ネットワークエンジニアとプログラマーはどっちがおすすめ?
本記事では、ネットワークエンジニアとプログラマーの違いを解説します。
ネットワークを扱うネットワークエンジニアと、プログラミングが主な仕事であるプログラマーは、仕事内容以外にも様々な違いがあります。
プログラマーはエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる際の代表的な選択肢ですが、プログラミング学習が必要になります。
IT未経験からプログラミングを学習するのは挫折しやすい面もあるでしょう。
ネットワークエンジニアをはじめとするインフラエンジニアであれば、最初はプログラミングスキルがなくても転職を目指すことができます。
需要や将来性についてはネットワークエンジニアがおすすめですが、自身の好みや興味・関心に沿って選択することが大切です。
両者の違いや特徴をおさえ、キャリア選択の参考にしてみてください。
ネットワークエンジニアとは
ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計や構築、監視といった業務を担当するエンジニアです。
ネットワークはITに欠かせない要素の1つで、システムやアプリを構築するためだけでなく、パソコンを使った業務をこなすためにも必要です。
ネットワークエンジニアは、ITを基盤から支える「インフラエンジニア」に分類されます。
ネットワークエンジニアの仕事については、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
プログラマーとは
プログラマーは、仕様書に沿ってコードを書き、システムに必要な機能を実装していくエンジニアです。
ネットワークエンジニアはネットワークを整備しますが、プログラマーは主にシステムやアプリケーションの開発を行います。
ネットワークエンジニアとプログラマーの違い
ネットワークエンジニアとプログラマーには、どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは両者の違いについて、以下の7つの観点から解説していきます。
- 仕事内容
- 働き方
- 必要なスキル
- 年収
- キャリアパス
- 需要と将来性
- 評価につながる資格
仕事内容
ネットワークエンジニアとプログラマーでは、仕事内容が異なります。
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計から構築、運用保守を主な仕事内容としています。
最適なネットワーク機器の配置や配線といった「設計」を基に、実機とケーブルを用いてネットワークを「構築」していきます。
構築したネットワークが稼働し始めたら、問題なく通信ができているかを確認しなければなりません。
24時間体制で監視を行い、障害が発生したら復旧する「運用保守」も大切な仕事です。
プログラマーの仕事内容
プログラマーの主な仕事内容はプログラムを書くことです。
要件定義や設計といった仕事は、プログラマーの代表的なキャリアパスである「システムエンジニア」や「プロジェクトマネージャー」が対応することが多く、プログラマーは実際にプログラムを書く工程を担当します。
プログラミング言語を使い、設計書に沿ってプログラムを作っていくのがプログラマーの基本的な仕事です。
働き方
ネットワークエンジニアとプログラマーは働き方が異なり、プログラマーの方が比較的自由な働き方を選択しやすい傾向にあります。
ネットワークエンジニアの働き方
ネットワークエンジニアの働き方はキャリアやスキルによって様々ですが、はじめはネットワークの運用・保守を担当することが多くなります。
ネットワークの監視が主な業務になるため、24時間の監視体制の中でシフトを組んで働くのが一般的です。
夜勤が多くなることもあるため、プログラマーに比べると不規則な生活になることもあります。
機器を扱うため、リモートワークではなく実際に出社する必要があるのもネットワークエンジニアの特徴です。
プログラマーの働き方
プログラマーは、ネットワークエンジニアに比べると自由度の高い働き方がしやすいエンジニアです。
もちろん企業や案件による部分が大きいですが、リモートワークやフレックスタイム制を導入している企業も珍しくありません。
フリーランスとして活躍しているプログラマーも多く、スキル次第ではより柔軟な働き方が可能です。
必要なスキル
ネットワークエンジニアとプログラマーでは、それぞれに必要なスキルが異なります。
ネットワークエンジニアに必要なスキル
ネットワークエンジニアは、まずはネットワークに関する知識を身につけなければなりません。
ネットワークの仕組みを理解し、最適な通信経路を導くルーティングや、ネットワーク機器の設定スキルが必要です。
ネットワークエンジニアには細かい設定技術が要求されるため、几帳面さや責任感も評価されます。
プログラマーに必要なスキル
プログラマーにはプログラミングスキルが求められます。
プログラミング言語の基本的な知識だけでなく、フレームワーク(アプリに必要な機能を集めた枠組み)やライブラリ(よく使われる機能の集まり)を扱うスキルも身につけなければなりません。
年収
ネットワークエンジニアとプログラマーでは、ネットワークエンジニアの方が年収が高くなる傾向にあります。
ネットワークエンジニアの年収
転職サイト「doda」によれば、ネットワークエンジニアの年収相場は「448万円」です。
同じく「doda」における全職種の平均年収は「403万円」なので、ネットワークエンジニアの年収は職業全体の中では比較的高い方だと言えます。
ネットワークエンジニアの年収については、こちらの記事もご覧ください。
プログラマーの年収
大手求人サイト「求人ボックス」によれば、プログラマーの平均年収はおよそ「433万円」となっており、エンジニアの中では低めです。
プログラマーは下流工程を担当しているエンジニアに該当するため、どうしても平均年収は低くなってしまいます。
派遣社員などの非正規雇用のプログラマーが多いことも、プログラマーの平均年収が低めになってしまう理由の1つです。
キャリアパス
ネットワークエンジニアとプログラマーでは、目指せるキャリアパスにも差があります。
ネットワークエンジニアのキャリアパス
技術を極めた「スペシャリスト」かIT関係のアドバイスを行う「コンサルタント」が、ネットワークエンジニアの主なキャリアパスです。
ネットワーク技術を極めたスペシャリストだけでなく、サーバーやクラウドについても知識を備えたエンジニアを目指したり、セキュリティエンジニアへと転身することも可能です。
コンサルタントは、ITの専門的な知識を活用して、企業の経営課題の解決を助けます。
IT全般についての幅広い知識はもちろん、経営に関する知識も身につけなければなりません。
難易度は高いものの、年収も高く、魅力的なキャリアパスの1つです。
プログラマーのキャリアパス
プログラマーのキャリアパスの代表例は、「システムエンジニア」や「プロジェクトマネージャー」です。
「システムエンジニア」は、プログラムの実装だけでなく、システムの要件定義(システムに必要な機能を洗い出して明確にすること)や設計といった仕事も担当します。
「プロジェクトマネージャー」はプロジェクト全体の進捗を管理し意思決定を行う、責任の重い仕事です。
多くのエンジニアを率いてプロジェクトを成功させなければならず、高度なマネジメントスキルが求められます。
需要と将来性
需要と将来性に関しては、ネットワークエンジニアに分があります。
もちろん、本人のスキル次第でもあるため、将来性を高めるにはスキルアップが必要です。
ネットワークエンジニアの需要と将来性
ネットワークエンジニアは、需要と将来性が高い職種です。
ITサービスを持続させるためにネットワークは欠かせません。
今後もネットワークエンジニアの仕事がなくなることは想定しにくい状況です。
ネットワークセキュリティの重要性が高まっていることもあり、高レベルなスキルがあればネットワークエンジニアとして長く活躍できるはずです。
詳しくは、以下の記事もご覧ください。
プログラマーの需要と将来性
プログラマーの将来性については、不安を感じている方も多いようです。
AIやノーコード開発が普及したことで、プログラマーの需要の低下を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
たしかにそのような意味では、プログラマーの需要には不安があるのかもしれません。
しかし実際のところ、IT人材が不足していることもあり、プログラマーが活躍できる場所はまだまだあります。
長くエンジニアとして活躍していきたい方は、最新技術を習得したりマネジメント経験を積んだり、キャリアアップのために行動していく必要があるでしょう。
評価につながる資格
エンジニアにとって、資格は大きな武器です。
ネットワークエンジニアとプログラマーでは、評価につながりやすい資格も異なります。
ネットワークエンジニアの評価につながる資格
ネットワークエンジニアの評価につながる資格としては、主に以下が挙げられます。
- Cisco技術者認定
- LPIC/LinuC
- 基本情報技術者・応用情報技術者試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- CompTIA Network+
ネットワークエンジニアに必要な資格については、以下の記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
プログラマーの評価につながる資格
プログラマーの評価につながる資格として、以下が挙げられます。
- 基本情報・応用情報技術者試験
- Oracleマスター
- 各種民間・ベンダー資格
プログラマーの評価につながる資格としては「基本情報・応用情報技術者試験」に加え、データベースについての知識を問う「Oracleマスター」が基本です。
また、「Oracle認定Javaプログラマー」や「PHP技術者認定試験」など、各種プログラミング言語に関する民間・ベンダー資格も評価につながるでしょう。
ネットワークエンジニアとして活躍しやすい人の特徴
ネットワークエンジニアとして活躍しやすい人には、以下のような特徴があります。
- 責任感が強い
- 几帳面
- 学習意欲が強い
ミスが大きな障害につながってしまうため、ネットワークエンジニアの仕事には強い責任感が求められます。
そのため、責任感が強かったり几帳面な人は、ネットワークエンジニアの仕事に向いているでしょう。
また、エンジニア全般に言えることでもありますが、学習意欲や好奇心が強く、技術の習得に積極的な人の方がネットワークエンジニアとして活躍しやすくなります。
プログラマーとして活躍しやすい人の特徴
プログラマーとして活躍しやすいのは、「論理的に物事を考えられる」人や「コミュニケーションが得意」な人です。
論理的な考え方がなければ、効率的なプログラミングはできません。
物事を筋道を立てて考えられる人の方がプログラマーに向いています。
また、プログラマーはチームの一員としてプロジェクトに参画するため、コミュニケーションが得意な人の方が活躍しやすい職種です。
ネットワークエンジニアとプログラマーどちらがおすすめ?
どのエンジニアを目指すか、迷っている方もいるでしょう。
ここでは、ネットワークエンジニアとプログラマーのどちらがおすすめか、解説します。
ネットワークエンジニアの方が需要は高い
将来性や需要に関しては、ネットワークエンジニアの方が期待できます。
プログラマーに比べ年収が高いことからも分かるように、高レベルなネットワークエンジニアには活躍の場が数多くあるでしょう。
将来的にも仕事がなくなる可能性が低い職種のため、長くエンジニアとして活躍したい方にもおすすめです。
興味や好みに合わせて選ぶことが大切
どのような職種を選ぶ場合でも、エンジニアとして活躍するにはスキルアップが欠かせません。
自分の興味や好みを考え、ネットワークの構築や実機の操作に関心がある場合はネットワークエンジニアを、プログラミングに関心がある場合はプログラマーを選ぶのも良いでしょう。
自分が興味を持てる分野の方がスキルアップもしやすく、前向きに取り組めるはずです。
ネットワークに強いプログラマーというキャリア
もちろん、ネットワークにもプログラミングにも関心がある、という方も多いでしょう。
そうした方には、「ネットワークに強いプログラマー」というキャリアもおすすめです。
「通信系プログラマー」というキャリアもあり
ネットワーク機器に特化した開発を担当する「通信系プログラマー」というキャリアもあります。
ネットワークに関する知識があれば、通信系プログラマーとして活躍することは十分に可能です。
特に近年では、ネットワーク機器以外にもテレビ会議などに使う製品やシステムを開発することもあり、需要は十分に期待できます。
ネットワークエンジニアからのキャリアチェンジも有力
ネットワークエンジニアとして経験を積んでからプログラマーにキャリアチェンジするのも、魅力的なプランの1つです。
ネットワークをはじめとするインフラに関する知識を備えたプログラマーの存在は貴重で、活躍の幅も広がるでしょう。
キャリアに迷っている方は、ネットワークエンジニアからプログラマーへの転職も視野に入れて考えてみることをおすすめします。
プログラマーになるにはプログラミングスキルが必要ですが、IT未経験からプログラミングを学ぶのは難易度が高く、挫折してしまう人もたくさんいます。
ネットワークエンジニアであれば、最初はプログラミングスキルがなくても問題ありません。
ネットワークエンジニアとしてのキャリアを積んでからの方が、プログラミング学習も進めやすく、プログラマーへの転職も成功する可能性が上がるはずです。
未経験からネットワークエンジニアになるには
スクールの受講が、未経験からネットワークエンジニアを目指す方に最もおすすめの方法です。
未経験からネットワークエンジニアを目指す場合は、まずは「CCNA」の取得を目指すのが一般的ですが、未経験から独学で合格するには難易度が高く、挫折の原因になります。
スクールを受講することで、資格取得をサポートしてもらえたり、ネットワークエンジニアに必要なスキルを効率的に習得できるはずです。
ネットワークエンジニアにおすすめのスクールは下記の記事で紹介しています。
まとめ
本記事では、ネットワークエンジニアとプログラマーの違いについて解説しました。
ネットワークエンジニアとプログラマーには、仕事内容以外にもキャリアや将来性など、多くの違いがあります。
自身の好みや適性をふまえてキャリアを選ぶべきですが、迷っている場合はネットワークエンジニアを目指すことをおすすめします。
ネットワークエンジニアの方が将来性が期待できるだけでなく、後にプログラマーを目指したくなっても、ネットワークに強いプログラマーという魅力的なキャリアパスがあります。
職種ごとの特徴を把握したうえで、興味や好みに合わせてキャリアを選択しましょう。