ネットワークエンジニアの仕事内容とは
ネットワークエンジニアの仕事は、大きく分けると以下の4つに分けられます。
- 設計
- 構築
- 運用
- 保守
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ネットワークの設計
設計は、要件定義で決まったことを実現するために設定する値を決める作業です。細かく分けると基本設計と詳細設計の2つに分けられます。
基本設計とは、IPアドレスの設計、ルーティング設計、障害設計、拡張設計などの安定したネットワークを使用するために、構成やどのような動きにするかを決定することです。
詳細設計では、基本設計で決定したことを実現するために、ネットワーク機器に設定する値を決めていきます。
どの機器にどのIPアドレスを割り当てるかを決め、通信の回路を決定し、動きに関しても実機を使用し検証することです。
ネットワークの構築
構築とは、設計に基づき実際にネットワーク機器を設置し、設定していくことです。
多くの拠点を結ぶ大規模なネットワーク構築の場合は、数ヶ月かかる場合もあります。
ネットワークを使用する各部署の人達とスケジュールを調整し、限られた時間内で作業を完了させる必要があり、正常に通信できない場合は、迅速な復旧作業が求められるフェーズです。
ネットワークの運用
ネットワークは一度構築するだけで終わりではありません。
随時、機器の設定変更や構成変更を行う必要があります。
これは、日々の業務に合わせた設定変更です。規模の大きな設定変更になると、再び設計から始まることもあります。
立ち上げたネットワークに手を加えて運用を助けるのもネットワークエンジニアの重要な仕事の一つです。
ネットワークの保守
ソフトウェアと同じように、ネットワークシステムにも故障やトラブルが発生します。
トラブルの原因をいち早く突き止め、必要に応じて機器の交換を行い、円滑なネットワークを維持します。
ネットワークの完全停止は、業務の停止を意味するため、企業にとっては大きな損失になるため、夜間であってもすぐに対応が必要です。
また、保守期間が切れた機器の交換作業も保守の一部で、製品には販売されてからメーカーが部品を保持してメンテナンスするための最終保守日があります。
最終保守日を過ぎて運用していると、トラブルが発生した際に同じ機器での交換ができなくなってしまうため、最終保守日の前に新しい機器への交換が必要です。
なお、ネットワークエンジニア以外にもほかのエンジニアについて知りたい方は以下記事をどうぞ!
インフラエンジニアになって後悔した理由やインフラエンジニアの将来性を中心にご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ネットワークエンジニアの将来性
小規模なネットワークに関しては、近年のクラウド化が進んだことによって減少傾向にあります。
しかし、すべてのネットワークがクラウド化するには、まだまだ時間がかかるでしょう。
大規模なネットワークは、今後も設計や構築がされ続け、ネットワークエンジニアが企業の生命線になり続けるはずです。
リモートワークの増加により、新たにネットワークを構築する企業も増えてきています。
そのため、ネットワークエンジニアの需要はむしろ高まっているでしょう。
年収やキャリアパスの観点から、ネットワークエンジニアの将来性について解説します。
ネットワークエンジニアの年収
平均年収は、455万円です。これは、IT業界の中では低い方とされています。
ただしこれは、20代と30代の間で大きな違いがあることが原因の一つで、30代の平均年収に注目すると、554万円となり、キャリアが直接収入に直結する職種といえます。
年齢 | 平均年収 |
20代 | 376万円 |
30代 | 554万円 |
※参考:マイナビエージェント
ネットワークエンジニアのキャリアパス
ネットワークエンジニアには、以下のような多岐にわたるキャリアパスがあります。
- スペシャリスト
- インフラエンジニア
- クラウドエンジニア
- セキュリティエンジニア
他にもマネジメント分野に進むこともでき、ネットワークエンジニアの将来性は高いでしょう。
自分の興味があることに合わせてキャリアパスを決める参考にしてみてください。
ネットワークエンジニアの将来性も交え、年収アップ方法も詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
未経験からネットワークエンジニアになれる?
未経験からネットワークエンジニアになることは可能です。
そもそもIT業界全体は、人材不足の傾向が続いています。
2030年までに最大で78.7万人の人材不足があると推定されているのです。
その中でも、ネットワークエンジニアのようなインフラ業界では、未経験者にも門戸が広く開かれています。
その理由は、ネットワークは24時間365日稼働のために、未経験者でも担当できる監視業務の仕事があるからです。
下流工程の求人では、学歴や経験不問となっているケースも多く、異業種からの転職も成功しやすい点があります。
ネットワークエンジニア転職を成功させるためのポイント
転職活動を進めていくと、不安になることも多いでしょう。
転職を成功させるポイントを理解して、転職を有利に進めましょう。
上流工程を目指す
ネットワークエンジニアの業務で保守が最も下流の工程となります。
上流になればなるほど求められるスキルは高くなりますが、それに伴って年収や待遇も上がっていくため、転職をきっかけに一つ上の工程を目指すのがおすすめです。
ただし、上流工程に転職したからといって好条件になるとは限らず、仕事内容や雰囲気も転職の判断材料にする必要があります。
そのため、事前に情報収集をし、自分の希望と照らし合わせながら転職先を決めましょう。
転職エージェントを活用する
希望通りの転職先を見つけるためには、転職エージェントの活用がおすすめです。
転職では、事前の情報収集が大切になりますが、転職先の雰囲気や人間関係、上司の人柄は入社してからでないとわかりません。
転職エージェントを利用すると、自分だけでは得られない情報を教えてもらえたり、条件交渉や面接の日程調整を行ってくれたりとサポートが充実しています。
IT業界へのおすすめ転職エージェントはこちらで紹介いています。ITエンジニア未経験からの転職についても詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
ネットワークエンジニアを目指す人におすすめの転職エージェント
おすすめの転職エージェントを紹介します。
レバテックキャリア
経験者の転職に強いエージェントです。
中堅やベテラン向けの求人が充実しています。
レバテックキャリアを利用した年収アップ率は77%を超えており、キャリアアップや年収アップを目指す人に多く利用されています。
正社員・フリーランス・派遣の雇用形態があり、プロによるキャリアアドバイスも充実していておすすめです。
公式サイト:レバテックキャリア
パソナキャリア
パソナキャリアは、これまで46万人以上のサポートをしてきた実績がある転職エージェントです。
利用者の67.1%が転職後の年収アップに成功しており、特に女性の転職支援に力を入れています。
その他にも、ハイクラスな転職にも対応しているなど魅力的なポイントが多く、転職に困っている人におすすめの転職エージェントです。
公式サイト:パソナキャリア
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、求人数と転職成約実績の2点において、国内でナンバーワンを誇るエージェントです。
求人の中には、上場企業の求人などもあり、求人の質がいい点も特徴で、転職者サポートが充実しています。転職をスムーズに進めたい人や、品質の高いサポートを受けたい人におすすめです。
公式サイト:リクルートエージェント
マイナビIT AGENT
マイナビエージェントは、20代の若手や転職が初めての人におすすめです。
非公開求人が充実しており、独占求人も多数あることがメリットです。
20代に信頼されている転職エージェントナンバーワンに輝いており、公式サイト上でも20代の転職者向けの転職ポイントを紹介しているコンテンツが掲載されています。
公式サイト:マイナビIT AGENT
doda
dodaは、経験者採用や即戦力人材の採用に強みを持つ求人サイトです。
ユーザーの志向性に合わせて求人を表示するレコメンド機能があり、転職者と求人とのマッチング精度を高めた上で応募を促進してくれます。
また、エンジニアならではの検索項目があり、求職者にマッチする求人情報を検索できるので、エンジニアは特に利用したい求人サイトです。
公式サイト:doda
ネットワークエンジニアへの転職で有利なスキル
ネットワークエンジニアは、ネットワークに関するスキルはもちろん、そのほかにも保持しておくと転職が有利になるスキルがあります。
最新のインフラスキル
近年では、クラウド化が進んでいます。
それに伴って、ネットワークの知識だけでなくクラウドの知識を身につけておくと、転職が有利に進むでしょう。
ITの業界は、日々新しい技術情報が公開されています。
ITの情報をキャッチする意識の高さや情報収集力が重要です。
コストの削減やセキュリティ強化といった提案もできるようになるためには、ネットワーク以外の分野であっても、最低限の知識や情報を抑える必要があります。
セキュリティ分野に関する知見
ファイアウォールの設定やセキュリティルータというWi-Fi機器のセキュリティなどの設置設定作業もネットワークエンジニアの仕事に含まれます。
ネットワークは外部と通信が発生するものです。
トラブルや障害を避けるためにも、ネットワークエンジニアにはセキュリティ面の対策や対応が求められます。
ネットワークの設計では、データを外部に流出させないことや、外部からの侵入を許さないことが必須となるので、ネットワークエンジニアにとってセキュリティに関する知見は必須です。
英語力
ネットワークエンジニアに限らず、インフラエンジニアは業務上英語が求められることがあります。
IPAという日本のIT分野の発達を目的とした組織が公表した「DX白書2021」によると、現在の仕事において役立っていると考える要素として、「英語コミュニケーションに関すること」の割合が多いことがわかっています。
英語力が必要な理由としては、OSやミドルウェアのメッセージやログが英語表記であったり、製品のマニュアルが英語だったりするからです。
英語を身につけておくと、メッセージからシステムの状況を把握しやすくなるメリットがある他、理解が早まります。
ネットワークエンジニアへの転職で有利な資格
転職を有利に進めるために最も有効的なのが資格です。
資格は、スキルの証明となります。
ネットワークエンジニアが持っておきたい資格について、それぞれ解説します。
シスコ技術者認定CCNA
アメリカの大手通信機器メーカーであるシスコシステムズが提供するネットワーク技術者の能力を証明する試験です。
シスコ技術者認定には、以下の5つのレベルに分けて展開されています。
- エントリー
- アソシエイト
- プロフェッショナル
- エキスパート
- アーキテクト
CCNAは、アソシエイトレベルを表します。
CCNAは、ネットワーク技術者としての基礎レベルを認定する試験です。
ネットワークの導入や運用、トラブルシューティングについてのスキルが問われるため、ネットワークエンジニアはまずCCNAの取得を目指しましょう。
資格名 | CCNA |
試験日 | 随時 |
受験料 | 33,600円(税抜) |
公式サイト | https://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/certifications.html |
シスコ技術者認定CCNP
CCNPは、前述したCCNAのプロフェッショナルレベルの試験です。
CCNPを取得することにより、大規模ネットワークの導入、運用、保守を行う技術を持っていることを証明できます。
CCNAよりCCNP資格保持者の方が需要も多く、転職も有利になります。
資格名 | CCNP Enterprise |
試験日 | 随時 |
受験料 | コア試験:44,800円(税抜)+コントセントレーション試験:33,600円(税抜) |
公式サイト | https://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/certifications.html |
基本情報技術者試験
本試験は、IPAが認定する国家資格です。
ネットワークやシステム開発などに関して出題されます。
この試験は、ネットワークエンジニアだけでなく、さまざまな分野のITエンジニアが対象です。
資格名 | 基本情報技術者試験 |
試験日 | 春期(4月頃)、秋期(10月頃)、の年二回 |
受験料 | 7,500円(税込) |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html |
ネットワークスペシャリスト試験
IPAが主催する高度情報処理技術者試験の一つで、ネットワークに関する深い知識を問われる試験です。
こちらも国家資格であり、ネットワークエンジニアには人気の資格で試験に合格することにより、企画から要件定義、設計、運用、保守を行う能力を証明できます。
試験では、プロトコルといったネットワーク技術だけでなく、ネットワーク機器ベンダーを活用して、ネットワークの設計、構築、運用、保守を行うことが求められているため、ネットワークエンジニアとしての総合的なスキルが試されます。
資格名 | ネットワークスペシャリスト試験 |
試験日 | 4月の第3日曜日 |
受験料 | 5,700円(税込) |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/nw.html |
情報処理安全確保支援士試験
IPAが主催する試験で、システム開発や運用において、セキュリティの面に配慮した設計や支援を行う能力を証明する資格です。
難易度が高い資格のため、合格するには努力が必要でしょう。
しかし、合格できれば、サイバーセキュリティ対策に関する専門的なスキルを持つことをアピールできます。
資格名 | 情報処理安全確保支援士試験 |
試験日 | 4月の第3日曜、10月の第3日曜 |
受験料 | 5,700円(税抜) |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sc.html |
ITパスポート
未経験の転職者におすすめなのがITパスポートです。
本試験は、IPAが認定する国家資格の一つで、ITに関する基礎的な知識を証明する資格で、新しい技術や経営の全般、IT知識、マネジメントなど幅広い分野が試されます。
ネットワークエンジニアも、専門的な知識を得る前に、業界全体の幅広い知識が必要であり、本資格を取得すればIT全体のことを理解していると印象付けられるでしょう。
資格名 | ITパスポート |
試験日 | 随時 |
受験料 | 7,500円(税込) |
公式サイト | https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html |
ネットワークエンジニアでのその他おすすめ資格は、こちらでも解説しています。
ネットワークエンジニアへの転職Q&A集
ネットワークエンジニアを目指す上で、転職活動をしているとさまざまな疑問が生まれるでしょう。
エンジニアについて多く上がっているQ&Aを紹介します。
質問 | 回答 |
転職活動はいつスタートするべきでしょうか。 | 今すぐにでも有効的でしょう。 リモートワークにシフトした企業やITインフラを見直す企業が積極的に採用を進めています。 |
40代でも転職できるのか不安です。 | 40代でも、専門性のあるスキルや経験を持っていれば転職は可能です。 40代は、数年後に再転職することも考慮して中長期的なキャリアデザインを考えるべきタイミングです。 |
クラウドの経験がなくても転職できますか。 | クラウドの経験がなくても転職可能です。 クラウドの経験がなくても、予算一億以上や半年以上の大規模案件での経験を持っている人や、非機能要件に長けている人であれば可能性があります。 また、転職先も全ての案件がクラウドではなく、オンプレミスとクラウドの両方の案件があり、社内研修が充実している会社を選ぶことも重要です。 |