セキュリティエンジニアのキャリアパスに関するよくある質問
この章では、セキュリティエンジニアがセカンドキャリアを歩むことに関する、よくある質問をご紹介します。
セキュリティエンジニアのキャリアパスの事例は?
主に以下のような事例があります。
- セキュリティコンサルタント
- セキュリティアーキテクト
- セキュリティアナリスト
- セキュリティマネージャー
- CISO(Chief Information Security Officer)
経験を活かしたクライアントへのコンサル業務、また責任者として人を動かす働き方に進む方が多い傾向です。
セキュリティエンジニアのメリット・やりがいは?
セキュリティエンジニアは、企業の安心・安全を守る仕事です。
そのため、企業に貢献し、必要とされている実感を感じられることがやりがいとなるでしょう。
また実務によって、さまざまな企業で通用するスキル・経験も身につきます。「手に職」が得られることを実感できる点もメリットです。
IT業界未経験からでもセキュリティエンジニアになれる?
未経験からセキュリティエンジニアになることは可能ですが、決して容易ではありません。
セキュリティを扱うには、高度な技術と大きな責任が必要で、ミスが許されないためです。サイバー攻撃を受けたり、ウイルスなどに感染した場合、その企業に及ぶ被害の大きさは計り知れません。
未経験から目指すなら、資格を取得して知識をアピールするのがいいでしょう。
また開発やインフラなど他のエンジニア業務をひととおり経験し、ステップアップとしてセキュリティエンジニアを目指すのもひとつです。
セキュリティエンジニア以外にも、未経験からほかのITエンジニアを目指せるのか知りたい方は、こちらをご参考ください。
まとめ:セキュリティエンジニアのキャリアパスは多種多様!
セキュリティエンジニアには、豊富なキャリアパスがあります。
その経験と知識を活かし、クライアントに貢献するもよし。セキュリティエンジニアの延長線として統括・指導していくのもひとつです。
実務で培ったセキュリティ知識は、必ずさまざまな場面で重宝します。
それに加えて最新技術を学んだり資格を取るなど、付加価値をつけることでキャリアはより広がっていくでしょう。