SESの帰属意識が低いのはなぜ？経験者が語る

SESエンジニアの多くが感じる「帰属意識の低さ」。
現場が変わるたびに孤独を感じたり、会社とのつながりを意識しにくかったりすることも・・。

本記事では、SESで帰属意識が低くなる理由と、経験者のリアルな声を交えた対策を紹介します。

トピックス

・SESで帰属意識が持てない理由は？
・SESで帰属意識が低いことのデメリットを解説
・SESで帰属意識を持つ方法、持てなかった場合の選択肢は？

SESで帰属意識が持てない6つの理由

SESエンジニアの多くが感じる「帰属意識の低さ」。なぜ、SESでは帰属意識が持ちにくいのか？
主な理由は6つです。

・社内のつながりが希薄
・困ったときに頼れる人がいない
・ 配属先が頻繁に変わる
・ 評価基準が不透明
・希望の業務に就けない
・会社行事が形骸化している

SES（システムエンジニアリングサービス）とは、システム開発における契約形態の一つで、エンジニアを企業に派遣し、労働力として提供する仕組みです。
企業がシステム開発を進める際、次のような課題に直面することがあります。

「開発規模を拡大したいが、人手が足りない…」
「特定のプログラム言語を扱えるエンジニアが社内にいない…」

こうした企業の人材不足を補い、技術力を提供するのが「SES企業」や「SESエンジニア」の役割です。

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社内のつながりが希薄

SESで働く場合、多くのエンジニアはクライアント企業の現場に常駐し、実際に雇用元であるSES企業に出社することはほとんどありません。

中には、入社時の研修や手続き以降、一度も自社に行かないまま退職するケースもあります。

待機期間が発生した際には一時的にSES企業のオフィスに出社することもありますが、それもごく稀なケースです。

このような環境では、「自分はどこの会社に所属しているのか」という感覚が希薄になりやすく、帰属意識が低下する要因の一つとなります。

また、SESの働き方には「チームで常駐するケース」と「単独で常駐するケース」があります。
特に一人で現場に入る場合は、相談相手も少なく、余計に孤独を感じやすくなります。

結果として、「会社に属している」という意識が薄れ、転職を考えるきっかけになることも少なくありません。

困ったときに頼れる人がいない

SESで働くエンジニアの多くが、「困ったときに誰に相談すればいいのかわからない」と感じています。
特に未経験からSESに転職した場合、技術的な疑問や職場での悩みを抱えたときに、すぐに頼れる相手がいない環境に直面しがちです。

SESでは、エンジニアがクライアント企業に常駐して働くため、職場の同僚はSES企業の社員ではなく、クライアントの社員になります。

しかし、SESエンジニアはクライアント企業の正式な社員ではないため、業務の進め方やキャリアに関する相談がしづらい状況に置かれることが少なくありません。

さらに、社内のエンジニアと深い関係を築くことが難しく、チームに馴染めず孤立してしまうこともあります。

また、SES企業の営業担当は、エンジニアの配属や契約管理を担当しますが、日常業務の悩みや技術的な相談に応じることはほとんどありません。

そのため、「何かあったときに誰にも相談できず、ひとりで悩み続ける」という状況が発生しやすいのです。

配属先が頻繁に変わる

SESでは、プロジェクトごとに勤務先が変わるため、働く環境が頻繁に入れ替わります。

そのたびに一緒に仕事をするメンバーも変わるため、「自分はどの会社の社員なのか？」という感覚が薄れがちです。

通常、長期間同じチームで働いたり、社内で顔を合わせる機会が多ければ、自然と帰属意識が生まれます。
しかし、SESではその基盤がないため、会社への一体感を持ちにくくなります。

特に、一人で常駐するケースではその傾向が強くなり、仕事へのモチベーションにも影響を与えることがあります。

評価基準が不透明

SESエンジニアの評価は不透明になりやすい傾向があります。

その理由の一つは、常駐先での業務が直接SES企業の評価に反映されにくいことです。
クライアント側での成果や働きぶりが、雇用元であるSES企業に十分に伝わらないため、評価が曖昧になってしまいます。

これを防ぐためには、営業担当がエンジニアと常駐先の上司との間で適切にコミュニケーションを取り、日々の成果やスキルアップの状況を把握することが重要です。

定期的な個別面談を実施し、キャリアの方向性や課題を話し合えるSES企業を選ぶことがポイントです。

希望の業務に就けない

SESで働く場合、自分の希望通りの仕事に就くのは難しいのが現実です。
なぜなら、SESでは未経験からスタートするエンジニアが多く、スキルや経験に応じて配属先が決まるためです。

企業側はエンジニアの希望をヒアリングしますが、特にSEなどの専門職は即戦力が求められるため、未経験者が希望の業務に就ける可能性は低くなります。

結果として、「まずは未経験でも対応できる案件で経験を積んでください」と案内されることが一般的です。

意味のない会社イベント

SES企業の中には、社員同士のつながりを強めるために懇親会や社内イベントを開催しているところもあります。
しかし、実際には形だけのイベントが増え、「ただ参加させられるだけ」「業務後の時間が奪われるだけ」と感じるエンジニアも少なくありません。

たとえば、以下のようなイベントがよくあります。
・役員の話を聞くだけで終わる年次総会
・参加必須の飲み会や懇親会
・仕事の延長のような社内研修や勉強会

本来であれば、こうしたイベントは社員同士のつながりを作ったり、キャリアについて相談できる場になるべきです。

しかし、実際には「ただの義務」になっていることが多く、社員が心から楽しめるものではなくなっているケースが多いのが現状です。

SESで帰属意識が低いことが招く問題

帰属意識の低さがエンジニアのキャリアや職場環境にどのような影響を及ぼすのか、具体的に解説します。

特に、離職率の高さ・モチベーションの低下・チームワークの欠如といった問題は、SES業界において頻繁に指摘される課題です。

離職率が高く定着しない

SES企業に勤めるエンジニアは、IT業界の中でも離職率が高い傾向にあります。

その大きな理由の1つが、帰属意識の低さです。
会社への愛着が薄いと、「勤務地が変わる」「給与が上がらない」といった条件面だけで転職を考えることが多くなります。

特に、入社直後は孤独を感じる人が多く、同じ会社のエンジニア同士で悩みを共有する機会も限られています。
例えば、プロジェクトで困ったことがあっても、「誰に相談すればいいのかわからない」と感じる場面も少なくありません。

このように、帰属意識が低く、不安を感じやすい環境では、結果的に転職を決意するスピードも早くなります。

モチベーションの維持が難しい

前述したように、「常駐先での成果が雇用元の評価に反映されにくい」ことも大きな要因の一つです。

クライアント先でどれだけ成果を出しても、SES企業側は現場の詳細を把握しにくいためです。

評価基準が明確であれば、「どのスキルを伸ばせばよいか」も分かりやすくなり、モチベーション維持につながります。

事前に「営業担当がエンジニアと定期的に面談を行っているか」「評価基準がどのように決まるのか」を確認することが重要です。

チームワークが生まれにくい

SESでは基本的にクライアント企業の現場で業務を行うため、自社の社員と接する機会がほとんどありません。
その結果、社内のつながりが希薄になり、エンジニア同士が協力し合う機会も少なくなる傾向があります。

さらに、コミュニケーション不足が原因で、エンジニアが自分の業務上のミスを軽視してしまうケースもあります。

例えば、常駐先でトラブルが発生しても、「SES企業には関係ない」と考え、雇用元へ報告を怠ることがあります。

こうした意識のズレが、結果としてSES企業の信頼低下につながることも少なくありません。

帰属意識が高いSES企業の特徴とは？

中にはSES企業でもエンジニアの働きやすさを重視し、帰属意識を高める取り組みを行っているSES企業もあります。本セクションでは、その特徴について詳しく解説します。

明確な評価制度とキャリア支援

SES企業を選ぶ際には、評価制度やキャリア支援が整っているかをチェックすることが重要です。

面接時に評価基準や昇給の仕組みを質問をすることで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

＜明確な評価制度があるSES企業の特徴＞
・常駐先での成果を正当に評価する仕組みがある → エンジニアの実績がSES企業の評価につながる
・スキルアップの支援が充実している → 資格取得補助や勉強会の開催など、エンジニアの成長をサポート
・定期的なフィードバックがある → 営業担当やマネージャーがエンジニアと面談を行い、キャリア相談ができる

チーム単位での現場配属

未経験のエンジニアにとって、初めての現場は不安が多いものです。
特に、1人で常駐する場合、分からないことがあっても気軽に相談できる相手がいないため、孤立しやすくなります。

しかし、自社の先輩や同僚が同じ現場にいれば、業務の進め方や技術的な悩みをすぐに相談できるため、安心感が生まれます。
さらに、チームで仕事をすることで、「自分だけでなく、チーム全体で成果を出す」という意識が芽生え、責任感を持って業務に取り組むことができます。

SES企業を選ぶ際は、「チームで案件に参画できるのか」「単独常駐が多いのか」といった点も確認しておくと、より働きやすい環境を見つけやすくなります。

SES以外の自社事業を展開

SES企業が自社サービスを展開している場合、エンジニアの帰属意識が高まりやすい傾向があります。
特に、エンジニアがそのサービスの開発や運用に関わる機会があれば、「自分が会社に貢献している」という実感が持ちやすくなるからです。

SESではクライアント先の業務を請け負う形が一般的ですが、自社の事業にも携われる環境があれば、企業とのつながりを感じやすくなるでしょう。

さらに、自社サービスが収益を上げている場合、利益が給与や賞与に反映される可能性もあります。

SES企業を選ぶ際は、
「自社サービスを持っているか」
「エンジニアがサービス開発に関わる機会があるか」
といった点を確認しておくと、長く働ける環境を見つけやすくなります。

帰社日がある

帰社日を設けているSES企業では、エンジニアが定期的に本社へ出向き、会社の方針共有や社員同士の交流を行います。
普段は常駐先で働くため、社内とのつながりを感じる貴重な機会となります。

また、営業担当やマネージャーとの面談を通じて、キャリアの方向性を相談できることもメリットです。

ただし、形だけの帰社日では意味がありません。
面接時に「具体的にどんな内容なのか？」を確認し、実際に役立つ制度かを見極めることが大切です。

SESの帰属意識以外のデメリットとは？

SESは「帰属意識が持ちにくい」という課題がある一方で、それ以外にもさまざまなデメリットがあります。

特に、スキルアップの機会が限られる・労働環境が安定しない・給与が低くなりがちといった点は、SES企業で働くうえでしっかり理解しておくべきポイントです。

スキルアップの機会が限られる

未経験でSESに入社した場合、いきなり開発業務を担当できるわけではなく、テストや運用保守といった補助的な業務を任されることが一般的です。

開発経験を積みたいと思っていても、スキルがないうちは難しい案件にアサインされることはほぼありません。

また、プロジェクトの方針によっては、新しい技術に触れる機会がほとんどなく、「単純作業ばかりで成長できない」と感じるエンジニアも少なくありません。

テストや運用保守業務からスキルアップできるかを事前に確認することが重要です。

研修制度やスキルアップ支援など、教育体制が充実してる環境を選ぶことが大切です。

労働環境が安定しない

SESはクライアント企業の案件に応じて働くため、労働環境が変わりやすく、安定性に欠けるというデメリットがあります。

プロジェクトの契約期間が終了すれば、次の案件が見つかるまで待機期間に入ることもあります。
待機期間中の給与が保証される企業もありますが、そうでない場合、仕事がない期間は収入が減るリスクもあります。

また、案件によっては職場の文化や働き方が大きく異なるため、環境に適応するための負担もあります。

待機期間中の減給がない安定した案件が多いSES企業を選ぶことで、スムーズに働き続けることができます。

活学キャリアでは、IT業界未経験者やキャリアチェンジを考えている方に向けて、実践的なスキル習得と転職支援を提供しています。
単なるSESの選び方ではなく、自社開発・受託開発・社内SEなど、長期的に安定して働けるキャリアの選択肢を広げるためのサポートを行っています。

「今の働き方に不安がある」「SES以外のキャリアも視野に入れたい」という方は、ぜひ活学キャリアの無料相談を活用して、理想のキャリアを見つけてみてください。

給与が低くなりがち

SES企業では、還元率が低いため、エンジニアに支払われる給与が相場より低くなる傾向があります。

SES企業の収益モデルは、エンジニアがクライアント企業で働いた際の契約単価から一定の割合を差し引いた額を給与として支払う仕組みになっています。

しかし、SES企業によっては還元率が50%以下というケースもあり、エンジニアの給与が低く抑えられてしまうことがあります。

例えば、
クライアントとの契約単価が月80万円だった場合、本来であればエンジニアの給与もそれなりに高くなるはずですが、還元率が低い企業では給与が20万円程度に抑えられてしまいます。

SESで帰属意識が下がってしまったら？

SESで働いていると、自社の社員と顔を合わせる機会が少なく、「自分はどこの会社の人間なのか？」と感じることもあります。

しかし、無理に帰属意識を持とうとする必要はありません。本セクションでは、SESで帰属意識が低くなった場合の対処法について解説します。

帰属意識にこだわる必要はない

SESでは、クライアント先に常駐して働くため、会社の一員としての実感が湧きにくいのは仕方がないことです。

そもそもSESは「自社で働く」のではなく、「クライアント先で業務を遂行する」契約形態のため、一般的な企業のように帰属意識を求める必要はありません。

エンジニアとしてのスキルアップや収入の向上を優先するなら、SES企業への愛着よりも「どの案件で経験を積むか」「どんなスキルを得られるか」を重視した方が合理的です。

実際に、SESで働きながらスキルを磨き、その後自社開発企業へ転職するエンジニアも少なくありません。

帰属意識が低いと感じたときは、「SESを自分のキャリアのステップとして割り切る」という考え方を持つのも一つの選択肢です。

常駐先企業に転籍する

SESエンジニアの中には、長く勤務したクライアント先の企業に転籍するケースもあります。

一定期間、同じ現場で働いていると、クライアント先の企業から「直接雇用したい」と声をかけられることがあります。

これは「常駐先への引き抜き」と呼ばれ、SESエンジニアにとってのキャリアの選択肢の一つです。
特に、エンジニアとしてのスキルや業務への貢献が評価されると、転籍の可能性が高くなります。

ただし、転籍には注意点もあります。
SES企業との契約によっては、一定期間内の転籍が禁止されていたり、手続きが必要だったりすることがあります。
もし常駐先で転籍の話が出た場合は、自社の規定を確認し、トラブルにならないよう慎重に進めることが重要です。

SESから自社開発や受託へキャリアアップする

SESから次のステップへ進みたいと考えているなら、自社開発企業や受託開発企業への転職を検討するのも良い選択肢です。

SESでは、クライアントの指示に従って業務を進めることが多く、開発の方針や仕様の決定には関われないことが一般的です。

しかし、自社開発企業や受託開発企業では、プロダクトの企画から関わる機会が増え、よりエンジニアとしての成長が期待できるでしょう。

もし転職を考えるなら、現在のSES案件で得られるスキルを整理し、次のキャリアに活かせる経験を積んでおくことが大切です。
特に、プログラミングや設計の経験があると、自社開発企業への転職が有利になります。

帰属意識を重視するならSES以外の選択肢も考えよう

会社の一員としての実感を持ちたい、チームで働きながら長期的にキャリアを築きたいと考えているなら、SES以外の働き方を検討するのも一つの選択肢です。

帰属意識を持ちやすい働き方として、自社開発企業、受託開発企業、社内SEといった選択肢がおすすめです。

まとめ｜SESで帰属意識を持つのは難しい？

SESで働くエンジニアは、クライアント先に常駐する働き方の特性上、帰属意識を持ちにくい傾向があるということがわかりました。

しかし、SES企業の中には、帰社日を設けたり、チームでの配属を推奨したりと、帰属意識を高める取り組みを行っている企業も存在します。

また、SESの働き方に疑問を感じた場合、常駐先への転籍、受託開発や自社開発への転職、社内SEへのキャリアチェンジといった選択肢を検討することも可能です。

もし帰属意識を持てずに悩んでいるなら、今の環境が自分に合っているかを見直し、キャリアの方向性を考えてみることが大切です。長期的な視点で自分にとって最適な働き方を選びましょう。

活学キャリアでは、SESエンジニアのキャリアアップをサポートし、市場価値を高めるためのスキル習得や、より良い企業への転職支援を行っています。

ぜひ無料相談を活用して、理想のキャリアを見つけてみてください。