エンジニアって調べるとよく出てくる、SESとかSIerって何?
SESとSIerってどう違うの?
IT業界には様々な業種がありますが、名前だけ聞いてもイメージや違いが浮かばないものがほとんどです。
今回はエンジニアと調べるとよく出てくる「SES」と「SIer」という職種の違いについて、ITに詳しくない方にもわかりやすく解説していきます。
SESって何?
SESは、システム開発や運用支援といったITサービスを、クライアント先に出向いて提供する仕事です。
仕事内容や年収、キャリアパスなどの詳細については、こちらの記事で特集していますので、ぜひ参考にしてみてください!
SESの業務内容
SESはクライアントに応じた様々な専門的なIT業務を担うので、具体的な業務内容はプロジェクトごとに異なりますが、主なものとして以下が挙げられます。
・システム開発: 要件定義から設計、実装、テストまでの一連の工程を支援する
・運用・保守:システムが安定して稼働していくための運用・保守業務
・プロジェクト管理:プロジェクト全体の進捗状況を確認・管理する
SESはITスキルの専門性を活かして、開発プロセスのあらゆる場面に関わり、よりスムーズにプロジェクトが進むよう、クライアントをサポートしていきます。
SESの契約形態
SESはクライアントの依頼に応じたスキルを提供していくため、ほとんどの場合にはプロジェクトごとに契約を結びます。
・派遣契約:
派遣企業とエンジニアが雇用契約を結んだうえで、派遣企業がクライアントのニーズに応じた技術者を派遣します。期間や業務内容は派遣企業を介して定められます。
・業務委託契約:
業務の成果物や結果に対して報酬が支払われる形態です。エンジニアがクライアントと直接交渉して業務内容・報酬・雇用期間を定める契約で、派遣契約型よりも自由度が高い働き方であるといえます。
このようにSESはエンジニアにとって時間や場所にとらわれない自由な働き方ができる仕事である一方です。
SESに向いている人の特徴
SESは働く環境がクライアントに応じて変化するので、様々な面での対応力が求められます。
・コミュニケーション能力:
プロジェクトの途中から合流する場合も少なくないので、クライアントやプロジェクトのチームメンバーとの円滑なコミュニケーションが求められます。
・技術力:
SESは、クライアントからの幅広い発注に対応するために、常に最新かつ専門的なITスキルが求められます。
・柔軟性:
さまざまに職場環境が異なるプロジェクトにいつでも適応するための柔軟な考え方が求められます
このように、SESで働くには現場の状況やクライアントの要望に対して柔軟に対応していく姿勢が必要です。
SIerって何?
SIer(システムインテグレーター)は、クライアントの要望に応じて、情報システムを設計、開発、運用する仕事です。
IT技術が進化する現代において、効率的な業務運営を実現し、競争力を高めるためのパートナーとして、近年ますます需要が増加しています。
SIerの業務内容
SIerの業務内容は多岐にわたりますが、主な業務には2種類があります。
・システム設計・開発:クライアントの業務プロセスに最適なシステムの全体を設計・開発
・運用・保守:導入後のシステムの安定稼働を維持するための運用管理と保守作業
・コンサルティング:業務改善やシステム導入に関する専門的なアドバイスを行う
SIerは業務やプロジェクトの一部ではなく全体的な視点から、クライアントのビジネスニーズに応じたソリューションを提供します。
SIerの契約形態
SIerの契約形態には、以下のような主な種類があります。
・請負契約:
プロジェクトの進行管理や品質管理を全て行い、完成したシステムが納品されたときに報酬が一括して支払われる契約です。
・業務委託契約:
業務の進行状況に応じて部分的に業務を担当し、定められた条件に基づいて、進行状況に応じた報酬が支払われる契約です。
どちらの雇用形態であってもシステム全体に対するアプローチが常に求められますが、何に対して、いつ報酬が支払われるかが異なります。
SIerに向いている人の特徴
SIerは常にプロジェクトやシステム全体に対する視点を持ち続けて業務に臨む必要があるため、特に以下のような能力が求められます。
・問題解決能力:クライアントの本質的な課題を理解し、プロジェクトやシステム全体をみて適切な解決策を提案する力が不可欠です。
・コミュニケーション能力:クライアント先のチームでプロジェクトに当たる場合も多いため、クライアントやメンバーと円滑に情報を共有するスキルが必要です。
・技術力:ニーズに対して多角的なアプローチを提案できるように、常に幅広いIT技術に関する知識と実践経験が求められます。
確かな経験に裏打ちされた技術や知識と、チームの問題に迅速に対応する対応力が求められます。
SESで働くメリット6選
SESはクライアントに応じて、様々な環境で高度な技術を提供し続けていきます。
働き方や仕事内容の変動について柔軟な姿勢が求められる一方で、最新の技術に触れながらエンジニアとしての経験を積んでいきたいと考えている方には様々なメリットがあります。
多様なプロジェクトに参加して経験を積める
近年のAIやクラウドサービスの普及により、SESはますます幅広い業種・業界のプロジェクトに求められるようになってきています。
従って、いつでも異なる技術や業務知識を迅速に習得できる環境が整っています。
プロジェクトごとに異なる課題に取り組み続けることで、問題解決能力や柔軟な思考が育まれ、スキルとキャリアの幅が広がります。
短期間で実践的スキルを磨ける
クライアントの環境ごとに異なる技術やツールを用いたプロジェクトに参加することになるため、実務経験のなかで幅広い実践スキルを身につけることができます。
毎回異なる環境に適応することを求められる反面、短期間で多くのスキルを実践的に学ぶことができます。
エンジニアはどの職種でも、最新のITスキルと幅広い実務経験が求められるため、SESでの実務経験があることでスピーディーにキャリアアップを図ることができるようになります。
ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる
SESはクライアントの需要によって異なる働き方になる場合が多いものの、近年ではリモートワークやフレックスタイム制度を取り入れている場合も多く、個々のライフスタイルに応じた働き方が実現できます。
特に、子育てや学業と両立しながら働きたい方や、ワークライフバランスを重視している方は、柔軟な働き方や自由度の高いライフスタイルを実現できるため、充実感を持って仕事を続けることができます。
常に最新の技術に触れられる
クライアントの要望に応じて新しいツールやフレームワークを学び続けることになるため、SESは常に最新の技術やITに関するトレンドに触れることができます。
これによりエンジニアとして常に成長し続けることができ、技術の進化に常に対応して自身のスキルをアップデートし続けることができます。
今後ITコンサルタントやシステムエンジニアを目指してキャリアアップしていきたい人や、フリーランスで働いていくことを検討している人におすすめです。
人脈を大きく広げられる
SESの仕事では、多くの業種のクライアントや他の職務内容のエンジニアと接する機会があるため、豊富な人脈を築くことが可能です。
変化の多いIT業界において、広い人脈を活用して幅広い情報に触れておくことで、常にどのようなスキルが求められているかを知ることができるだけでなく、将来のキャリアにおいて新たなチャンスが生まれる可能性も高まります。
キャリアについてより幅広い視野を得られる
SESは様々な業種でのエンジニア業務に携わるため、IT業界全体や他業種・業界のニーズへの理解を深める絶好の機会です。
プロジェクトの他の領域で働くエンジニアや他業種のクライアントとコミュニケーションをとる機会も多いため、キャリアに対する幅広い視野を得ることができます。
SESで働くデメリット6選
豊富な経験とスキルアップの機会にあふれたSESの仕事ですが、デメリットもあります。
特に一定した環境で長期的に働いていきたいという志向がある方には注意すべきポイントが多々あります。
やめとけと言われる理由を詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。
雇用形態が不安定
SESでの働き方は、派遣契約・業務委託契約どちらであっても案件ごとに契約するケースがほとんどです。
従って、クライアントのニーズに応じて仕事内容・報酬に関する規定が変わり、収入が不安定になりやすい点が懸念材料です。
さらに、契約更新が行われない場合、急な収入減に直面する可能性があります。
プロジェクトの環境や文化が変動し続ける
SESでは、毎回異なるクライアントのもとで作業をするため、環境や文化がその都度異なります。
適応能力が鍛えられるため、ITコンサルタントのような職務経験や実践的知識を求められる職種へのキャリアアップを目指している人にはおすすめの業種です。
一方で、頻繁なプロジェクト変更により、新しいチームや業務スタイルに馴染むまでのストレスがおおきくなることがあります。
安定した環境で働き続けたい人には注意が必要です。
自分の裁量が限定的
SESの仕事は、プロジェクトの中でも専門的な業務に特化して担うことが多く、具体的なタスクやプロジェクトの方向性はクライアントが決定するため、自分の意見やアイデアが反映されにくいです。
自分の裁量が限られることが多いので、幅広い視点から業務に携わりたい人にとって、定められた業務以外に裁量が無い環境に遣り甲斐を感じられなくなる人もいます。
基本的にひとり作業
クライアントの要望でプロジェクトの中で専門的な部分のみを依頼されることも多いSESは、ひとりで作業を進める場合も多いです。
このため、問題が発生した際に他のメンバーとの情報の共有が難しくなることがあります。
普段からいざとなったときに相談できる体制や、コミュニケーションがとれるような環境を作っておくことが大切です。
常に学び続けることが求められる
基本的にクライアントからの依頼に応えることで業務が進められますが、技術の進化が早いIT業界ではエンジニアに求められることも日々変わっていきます。
仕事をしながらの自己学習が不可欠なので、常に時間の確保や適切な学習方法を見つけることが重要です。
これをプレッシャーに感じる人も多いですが、だからこそSESで働き続けることが成長につながるとも言えます。
長期的なキャリアに繋がるかは自分次第
多様な環境で常に新しいスキル・知識を学びながら働き続けるSESとしての実務経験は、キャリアアップのために視野を広げられることに加え、IT業界の人材市場でも評価されやすい傾向にあります。
とはいえ、プロジェクトによってスキルや経験が異なるため、実力を挙げて効果的なキャリアを積めるかは自己責任となります。
IT業界においてキャリアアップをめざすのであれば、自分自身の成長を意識して具体的な目標を持ち、自分に合ったプロジェクトを選び、常にスキルアップのために尽力していくことが重要です。
SIerで働くメリット5選
SIerはSESよりも全体的な視点からプロジェクトに携わるため、より広く深い知識やスキルが求められます。
一人作業に限らない多様な業務や役割をになうことになるため、さらなるキャリアアップを求める人にとって有用な、様々な経験を得ることができます。
なかでも主要なSIerで働くメリットを5つ説明していきます。
雇用形態が安定している
クライアントとなる企業の多くが、長期的なプロジェクトを手がけているので、SIerの契約期間も長期になることが多く、プロジェクトごとの契約であっても長期であることに加え、正社員での雇用も多いです。
正社員として働く場合であれば、福利厚生や休暇制度も充実しており、長期的に安定した雇用環境や給与形態を保証された環境下で、安心して働き続けられます。
プロジェクト管理能力を得られる
SIerの仕事は、クライアントのニーズにあわせてさまざまなプロジェクトに関与し、ITの専門技術に基づいてプロジェクト全体の管理をすることが求められます。
ITのスキルだけを磨くというよりも、タスクの優先順位付けや進捗管理、リソース配分といった管理業務に携わることで、プロジェクト管理のスキルが自然に鍛えられていく仕事です。
技術の進歩によってニーズが拡がっていくことが見込まれる中、IT人材には専門知識のみならずチームワークや対人スキルが求められることが予想されます。
より深い専門知識が身に付く
SIerは長期的に一つのプロジェクトに携わることが多いため、特定の技術や業界に特化した専門知識を深めるチャンスが多くあります。
特に、クラウドサービスやデータベース管理など、今後ますます需要増加が見込まれる分野に精通することができると、キャリアの幅を広げることが可能です。
チームワークスキルが自然に身に付く
SIerの業務は、プロジェクトごとに異なるメンバーや、進捗に応じて新たに採用されたメンバーと連携しながら仕事を進めていく中で、コミュニケーション能力や協力的な姿勢が培われます。
これは、職場環境を良好に保つスキルであるため、業界を超えたあらゆるビジネスシーンでもとめられます。
業界の動向に詳しい人材になれる
SIerは、多様なクライアントと長期間にわたって関わる中で、IT業界のトレンドや各業界の最新のニーズに常に触れることができます。
確実なITスキルに加えて、今後伸びていく分野や求められていくスキルなど、IT業界全体の動向を把握できるようになると、より専門性の高い人材になることができます。
一定のスキルやエンジニアとしての現場経験を積んだうえで、より専門性の高いIT人材になりたい人にとっては、効率的に知識と現場経験を積める仕事です。
SIerで働くデメリット5選
大きな裁量をもって働くことができるSIerですが、プロジェクト全体の進捗状況にも責任を果たさねばならない場合があり、様々な責任を負う仕事でもあります。
特に成果報酬型の契約となっている場合は、プロジェクトの停滞が収入にも直結するため、プレッシャーを感じながら長期的に働かねばならない可能性もあります。
ここでは、SIerで働くと具体的にどのような困難に直面しやすいか、よくある例を5つ紹介していきます。
労働時間が長くなりがち
SIerでの仕事は、プロジェクトの納期に追われることが多く、労働時間が長くなる傾向があります。
特に、システムの開発や導入が遅れると報酬にも影響が出ることが多いため、残業が発生しやすくなります。
このような状況が続くと、ワークライフバランスを崩す要因となり、心身の健康に影響を与えることもあります。
クライアントの要望に振り回されがち
プロジェクト全体の進捗にも責任をもつSIerは、クライアントからの多岐にわたる要望に応え、使用するツールや計画の大きな変更さえも求められます。
時には納期間近に急な変更や追加要望が発生し、プロジェクトの進行に影響を及ぼすこともあります。
柔軟な対応力が求められ、成功したら大きな達成感や遣り甲斐が得られる反面、ストレスが溜まりやすい環境とも言えます。
責任が大きい仕事が多い
プロジェクトのなかでも一定の専門業務や決まった作業を担うSESと違い、SIerの仕事はプロジェクトにゼロから携わることも多いです。
従って、SIerの判断や行動がクライアントのビジネスに直接影響を与えるため、責任が非常に重いです。
責任感の強い方や裁量の大きい仕事が好きな方には向いていますが、ストレスを感じやすい方には厳しい環境です。
顧客とのトラブルに対応を求められる
成果報酬型の契約になることも多いSIerは、システムの不具合や期待通りの結果が得られない場合、報酬の増減に直結します。
もし顧客からの苦情や問い合わせがあれば、自分の責任で迅速に処理しなければなりません。
様々なケースに対応する中でトラブルへの対応力が鍛えられる一方で、精神的な負担が大きくなる問題もあります。
最新技術に遅れを取りやすくなる
SIerでの業務は、特定の技術やプロジェクトに集中することが多いため、自分がかかわっていない分野の最新のITトレンドや技術に疎くなりがちです。
特に、プロジェクトの終了後に新しい技術を学ぶ時間が取れないことが続くと、業界の変化についていけなくなるリスクがあります。
SESの今後について知っておくべきこと
ここでは、これからIT業界での就業を目指す方やSESを目指している方に向けて、知っておくべきことを5つ紹介していきます。
ほかにも、SESの将来性については以下の記事で詳しく特集しています。
未経験の方でもわかるように解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
SESの需要増加について
デジタル化の進展に伴い、企業が求める技術力が多様化し、専門的なスキルを持つエンジニアの派遣ニーズが高まる中、期間と仕事内容を限定した中でプロジェクトに従事するSESは近年ますます需要が高まっています。
特に、クラウドサービスやAI技術に関連するプロジェクトの増加によって、今後ますますSESは求められて生きます。
SESの育成プログラムの強化について
SESの需要増加に伴い、多くのIT企業がエンジニアの育成プログラムを強化しています。
従って、育成システムに力を入れている企業に今入社することで、実務経験を積むだけでなく、最新の技術やトレンドに対応できるスキルを身につけることが可能です。
未経験であっても参加できるような研修や勉強会を定期的に開催している会社もあるので、エンジニアとしての市場価値を高めながら働く機会が多い職種です。
SESの働き方の柔軟性について
プロジェクトごとに契約することも多いSESは、プロジェクトごとに働く場所や時間が異なり、自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
リモートワークやフレックスタイム制度、またシフト制での働き方を導入している企業も増えており、働きやすい環境が整っています。
より良いワークライフバランスの中でキャリアアップを図っていきたい人に対応した職種であると言えます。
SESに求められるスキルアップデート
近年のIT業界では技術の進化が早く、ツールが常に更新されているため、常に新しい知識を学ぶ姿勢が求められます。
特にSESは、プロジェクトが求める専門知識やスキルを即時提供できる即戦力として求められていることが多いので、高い市場価値を維持するために常に自己学習を続けていくことが大切です。
SESから拡がるキャリアパスの多様化
SESは、多様なプロジェクトを通じて異なる業界のニーズや最新技術に触れているので、自身の専門性や最新のトレンドへの知識を高めることができます。
SESでの多様な経験をもとに、将来的にはマネジメント職やコンサルタントとしてのキャリアも目指せます。
ITの仕事で独立したい方やフリーランスとして自由な働き方をしたいと思っている方も、まずSESで経験を積むことが一番効率の良い方法の一つです。
SIerの今後について知っておくべきこと
SESよりも裁量が大きく、深くて幅広い専門知識が求められるSIerは、IT業界未経験の方にはハードルが高い職種ですが、これから増々需要が高まっていく、今注目の職種です。
ここでは、今後ますますSIerに求められていくことについて5つの視点から解説していきます。
DXに伴う需要増加
近年デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、今までITを取り入れてこなかった業種、業界で新たなプロジェクトを始動する動きが出てきています。
これに伴い、ITの知識とスキルが高く、広い視点からプロジェクトを設計・進行。マネジメントしてくれるSIerに対する需要が急速に増加しています。
従って、SIerに求められる能力は、エンジニアとしてのスキル・経験、チームマネジメント能力に加えて、企業のニーズに対する知識や洞察力などますます多岐にわたっていくことも予想されています。
クラウド化の進展
クラウド技術の普及が進むことで、SIerの役割も変わりつつあります。
企業がオンプレミスからクラウドへ移行する中で、ますます多くの企業・業種がクラウドベースのサービスによってコスト削減やスケーラビリティの向上を実現しようとしています。
クラウドインフラの設計・構築から関与していくSIerには、多角的視点から今までになく新しいビジネスモデルを創り出すために協力していくことが期待されています。
AI技術の発展・浸透による業務多様化
ここ数年のAI技術の急速な発展に伴い、データ分析や作業自動化ツールが発達し、今までにない業務プロセスの効率化や新たなサービスの創出が進んでいます。
従って、これまでにない規模の企業や業界で、AIを活用したITシステムへの需要が高まっています。
SIerは、新しいプロジェクトやシステムの設計にゼロから携わることも多いため、既存のシステムやツール、先例に囚われず、クライアントに一番合った形のシステムを作り出し、運営していく役割が期待されています。
セキュリティ対策の増加
昨今、サイバー攻撃が頻発化してきている中で、企業の規模や業種に関わらずIT部門でのセキュリティ強化が検討されています。
そのため、SIerが新しいプロジェクトの設計に関わるにあたっては、データ漏洩や攻撃リスクの軽減を念頭に置いた提案が求められます。
企業側のニーズには、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の導入やセキュリティ教育の実施も含まれるため、SIerは増々幅広い需要に応えていくことが求められています。
人材不足と求められるスキルの変化への対応
IT業界全体で人材不足が深刻化している中、SIerも例外ではありません。
専門的知識と対人スキル、マネジメントスキルを兼ね備えていることがもとめられるSIerは、特に人手不足が深刻な職種であるともいえます。
一方、IT技術が日々進化していく中で、企業のニーズに的確に応えていくためには新技術への対応が求められるため、常にスキルアップが求められている職種でもあります。
SESとSIer、未経験からはじめるならどちら?4つの視点から解説
SESとSIerは、どちらもITに関する専門的な知識と技術、経験が求められる職種であり、未経験から始めるには資格取得をはじめとした準備が必要です。
とはいえ、SESとSIerでは役割や求められるスキル、働き方において違いがあります。
ここでは、これからSESやSIerを目指したいと考えている方向けに、双方の違いについて説明していきます。
幅広い経験を積みたいなら
未経験から、働きながら幅広いITスキルを身につけたい場合、SESとして働くのがおすすめです。
SESは、比較的短期間で多様なプロジェクトに携わり、エンジニアとしての基礎スキルからプログラミング、ネットワーク、データベース管理などの専門スキルまで、幅広く鍛えることができます。
また、多様な業界での仕事に携わる中で、人脈を広げながら様々な業界のニーズを知ることができ、実践経験を重ねることでエンジニアとしての自信と専門性を高められます。
裁量が大きい仕事につきたいなら
自分の仕事は、自分のペース・やり方で進めたいという方には、SESの方が向いています。
SESは、クライアント先での作業が多いため、自分の裁量で業務を進めることができるので、自分のスキルを活かして自主的に問題解決を図っていくことにやりがいを感じる方にとって魅力的です。
一方で一概に言えないものの、SIerでも、特に上級職や管理職になると、プロジェクトの企画や設計から実装まで関与することが多いため、その分裁量が大きくなります。
安定的なキャリアアップを目指すなら
SIerは、プロジェクトの進行管理や設計など、責任の大きい役割を持って大規模なプロジェクトに参画することが多いです。
従ってSIerの方が、昇進のチャンスや評価されるタイミングが明確であり、長期的な視点でのキャリア形成が期待できます。
さらに、専門的な資格やスキルが重視されるため、資格取得によってさらなるキャリアアップが見込めます。
柔軟な働き方を重視するなら
柔軟な働き方をしていきたい方なら、SESが適しています。
SESが参画するプロジェクトは、リモートワークが可能な場合も多く、自分のライフスタイルに合わせた働き方が実現しやすいです。
また、フリーランスとしての活動も選択肢に入れることで、さらに自由度が増します。
一方で、SIerはチームの業務進行度や現場の状況を逐一確認するため、一般的にオフィス勤務が多く、働き方の選択肢は限られがちです。
SESとSIerの違い一覧
視点 | SES | SIer |
---|---|---|
業務内容 | クライアントが依頼した業務に対して派遣 | システムの企画・設計・開発・運用 |
裁量 | 技術的裁量が大きいが、指示に従う必要あり | 管理職になると裁量が大きいが常にクライアントとの調整が必要 |
雇用形態 | フリーランスや契約社員が多い | 正社員が一般的 |
スキル習得 | 多様な技術を迅速に習得可能 | 幅広い技術とマネジメントスキルを習得 |
キャリアパス | フリーランスやエキスパートとして独立 | プロジェクトマネージャーなど管理職への昇進 |
実際にSESに転職した人の声
「1社員のキャリアプランを大切にしてくれる面倒見の良さに惹かれて、今の会社に入社を決めました。」
この方は、前職のIT企業で「ITコンサル」という名目の募集だったのにも関わらず、「研修」と称して携帯販売の仕事しか任されず、不信感を感じていたといいます。
エンジニアとしてのキャリアを歩みたいと決意し、確実にスキルを磨ける企業に転職するために活学キャリアを利用しました。
「(活学キャリアのカウンセリングでは)SES業界のことや、転職活動の軸の決め方、今後のキャリアの考え方、履歴書・職務経歴書の書き方、面接対策などなど…これでもかというほどお世話になりました。」
「そして、なんといっても自分に正直になれたことが大きかったです。
そのおかげで、心の中のモヤモヤを抱えることなく転職活動を進めることが出来ました。」
転職活動と並行して活学ITスクールでの無料の講習を終えたこの方は、今、実際にエンジニアとしてのキャリアをスタートしています。
「暫くはエンジニアとして様々なプロジェクトを経験して、自分の引き出しを増やしていきたいなと思っています。ただ、実際にエンジニアとして実働してみると思いの外楽しくて…(笑)」
この方は実際に「ITコンサルタント」という専門職を目指しながらも、転職活動を通じて自分の軸を見つめなおし、SESとして転職に成功し、いまでも「ITコンサルタント」を目指しながら経験を積まれているということです。
仕事選びに悩んでいる方やIT業界の実情について知りたい方にぜひ参考にしていただきたいです!
インタビューの全文⇒【ブラックSES企業からの脱出】IT会社に入社したはずなのに携帯販売員になってしまった話
まとめ
SESとSIerはどちらも専門知識・スキルが必要とされる仕事ですが、たとえIT未経験でもしっかり育成に力を入れている企業からキャリアを始めて行けば、確実に目指せる仕事です。
活学ITスクールではエンジニアを目指していきたい方向けの無料転職カウンセリングや、プログラミングを学習できるカリキュラムをご用意しています。
特にエンジニア未経験からエンジニアを目指す方はぜひ受講してみてください。
SESとSIerは、今後IT業界が増々発展していく中で、どちらの職種も需要が拡大していくことが見込まれ、今までにない業界・業種でも必要とされていくことが見込まれます。
また、リモートワークをはじめとして、働き方が多様化してきている業界でもあるため、自分の理想の働き方にこだわって転職活動をすることもできます。
たとえ未経験でも、スキルや資格がなくても、是非チャレンジしてみてください。